9. 曖昧な記憶
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「私も身に覚えがあるわ。ホグワーツ特急内でマルフォイがハリーにちょっかいを出しにやって来たんだけど、あの人、『犬は繋いでおけ』って言っていたの。もし偶然じゃないなら、彼はシリウスの正体を知っているってことよね」
フォーラはショックを受けて息を詰まらせた。
「だとしたら一体、どこでそんなことを聞かされたのかしら。まさかルシウスさんから?」
「多分だけど、この休みの間はいつでもそういう話が耳に入る環境だったのかもしれない。だって、復活した『例のあの人』と繋がりのある誰かが、いつマルフォイの家を出入りしてもおかしくないもの」
「そう……。私、今年の夏はドラコの家に一度も行かなかったし、手紙もやり取りしなかったから、彼がどうしていたか知らないの。きっと私の両親なら何か掴んでいるかもしれないけれど、それを聞こうにも、ふくろう便は魔法省に監視されているし。」
「それならあとは、上手くマルフォイから聞き出すしかないかもしれない。……あの、フォーラ?お節介かもしれないけど、もしかしてあなたたち―――何かあった?」
それは、最近ドラコがレイブンクローの女子生徒と付き合い始めたという噂を耳にしての質問だった。ハーマイオニーの言葉にフォーラは一瞬固まったが、躊躇いながらも眉尻を下げて頷いた。
「ええ、私、今ドラコに避けられているわ。勿論、不死鳥の騎士団のことは何も話していないから安心して。そういうのじゃないの。実は私ね、四年生の終わりにロンドンへ帰る前日に、彼から好きだと言われたの。でも私が純血でないことを気にして、理由も言わずに断ってしまったから……。久しぶりに会った彼は私を避けていて、彼から直接何かを聞き出すのは難しい状況にあるの。」
フォーラはブラック邸でジョージにしか話さなかったドラコの告白を、初めてハーマイオニーに打ち明けた。ハーマイオニーはフォーラがドラコを想っていると知っているだけに、居た堪れない様子で彼女を見つめた。
「フォーラ……」
「だけど私……もしもドラコがルシウスさんや死喰い人から色んなことを吹き込まれていたらと思うと、本当に心配。だってそれっていつか……もしかしたら近いうちに、ドラコが何かさせられる可能性があるってことでしょう。」
フォーラの声が僅かに震えていたため、ハーマイオニーは彼女を安心させようとその発言を否定した。
「そんな、まさか学校も卒業していないのに何もさせる筈ないわ」
「ええ、そうだといいのに……。でも、確かにドラコのご両親はきっとハーマイオニーと同じ考えだと思う。二人ともドラコのことが本当に好きだから。だからもしかしたら、今は何か身を守るための内情をドラコに伝えているのかも。だけど『例のあの人』の周りにいる人たち全員が、ドラコを戦いに参加させないつもりなのかはまだ分からないわ。」
ハーマイオニーとフォーラは互いに見つめ合った。すると不意にフォーラの瞳に決心の色が伺えた。
「私、先ずはドラコとまた話せるようにならなくちゃね。でないと彼の状況が何も分からないんだもの。それに、これからドラコのことを探っていくなら……本当はしたくないけれど、グリフィンドールのみんなとはあえて表立って話さない方がいいのかもしれない。私の両親が任務でマルフォイ家に探りを入れているから、猶の事。」
自らの交友関係を制御してでもドラコの内情を知ろうとする姿に、ハーマイオニーはフォーラが如何に真剣なのかを理解した。
「そうね……。確かにそれがフォーラのご両親の仕事を邪魔しない最善策だと思うわ。だけど、マルフォイに今以上に深入りするのは危険だと思うの。彼に下手な質問でもしてしまったら、フォーラの素性だけじゃなくて、騎士団のことも何か言葉の切れ端を掴まれてしまうかもしれない。幾らダンブルドアの魔法で私たちがブラック邸で見聞きしたことや、あなたの血筋の秘密を心を許した相手にしか話せないようになっているとはいえ……。きっとそこをすり抜ける程度の小さな情報でも、向こうは過敏になっている筈だから」
「ええ、ハーマイオニーの言うとおりね。ただ、みんなの中で私が一番敵に近しいということを、私はしっかり肝に銘じているつもり。だから安心してというわけじゃないけれど……ドラコの味方で純血のフォーラ・ファントムを演じ切らないと、何もかも駄目になるくらいの自覚が私にあることは、分かっていてほしいの。」
ハーマイオニーは予想以上にフォーラが理性的にドラコを捉えていたことに少しばかり安堵した。こういったフォーラの一面が、ダンブルドアにブラック邸へ行くことを許可された理由の一つなのだろうと思えた。
「さっきも言ったとおり、先ず私はドラコと元のように話せる関係を目指すことにするわ。それなら暫くは何の危険もない筈だもの。」
そう言ったフォーラの微笑みの中に少しばかり強がりの色が伺えたものだから、ハーマイオニーは心配そうに尋ねた。
「フォーラ、あまり無理に自分から傷付きに行く必要はないのよ。何か困った事があればいつでも相談して。今後、私たちが人目を避けて会うとなると、難しい時もあるかもしれないけど……」
「ありがとう。だけど私のことなら大丈夫。何かあったら必ず知らせるわ。」
フォーラはハーマイオニーにここでの話をハリーたちに伝えてもらうようお願いし、二人で教室を後にした。二人がその場で別れた際、ハーマイオニーはフォーラの後ろ姿を振り返り、つい先程『私のことなら大丈夫』と言った彼女が、平気で自分の心を犠牲にしていると思わずにはいられなかったのだった。
フォーラはショックを受けて息を詰まらせた。
「だとしたら一体、どこでそんなことを聞かされたのかしら。まさかルシウスさんから?」
「多分だけど、この休みの間はいつでもそういう話が耳に入る環境だったのかもしれない。だって、復活した『例のあの人』と繋がりのある誰かが、いつマルフォイの家を出入りしてもおかしくないもの」
「そう……。私、今年の夏はドラコの家に一度も行かなかったし、手紙もやり取りしなかったから、彼がどうしていたか知らないの。きっと私の両親なら何か掴んでいるかもしれないけれど、それを聞こうにも、ふくろう便は魔法省に監視されているし。」
「それならあとは、上手くマルフォイから聞き出すしかないかもしれない。……あの、フォーラ?お節介かもしれないけど、もしかしてあなたたち―――何かあった?」
それは、最近ドラコがレイブンクローの女子生徒と付き合い始めたという噂を耳にしての質問だった。ハーマイオニーの言葉にフォーラは一瞬固まったが、躊躇いながらも眉尻を下げて頷いた。
「ええ、私、今ドラコに避けられているわ。勿論、不死鳥の騎士団のことは何も話していないから安心して。そういうのじゃないの。実は私ね、四年生の終わりにロンドンへ帰る前日に、彼から好きだと言われたの。でも私が純血でないことを気にして、理由も言わずに断ってしまったから……。久しぶりに会った彼は私を避けていて、彼から直接何かを聞き出すのは難しい状況にあるの。」
フォーラはブラック邸でジョージにしか話さなかったドラコの告白を、初めてハーマイオニーに打ち明けた。ハーマイオニーはフォーラがドラコを想っていると知っているだけに、居た堪れない様子で彼女を見つめた。
「フォーラ……」
「だけど私……もしもドラコがルシウスさんや死喰い人から色んなことを吹き込まれていたらと思うと、本当に心配。だってそれっていつか……もしかしたら近いうちに、ドラコが何かさせられる可能性があるってことでしょう。」
フォーラの声が僅かに震えていたため、ハーマイオニーは彼女を安心させようとその発言を否定した。
「そんな、まさか学校も卒業していないのに何もさせる筈ないわ」
「ええ、そうだといいのに……。でも、確かにドラコのご両親はきっとハーマイオニーと同じ考えだと思う。二人ともドラコのことが本当に好きだから。だからもしかしたら、今は何か身を守るための内情をドラコに伝えているのかも。だけど『例のあの人』の周りにいる人たち全員が、ドラコを戦いに参加させないつもりなのかはまだ分からないわ。」
ハーマイオニーとフォーラは互いに見つめ合った。すると不意にフォーラの瞳に決心の色が伺えた。
「私、先ずはドラコとまた話せるようにならなくちゃね。でないと彼の状況が何も分からないんだもの。それに、これからドラコのことを探っていくなら……本当はしたくないけれど、グリフィンドールのみんなとはあえて表立って話さない方がいいのかもしれない。私の両親が任務でマルフォイ家に探りを入れているから、猶の事。」
自らの交友関係を制御してでもドラコの内情を知ろうとする姿に、ハーマイオニーはフォーラが如何に真剣なのかを理解した。
「そうね……。確かにそれがフォーラのご両親の仕事を邪魔しない最善策だと思うわ。だけど、マルフォイに今以上に深入りするのは危険だと思うの。彼に下手な質問でもしてしまったら、フォーラの素性だけじゃなくて、騎士団のことも何か言葉の切れ端を掴まれてしまうかもしれない。幾らダンブルドアの魔法で私たちがブラック邸で見聞きしたことや、あなたの血筋の秘密を心を許した相手にしか話せないようになっているとはいえ……。きっとそこをすり抜ける程度の小さな情報でも、向こうは過敏になっている筈だから」
「ええ、ハーマイオニーの言うとおりね。ただ、みんなの中で私が一番敵に近しいということを、私はしっかり肝に銘じているつもり。だから安心してというわけじゃないけれど……ドラコの味方で純血のフォーラ・ファントムを演じ切らないと、何もかも駄目になるくらいの自覚が私にあることは、分かっていてほしいの。」
ハーマイオニーは予想以上にフォーラが理性的にドラコを捉えていたことに少しばかり安堵した。こういったフォーラの一面が、ダンブルドアにブラック邸へ行くことを許可された理由の一つなのだろうと思えた。
「さっきも言ったとおり、先ず私はドラコと元のように話せる関係を目指すことにするわ。それなら暫くは何の危険もない筈だもの。」
そう言ったフォーラの微笑みの中に少しばかり強がりの色が伺えたものだから、ハーマイオニーは心配そうに尋ねた。
「フォーラ、あまり無理に自分から傷付きに行く必要はないのよ。何か困った事があればいつでも相談して。今後、私たちが人目を避けて会うとなると、難しい時もあるかもしれないけど……」
「ありがとう。だけど私のことなら大丈夫。何かあったら必ず知らせるわ。」
フォーラはハーマイオニーにここでの話をハリーたちに伝えてもらうようお願いし、二人で教室を後にした。二人がその場で別れた際、ハーマイオニーはフォーラの後ろ姿を振り返り、つい先程『私のことなら大丈夫』と言った彼女が、平気で自分の心を犠牲にしていると思わずにはいられなかったのだった。