12. 目くらまし術
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その頃、ドラコとセオドールはまだ談話室に残っていた。セオドールがクラッブとゴイルが去ったのを確認した後、ニヤッと笑って口を開いた。
「ファントムといえば、今日の試合に彼女は来てなかったみたいだ。そりゃあ君にあれだけ避けられたら僕だってそうする」
ドラコはフォーラの話だと気付くや否や、煙たそうな表情でセオドールをあしらった。
「来てないことくらい知ってたさ。だからなんだっていうんだ?」
「なんだ、しっかり客席を見て探してるじゃないか。だからポッターにスニッチを取られたのか?試合に集中しろよ」
「違う!城に戻ってから知ったんだ。だけど、彼女がどうしていようが僕には関係ないだろう」
「まあ、君がそう言うならそうなんだろう。けどクラッブやゴイルが言うように、もう少し前みたいに話したりしたらどうなんだ?君達が近くにいる時は妙な空気でやりにくい」
「……」
「どうせ告白でもして振られた腹いせなんだろ?」
「……!」
ドラコの不意を突かれたような反応にセオドールはクツクツと笑った。ドラコはフォーラに告白したことをクラッブやゴイルだけでなく、セオドールにも一つも話していなかったのだ。
「なんだ、図星だったのか?喧嘩したと思っていたけど、そういうことか。そんなちっぽけな意地を張ってちゃ、随分格好悪いな」
「……そう見えるのならそう思ってもらって構わない。
それより、普段他人に関心が無い君がそんな話題をするなんて。急にどうしたって言うんだ」
「そりゃあ僕だって出来るならこんな(自分にとってどうでもいい)ことを君と話したくは無いよ。
だけど、そうもいかない事情があるんだ」
セオドールはそう言って杖を取り出すと、呼び寄せ呪文を唱えた。すると男子寮の方から白い封筒が緩やかに飛んできて、彼の手中に収まった。上質な封筒の開け口には封蝋の跡があり、そこにはドラコにとって見慣れた家紋が押印されていた。
「……何故君がこれを?」
「封蝋だけで何か分かるなんて、君達の付き合いはよっぽど長いんだな。
ファントムの家で開かれるクリスマスパーティーの招待状だ。僕の父さんが送ってきた」
「どうして、君の父上とファントム家は接点なんて一つもーーーいや、それより今年はパーティーが開かれるのか」
「僕もどうして急に招待されたかなんてわからないさ。君の父親繋がりの可能性が高いだろうけど。
それより、毎回参加してるドラコが知らないのはどうしてなんだ?勿論君も行くんだろ?」
セオドールの言葉にドラコは一瞬押し黙ると、軽く眉間に寄った皺にも気付かない様子で答えた。
「いや、僕は……毎年彼女から直接口頭で招待の連絡を受けていたんだ。だから今年はどうなのかよくわからない」
セオドールは何も言わなくなってしまったドラコを見やったが、特にそれ以上ドラコに詳細を尋ねる気にもならなかった。それに、ドラコの表情からも何を考えているのか読み取ることはできなかった。
別の日の放課後、授業を終えたスリザリンの五年生たちは自寮や図書室にバラバラと教室から解散しているところだった。フォーラはというと、ルニーとパンジーに挟まれた席で教科書を片付けながら深いため息をついたところだった。
「フォーラ、最近どうしちゃったの?随分ため息が目立つけど」ルニーが教科書を詰めた鞄を持ち上げながら言った。
「え!あ、ごめんなさい。そんなに多かった?」驚くフォーラに反対側のパンジーがルニーに同意した。
「そうよ、気付いてなかったの?何か悩み事?それとも勉強のしすぎ?」
フォーラは直ぐに自分のため息の原因が分かった。彼女は意を決して二人に打ち明けた。
「ねえ、二人共……クリスマスイブって、どう過ごすかもう決まっているの?」
遠慮気味に尋ねるフォーラにどうしたのかと二人は首を傾げた。彼女の質問に先に答えたのはルニーだった。
「私はいつも通り、家族で過ごすかな。今年はおばあちゃんの家にクリスマス終わりまで居ようって話になってるわ」
今度はパンジーが言った。
「私も同じような感じね。でも突然そんな話するなんて、最近のため息とクリスマスが何か関係でもしてるの?」
「フォーラもクリスマス休暇の間はご両親と過ごすんでしょ?それ自体が楽しみじゃないわけないと思うし……それにほら、毎年お客さんも呼んでクリスマスパーティーも開いてるって……。……あっ」ルニーは推測していく内に、フォーラの父親が主催するパーティーの常連を一人思い出した。ドラコだ。
「お願い、二人共……!今年もうちで開くパーティーに、ドラコも来るみたいなの……!
父様のお知り合いばかりだから、歳が近いのは大抵ドラコしかいなくて。
今の私たちってとっても気不味いでしょう。だから、二人が参加してくれたら本当に嬉しいのだけど……」
フォーラは既にそれが十分難しいことであると分かっていた。毎年二人とも家族とのクリスマスを本当に大切にしているのだ。今まで何度かパーティーに二人を誘ったことがあったが、今のところ参加は叶っていない。
「うーん、行ってあげたいのは山々なんだけど……両親が私に会うのを毎年とっても楽しみにしているのよね。それにとっても過保護なの。
だから難しいわ。本当にごめんね……」
パンジーの申し訳なさそうな声に続いてルニーも謝罪した。
「うちも、今年は特におばあちゃんが楽しみにしてるのよ。力になってあげられなくってごめん。あ!それじゃあ、逆にフォーラが私かパンジーの家に行くっていうのはどう?うちは多分大丈夫だと思うけど!」
「良い案ね、それならうちも大丈夫だと思うわ!家族にはフォーラの話は何度もしたことがあるし。どうかしら?」
「ファントムといえば、今日の試合に彼女は来てなかったみたいだ。そりゃあ君にあれだけ避けられたら僕だってそうする」
ドラコはフォーラの話だと気付くや否や、煙たそうな表情でセオドールをあしらった。
「来てないことくらい知ってたさ。だからなんだっていうんだ?」
「なんだ、しっかり客席を見て探してるじゃないか。だからポッターにスニッチを取られたのか?試合に集中しろよ」
「違う!城に戻ってから知ったんだ。だけど、彼女がどうしていようが僕には関係ないだろう」
「まあ、君がそう言うならそうなんだろう。けどクラッブやゴイルが言うように、もう少し前みたいに話したりしたらどうなんだ?君達が近くにいる時は妙な空気でやりにくい」
「……」
「どうせ告白でもして振られた腹いせなんだろ?」
「……!」
ドラコの不意を突かれたような反応にセオドールはクツクツと笑った。ドラコはフォーラに告白したことをクラッブやゴイルだけでなく、セオドールにも一つも話していなかったのだ。
「なんだ、図星だったのか?喧嘩したと思っていたけど、そういうことか。そんなちっぽけな意地を張ってちゃ、随分格好悪いな」
「……そう見えるのならそう思ってもらって構わない。
それより、普段他人に関心が無い君がそんな話題をするなんて。急にどうしたって言うんだ」
「そりゃあ僕だって出来るならこんな(自分にとってどうでもいい)ことを君と話したくは無いよ。
だけど、そうもいかない事情があるんだ」
セオドールはそう言って杖を取り出すと、呼び寄せ呪文を唱えた。すると男子寮の方から白い封筒が緩やかに飛んできて、彼の手中に収まった。上質な封筒の開け口には封蝋の跡があり、そこにはドラコにとって見慣れた家紋が押印されていた。
「……何故君がこれを?」
「封蝋だけで何か分かるなんて、君達の付き合いはよっぽど長いんだな。
ファントムの家で開かれるクリスマスパーティーの招待状だ。僕の父さんが送ってきた」
「どうして、君の父上とファントム家は接点なんて一つもーーーいや、それより今年はパーティーが開かれるのか」
「僕もどうして急に招待されたかなんてわからないさ。君の父親繋がりの可能性が高いだろうけど。
それより、毎回参加してるドラコが知らないのはどうしてなんだ?勿論君も行くんだろ?」
セオドールの言葉にドラコは一瞬押し黙ると、軽く眉間に寄った皺にも気付かない様子で答えた。
「いや、僕は……毎年彼女から直接口頭で招待の連絡を受けていたんだ。だから今年はどうなのかよくわからない」
セオドールは何も言わなくなってしまったドラコを見やったが、特にそれ以上ドラコに詳細を尋ねる気にもならなかった。それに、ドラコの表情からも何を考えているのか読み取ることはできなかった。
別の日の放課後、授業を終えたスリザリンの五年生たちは自寮や図書室にバラバラと教室から解散しているところだった。フォーラはというと、ルニーとパンジーに挟まれた席で教科書を片付けながら深いため息をついたところだった。
「フォーラ、最近どうしちゃったの?随分ため息が目立つけど」ルニーが教科書を詰めた鞄を持ち上げながら言った。
「え!あ、ごめんなさい。そんなに多かった?」驚くフォーラに反対側のパンジーがルニーに同意した。
「そうよ、気付いてなかったの?何か悩み事?それとも勉強のしすぎ?」
フォーラは直ぐに自分のため息の原因が分かった。彼女は意を決して二人に打ち明けた。
「ねえ、二人共……クリスマスイブって、どう過ごすかもう決まっているの?」
遠慮気味に尋ねるフォーラにどうしたのかと二人は首を傾げた。彼女の質問に先に答えたのはルニーだった。
「私はいつも通り、家族で過ごすかな。今年はおばあちゃんの家にクリスマス終わりまで居ようって話になってるわ」
今度はパンジーが言った。
「私も同じような感じね。でも突然そんな話するなんて、最近のため息とクリスマスが何か関係でもしてるの?」
「フォーラもクリスマス休暇の間はご両親と過ごすんでしょ?それ自体が楽しみじゃないわけないと思うし……それにほら、毎年お客さんも呼んでクリスマスパーティーも開いてるって……。……あっ」ルニーは推測していく内に、フォーラの父親が主催するパーティーの常連を一人思い出した。ドラコだ。
「お願い、二人共……!今年もうちで開くパーティーに、ドラコも来るみたいなの……!
父様のお知り合いばかりだから、歳が近いのは大抵ドラコしかいなくて。
今の私たちってとっても気不味いでしょう。だから、二人が参加してくれたら本当に嬉しいのだけど……」
フォーラは既にそれが十分難しいことであると分かっていた。毎年二人とも家族とのクリスマスを本当に大切にしているのだ。今まで何度かパーティーに二人を誘ったことがあったが、今のところ参加は叶っていない。
「うーん、行ってあげたいのは山々なんだけど……両親が私に会うのを毎年とっても楽しみにしているのよね。それにとっても過保護なの。
だから難しいわ。本当にごめんね……」
パンジーの申し訳なさそうな声に続いてルニーも謝罪した。
「うちも、今年は特におばあちゃんが楽しみにしてるのよ。力になってあげられなくってごめん。あ!それじゃあ、逆にフォーラが私かパンジーの家に行くっていうのはどう?うちは多分大丈夫だと思うけど!」
「良い案ね、それならうちも大丈夫だと思うわ!家族にはフォーラの話は何度もしたことがあるし。どうかしら?」