12. 目くらまし術
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ホグズミード休暇の翌日、フォーラは彼女のふくろうである##NAME5##がまだ寝ている彼女の髪を啄んだのをきっかけに目を覚ました。
「ん……あ、あら。アイシー、おはよう。随分早いのね。誰かに入れてもらったの?」
アイシーの脚には手紙が付けられていた。フォーラはつい先日、勉強の合間をぬって誰かに傍受されても構わないようなことを書き連ねた近況報告の手紙を両親に出していた。その返事を持って来たと見て間違い無いだろう。外から帰ってきたばかりでまだ冷たいアイシーの羽を撫でてから、彼女が宛名を確認すると予想通り両親の名前があった。
(朝食時の便で運んで来なかったのは、リスクのあることが書かれているからなのかしら)
基本的にふくろう便は朝食の時間に一斉に生徒たちの元へ運ばれる。しかしアイシーはわざわざその時間帯を避けてやってきたのだから、そう考えるのが妥当だ。
フォーラはベッドからもぞもぞと起きあがってふくろうフーズを取り出すと、アイシーを膝の上で抱えるようにして温めながら彼に食べさせた。その間に手紙を広げると、先日の返事に加えてクリスマスの予定について記載されていた。
(今年もクリスマスパーティーをうちの邸で開く予定……参加者は例年通り。一部新規参加者あり……新規参加者および、いつも特別積極的に参加してくれるゲストには大切なお礼の時間を設ける予定。)
(ええと……参加者は例年通りって、つまり、ドラコやご両親もいらっしゃるということよね?そんな、どうしよう……。いつも通りならお招きしないなんて不自然だもの。
だけど私、ドラコとは仲が良く無いままなのに。父様も母様もそれを知らないけれど、まさかそんな程度のことを打ち明けて不安にさせるわけにはいかないわ)
フォーラは無意識のうちにゆっくりとアイシーの羽をひたすらに撫でながら考えを巡らせていた。その間アイシーは満足そうにぬくぬくと身体をフォーラに委ねた。
(それに、新しく誰かをお招きする……今までもそういった参列者の方はちらほらいらっしゃったのに、どうしてわざわざ手紙に書いたのかしら。
あとは、お礼の時間って……これも今までこんな風に書かれたことはなかったわ)
フォーラは手紙をもう一度読み返すと、何となくこの文章の言いたいところが見えた気がした。
(もしかして、クリスマスパーティーの時に父様たちはマルフォイ家に何か仕掛けるつもりなのかしら。
そして、新しい客人は……恐らくマルフォイ家と関係のある"誰か"とか)
パーティーの時を境に何か両親の騎士団としての作戦が動き始めるのかもしれない。そうなれば、フォーラとしては余計にドラコとの険悪な仲を両親に打ち明ける訳にはいかなかった。このことは騎士団の活動とは全く別の、ドラコとフォーラ二人だけの個人的な問題の筈だからだ。両親に要らぬ悩みの種をどれだけ小さくても与えるわけにはいかない。フォーラはこれからやってくるクリスマスの憂鬱な気分と一緒にアイシーを抱きかかえた。
暫くしてフォーラの友人たちも皆起床した。彼女達が朝食時の大広間に着くと、突然アンブリッジが新しく制定した校則に関するニュースが耳に飛び込んできた。
「ねえ聞いた!?学校中のクラブチームが全部解散だって!」
「エーーーッ!?そんな馬鹿な!アンブリッジは一体何を考えてるっていうんだ?」
フォーラはその声を聞きながらパンジーやルニーと訳も分からず長椅子に着席した。隣で朝食を摂っていたスリザリン生に事情を尋ねると、どうやら今朝制定されたばかりの規則は必ずしも全てのクラブの活動が禁止されるという訳ではないようだ。アンブリッジに届出て、認可を得られれば活動を再開できるらしい。
「そっか、ならクィディッチは何の問題もないわけね」ルニーの言葉に続いてパンジーが疑問を投げかけた。
「でも、ホントにアンブリッジ先生は何を考えてると思う?今まで誰かと集まって活動するのに申請なんていらなかったじゃない。急にどうしたのかしら」
フォーラは昨日ジョージと話した時のことを不意に思い出した。彼は闇の魔術に対する防衛術を自主的に習得しようとしていた。それは恐らく彼だけでなく、あの場にいたフレッドやリーもその一員とみて間違いないだろう。
(もしかして、先生はジョージが昨日話してくれた自主計画に気付いたのかしら?でも、もしあの三人だけの集まりなら規模も小さいし、きっと気付かれないと思う。
……だけどもしかしたら、他にも同じようなことを考えて共有している生徒がいるなんてこともあり得るわ。ジョージは多分……私にも声をかけようとしてくれていたもの。)
アンブリッジへのクラブ活動申請の件について、スリザリンのクィディッチチームは難無く申請許可を獲得した。しかし風の噂を聞く限りでは、どうやらグリフィンドールが活動許可の取得を保留にされたそうだ。
「何でも、グリフィンドールはアンブリッジに随分楯突いているらしい。そんなに遡行の悪い連中に安全なクラブ活動が出来るとは誰も思わないだろ?許可がおりないのは当然さ」
魔法薬学の授業が始まる前に、スネイプの地下牢教室の前でドラコがこれ見よがしにグリフィンドールに聞こえるような声でクラスメイトに話した。フォーラは彼に睨みをきかせるグリフィンドール生を一瞥した後、何気なくドラコの方に視線を向けた。するとその時、彼とバッチリ目が合ったーーーしかし先に視線を外したのは意外にもフォーラだった。ドラコは思わず先程までの話し声を中断してフォーラをほんの少しの間見ていたが、すぐに我に返ると友人との話を再開した。
ついこの間までフォーラがドラコを追いかける日々が続いていたが、最近のフォーラはすっかりドラコに興味を示さなくなったと彼は感じていた。何せこれまで彼女はいくらドラコが冷たくしても欠かさず挨拶してきたし、ドラコ自身、学校生活の中で度々彼女の視線を感じることがあった。しかしそれが一気に無くなってしまったとあっては、ドラコの中での答は簡単だった。
(フン、やっと諦めたか)
ついこの間のホグズミード休暇前にドラコがフォーラに呼び出された時、彼は相当きつい言葉を彼女に浴びせた。それだから、ドラコはようやくフォーラが自分と関わりを持ちたくなくなったのだと信じて疑わなかった。
しかしドラコの考えに反して、今のフォーラは彼を諦めてなどいなかった。勿論ドラコに拒絶されたショックは大きかった。しかしそれ以上に、ドラコが前から何かを抱えて様子がおかしいことを分かっていたからこそ、フォーラは何とかしてあげたくて仕方がなかったのだ。ドラコがそれをお節介と感じようが、彼女には最早どうでもいいことだった。
「ん……あ、あら。アイシー、おはよう。随分早いのね。誰かに入れてもらったの?」
アイシーの脚には手紙が付けられていた。フォーラはつい先日、勉強の合間をぬって誰かに傍受されても構わないようなことを書き連ねた近況報告の手紙を両親に出していた。その返事を持って来たと見て間違い無いだろう。外から帰ってきたばかりでまだ冷たいアイシーの羽を撫でてから、彼女が宛名を確認すると予想通り両親の名前があった。
(朝食時の便で運んで来なかったのは、リスクのあることが書かれているからなのかしら)
基本的にふくろう便は朝食の時間に一斉に生徒たちの元へ運ばれる。しかしアイシーはわざわざその時間帯を避けてやってきたのだから、そう考えるのが妥当だ。
フォーラはベッドからもぞもぞと起きあがってふくろうフーズを取り出すと、アイシーを膝の上で抱えるようにして温めながら彼に食べさせた。その間に手紙を広げると、先日の返事に加えてクリスマスの予定について記載されていた。
(今年もクリスマスパーティーをうちの邸で開く予定……参加者は例年通り。一部新規参加者あり……新規参加者および、いつも特別積極的に参加してくれるゲストには大切なお礼の時間を設ける予定。)
(ええと……参加者は例年通りって、つまり、ドラコやご両親もいらっしゃるということよね?そんな、どうしよう……。いつも通りならお招きしないなんて不自然だもの。
だけど私、ドラコとは仲が良く無いままなのに。父様も母様もそれを知らないけれど、まさかそんな程度のことを打ち明けて不安にさせるわけにはいかないわ)
フォーラは無意識のうちにゆっくりとアイシーの羽をひたすらに撫でながら考えを巡らせていた。その間アイシーは満足そうにぬくぬくと身体をフォーラに委ねた。
(それに、新しく誰かをお招きする……今までもそういった参列者の方はちらほらいらっしゃったのに、どうしてわざわざ手紙に書いたのかしら。
あとは、お礼の時間って……これも今までこんな風に書かれたことはなかったわ)
フォーラは手紙をもう一度読み返すと、何となくこの文章の言いたいところが見えた気がした。
(もしかして、クリスマスパーティーの時に父様たちはマルフォイ家に何か仕掛けるつもりなのかしら。
そして、新しい客人は……恐らくマルフォイ家と関係のある"誰か"とか)
パーティーの時を境に何か両親の騎士団としての作戦が動き始めるのかもしれない。そうなれば、フォーラとしては余計にドラコとの険悪な仲を両親に打ち明ける訳にはいかなかった。このことは騎士団の活動とは全く別の、ドラコとフォーラ二人だけの個人的な問題の筈だからだ。両親に要らぬ悩みの種をどれだけ小さくても与えるわけにはいかない。フォーラはこれからやってくるクリスマスの憂鬱な気分と一緒にアイシーを抱きかかえた。
暫くしてフォーラの友人たちも皆起床した。彼女達が朝食時の大広間に着くと、突然アンブリッジが新しく制定した校則に関するニュースが耳に飛び込んできた。
「ねえ聞いた!?学校中のクラブチームが全部解散だって!」
「エーーーッ!?そんな馬鹿な!アンブリッジは一体何を考えてるっていうんだ?」
フォーラはその声を聞きながらパンジーやルニーと訳も分からず長椅子に着席した。隣で朝食を摂っていたスリザリン生に事情を尋ねると、どうやら今朝制定されたばかりの規則は必ずしも全てのクラブの活動が禁止されるという訳ではないようだ。アンブリッジに届出て、認可を得られれば活動を再開できるらしい。
「そっか、ならクィディッチは何の問題もないわけね」ルニーの言葉に続いてパンジーが疑問を投げかけた。
「でも、ホントにアンブリッジ先生は何を考えてると思う?今まで誰かと集まって活動するのに申請なんていらなかったじゃない。急にどうしたのかしら」
フォーラは昨日ジョージと話した時のことを不意に思い出した。彼は闇の魔術に対する防衛術を自主的に習得しようとしていた。それは恐らく彼だけでなく、あの場にいたフレッドやリーもその一員とみて間違いないだろう。
(もしかして、先生はジョージが昨日話してくれた自主計画に気付いたのかしら?でも、もしあの三人だけの集まりなら規模も小さいし、きっと気付かれないと思う。
……だけどもしかしたら、他にも同じようなことを考えて共有している生徒がいるなんてこともあり得るわ。ジョージは多分……私にも声をかけようとしてくれていたもの。)
アンブリッジへのクラブ活動申請の件について、スリザリンのクィディッチチームは難無く申請許可を獲得した。しかし風の噂を聞く限りでは、どうやらグリフィンドールが活動許可の取得を保留にされたそうだ。
「何でも、グリフィンドールはアンブリッジに随分楯突いているらしい。そんなに遡行の悪い連中に安全なクラブ活動が出来るとは誰も思わないだろ?許可がおりないのは当然さ」
魔法薬学の授業が始まる前に、スネイプの地下牢教室の前でドラコがこれ見よがしにグリフィンドールに聞こえるような声でクラスメイトに話した。フォーラは彼に睨みをきかせるグリフィンドール生を一瞥した後、何気なくドラコの方に視線を向けた。するとその時、彼とバッチリ目が合ったーーーしかし先に視線を外したのは意外にもフォーラだった。ドラコは思わず先程までの話し声を中断してフォーラをほんの少しの間見ていたが、すぐに我に返ると友人との話を再開した。
ついこの間までフォーラがドラコを追いかける日々が続いていたが、最近のフォーラはすっかりドラコに興味を示さなくなったと彼は感じていた。何せこれまで彼女はいくらドラコが冷たくしても欠かさず挨拶してきたし、ドラコ自身、学校生活の中で度々彼女の視線を感じることがあった。しかしそれが一気に無くなってしまったとあっては、ドラコの中での答は簡単だった。
(フン、やっと諦めたか)
ついこの間のホグズミード休暇前にドラコがフォーラに呼び出された時、彼は相当きつい言葉を彼女に浴びせた。それだから、ドラコはようやくフォーラが自分と関わりを持ちたくなくなったのだと信じて疑わなかった。
しかしドラコの考えに反して、今のフォーラは彼を諦めてなどいなかった。勿論ドラコに拒絶されたショックは大きかった。しかしそれ以上に、ドラコが前から何かを抱えて様子がおかしいことを分かっていたからこそ、フォーラは何とかしてあげたくて仕方がなかったのだ。ドラコがそれをお節介と感じようが、彼女には最早どうでもいいことだった。