11. 父の手記
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「ジョージ、どうしたの?」
彼は周囲に誰もいないことを視認するとフォーラの方へ向き直った。その真剣な眼差しを受けて彼女は頭に一層多くの疑問符を浮かべたし、彼が次のように投げ掛けてきた質問含め、どうにもすぐには話の方向性が読めなかった。
「なあフォーラ、今年からの防衛術の授業をどう思う?」
「防衛術?ええと……?そうね、正直とっても……良くないわ。私は防衛術が苦手な科目だから自信がなくて、先生には教科書を読むだけじゃなくて術を教えてほしいって直接お願いしたけれど、駄目だったの。」
ジョージは予想どおりといった様子で「スリザリンもやっぱりそうだったのか」と呟くと、慎重に尋ねた。
「じゃあ、もしフォーラがさっき言ったみたいに騎士団の役に立ちたいなら、やっぱり自分の身は自分で守れるようになった方がいい。そう思わないか?」
「ええ、それは勿論そう思うわ。でも、今年の授業だけでは……。もしかして、ジョージは騎士団や誰かの為に、自分で防衛術を習得しようとしているの?」
「ああ。そうなんだ」
フォーラは少々驚かずにはいられなかった。何故ならアンブリッジがあれ程生徒に防衛術に関して杖を振らせまいとしていたのに、それに抗おうとしているのだから。
「でも、もしアンブリッジ先生に見つかったら?危険だわ。」
「確かにそうだ。でも、やらなきゃ始まらない。それで実はこの後」
ジョージはそこまで言うと、途端に言葉を切ってしまった。フォーラは彼の表情に微かに躊躇いの色が浮かんでいる気がした。
「ジョージ?」その呼び掛けによって彼はハッとフォーラを見ると、すぐに表情を取り繕った。
「ああごめん。俺としたことが。まあ兎に角、上手くやるさ。フォーラも無理せず頑張れよ。いつも全力を出しすぎるところがあるから」
「分かったわ、ありがとう」フォーラはジョージの様子に少しばかり違和感を覚えつつ、彼が何を話そうとしたのか不明ながらもそのように返答した。ジョージは話の区切りがついたことで「それじゃ」と手を振ると、フレッドとリーが去っていった正面玄関の方へと走り去ったのだった。
その後、ジョージは玄関扉の辺りで待つフレッドとリーの姿を捉えた。彼が二人に追いつくと、リーが開口一番に囃し立てた。
「ジョージも隅に置けないな。スリザリン生とはいえ、あんなかわい子ちゃんに呼び止められるなんてさ。それで一体何を貰ったんだ?ラブレターか?」
「あー」リーの言葉にジョージは何とも言えない声を出しながら、チラッとフレッドを見やった。そしてジョージ自らフォーラとの過去を簡潔に伝えた。
「リー、悪いが彼女とはそういうんじゃない。できれば俺も貰うならラブレターがよかったけどな。何せ俺はもうとっくに彼女に振られてる」
「え!?おいおい、ジョージお前、ええ?いつの間にそんなことになってんだよ?……まあいいさ。運がなかったんだ、そういうことだろ?でも、それにしてはここへ来るのが随分遅かったな。何か話し込んでたのか?」
「ああ、会うのも久しぶりだったんで、最近どうしてたか簡単に立ち話しただけさ」
ジョージの話を耳に入れながら、フレッドはその姿に妙な違和感を覚えた。本当に些細なことだが、何かを隠しているような、そんな風に思えたのだ。
「ふーん、じゃあ、ある程度はもう立ち直ったってわけか」
リーの言葉に曖昧な返答をするジョージに、フレッドはおもむろに「なあ」と声を掛けた。
「まさかとは思うけど、今回の対アンブリッジの決起集会にフォーラを誘ってないだろうな?」
「えっ」
フレッドの直球の質問と刺さるような視線に、ジョージは思わず一瞬たじろいでしまった。
「そんなまさか、誘ってない!それに今日の集会の場所すら話してない」
しかしフレッドはジョージにまだ疑わしげな目を向けていた。あまりにもいつものジョージと比べて会話のかわし方が下手だったのだ。ジョージは数回開口しては閉じてを繰り返した後、観念して続けた。
「でも、誘いかけた。悪かったよ。防衛術で自分の身を守った方がいいって話をしてたんだ。なあフレッド、ホントに誘ってないぜ」
「ああ、分かったよ。もし誘ってたらどうしてやろうかと思ったけどな。ジョージ、お前がまだフォーラを好きなら好きで別にかまわないさ。けどな、彼女はスリザリン生だ。日頃からすぐ近くには死喰い人と繋がってる奴らがいるんだぞ。もし彼女が今後の練習に来てみろ、毎回アリバイなんて作れるか?いつ彼女の友人に何か勘づかれてもおかしくない。そしたら奴らは確実にアンブリッジにチクるだろうな」
「言われなくたって分かってる!ただ俺は、フォーラがそんな危険な中にいるのに防衛術を苦手なままにさせたくなくて、つい」
「おい、自分の欲を彼女への情に置き換えるなよ。フォーラは自分で色んなリスクを考えて、自分からグリフィンドール生とは表向き距離を置くって言ってきたんだぞ。それなのに俺らがそれを邪魔してどうする?」
正論で畳み掛けたフレッドにジョージは言い返そうとしたものの、何も言葉が出てこなかった。ジョージは諦めたようにため息を一つ吐くと、フレッドに頷いた。
「ああ、分かってる。分かってるんだ。だから誘わなかった。それに、彼女に練習に来てほしいと思ったのも、お前の言うとおり俺の我儘で間違いない」ジョージは眉間に皺を寄せながらそのように返答した。
リーはこんなに苦い表情のジョージを見た記憶が殆どなかった。フォーラがスリザリン生とはいえ、彼らの会話から恐らく彼女がこちらの味方であることは理解できた。それなのに寮のしがらみが双子と彼女を隔てている。きっと、ジョージだけでなくフレッドだって、彼女に親身になれないもどかしさを抱えているのだろう。リーはそのように思い、唯々双子を見守るしかできなかったのだった。
彼は周囲に誰もいないことを視認するとフォーラの方へ向き直った。その真剣な眼差しを受けて彼女は頭に一層多くの疑問符を浮かべたし、彼が次のように投げ掛けてきた質問含め、どうにもすぐには話の方向性が読めなかった。
「なあフォーラ、今年からの防衛術の授業をどう思う?」
「防衛術?ええと……?そうね、正直とっても……良くないわ。私は防衛術が苦手な科目だから自信がなくて、先生には教科書を読むだけじゃなくて術を教えてほしいって直接お願いしたけれど、駄目だったの。」
ジョージは予想どおりといった様子で「スリザリンもやっぱりそうだったのか」と呟くと、慎重に尋ねた。
「じゃあ、もしフォーラがさっき言ったみたいに騎士団の役に立ちたいなら、やっぱり自分の身は自分で守れるようになった方がいい。そう思わないか?」
「ええ、それは勿論そう思うわ。でも、今年の授業だけでは……。もしかして、ジョージは騎士団や誰かの為に、自分で防衛術を習得しようとしているの?」
「ああ。そうなんだ」
フォーラは少々驚かずにはいられなかった。何故ならアンブリッジがあれ程生徒に防衛術に関して杖を振らせまいとしていたのに、それに抗おうとしているのだから。
「でも、もしアンブリッジ先生に見つかったら?危険だわ。」
「確かにそうだ。でも、やらなきゃ始まらない。それで実はこの後」
ジョージはそこまで言うと、途端に言葉を切ってしまった。フォーラは彼の表情に微かに躊躇いの色が浮かんでいる気がした。
「ジョージ?」その呼び掛けによって彼はハッとフォーラを見ると、すぐに表情を取り繕った。
「ああごめん。俺としたことが。まあ兎に角、上手くやるさ。フォーラも無理せず頑張れよ。いつも全力を出しすぎるところがあるから」
「分かったわ、ありがとう」フォーラはジョージの様子に少しばかり違和感を覚えつつ、彼が何を話そうとしたのか不明ながらもそのように返答した。ジョージは話の区切りがついたことで「それじゃ」と手を振ると、フレッドとリーが去っていった正面玄関の方へと走り去ったのだった。
その後、ジョージは玄関扉の辺りで待つフレッドとリーの姿を捉えた。彼が二人に追いつくと、リーが開口一番に囃し立てた。
「ジョージも隅に置けないな。スリザリン生とはいえ、あんなかわい子ちゃんに呼び止められるなんてさ。それで一体何を貰ったんだ?ラブレターか?」
「あー」リーの言葉にジョージは何とも言えない声を出しながら、チラッとフレッドを見やった。そしてジョージ自らフォーラとの過去を簡潔に伝えた。
「リー、悪いが彼女とはそういうんじゃない。できれば俺も貰うならラブレターがよかったけどな。何せ俺はもうとっくに彼女に振られてる」
「え!?おいおい、ジョージお前、ええ?いつの間にそんなことになってんだよ?……まあいいさ。運がなかったんだ、そういうことだろ?でも、それにしてはここへ来るのが随分遅かったな。何か話し込んでたのか?」
「ああ、会うのも久しぶりだったんで、最近どうしてたか簡単に立ち話しただけさ」
ジョージの話を耳に入れながら、フレッドはその姿に妙な違和感を覚えた。本当に些細なことだが、何かを隠しているような、そんな風に思えたのだ。
「ふーん、じゃあ、ある程度はもう立ち直ったってわけか」
リーの言葉に曖昧な返答をするジョージに、フレッドはおもむろに「なあ」と声を掛けた。
「まさかとは思うけど、今回の対アンブリッジの決起集会にフォーラを誘ってないだろうな?」
「えっ」
フレッドの直球の質問と刺さるような視線に、ジョージは思わず一瞬たじろいでしまった。
「そんなまさか、誘ってない!それに今日の集会の場所すら話してない」
しかしフレッドはジョージにまだ疑わしげな目を向けていた。あまりにもいつものジョージと比べて会話のかわし方が下手だったのだ。ジョージは数回開口しては閉じてを繰り返した後、観念して続けた。
「でも、誘いかけた。悪かったよ。防衛術で自分の身を守った方がいいって話をしてたんだ。なあフレッド、ホントに誘ってないぜ」
「ああ、分かったよ。もし誘ってたらどうしてやろうかと思ったけどな。ジョージ、お前がまだフォーラを好きなら好きで別にかまわないさ。けどな、彼女はスリザリン生だ。日頃からすぐ近くには死喰い人と繋がってる奴らがいるんだぞ。もし彼女が今後の練習に来てみろ、毎回アリバイなんて作れるか?いつ彼女の友人に何か勘づかれてもおかしくない。そしたら奴らは確実にアンブリッジにチクるだろうな」
「言われなくたって分かってる!ただ俺は、フォーラがそんな危険な中にいるのに防衛術を苦手なままにさせたくなくて、つい」
「おい、自分の欲を彼女への情に置き換えるなよ。フォーラは自分で色んなリスクを考えて、自分からグリフィンドール生とは表向き距離を置くって言ってきたんだぞ。それなのに俺らがそれを邪魔してどうする?」
正論で畳み掛けたフレッドにジョージは言い返そうとしたものの、何も言葉が出てこなかった。ジョージは諦めたようにため息を一つ吐くと、フレッドに頷いた。
「ああ、分かってる。分かってるんだ。だから誘わなかった。それに、彼女に練習に来てほしいと思ったのも、お前の言うとおり俺の我儘で間違いない」ジョージは眉間に皺を寄せながらそのように返答した。
リーはこんなに苦い表情のジョージを見た記憶が殆どなかった。フォーラがスリザリン生とはいえ、彼らの会話から恐らく彼女がこちらの味方であることは理解できた。それなのに寮のしがらみが双子と彼女を隔てている。きっと、ジョージだけでなくフレッドだって、彼女に親身になれないもどかしさを抱えているのだろう。リーはそのように思い、唯々双子を見守るしかできなかったのだった。