12. 目くらまし術
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お願い、二人とも……!今年もうちでパーティーを開くのだけど、そこにドラコも来るみたいなの……!参加者は父様や母様のお知り合いばかりだから、歳が近いのは大抵いつもドラコしかいなくって。今の私たちってとっても気まずい関係でしょう?だから、二人が参加してくれたら本当に嬉しいのだけど……」
フォーラは既にそれが十分難しいことだと分かっていた。毎年パンジーもルニーも自身の家族とのクリスマスを本当に大切にしているのだ。フォーラがこれまで何度か二人をパーティーに誘ったこともあったが、今のところ参加は叶っていない。
「うーん、行ってあげたいのは山々なんだけど……両親が私に会うのを毎年とっても楽しみにしているのよね。それにとっても過保護なの。だから難しいわ。本当にごめんね……」
パンジーの申し訳なさそうな声に続いてルニーも謝罪した。
「うちも、今年は特におばあちゃんが楽しみにしてるのよ。力になってあげられなくってごめん。あっ、それじゃあ、逆にフォーラが私かパンジーの家に行くっていうのはどう?うちは多分大丈夫だと思うけど!」
「良い案ね、それならうちも大丈夫だと思うわ!家族にはフォーラの話は何度もしたことがあるし。どうかしら?」
二人の提案にフォーラはパッと顔を明るくした。しかしそれと同時に、自分がパーティーに参加しないと知った時の両親の姿や、特に使用人のマリアが残念がる様子が容易に思い浮かんでしまった。フォーラは上がっていた口角を自然と元の位置に戻すと、諦めたように一つため息をついた。
「ありがとう、二人とも。でも、やっぱり私も自分の家で過ごすことにするわ。うちも、きっと両親や屋敷の人たちが私の帰りを楽しみに待ってくれている筈だし……。それに父様も母様も、私とドラコの仲が良くないことを知らないもの。もしかしたら、パーティーでドラコとの距離を修復できる可能性も少しくらいはあるかもしれないし。」
諦めたように微笑んだフォーラに二人はなんと声を掛ければいいか戸惑った。目の前のフォーラはドラコにあれだけ否定され、今やすっかり関係が壊れてしまったことに随分頭を悩ませている。二人からすればその原因は勿論ドラコにあり、彼の態度にはとっくに愛想が尽きていた。
それでも二人はフォーラがドラコとの繋がりを求めることを心の底からは否定できなかった。何故なら二人もまた、これまでみんなで過ごしてきた頃を思えば、口には出さずとも今の状況に強い物寂しさを感じていたからだ。彼女たちの知っているドラコが突然すっかりいなくなってしまったような、そんな感じだった。
「ドラコと、何か少しでも話せるといいわね」パンジーが静かに言った。
「ええ。そうね……どうもありがとう。」
フォーラは目の前の優しく笑いかけてくれている二人に、落ち着いた笑みを返したのだった。
その頃、時を同じくしてブルガリアのとある街では、雪の降る中を魔法使いや魔女の往来が色とりどりのマントを纏って賑やかしていた。その中を一人の男性が何やらご機嫌な様子で小ぶりな花束を抱えて歩いていた。彼は短髪の明るいブロンドをしていて、鼻が高く、すっきりとした輪郭の持ち主だった。彼の歩みによって鮮やかな紫のクロッカスの花びらが一枚宙を舞った。
背格好の良い彼は見た目の良さに加え、その小脇に抱えた花の差し色によって一層周囲の目を惹きつけていた。すると、往来でその存在に気付いた彼の知り合いの男性が、当然ブルガリア語で声を掛けた。
〈こんなところで偶然だな。花なんて持ってどうしたんだ?〉
〈やあ!これかい?さっきまでうちの新しいお客様に見てもらっていてね。今度から定期的に発注してもらえることになったんだ!何とイギリスのお客様なんだよ〉
ブロンドの彼が嬉しそうにクロッカスの花束から一輪抜き取りながら話し、それを目の前の男性の胸ポケットに差し込んだ。
〈そりゃあよかった!けど、そういう花は向こうの国にだってあるだろう?それに君の勤め先は薬草を売ってるんじゃなかったか?〉
〈花だって立派な薬草さ。それに、こっちの土地の良質な花をお望みだったんだ〉
〈それで随分ご機嫌なんだな?〉男性の質問を受け、ブロンドの彼は嬉しそうに首を横に振った。
〈いいや、違う。内緒にしておくよ〉彼は笑顔でそう言って男性とその場で別れた。
一瞬の風にブロンドの彼のマントがはためき、内ポケットが垣間見えた。そこには先程ホグワーツでセオドールがドラコに見せていた、封蝋付きの白い封筒がちらりと覗いていたのだった。
フォーラは既にそれが十分難しいことだと分かっていた。毎年パンジーもルニーも自身の家族とのクリスマスを本当に大切にしているのだ。フォーラがこれまで何度か二人をパーティーに誘ったこともあったが、今のところ参加は叶っていない。
「うーん、行ってあげたいのは山々なんだけど……両親が私に会うのを毎年とっても楽しみにしているのよね。それにとっても過保護なの。だから難しいわ。本当にごめんね……」
パンジーの申し訳なさそうな声に続いてルニーも謝罪した。
「うちも、今年は特におばあちゃんが楽しみにしてるのよ。力になってあげられなくってごめん。あっ、それじゃあ、逆にフォーラが私かパンジーの家に行くっていうのはどう?うちは多分大丈夫だと思うけど!」
「良い案ね、それならうちも大丈夫だと思うわ!家族にはフォーラの話は何度もしたことがあるし。どうかしら?」
二人の提案にフォーラはパッと顔を明るくした。しかしそれと同時に、自分がパーティーに参加しないと知った時の両親の姿や、特に使用人のマリアが残念がる様子が容易に思い浮かんでしまった。フォーラは上がっていた口角を自然と元の位置に戻すと、諦めたように一つため息をついた。
「ありがとう、二人とも。でも、やっぱり私も自分の家で過ごすことにするわ。うちも、きっと両親や屋敷の人たちが私の帰りを楽しみに待ってくれている筈だし……。それに父様も母様も、私とドラコの仲が良くないことを知らないもの。もしかしたら、パーティーでドラコとの距離を修復できる可能性も少しくらいはあるかもしれないし。」
諦めたように微笑んだフォーラに二人はなんと声を掛ければいいか戸惑った。目の前のフォーラはドラコにあれだけ否定され、今やすっかり関係が壊れてしまったことに随分頭を悩ませている。二人からすればその原因は勿論ドラコにあり、彼の態度にはとっくに愛想が尽きていた。
それでも二人はフォーラがドラコとの繋がりを求めることを心の底からは否定できなかった。何故なら二人もまた、これまでみんなで過ごしてきた頃を思えば、口には出さずとも今の状況に強い物寂しさを感じていたからだ。彼女たちの知っているドラコが突然すっかりいなくなってしまったような、そんな感じだった。
「ドラコと、何か少しでも話せるといいわね」パンジーが静かに言った。
「ええ。そうね……どうもありがとう。」
フォーラは目の前の優しく笑いかけてくれている二人に、落ち着いた笑みを返したのだった。
その頃、時を同じくしてブルガリアのとある街では、雪の降る中を魔法使いや魔女の往来が色とりどりのマントを纏って賑やかしていた。その中を一人の男性が何やらご機嫌な様子で小ぶりな花束を抱えて歩いていた。彼は短髪の明るいブロンドをしていて、鼻が高く、すっきりとした輪郭の持ち主だった。彼の歩みによって鮮やかな紫のクロッカスの花びらが一枚宙を舞った。
背格好の良い彼は見た目の良さに加え、その小脇に抱えた花の差し色によって一層周囲の目を惹きつけていた。すると、往来でその存在に気付いた彼の知り合いの男性が、当然ブルガリア語で声を掛けた。
〈こんなところで偶然だな。花なんて持ってどうしたんだ?〉
〈やあ!これかい?さっきまでうちの新しいお客様に見てもらっていてね。今度から定期的に発注してもらえることになったんだ!何とイギリスのお客様なんだよ〉
ブロンドの彼が嬉しそうにクロッカスの花束から一輪抜き取りながら話し、それを目の前の男性の胸ポケットに差し込んだ。
〈そりゃあよかった!けど、そういう花は向こうの国にだってあるだろう?それに君の勤め先は薬草を売ってるんじゃなかったか?〉
〈花だって立派な薬草さ。それに、こっちの土地の良質な花をお望みだったんだ〉
〈それで随分ご機嫌なんだな?〉男性の質問を受け、ブロンドの彼は嬉しそうに首を横に振った。
〈いいや、違う。内緒にしておくよ〉彼は笑顔でそう言って男性とその場で別れた。
一瞬の風にブロンドの彼のマントがはためき、内ポケットが垣間見えた。そこには先程ホグワーツでセオドールがドラコに見せていた、封蝋付きの白い封筒がちらりと覗いていたのだった。