11. 父の手記
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その日の夜、パンジーやルニーはフォーラに沢山お土産を持って帰ってきた。二人の土産は買い物だけでなく、ホグズミードで二人がそれぞれどう過ごしたかがメインだった。パンジーは久々に会えた想い人との時間を本当に楽しんだ様子だったし、ルニーはついこの間知り合ったばかりの後輩と思った以上に話が盛り上がったことを喜んでいた。
「そういえば」不意にパンジーが切り出した。「ホグズミードでドラコとその彼女を見かけたんだけど、何ていうか、ちょっと変だったのよね」
「変ってどんな風に?」
ルニーの問いかけとフォーラの視線にパンジーは「うーん」と唸った。
「大したことじゃないんだけど。何ていうか……ドラコったら、何だか楽しそうじゃなかったのよね。笑ってたんだけど愛想笑いの塊っていうか、そんな感じだったの」
「あら、私が見かけた時はそんな感じではなかったような気がするわ。一瞬しか見てないからパンジーの言う通りだったのかもしれないけど。
まあなんにせよ、上手くいってないのなら嬉しいわ。ドラコは早くあの女から目を覚ました方が良いもの。仮にそうなっても、ドラコがフォーラに謝らなきゃ絶対に許さないけど。ねえフォーラ」
「え、ええ。うん……そうね。私もそう思うわ。」
フォーラが声を落としてそう言ったきり何も言わなくなったのをみて、ルニーもパンジーも彼女を気遣いそれ以上ドラコの話をするのをやめてしまった。
フォーラはパンジーの話を聞いて、大広間からドラコを引っ張っていったあの日、彼を心配してやってきたアマンダをドラコが一喝した時のことを思い出していた。シチュエーションこそ違うものの、あの時の違和感とパンジーの話にどこか近いものを感じたのだ。
(ドラコはアマンダと上手くいっていないのかしら?はっきりとは言い切れないけれど、でも……。
ドラコは本当は、身内の人達に対して心から親身になれる人だわ。かつて私にもそうしてくれたように。だから、もしかするとまだドラコは彼女との距離感が分からないだけなのかもしれない。告白したのは彼女からだったもの。)
それからパンジーの話を聞く限り、今の彼らの関係ならドラコが恋人に死喰い人のことを話しているとは思えない。きっと彼に一番身近な人達にしか共有されていないと思って間違いないだろう。
(だからって、今の私じゃ何も)
その時、談話室の入り口から下級生が入ってくると同時に一羽の梟がスーッと一緒に飛び込んできた。その梟はルニーの元へ一直線に飛んできたのだった。
「誰からの手紙?」パンジーの問いかけにルニーは梟の脚に括られた手紙を外した。「あっ、パパからだわ、珍しい。いつもはママが近況報告をくれるんだけどーーー」
「お父様もたまには直接ルニーに手紙を送りたかったのよ、きっと。」フォーラがルニーの梟に手を広げて膝の上に迎えながら言った。
(あら、お父様といえば、何か忘れてーーー)
フォーラはすっかり最近の忙しさで忘れていた父親の言葉をその瞬間に思い出した。
『もし何かに行き詰まることがあればーーー私の手記も、もしかしたら役に立つかもしれない』
「あっ!!!」
フォーラが突然声を上げて肘掛け椅子から立ち上がったものだから、手紙を運んできた梟が彼女の膝から転げ落ちた。梟は驚きと怒りで物申すようにホーと一声鳴いた。ルニーもパンジーも驚いた様子でフォーラを見上げている。周囲にいた生徒の内の何人かもチラと彼女を振り返っていた。しかしフォーラはそれら全てを気にする余裕を持ち合わせていなかった。
「ごめんなさい、私、急用を思い出したの!行かなきゃ」
「でも、もうすぐ夕食よ?一体どこへーーー」
フォーラは転げ落ちた梟を急いで自分の座っていた肘掛け椅子に着座させると、小走りで女子寮へ駆け上がっていった。そしてルニーとパンジーが互いにどうしたのかと顔を見合わせている間に、フォーラは何かを片手に戻ってくると彼女達に声を投げかけた。
「図書室へ行くわ。夕食へは先に行っていて。」
そう言って彼女は談話室を横切って嵐のように去って行ってしまった。
(私ったら、どうしてこんなに大切なことを)
フォーラは息を切らして図書室までやってくると、空いている手頃な席にサッと座った。ここなら誰に邪魔されることもない。彼女は手に持っていた父親の手記を開いて、次々に目を通しながらパラパラとページをめくっていった。
父親が学生時代から魔法薬学に明るかったこともあり、フォーラの知らない調合方法や、今世の中で役に立っている薬の原案のようなもの、入手困難な材料を安価なものに置き換えた場合の効果など様々な内容が書き連ねてあった。
どれも一つ一つが本当に目を引くものばかりで、もしハーマイオニーにこれを見せたら目を輝かせるに違いないと思った。フォーラは自分も惹きつけられて思わず読み込んでしまいそうになるのを抑えて、今自分に必要な情報がないかを探していた。
(父様は夏休みの終わりにこの手記を与えてくださったわ。ホグワーツに来るまでは幾らか目を通していたのに、ドラコとの事や変身術のことで精一杯ですっかり忘れてしまっていた。
父様は私に、貪欲に学びなさい、そして何か行き詰まったらこの手記も役に立つかもしれないとそう仰った。
正に行き詰まっている真っ最中の今になって思うことは、もしかしたら父様は何かこの中に私に必要なことがあると確信していたのかもしれない。でないとこんなに大切そうなもの、私に託さないわ。)
フォーラが父親の手記を読み進めていく内に、その内容はより複雑なものとなっていった。その度に彼女は父親の知識の凄さに驚かされずにはいられなかった。今これといって必要としている調合方法が記されているわけではなかったが、どれも今の彼女には難易度が高すぎたし、斬新な発想のものばかりだった。
(父様が私に伝えたかったことは、一体何なの)
「そういえば」不意にパンジーが切り出した。「ホグズミードでドラコとその彼女を見かけたんだけど、何ていうか、ちょっと変だったのよね」
「変ってどんな風に?」
ルニーの問いかけとフォーラの視線にパンジーは「うーん」と唸った。
「大したことじゃないんだけど。何ていうか……ドラコったら、何だか楽しそうじゃなかったのよね。笑ってたんだけど愛想笑いの塊っていうか、そんな感じだったの」
「あら、私が見かけた時はそんな感じではなかったような気がするわ。一瞬しか見てないからパンジーの言う通りだったのかもしれないけど。
まあなんにせよ、上手くいってないのなら嬉しいわ。ドラコは早くあの女から目を覚ました方が良いもの。仮にそうなっても、ドラコがフォーラに謝らなきゃ絶対に許さないけど。ねえフォーラ」
「え、ええ。うん……そうね。私もそう思うわ。」
フォーラが声を落としてそう言ったきり何も言わなくなったのをみて、ルニーもパンジーも彼女を気遣いそれ以上ドラコの話をするのをやめてしまった。
フォーラはパンジーの話を聞いて、大広間からドラコを引っ張っていったあの日、彼を心配してやってきたアマンダをドラコが一喝した時のことを思い出していた。シチュエーションこそ違うものの、あの時の違和感とパンジーの話にどこか近いものを感じたのだ。
(ドラコはアマンダと上手くいっていないのかしら?はっきりとは言い切れないけれど、でも……。
ドラコは本当は、身内の人達に対して心から親身になれる人だわ。かつて私にもそうしてくれたように。だから、もしかするとまだドラコは彼女との距離感が分からないだけなのかもしれない。告白したのは彼女からだったもの。)
それからパンジーの話を聞く限り、今の彼らの関係ならドラコが恋人に死喰い人のことを話しているとは思えない。きっと彼に一番身近な人達にしか共有されていないと思って間違いないだろう。
(だからって、今の私じゃ何も)
その時、談話室の入り口から下級生が入ってくると同時に一羽の梟がスーッと一緒に飛び込んできた。その梟はルニーの元へ一直線に飛んできたのだった。
「誰からの手紙?」パンジーの問いかけにルニーは梟の脚に括られた手紙を外した。「あっ、パパからだわ、珍しい。いつもはママが近況報告をくれるんだけどーーー」
「お父様もたまには直接ルニーに手紙を送りたかったのよ、きっと。」フォーラがルニーの梟に手を広げて膝の上に迎えながら言った。
(あら、お父様といえば、何か忘れてーーー)
フォーラはすっかり最近の忙しさで忘れていた父親の言葉をその瞬間に思い出した。
『もし何かに行き詰まることがあればーーー私の手記も、もしかしたら役に立つかもしれない』
「あっ!!!」
フォーラが突然声を上げて肘掛け椅子から立ち上がったものだから、手紙を運んできた梟が彼女の膝から転げ落ちた。梟は驚きと怒りで物申すようにホーと一声鳴いた。ルニーもパンジーも驚いた様子でフォーラを見上げている。周囲にいた生徒の内の何人かもチラと彼女を振り返っていた。しかしフォーラはそれら全てを気にする余裕を持ち合わせていなかった。
「ごめんなさい、私、急用を思い出したの!行かなきゃ」
「でも、もうすぐ夕食よ?一体どこへーーー」
フォーラは転げ落ちた梟を急いで自分の座っていた肘掛け椅子に着座させると、小走りで女子寮へ駆け上がっていった。そしてルニーとパンジーが互いにどうしたのかと顔を見合わせている間に、フォーラは何かを片手に戻ってくると彼女達に声を投げかけた。
「図書室へ行くわ。夕食へは先に行っていて。」
そう言って彼女は談話室を横切って嵐のように去って行ってしまった。
(私ったら、どうしてこんなに大切なことを)
フォーラは息を切らして図書室までやってくると、空いている手頃な席にサッと座った。ここなら誰に邪魔されることもない。彼女は手に持っていた父親の手記を開いて、次々に目を通しながらパラパラとページをめくっていった。
父親が学生時代から魔法薬学に明るかったこともあり、フォーラの知らない調合方法や、今世の中で役に立っている薬の原案のようなもの、入手困難な材料を安価なものに置き換えた場合の効果など様々な内容が書き連ねてあった。
どれも一つ一つが本当に目を引くものばかりで、もしハーマイオニーにこれを見せたら目を輝かせるに違いないと思った。フォーラは自分も惹きつけられて思わず読み込んでしまいそうになるのを抑えて、今自分に必要な情報がないかを探していた。
(父様は夏休みの終わりにこの手記を与えてくださったわ。ホグワーツに来るまでは幾らか目を通していたのに、ドラコとの事や変身術のことで精一杯ですっかり忘れてしまっていた。
父様は私に、貪欲に学びなさい、そして何か行き詰まったらこの手記も役に立つかもしれないとそう仰った。
正に行き詰まっている真っ最中の今になって思うことは、もしかしたら父様は何かこの中に私に必要なことがあると確信していたのかもしれない。でないとこんなに大切そうなもの、私に託さないわ。)
フォーラが父親の手記を読み進めていく内に、その内容はより複雑なものとなっていった。その度に彼女は父親の知識の凄さに驚かされずにはいられなかった。今これといって必要としている調合方法が記されているわけではなかったが、どれも今の彼女には難易度が高すぎたし、斬新な発想のものばかりだった。
(父様が私に伝えたかったことは、一体何なの)