10. 二つの顔
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それから数日後の『闇の魔術に対する防衛術』の授業では前回同様授業の後半で実技練習が行われた。スリザリン生達はアンブリッジの「さあ、お互い練習し合って」という声と杖の一振りで、何の違和感もなく彼女の指示に従った。今日はアンブリッジの指示で、練習中の呪文を既にこなしている数名の生徒が指導を任された。任命された彼らを含め、生徒達は前回の授業での記憶を持ち合わせていなかった。ところが前回習った術を"いつの間にか"使いこなせていると分かっていたし、それに対する疑問も特に抱かなかった。
しかしその中でドラコは少し違っていた。その差が何かを知っているのはドラコ本人とアンブリッジの二人だけだった。
ドラコはスリザリン生達が杖を振って互いに練習する間をゆっくりと縫って歩いた。そして彼は自然とフォーラの方へ視線を向けた。彼女はドラコが予想した通り苦手な防衛術に悪戦苦闘しているところだった。パンジーと対峙するフォーラが杖を振りかぶった瞬間、ドラコはその手をパッと掴んで停止させた。彼女はハッと振り返った途端、予想外のことに驚きの表情を見せた。
「!あ・・・ドラコ!」
「相変わらず防衛術が下手だな。パーキンソンはマッケンジーと組んでくれ。フォーラは僕が教える」
パンジーもルニーも突然のことに驚きを隠せずにいた。ここ最近でドラコからフォーラに話しかけたのは初めてだったからだ。ドラコは彼女達にそんな顔でこっちを見るなと言いたいのをグッと堪えた。そしてそのまま彼はフォーラの手を引いて、少し離れた空きスペースで二人して向かい合ったのだった。
ドラコがもう一度杖を振ってみるようフォーラに指示すると、彼女はどこか遠慮した様子で頷いて杖を振った。
「振り方はある程度問題ない。ただし呪文と振りのタイミングが悪いんだ。杖を突き出した時と同時に呪文を終えないと意味がない」
「えっと、・・・わかったわ。プロテゴ(護れ)!」
先程とは違い、彼女の周りを白いモヤのようなものが覆った。フォーラは成功とは言えなくとも呪文が完成に一歩近付いたことが嬉しくて、パッと顔を明るくしてドラコの方を見たーーーしかし彼と目を合わせて直ぐに彼女は我に帰ると、気安く笑いかけてしまった事を後ろめたく思った。最近の彼の様子からして、この程度しか上達していないならきっと冷たくあしらわれると思ったからだ。
「あ、その、私・・・。ごめんなさい。」
「何言ってるんだ、やったじゃないか。もう一度、今度は意思を強く持ってやってみてくれ」
「!」
フォーラは予想外の彼の言葉に思わず驚いてしまったが、戸惑いつつも彼の嬉しい言葉に対して素直にお礼を言った。
「あ、ありがとう・・。じゃもう一度やるわね。」
(今日のドラコ、一体どうしてしまったの?いつもと・・ううん、近頃の様子と全然違う。何だか前のドラコに戻ったみたい。私、普通に話しかけても大丈夫なのかしら?今、普通に話せてるかしら・・・?)
ドラコの指導の甲斐あって、フォーラは練習を繰り返すうちに盾の呪文の中でも最も簡単な技を初めてある程度の形にできた。練習中のドラコは真剣な表情だったり、フォーラが成功すれば柔らかな笑顔を見せたりした。フォーラは突然のことに混乱したが、彼の笑顔に次第に胸の締め付けが取れていくような気持ちになった。
「大分上手くなったな。後は杖のブレが気になるくらいだ。フォーラはやっぱり防衛術にもっと自信を持った方がいい。変身術はあんなに得意なんだ。防衛術だってきっともっと良くなる。
いいか、ここで振りかぶった後に」
「!」
フォーラの杖を持った手をドラコが握った。フォーラはあれだけ最近はドラコの素行の悪さに胸を痛めていたのに、今はその胸がバクバクと早鐘を打っていた。しかしドラコはそんなことには気づかず真面目に続けた。
「ここの振りで躊躇いが出てるのが分かる。自分を守る気持ちをしっかり持たないと・・・敵に足元をすくわれるぞ」
ドラコは最後の言葉に無意識ながら力が入った。フォーラはそんなことに気付く余裕は持ち合わせていなかった。至極真面目に彼女の手を取ったまま杖を振るドラコの姿や、彼の滑らかで且つ少しゴツゴツした手の感触が彼女の手にも直に伝わって、フォーラは曖昧な返事をすることしかできなかった。ドラコに触れるのが余りにも久しぶりで、そして突然すぎたのだ。そんな彼女の声に不満を感じたドラコはパッと彼女の顔を覗き込んだ。
「おい、フォーラ、ちゃんと聞いて・・・」
ドラコは最後の言葉を言い切る前に喉が一瞬つっかえた。彼の掴んだ手の先にいるフォーラが、もういっぱいいっぱいとでも言いたげな表情で顔を背けて耳まで真っ赤になっていたからだ。
「!?」
ドラコはそれに気付いて驚きのあまり彼女の手を離しかけた。しかし彼は寸前のところで無理矢理踏み止まり、彼女の顔を確認しようと彼女の手を引いた。
「フォーラ?」
ドラコが彼女を振り向かせた丁度その時、授業終了のベルが鳴り響いた。彼はそれを合図に思わずパッと彼女から手を離した。アンブリッジの挨拶を皮切りに生徒達が続々と教室を後にし始める中、フォーラは戸惑いながらも先程ドラコが自分を呼び止めた続きの言葉を待った。
「な、なに?」
ドラコはまだ赤い顔の彼女の視線と出口に向かう生徒達のお喋りする騒めきが相まって、焦りが一気に押し寄せていた。
ドラコは勢いに任せてしまったことを少し後悔した。しかしもう既にお互い向かい合ってしまった。それならば自分が今日彼女の目の前に現れた目的を果たさなくては。折角勇気を出してこんなに近くに来たのに、今聞かなくてどうする?
ドラコは先日の談話室でフォーラがルニーと何やらジョージについて話していたことや、スリザリンの先輩が彼女にちょっかいを出していたことが自然と頭の中を駆け抜けた。
「なあフォーラ。君は今、」
しかしドラコは彼女が練習を始める前に見せた戸惑いの表情を唐突に思い出した。
(僕は何を聞こうとしている?彼女にあんな顔をさせている僕に、何を気にする権利がある?)
しかしその中でドラコは少し違っていた。その差が何かを知っているのはドラコ本人とアンブリッジの二人だけだった。
ドラコはスリザリン生達が杖を振って互いに練習する間をゆっくりと縫って歩いた。そして彼は自然とフォーラの方へ視線を向けた。彼女はドラコが予想した通り苦手な防衛術に悪戦苦闘しているところだった。パンジーと対峙するフォーラが杖を振りかぶった瞬間、ドラコはその手をパッと掴んで停止させた。彼女はハッと振り返った途端、予想外のことに驚きの表情を見せた。
「!あ・・・ドラコ!」
「相変わらず防衛術が下手だな。パーキンソンはマッケンジーと組んでくれ。フォーラは僕が教える」
パンジーもルニーも突然のことに驚きを隠せずにいた。ここ最近でドラコからフォーラに話しかけたのは初めてだったからだ。ドラコは彼女達にそんな顔でこっちを見るなと言いたいのをグッと堪えた。そしてそのまま彼はフォーラの手を引いて、少し離れた空きスペースで二人して向かい合ったのだった。
ドラコがもう一度杖を振ってみるようフォーラに指示すると、彼女はどこか遠慮した様子で頷いて杖を振った。
「振り方はある程度問題ない。ただし呪文と振りのタイミングが悪いんだ。杖を突き出した時と同時に呪文を終えないと意味がない」
「えっと、・・・わかったわ。プロテゴ(護れ)!」
先程とは違い、彼女の周りを白いモヤのようなものが覆った。フォーラは成功とは言えなくとも呪文が完成に一歩近付いたことが嬉しくて、パッと顔を明るくしてドラコの方を見たーーーしかし彼と目を合わせて直ぐに彼女は我に帰ると、気安く笑いかけてしまった事を後ろめたく思った。最近の彼の様子からして、この程度しか上達していないならきっと冷たくあしらわれると思ったからだ。
「あ、その、私・・・。ごめんなさい。」
「何言ってるんだ、やったじゃないか。もう一度、今度は意思を強く持ってやってみてくれ」
「!」
フォーラは予想外の彼の言葉に思わず驚いてしまったが、戸惑いつつも彼の嬉しい言葉に対して素直にお礼を言った。
「あ、ありがとう・・。じゃもう一度やるわね。」
(今日のドラコ、一体どうしてしまったの?いつもと・・ううん、近頃の様子と全然違う。何だか前のドラコに戻ったみたい。私、普通に話しかけても大丈夫なのかしら?今、普通に話せてるかしら・・・?)
ドラコの指導の甲斐あって、フォーラは練習を繰り返すうちに盾の呪文の中でも最も簡単な技を初めてある程度の形にできた。練習中のドラコは真剣な表情だったり、フォーラが成功すれば柔らかな笑顔を見せたりした。フォーラは突然のことに混乱したが、彼の笑顔に次第に胸の締め付けが取れていくような気持ちになった。
「大分上手くなったな。後は杖のブレが気になるくらいだ。フォーラはやっぱり防衛術にもっと自信を持った方がいい。変身術はあんなに得意なんだ。防衛術だってきっともっと良くなる。
いいか、ここで振りかぶった後に」
「!」
フォーラの杖を持った手をドラコが握った。フォーラはあれだけ最近はドラコの素行の悪さに胸を痛めていたのに、今はその胸がバクバクと早鐘を打っていた。しかしドラコはそんなことには気づかず真面目に続けた。
「ここの振りで躊躇いが出てるのが分かる。自分を守る気持ちをしっかり持たないと・・・敵に足元をすくわれるぞ」
ドラコは最後の言葉に無意識ながら力が入った。フォーラはそんなことに気付く余裕は持ち合わせていなかった。至極真面目に彼女の手を取ったまま杖を振るドラコの姿や、彼の滑らかで且つ少しゴツゴツした手の感触が彼女の手にも直に伝わって、フォーラは曖昧な返事をすることしかできなかった。ドラコに触れるのが余りにも久しぶりで、そして突然すぎたのだ。そんな彼女の声に不満を感じたドラコはパッと彼女の顔を覗き込んだ。
「おい、フォーラ、ちゃんと聞いて・・・」
ドラコは最後の言葉を言い切る前に喉が一瞬つっかえた。彼の掴んだ手の先にいるフォーラが、もういっぱいいっぱいとでも言いたげな表情で顔を背けて耳まで真っ赤になっていたからだ。
「!?」
ドラコはそれに気付いて驚きのあまり彼女の手を離しかけた。しかし彼は寸前のところで無理矢理踏み止まり、彼女の顔を確認しようと彼女の手を引いた。
「フォーラ?」
ドラコが彼女を振り向かせた丁度その時、授業終了のベルが鳴り響いた。彼はそれを合図に思わずパッと彼女から手を離した。アンブリッジの挨拶を皮切りに生徒達が続々と教室を後にし始める中、フォーラは戸惑いながらも先程ドラコが自分を呼び止めた続きの言葉を待った。
「な、なに?」
ドラコはまだ赤い顔の彼女の視線と出口に向かう生徒達のお喋りする騒めきが相まって、焦りが一気に押し寄せていた。
ドラコは勢いに任せてしまったことを少し後悔した。しかしもう既にお互い向かい合ってしまった。それならば自分が今日彼女の目の前に現れた目的を果たさなくては。折角勇気を出してこんなに近くに来たのに、今聞かなくてどうする?
ドラコは先日の談話室でフォーラがルニーと何やらジョージについて話していたことや、スリザリンの先輩が彼女にちょっかいを出していたことが自然と頭の中を駆け抜けた。
「なあフォーラ。君は今、」
しかしドラコは彼女が練習を始める前に見せた戸惑いの表情を唐突に思い出した。
(僕は何を聞こうとしている?彼女にあんな顔をさせている僕に、何を気にする権利がある?)