10. 二つの顔
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アンブリッジの授業で杖を振り始めて少し経った。スリザリン生は呪文のことを覚えていても、授業でその呪文を習ったという事実を誰も思い出せずにいた。それだから誰もアンブリッジが授業方針を変更したというスクープを他の寮と共有することがなかったし、教師達も含めて何も知ることはなかった。そして、そのような変更がスリザリンの高学年にしか施されなかったということも誰も知らなかった。
ところで五年生達は日々授業と宿題に追われるように過ごしていた。授業の度に教師達からは学年度末の「フクロウ試験」の重要性について耳にタコが出来る程聞かされた。そして毎回山積みの宿題を渡されて教室をぞろぞろと肩を落として出ていく現象がどの寮でも起こっていた。
フォーラもその内の一人だったものの、彼女の目には光が宿っていた。滅入りそうな環境の中、前を向いて気を確かに持つ彼女の姿に何人かの生徒達は何となく驚きと感心の目を向けていた。中でもパンジーとルニーは特にフォーラの根気強さをひしひしと感じていた。
この日の放課後、談話室でフォーラとパンジー、ルニーは机を囲んで宿題に向き合っていた。ルニーが魔法薬学のレポートを終えてふとフォーラの目の前に魔法薬学の教科書が開かれているのを見つけると、突然感嘆と驚きの声をあげた。
「フォーラったら、さっき魔法史のレポートが終わったって言っていたばかりなのにもう次にとりかかってるの?」
フォーラは羊皮紙の1/3程まで羽ペンを走らせながら返事をした。
「ええ、早く片付けて明日の呪文学と薬草学の予習もしてしまわないと。」
「そんなに根を詰めるなんて、もしかしてもう就きたい仕事が決まってるの?」
パンジーの問いかけにフォーラはふと手を止めた。自分が今頑張っているのは、少しでも変身術の練習に充てる時間を作る為と、これから自分の大切な人を守れるようにする為だ。それ以上に何か具体的な将来を夢見ているわけではない。
「何になりたいかは全然決まってないの。でも、何か自分の得意なことでお仕事が出来たら良いなとは思ってるわ。今はそれくらいかな・・。パンジーは?」
フォーラは羽ペンを置きながらそう尋ねると、将来に想像を膨らませて楽しそうに話し始めたパンジーの方へルニーと一緒に耳を傾けた。パンジーのように、今の自分が学校を卒業した後の姿を想像できる日がそのうちやって来るのだろうか。フォーラは漠然とし過ぎた自分の将来像を頭の片隅に追いやったのだった。
翌日の午後、フォーラ達スリザリン生は魔法生物飼育学の授業のために禁じられた森の端にあるハグリッドの小屋まで下り坂の芝生を進んだ。フォーラは今学年に入ってからこの授業を含めグリフィンドールとの合同授業を憂鬱に感じていた。
不意に彼女の後ろからガヤガヤと馬鹿騒ぎする声が聞こえてきた。聞き覚えのある声の中にドラコの声が混じっていることに気付くと、フォーラは彼から離れるように少し足早に坂道を下っていった。
このところドラコが彼の友人達と大きな態度でふざけ合う姿が度々目についた。大広間や室で見かけることもあったし、グリフィンドール生が近くにいる時は特に酷かった。何年も前から互いに歪み合っているものの、以前よりもドラコが随分目に見えて"嫌な"態度を取っているとでも言えば良いだろうか。彼がそうなってしまったのは丁度フォーラとドラコの関係が悪くなってからなのは明らかだ。
フォーラはドラコに避けられていることに加え、最近の彼の態度がまるで『自分に近づくな』とでも言っているような気がしていた。自意識過剰といえばそれまでかもしれない。しかし、昨年度の終わりにドラコはあれだけ真剣にフォーラへ想いを伝えたのに、両想いかもしれないと分かるほど好意を寄せてくれていたはずの彼女にその気持ちを断られたのだ。その時の彼の傷は相当深かっただろう。
(そんなの、恨んでしまったとしても無理ないもの。もしかしたらドラコは、もう完全に私のことを嫌いになったのかも・・。)
ドラコは足早に前を行くフォーラがハリー やハーマイオニー、ロンの側を俯いて追い越していくのを見た。以前なら互いに挨拶し合っていた筈なのに、最近の彼女はグリフィンドールの彼等と一切話をしているところを見かけない。ドラコはそれ自体を良い事だとは認識したが、それ以上の関心は無い様子でクラッブたちとの話に戻ったのだった。
魔法生物飼育学にやはりハグリッドの姿はなく、グラブリー・プランクが代理を勤めた。この日は杖品質の木に住んでいるボウトラックルという魔法生物について学んだ。そして生徒達はボウトラックルをスケッチする為に三人一組で一匹を観察した。
フォーラがボウトラックルを取りに行く際、偶然にもハリーの前をドラコが通ってボウトラックルを掴んでいるところだった。その時彼が微かな声でハリーに話すのが聞こえた。
「多分・・・ーーーー大怪我をしたんだ」
ハリーが殆ど唇を動かさずに言った。
「黙らないとおまえもーーーー」
「多分、あいつにとって"巨大過ぎるもの"にちょっかいを出してるんだろ。言ってる意味がわかるかな」
不敵な笑みでドラコがハリーを一瞥した時、彼の視界にこちらに目をやるフォーラが映った。
「!」
フォーラがパッと視線を外して俯いた。ドラコは一瞬身動きが取れずにいたが、直ぐにクラッブやゴイルの元へ戻って行った。
(フォーラは何故こっちを見てた?まさか今の話を聞かれてーーー?いや、違う。あんなに小声だったし聞こえる筈がない。それに彼女はボウトラックルを取るために近づいていただけだ。・・・きっと僕を見てたわけじゃない)
ところで五年生達は日々授業と宿題に追われるように過ごしていた。授業の度に教師達からは学年度末の「フクロウ試験」の重要性について耳にタコが出来る程聞かされた。そして毎回山積みの宿題を渡されて教室をぞろぞろと肩を落として出ていく現象がどの寮でも起こっていた。
フォーラもその内の一人だったものの、彼女の目には光が宿っていた。滅入りそうな環境の中、前を向いて気を確かに持つ彼女の姿に何人かの生徒達は何となく驚きと感心の目を向けていた。中でもパンジーとルニーは特にフォーラの根気強さをひしひしと感じていた。
この日の放課後、談話室でフォーラとパンジー、ルニーは机を囲んで宿題に向き合っていた。ルニーが魔法薬学のレポートを終えてふとフォーラの目の前に魔法薬学の教科書が開かれているのを見つけると、突然感嘆と驚きの声をあげた。
「フォーラったら、さっき魔法史のレポートが終わったって言っていたばかりなのにもう次にとりかかってるの?」
フォーラは羊皮紙の1/3程まで羽ペンを走らせながら返事をした。
「ええ、早く片付けて明日の呪文学と薬草学の予習もしてしまわないと。」
「そんなに根を詰めるなんて、もしかしてもう就きたい仕事が決まってるの?」
パンジーの問いかけにフォーラはふと手を止めた。自分が今頑張っているのは、少しでも変身術の練習に充てる時間を作る為と、これから自分の大切な人を守れるようにする為だ。それ以上に何か具体的な将来を夢見ているわけではない。
「何になりたいかは全然決まってないの。でも、何か自分の得意なことでお仕事が出来たら良いなとは思ってるわ。今はそれくらいかな・・。パンジーは?」
フォーラは羽ペンを置きながらそう尋ねると、将来に想像を膨らませて楽しそうに話し始めたパンジーの方へルニーと一緒に耳を傾けた。パンジーのように、今の自分が学校を卒業した後の姿を想像できる日がそのうちやって来るのだろうか。フォーラは漠然とし過ぎた自分の将来像を頭の片隅に追いやったのだった。
翌日の午後、フォーラ達スリザリン生は魔法生物飼育学の授業のために禁じられた森の端にあるハグリッドの小屋まで下り坂の芝生を進んだ。フォーラは今学年に入ってからこの授業を含めグリフィンドールとの合同授業を憂鬱に感じていた。
不意に彼女の後ろからガヤガヤと馬鹿騒ぎする声が聞こえてきた。聞き覚えのある声の中にドラコの声が混じっていることに気付くと、フォーラは彼から離れるように少し足早に坂道を下っていった。
このところドラコが彼の友人達と大きな態度でふざけ合う姿が度々目についた。大広間や室で見かけることもあったし、グリフィンドール生が近くにいる時は特に酷かった。何年も前から互いに歪み合っているものの、以前よりもドラコが随分目に見えて"嫌な"態度を取っているとでも言えば良いだろうか。彼がそうなってしまったのは丁度フォーラとドラコの関係が悪くなってからなのは明らかだ。
フォーラはドラコに避けられていることに加え、最近の彼の態度がまるで『自分に近づくな』とでも言っているような気がしていた。自意識過剰といえばそれまでかもしれない。しかし、昨年度の終わりにドラコはあれだけ真剣にフォーラへ想いを伝えたのに、両想いかもしれないと分かるほど好意を寄せてくれていたはずの彼女にその気持ちを断られたのだ。その時の彼の傷は相当深かっただろう。
(そんなの、恨んでしまったとしても無理ないもの。もしかしたらドラコは、もう完全に私のことを嫌いになったのかも・・。)
ドラコは足早に前を行くフォーラがハリー やハーマイオニー、ロンの側を俯いて追い越していくのを見た。以前なら互いに挨拶し合っていた筈なのに、最近の彼女はグリフィンドールの彼等と一切話をしているところを見かけない。ドラコはそれ自体を良い事だとは認識したが、それ以上の関心は無い様子でクラッブたちとの話に戻ったのだった。
魔法生物飼育学にやはりハグリッドの姿はなく、グラブリー・プランクが代理を勤めた。この日は杖品質の木に住んでいるボウトラックルという魔法生物について学んだ。そして生徒達はボウトラックルをスケッチする為に三人一組で一匹を観察した。
フォーラがボウトラックルを取りに行く際、偶然にもハリーの前をドラコが通ってボウトラックルを掴んでいるところだった。その時彼が微かな声でハリーに話すのが聞こえた。
「多分・・・ーーーー大怪我をしたんだ」
ハリーが殆ど唇を動かさずに言った。
「黙らないとおまえもーーーー」
「多分、あいつにとって"巨大過ぎるもの"にちょっかいを出してるんだろ。言ってる意味がわかるかな」
不敵な笑みでドラコがハリーを一瞥した時、彼の視界にこちらに目をやるフォーラが映った。
「!」
フォーラがパッと視線を外して俯いた。ドラコは一瞬身動きが取れずにいたが、直ぐにクラッブやゴイルの元へ戻って行った。
(フォーラは何故こっちを見てた?まさか今の話を聞かれてーーー?いや、違う。あんなに小声だったし聞こえる筈がない。それに彼女はボウトラックルを取るために近づいていただけだ。・・・きっと僕を見てたわけじゃない)