8. いつもと違う日
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「……フォーラ、私は別に意地悪を言ったわけじゃないのよ。そんな顔しないで?きっとあなたは私たちには分からない部分で慎重になりすぎているのよね。純血貴族同士の家柄のこととか、そういう懸念もあるのかもしれない。それに私たちはどっちも幼馴染と言える存在がいないから、完全にはフォーラの考えを分かってはあげられないけど……。フォーラにとって、それだけドラコが特別な存在なのよね」
パンジーの発言に今度はルニーが続いた。
「とはいえ、フォーラがドラコのことでこんなに悩んでるって彼が知ったら、どんなに喜んだかしら。フォーラ、本当にそれくらい自信持っていいんだからね?」
ルニーが微笑み、パンジーはフォーラを自分の方へ抱き寄せた。フォーラは彼女たちの優しさと、自分が真実を話せない歯痒さに胸を痛めた。
「ありがとう。」フォーラは静かに呟くと、パンジーの腕の中で一筋だけ涙を流した。そしていつの日かドラコに対してだけでなく、目の前の二人にも本当の自分について打ち明けなければと誓ったのだった。
それから少ししてフォーラの様子が落ち着くと、パンジーが切り出した。
「ところで、さっきの話なんだけど……」
「さっきって、どれのこと?」ルニーの問いに、パンジーは言いにくそうに何度か視線をうろつかせ、その後で二人を交互に見た。
「えっと、ドラコが他の誰かと付き合ってもいいのか、って話」
フォーラとルニーが二人揃って首を傾げると、パンジーは悩ましそうに続けた。
「今朝、新監督生のコンパートメントで―――ハッフルパフのアーニー・マクミランっているでしょう?彼の友人の女子生徒が、ドラコにどうしても告白したいんですって」
それを聞いてフォーラもルニーも驚いたが、瞬発的に声を発したのはルニーの方だった。
「え!?告白って、ドラコのいる場でそんな話になったの?」
「そうなのよ。それでその相手っていうのが、どうやら去年ドラコがダンスパーティーでペアになったレイブンクローの子みたいなのよね……」
フォーラはそのレイブンクロー生の顔をよく覚えていた。何せダンスパーティーの時はドラコの隣で嬉しそうにしていたし、その前のダンス練習の時だって、ドラコとフォーラがお手本で踊った時には彼のことを乙女の眼差しで見つめ、褒めている声が漏れ聞こえていた。
ルニーは一度心配そうにフォーラの方を見た後で「でも」と切り出した。
「あのドラコが、あのフォーラにゾッコンのドラコがよ?二つ返事をその子に返すかしら?きっと無駄よ」
ルニーはそう言い放ったが、パンジーの表情は曇ったままだった。
「それが、マクミランがドラコに今度その子と会って話してやってくれって頼んだんだけど、ドラコったら頷いていたの」
パンジーもルニーも再び心配そうにフォーラの方を見たが、視線を受けた彼女は眉尻を下げて笑った。
「私には何も言う権利がないわ。」
それを聞いたパンジーとルニーは互いに顔を見合わせたのだった。
((ドラコ、まさかオーケーしないわよね……?))
さて、辺りがすっかり暗くなり列車が目的地に近付いてきた頃、パンジーは監督生の仕事をする為にフォーラたちと別れた。
「それにしても、今日は珍しく来客が多かったわね」ルニーがフォーラに話を振った。
「そうね。それに何故だか分からないけれど、みんな第一声がドラコに関する質問だったわ。」
例年になく今日はコンパートメントにちらほらと男子生徒が尋ねてきた。スリザリン生の先輩や後輩が比較的多かったが、中には何度か話したことのある別の寮の生徒もやってきた。
そして彼らは大抵「マルフォイは?」と彼女たちに問いかけ、女性陣から「今日は別の所よ。それがどうしたの?」と尋ねられると「何でもない」と笑顔を返して暫くその場に留まり、別の話題を振ってきたのだ。
「みんな、ドラコに会いに来たみたいだったわね?」フォーラがルニーに尋ねた。
「あーンン……多分、そこまで会いたくはなかったんじゃない?」
ルニーはあえてフォーラの問いにそれ以上深く踏み込むのは控えたのだった。
それから暫く後、列車が徐々に速度を落とし始め、次第に森の奥から見慣れた城が現れた。城の窓からは松明や蝋燭の灯りが輝いていて、何度見ても幻想的だった。そうして列車がホグズミード駅に辿り着くとホームは生徒たちで一杯になった。フォーラはルニーと共に人と荷物でごった返す中を何とか進んでいった。辺りからちらほらと一年生を誘導する生徒の声が聞こえた。
すると、先程彼女たちのコンパートメントを訪れていた別の寮の男子生徒二人が、彼女たちを見つけて声を掛けてきた。彼らとは一部の授業を同じ時間に受けていたこともあり、流れで一緒にホグワーツ行きの馬車に乗り込んだ。
フォーラは今までずっと男子生徒であればドラコや、他にはクラッブにゴイルと同乗してきただけに、この状況に少々落ち着かなかった。彼女はしきりに話しかけてくれる男子生徒に合わせて相槌を打ちながら、馬車道を進んでいったのだった。
ところでドラコは監督生として一年生を誘導している間、フォーラが男子生徒と共に馬車に乗り込むところを偶然目に入れていた。パンジーはドラコが一点を見つめていることに気付いて「どうしたの?」と声を掛けたが、彼は「何でもない」と返答して元の仕事に戻ったのだった。
それから暫くしてフォーラは城の大広間に辿り着いた。空を模した天井は星もなく真っ暗で、テーブルに沿って浮かぶ蝋燭は大広間に点在するゴーストや生徒たちの顔を照らしていた。フォーラはスリザリンの寮テーブルに向かって歩きながら周囲の話し声を耳に入れる中で、教職員テーブルに幾つかの変化が起こっていることを知った。
パンジーの発言に今度はルニーが続いた。
「とはいえ、フォーラがドラコのことでこんなに悩んでるって彼が知ったら、どんなに喜んだかしら。フォーラ、本当にそれくらい自信持っていいんだからね?」
ルニーが微笑み、パンジーはフォーラを自分の方へ抱き寄せた。フォーラは彼女たちの優しさと、自分が真実を話せない歯痒さに胸を痛めた。
「ありがとう。」フォーラは静かに呟くと、パンジーの腕の中で一筋だけ涙を流した。そしていつの日かドラコに対してだけでなく、目の前の二人にも本当の自分について打ち明けなければと誓ったのだった。
それから少ししてフォーラの様子が落ち着くと、パンジーが切り出した。
「ところで、さっきの話なんだけど……」
「さっきって、どれのこと?」ルニーの問いに、パンジーは言いにくそうに何度か視線をうろつかせ、その後で二人を交互に見た。
「えっと、ドラコが他の誰かと付き合ってもいいのか、って話」
フォーラとルニーが二人揃って首を傾げると、パンジーは悩ましそうに続けた。
「今朝、新監督生のコンパートメントで―――ハッフルパフのアーニー・マクミランっているでしょう?彼の友人の女子生徒が、ドラコにどうしても告白したいんですって」
それを聞いてフォーラもルニーも驚いたが、瞬発的に声を発したのはルニーの方だった。
「え!?告白って、ドラコのいる場でそんな話になったの?」
「そうなのよ。それでその相手っていうのが、どうやら去年ドラコがダンスパーティーでペアになったレイブンクローの子みたいなのよね……」
フォーラはそのレイブンクロー生の顔をよく覚えていた。何せダンスパーティーの時はドラコの隣で嬉しそうにしていたし、その前のダンス練習の時だって、ドラコとフォーラがお手本で踊った時には彼のことを乙女の眼差しで見つめ、褒めている声が漏れ聞こえていた。
ルニーは一度心配そうにフォーラの方を見た後で「でも」と切り出した。
「あのドラコが、あのフォーラにゾッコンのドラコがよ?二つ返事をその子に返すかしら?きっと無駄よ」
ルニーはそう言い放ったが、パンジーの表情は曇ったままだった。
「それが、マクミランがドラコに今度その子と会って話してやってくれって頼んだんだけど、ドラコったら頷いていたの」
パンジーもルニーも再び心配そうにフォーラの方を見たが、視線を受けた彼女は眉尻を下げて笑った。
「私には何も言う権利がないわ。」
それを聞いたパンジーとルニーは互いに顔を見合わせたのだった。
((ドラコ、まさかオーケーしないわよね……?))
さて、辺りがすっかり暗くなり列車が目的地に近付いてきた頃、パンジーは監督生の仕事をする為にフォーラたちと別れた。
「それにしても、今日は珍しく来客が多かったわね」ルニーがフォーラに話を振った。
「そうね。それに何故だか分からないけれど、みんな第一声がドラコに関する質問だったわ。」
例年になく今日はコンパートメントにちらほらと男子生徒が尋ねてきた。スリザリン生の先輩や後輩が比較的多かったが、中には何度か話したことのある別の寮の生徒もやってきた。
そして彼らは大抵「マルフォイは?」と彼女たちに問いかけ、女性陣から「今日は別の所よ。それがどうしたの?」と尋ねられると「何でもない」と笑顔を返して暫くその場に留まり、別の話題を振ってきたのだ。
「みんな、ドラコに会いに来たみたいだったわね?」フォーラがルニーに尋ねた。
「あーンン……多分、そこまで会いたくはなかったんじゃない?」
ルニーはあえてフォーラの問いにそれ以上深く踏み込むのは控えたのだった。
それから暫く後、列車が徐々に速度を落とし始め、次第に森の奥から見慣れた城が現れた。城の窓からは松明や蝋燭の灯りが輝いていて、何度見ても幻想的だった。そうして列車がホグズミード駅に辿り着くとホームは生徒たちで一杯になった。フォーラはルニーと共に人と荷物でごった返す中を何とか進んでいった。辺りからちらほらと一年生を誘導する生徒の声が聞こえた。
すると、先程彼女たちのコンパートメントを訪れていた別の寮の男子生徒二人が、彼女たちを見つけて声を掛けてきた。彼らとは一部の授業を同じ時間に受けていたこともあり、流れで一緒にホグワーツ行きの馬車に乗り込んだ。
フォーラは今までずっと男子生徒であればドラコや、他にはクラッブにゴイルと同乗してきただけに、この状況に少々落ち着かなかった。彼女はしきりに話しかけてくれる男子生徒に合わせて相槌を打ちながら、馬車道を進んでいったのだった。
ところでドラコは監督生として一年生を誘導している間、フォーラが男子生徒と共に馬車に乗り込むところを偶然目に入れていた。パンジーはドラコが一点を見つめていることに気付いて「どうしたの?」と声を掛けたが、彼は「何でもない」と返答して元の仕事に戻ったのだった。
それから暫くしてフォーラは城の大広間に辿り着いた。空を模した天井は星もなく真っ暗で、テーブルに沿って浮かぶ蝋燭は大広間に点在するゴーストや生徒たちの顔を照らしていた。フォーラはスリザリンの寮テーブルに向かって歩きながら周囲の話し声を耳に入れる中で、教職員テーブルに幾つかの変化が起こっていることを知った。