10. 二つの顔
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彼は言葉の途中で口を噤んでしまった。すると彼女は余程ドラコの様子がおかしいと思ったのか、心配した様子で遠慮気味に尋ねた。
「ドラコ・・?どうしたの?今日のあなた、何だか・・・近頃と違うわ」
ドラコは彼女のその言葉でじっと彼女を見た。この時フォーラから見た彼はどこか寂し気で、こちらを見つめるアイスブルーの瞳は切なさと諦めの色を帯びている気がした。
するとドラコは自嘲気味に笑った。同級生達の騒めき声が幾つか通り過ぎた。
「ああ。フォーラの言う通りだ。君に優しくするなんて、今日の僕は"今だけ"おかしかったんだ」
ドラコは踵を返して教室の出口に向かった。フォーラは理解が追い付かず、遅れて彼の後を追いかけた。
「ドラコ、待って・・!」
教室を出て直ぐ彼の服の裾を捕まえた。ドラコは振り返ってこちらを見るとその場に立ち止まった。さっきの彼の言葉はどう言う意味なのだろう?どうして今日はいきなり以前のようなドラコに戻ったのか?聞きたいことが沢山ある。
「ねえ、さっきのって一体」
(・・・・。
あら・・・?私、ドラコに何を聞こうとしていたの?
そもそも私、なぜだか今ドラコと一緒にいるわ。それにどうして私、彼の服を掴んで・・・)
「えっ!?」
フォーラはハッと我にかえった。そして何故自分がドラコの服の裾を掴んでいるのか理解が追い付かず、驚いてその手を離した。彼女はサアッと血の気が引いたようになって言った。
「あれ・・・わ、私、どうして貴方の服を・・。ドラコ、ごめんなさい。何故だか私、何も覚えていなくて・・」
ドラコはそんなフォーラの様子に、なんとも言えない複雑な気持ちを抑え込もうと溜め息をついた。すっかり最近のフォーラに戻ってしまったのを確認すると、彼は「ああ」と冷たい声色を漏らした。
「別に構わない。それより早くしないと次の授業に遅れる」
そう言うとドラコはフォーラと目を合わさずに先に廊下を進んで行ってしまった。彼女は彼の後ろ姿を目で追いかけるしか出来なかった。
(私・・・。何が何だかわからないのにあんなことするなんて、一体どうしてしまったの?ドラコは何か知っていたのかしら?それに・・・何故かしら、右手が妙に熱いわ。まるで、誰かに握られていたみたい。授業では教科書しか読んでいないし、そんな筈ないのに。)
フォーラは本当に何も覚えていなかった。後から追いかけてきたルニーやパンジーも、何を見てこんなに急いで教室を出たのか自分達ですら全くわかっていなかった。そして防衛術の教室から出る度に、自分達の記憶が毎回無くなっていることも相変わらず知らなかった。
その日の晩、フォーラは夢を見た。彼女が立っていたのは薔薇が咲き乱れる綺麗なイングリッシュガーデンの中心で、側に薔薇の蔦を纏った白く美しいガセボがあった。そこはこれまでに彼女が何度も目にした場所だった。
「フォーラ、そんなところにいないでこっちに来たらどうだ」
フォーラが声のした方を見ると、先程まで誰もいなかった吹き抜けのガセボの中にドラコがいて、彼は紅茶セットを一式テーブルの上に準備し終えたところだった。
「あ・・・ええ。ありがとう。」
毎回長期休暇中にドラコの住む邸に来る度、ここでこうしてドラコと二人でお喋りするのが本当に楽しみだ。学校でも沢山話している筈なのに、景色が変わると再び次々と話したいことが浮かんでくる。小さい頃もよくここで過ごしたっけーーー。
フォーラがそのように思いながらドラコの方に目をやると、目の前の彼はなんと幼い子供の姿になっていた。三歳くらいだろうか?フォーラも幼い姿になっていたものの、それについて特に疑問には感じなかった。そしてフォーラは何故だかドラコから差し出された薔薇を一輪受け取っているところだった。
「フォーラは、ぼくとけっこんしてくれるだろ?」
彼が珍しくモジモジしながら拙い言葉でそう伝えると、彼女は笑顔になって頷き彼の手を優しく握った。
「もちろん。だって、ドラコのことだいすきだもの。」
そう言ってフォーラが目を閉じてドラコの頬にキスをした。彼女がドラコから離れて彼を見ると、今度は先程よりほんの少しだけ成長したドラコが隣にいて、同じ年齢になった自分と一緒にマルフォイ邸の廊下を進んでいるところだった。
小さな二人で仲良く手を繋いで、ドラコに様々な部屋の場所や隠し通路、それにお気に入りの場所なんかを案内してもらっていた。ドラコが空いている方の手で進行方向を指差して嬉しそうに話した。
「ほら、あそこのとびらから庭まですぐいけるんだ!」
「すごい、ひみつの道ね・・!」
ドラコの指差したガラス扉を二人で抜けると、外に出るはずが何故か今度はマルフォイ邸の煌びやかに飾られた広間に可愛らしいドレスを着て立っていた。ガヤガヤと行き交う賑やかな声と着飾ったドレスローブ姿の大人達を見上げて、幼いフォーラは酷く緊張していた。彼女はそわそわと慣れない様子で両親に付き添われながらマルフォイ夫妻の元へ挨拶に向かった。
「やあシェード、リプトニア、待ち兼ねたよ。フォーラ嬢もいつにも増して可愛らしい。やっとうちのパーティーへ参加してもらえたこと、嬉しく思うよ」
「えっと、こちらこそ、およびいただきありがとうございます。」
フォーラが緊張した面持ちで挨拶した。ルシウスは微笑みながらプラチナブランドの髪を振り払うと、屈んでフォーラを抱き上げ、彼女の頬に軽く口付けた。
「ひゃ・・・!おじさま、くすぐったいわ。」
少し緊張の溶けた様子でフォーラがクスクス笑った。彼女が絨毯に下されると、ドレスローブを纏った小さな紳士がルシウスの足元で彼女をじっと見ていた。
「ドラコ・・?どうしたの?今日のあなた、何だか・・・近頃と違うわ」
ドラコは彼女のその言葉でじっと彼女を見た。この時フォーラから見た彼はどこか寂し気で、こちらを見つめるアイスブルーの瞳は切なさと諦めの色を帯びている気がした。
するとドラコは自嘲気味に笑った。同級生達の騒めき声が幾つか通り過ぎた。
「ああ。フォーラの言う通りだ。君に優しくするなんて、今日の僕は"今だけ"おかしかったんだ」
ドラコは踵を返して教室の出口に向かった。フォーラは理解が追い付かず、遅れて彼の後を追いかけた。
「ドラコ、待って・・!」
教室を出て直ぐ彼の服の裾を捕まえた。ドラコは振り返ってこちらを見るとその場に立ち止まった。さっきの彼の言葉はどう言う意味なのだろう?どうして今日はいきなり以前のようなドラコに戻ったのか?聞きたいことが沢山ある。
「ねえ、さっきのって一体」
(・・・・。
あら・・・?私、ドラコに何を聞こうとしていたの?
そもそも私、なぜだか今ドラコと一緒にいるわ。それにどうして私、彼の服を掴んで・・・)
「えっ!?」
フォーラはハッと我にかえった。そして何故自分がドラコの服の裾を掴んでいるのか理解が追い付かず、驚いてその手を離した。彼女はサアッと血の気が引いたようになって言った。
「あれ・・・わ、私、どうして貴方の服を・・。ドラコ、ごめんなさい。何故だか私、何も覚えていなくて・・」
ドラコはそんなフォーラの様子に、なんとも言えない複雑な気持ちを抑え込もうと溜め息をついた。すっかり最近のフォーラに戻ってしまったのを確認すると、彼は「ああ」と冷たい声色を漏らした。
「別に構わない。それより早くしないと次の授業に遅れる」
そう言うとドラコはフォーラと目を合わさずに先に廊下を進んで行ってしまった。彼女は彼の後ろ姿を目で追いかけるしか出来なかった。
(私・・・。何が何だかわからないのにあんなことするなんて、一体どうしてしまったの?ドラコは何か知っていたのかしら?それに・・・何故かしら、右手が妙に熱いわ。まるで、誰かに握られていたみたい。授業では教科書しか読んでいないし、そんな筈ないのに。)
フォーラは本当に何も覚えていなかった。後から追いかけてきたルニーやパンジーも、何を見てこんなに急いで教室を出たのか自分達ですら全くわかっていなかった。そして防衛術の教室から出る度に、自分達の記憶が毎回無くなっていることも相変わらず知らなかった。
その日の晩、フォーラは夢を見た。彼女が立っていたのは薔薇が咲き乱れる綺麗なイングリッシュガーデンの中心で、側に薔薇の蔦を纏った白く美しいガセボがあった。そこはこれまでに彼女が何度も目にした場所だった。
「フォーラ、そんなところにいないでこっちに来たらどうだ」
フォーラが声のした方を見ると、先程まで誰もいなかった吹き抜けのガセボの中にドラコがいて、彼は紅茶セットを一式テーブルの上に準備し終えたところだった。
「あ・・・ええ。ありがとう。」
毎回長期休暇中にドラコの住む邸に来る度、ここでこうしてドラコと二人でお喋りするのが本当に楽しみだ。学校でも沢山話している筈なのに、景色が変わると再び次々と話したいことが浮かんでくる。小さい頃もよくここで過ごしたっけーーー。
フォーラがそのように思いながらドラコの方に目をやると、目の前の彼はなんと幼い子供の姿になっていた。三歳くらいだろうか?フォーラも幼い姿になっていたものの、それについて特に疑問には感じなかった。そしてフォーラは何故だかドラコから差し出された薔薇を一輪受け取っているところだった。
「フォーラは、ぼくとけっこんしてくれるだろ?」
彼が珍しくモジモジしながら拙い言葉でそう伝えると、彼女は笑顔になって頷き彼の手を優しく握った。
「もちろん。だって、ドラコのことだいすきだもの。」
そう言ってフォーラが目を閉じてドラコの頬にキスをした。彼女がドラコから離れて彼を見ると、今度は先程よりほんの少しだけ成長したドラコが隣にいて、同じ年齢になった自分と一緒にマルフォイ邸の廊下を進んでいるところだった。
小さな二人で仲良く手を繋いで、ドラコに様々な部屋の場所や隠し通路、それにお気に入りの場所なんかを案内してもらっていた。ドラコが空いている方の手で進行方向を指差して嬉しそうに話した。
「ほら、あそこのとびらから庭まですぐいけるんだ!」
「すごい、ひみつの道ね・・!」
ドラコの指差したガラス扉を二人で抜けると、外に出るはずが何故か今度はマルフォイ邸の煌びやかに飾られた広間に可愛らしいドレスを着て立っていた。ガヤガヤと行き交う賑やかな声と着飾ったドレスローブ姿の大人達を見上げて、幼いフォーラは酷く緊張していた。彼女はそわそわと慣れない様子で両親に付き添われながらマルフォイ夫妻の元へ挨拶に向かった。
「やあシェード、リプトニア、待ち兼ねたよ。フォーラ嬢もいつにも増して可愛らしい。やっとうちのパーティーへ参加してもらえたこと、嬉しく思うよ」
「えっと、こちらこそ、およびいただきありがとうございます。」
フォーラが緊張した面持ちで挨拶した。ルシウスは微笑みながらプラチナブランドの髪を振り払うと、屈んでフォーラを抱き上げ、彼女の頬に軽く口付けた。
「ひゃ・・・!おじさま、くすぐったいわ。」
少し緊張の溶けた様子でフォーラがクスクス笑った。彼女が絨毯に下されると、ドレスローブを纏った小さな紳士がルシウスの足元で彼女をじっと見ていた。