10. 二つの顔
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フォーラはドラコが立ち去って直ぐ後にハリーの側でボウトラックルを選び、振り向きざまに彼に小声で話しかけた。
「彼、何か知ってそうだったわ」
ハリーは少し驚いた様子でフォーラを見た後、ドラコがこちらを見ていないことを視線で確認した。
「ハグリッドが何をしてるか知ってる様子だった。巨大な何かにちょっかいを出して、怪我してるとか」
「そう・・・、ありがとう。」
フォーラはチラとだけハリーを見てそう言うと、何事もなかったかのようにその場を離れた。
(巨大な何かってなに?ドラコはどこまで何を知ってるの?ハリーに話したのは何故?それにーーー)
フォーラは先程ドラコと目が合った時、彼が一瞬だけ見せた表情が脳裏に焼き付いて離れなかった。
(それに、どうして私を見た時あんなに狼狽えていたの?敵な筈のハリーは良くて、同じ寮の私に聞かれるのはそんなに不味いことなの?)
今まで彼にあんな表情を向けられることが殆どなかった分ショックだったが、今考えるべきはそのことでなはなかった。
(ーーーきっと騎士団でもない私が知るべきことじゃないわ。
それに、死喰い人を親に持つクラッブやゴイル、セオドールだって、本当なら大人達から何も知らされるべきではなかったのよ)
その日の放課後、フォーラは城の四階にある彼女の『秘密の部屋』で何度目かの変身術の特訓に励んだ。五年生の変身術の教科書は何と既に半分を超えた辺りまで進んでいた。今現在授業で進行中の『消失呪文』はカタツムリ等の小さな無脊椎動物を消しているところだが、フォーラは既にウサギ程の脊椎動物を容易く『消失』させることができた。
そんな中、フォーラは五年生の教科書を一先ず置いて、図書室で借りた高学年の教科書の中から、七年生の『いもりレベル試験』で出題される『出現呪文』を学んでいる最中だった。
物を消す限りは『出現』もさせたいところだ。羽ペンをネズミやウサギに変身させて消失させるにしても、再び出現させない限り資源は有限なのだ。それにこの呪文を習得すれば、ここで使う身の回りの物をわざわざ拡大呪文をかけたローブのポケットから出し入れする必要もなくなる。
(杖の動きはこうね・・。これを覚えたらまた五年生の教科書に戻って、全部終わったら参考図書で見かけた『目くらまし術』も覚えたいわ。早く修得しなきゃ。早く・・・)
ふとフォーラは杖を持つ手をピタリと止めてしまった。
(今日のドラコ・・・)
フォーラの脳裏に今日ドラコが魔法生物飼育学で彼女に見せた表情がちらついた。
(あんな視線を向けられて、今の私ではドラコから彼の現状を聞き出すなんて無理に等しいんじゃ・・。
もしそうなら、もう私が私で無くなるしか・・・)
そこまで考えたところでフォーラは自分の手が止まっていることにハッと気がついた。彼女は首を横に振って意識を引き戻すと、『出現呪文』の練習に取りかかったのだった。
数日後のある日、スリザリンの談話室でクィディッチチームメンバーがグリフィンドールの新しいキーパーについて話しているのが聞こえてきた。
「あのヒョロヒョロのロナルド・ウィーズリーにキーパーが務まると思うか?」
「そんな筈ないだろう。特に上手かったなんて噂も聞いたことがない。もう少しマシな奴がいなかったのかね」
「昨日僕らはグリフィンドールの練習を見てきたんだ。あんな散々なキーパーは初めて見たよ。きっと彼らの相手は点を入れ放題さ。それに加えてチームの足並みだって全く揃ってなかった。木偶の棒の方がまだ良い仕事をするんじゃないか」
ドラコはクラッブやゴイルと顔を見合わせて笑いながら嬉々として答えた。彼はいつもグリフィンドールを忌み嫌っているが、フォーラが見る限り今まで以上に言葉の毒が強くなっているのは明らかだった。
「なんだか最近のドラコったら悪目立ちしてるわね?セオドールと仲良くしだしてからかしら?」
フォーラの目の前の肘掛け椅子に座って頬杖をつきながらルニーが言った。フォーラは自分のことではないのに何故だかギクリとしてしまった。あまり上手く言葉を返してこないフォーラの反応から同意と受け取ったのかルニーが続けた。
「勿論、前から口は良い方じゃ無かったと思うわよ。でも何ていうか、前はもうちょっと紳士的だった気がするのよね。でも今は品がないっていうか、どこででも馬鹿騒ぎしてる感じかしら?そう思うでしょ?」
フォーラはドラコを一度ちらと見た後でルニーに小さく頷いた。
「うん・・確かにそうかもしれない。ルニーもそう思っていたのね。
ドラコは元々好き嫌いはハッキリ言うタイプだけど、最近は少し、・・その、別人みたいに思う時があるわ。」
ルニーはフォーラが自らドラコのことで不安を漏らしてくれたのが随分珍しくて、彼女を愛でたい気持ちでいっぱいになった。
「フォーラ、あまり悩みすぎちゃ駄目よ。嫌なら嫌でいいの。すれ違いなんて良くあることよ。それに一度好きになったらずっと好きでいなきゃいけないなんてこと無いんだから。
それならこの際、他の人にも目を向けるチャンスって考えてもいいのかもね」
「えっ、」
フォーラの悩みとはズレた方向にルニーがアドバイスしたものだから、フォーラは素っ頓狂な声を漏らした。
「そういえばジョージ・ウィーズリーとは何か進展はないの?グリフィンドールっていうのが癪だけど。それに、最近は周りに良い人いっぱいいるじゃない」
「え、えと、良い人ってどういう・・・それに、ジョージとは何もないわ。最近は話す機会も減ったし・・。きゃっ!?」
フォーラは背後の背もたれに誰かの体重がかかるのを感じて振り返ると、たまに言葉を交わすスリザリンの先輩が話を聞きつけてやって来た。
「やあ、二人とも。その"良い人"に僕も含まれてるかな?フォーラはどう思う?」
「え!勿論先輩は素敵だと思いますけど、どうかしましたか・・?」
そんな風に彼女達が楽しそうな会話をしているのをドラコは遠目に確認していた。やたらとフォーラに近い先輩しかり、先程ルニーの声と共に一瞬聞こえた『ウィーズリー』の名前に反応しないわけがなかった。
「ドラコ、急に黙ってどうした?」
「あ、いや・・・なんでも無いさ。それでなんの話だったかな」
「彼、何か知ってそうだったわ」
ハリーは少し驚いた様子でフォーラを見た後、ドラコがこちらを見ていないことを視線で確認した。
「ハグリッドが何をしてるか知ってる様子だった。巨大な何かにちょっかいを出して、怪我してるとか」
「そう・・・、ありがとう。」
フォーラはチラとだけハリーを見てそう言うと、何事もなかったかのようにその場を離れた。
(巨大な何かってなに?ドラコはどこまで何を知ってるの?ハリーに話したのは何故?それにーーー)
フォーラは先程ドラコと目が合った時、彼が一瞬だけ見せた表情が脳裏に焼き付いて離れなかった。
(それに、どうして私を見た時あんなに狼狽えていたの?敵な筈のハリーは良くて、同じ寮の私に聞かれるのはそんなに不味いことなの?)
今まで彼にあんな表情を向けられることが殆どなかった分ショックだったが、今考えるべきはそのことでなはなかった。
(ーーーきっと騎士団でもない私が知るべきことじゃないわ。
それに、死喰い人を親に持つクラッブやゴイル、セオドールだって、本当なら大人達から何も知らされるべきではなかったのよ)
その日の放課後、フォーラは城の四階にある彼女の『秘密の部屋』で何度目かの変身術の特訓に励んだ。五年生の変身術の教科書は何と既に半分を超えた辺りまで進んでいた。今現在授業で進行中の『消失呪文』はカタツムリ等の小さな無脊椎動物を消しているところだが、フォーラは既にウサギ程の脊椎動物を容易く『消失』させることができた。
そんな中、フォーラは五年生の教科書を一先ず置いて、図書室で借りた高学年の教科書の中から、七年生の『いもりレベル試験』で出題される『出現呪文』を学んでいる最中だった。
物を消す限りは『出現』もさせたいところだ。羽ペンをネズミやウサギに変身させて消失させるにしても、再び出現させない限り資源は有限なのだ。それにこの呪文を習得すれば、ここで使う身の回りの物をわざわざ拡大呪文をかけたローブのポケットから出し入れする必要もなくなる。
(杖の動きはこうね・・。これを覚えたらまた五年生の教科書に戻って、全部終わったら参考図書で見かけた『目くらまし術』も覚えたいわ。早く修得しなきゃ。早く・・・)
ふとフォーラは杖を持つ手をピタリと止めてしまった。
(今日のドラコ・・・)
フォーラの脳裏に今日ドラコが魔法生物飼育学で彼女に見せた表情がちらついた。
(あんな視線を向けられて、今の私ではドラコから彼の現状を聞き出すなんて無理に等しいんじゃ・・。
もしそうなら、もう私が私で無くなるしか・・・)
そこまで考えたところでフォーラは自分の手が止まっていることにハッと気がついた。彼女は首を横に振って意識を引き戻すと、『出現呪文』の練習に取りかかったのだった。
数日後のある日、スリザリンの談話室でクィディッチチームメンバーがグリフィンドールの新しいキーパーについて話しているのが聞こえてきた。
「あのヒョロヒョロのロナルド・ウィーズリーにキーパーが務まると思うか?」
「そんな筈ないだろう。特に上手かったなんて噂も聞いたことがない。もう少しマシな奴がいなかったのかね」
「昨日僕らはグリフィンドールの練習を見てきたんだ。あんな散々なキーパーは初めて見たよ。きっと彼らの相手は点を入れ放題さ。それに加えてチームの足並みだって全く揃ってなかった。木偶の棒の方がまだ良い仕事をするんじゃないか」
ドラコはクラッブやゴイルと顔を見合わせて笑いながら嬉々として答えた。彼はいつもグリフィンドールを忌み嫌っているが、フォーラが見る限り今まで以上に言葉の毒が強くなっているのは明らかだった。
「なんだか最近のドラコったら悪目立ちしてるわね?セオドールと仲良くしだしてからかしら?」
フォーラの目の前の肘掛け椅子に座って頬杖をつきながらルニーが言った。フォーラは自分のことではないのに何故だかギクリとしてしまった。あまり上手く言葉を返してこないフォーラの反応から同意と受け取ったのかルニーが続けた。
「勿論、前から口は良い方じゃ無かったと思うわよ。でも何ていうか、前はもうちょっと紳士的だった気がするのよね。でも今は品がないっていうか、どこででも馬鹿騒ぎしてる感じかしら?そう思うでしょ?」
フォーラはドラコを一度ちらと見た後でルニーに小さく頷いた。
「うん・・確かにそうかもしれない。ルニーもそう思っていたのね。
ドラコは元々好き嫌いはハッキリ言うタイプだけど、最近は少し、・・その、別人みたいに思う時があるわ。」
ルニーはフォーラが自らドラコのことで不安を漏らしてくれたのが随分珍しくて、彼女を愛でたい気持ちでいっぱいになった。
「フォーラ、あまり悩みすぎちゃ駄目よ。嫌なら嫌でいいの。すれ違いなんて良くあることよ。それに一度好きになったらずっと好きでいなきゃいけないなんてこと無いんだから。
それならこの際、他の人にも目を向けるチャンスって考えてもいいのかもね」
「えっ、」
フォーラの悩みとはズレた方向にルニーがアドバイスしたものだから、フォーラは素っ頓狂な声を漏らした。
「そういえばジョージ・ウィーズリーとは何か進展はないの?グリフィンドールっていうのが癪だけど。それに、最近は周りに良い人いっぱいいるじゃない」
「え、えと、良い人ってどういう・・・それに、ジョージとは何もないわ。最近は話す機会も減ったし・・。きゃっ!?」
フォーラは背後の背もたれに誰かの体重がかかるのを感じて振り返ると、たまに言葉を交わすスリザリンの先輩が話を聞きつけてやって来た。
「やあ、二人とも。その"良い人"に僕も含まれてるかな?フォーラはどう思う?」
「え!勿論先輩は素敵だと思いますけど、どうかしましたか・・?」
そんな風に彼女達が楽しそうな会話をしているのをドラコは遠目に確認していた。やたらとフォーラに近い先輩しかり、先程ルニーの声と共に一瞬聞こえた『ウィーズリー』の名前に反応しないわけがなかった。
「ドラコ、急に黙ってどうした?」
「あ、いや・・・なんでも無いさ。それでなんの話だったかな」