8. いつもと違う日
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ところで列車が動き出す少し前、ドラコはフォーラと別れたすぐ後に先頭車両に向かいながら、自身の頭の中から彼女を追い出したところだった。
(さっきは単純に、列車の入り口に人がいたから驚いただけだ。それがフォーラだったからってわけじゃない。監督生のことだって彼女に褒められて悪い気はしなかったが、別に誰に言われても同じように感じただろう。それに今の僕からすれば、彼女と話しても何のメリットもない)
それからドラコは先頭車両のボックス席に到着し、そこでパンジーや他の新しい五学年の監督生と合流した。どうやらグリフィンドールの新監督生はまだ揃っていないようだ。パンジーはドラコに挨拶するや否や、ニヤニヤと笑みを向けながら小声で彼に耳打ちした。
「ドラコ、女子の監督生はフォーラがよかったんじゃない?」
ドラコは一瞬喉元まで焦りの言葉が出そうになったが、すぐにそれを呑み込むと至って冷静に否定した。
「そんなわけないだろう。それに、彼女のことは何とも思ってない」ドラコが小声で返答した。
「ふうん?そんなに強がらなくてもいいのに。『彼女』はきっと寂しがっていると思うけど」パンジーは相変わらず笑みを絶やさなかったが、今度はすっかり耳打ちすることを忘れていた。
「馬鹿、声が大きいぞ」
ドラコは近くに座っている新監督生たちに話しを聞かれていないか気になって、無意識のうちに視線をサッと周囲に向けた。すると案の定、正面に座っているハッフルパフのアーニー・マクミランという男子生徒と目が合った。
「マルフォイ、『彼女』ってもしかしてフォーラ・ファントムのこと?君たちは付き合っていると思っていたけど、その認識で間違いないかい?」
「はあ!?何でそんな……」ドラコは頭の中がカアッと熱くなりかけたが、すぐに我に返って落ち着きを取り戻した。
「まったく。そんな出まかせ、一体誰から聞いたんだか」
「なあんだ、ただの噂話か。でも『何とも思ってない』っていうのは流石に嘘だろう?だって君の顔に書いてあるじゃないか?」
アーニーが鎌をかけているのが透けて見え、それに腹を立てたドラコは彼をキッと睨むとゆっくり唱えた。
「嘘じゃない」
するとそれを聞いたアーニーは怯むどころかたちまち明るい笑顔を見せたではないか。これにはドラコも、彼の隣のパンジーも少々面食らった。
「いやいや、それならよかった!実はさ……」
さて、キングス・クロス駅を離れたホグワーツ特急はもう随分と速度を上げ、通路では昼食のワゴン販売が行われ始めた。その頃のフォーラはルニーと夏休みの思い出話に花を咲かせていた。とはいえフォーラは殆ど聞き役に徹しており、自身のことを話す際はルニーに申し訳ないと思いながらも、随分昔に訪れた観光地をあたかもこの夏の旅行先であるかのように軽く話して聞かせた。
以前のフォーラなら友人に嘘をつくことを相当躊躇ったし、何なら嘘を話した後には何度も罪悪感に悩まされていた。しかし今は絶対に不死鳥の騎士団のことを話すわけにはいかなかった。そう思うと後ろめたさこそあれ、彼女はまだ何とか堂々としていられた。ブラック邸で過ごした時間が、彼女を些細な面も含めて確実に強くしていたのだ。
ワゴン販売が通り過ぎて少し経った頃、不意にフォーラとルニーのいるコンパートメントの扉をノックする音が聞こえた。二人がそちらを見やると、扉のガラス越しに笑顔で手を振るパンジーと、その隣にはいつもより何処か表情の硬いドラコの姿があった。するとパンジーがコンパートメントの引き戸を開けて中に入ってきた。
「フォーラ、久しぶり!ルニーはさっきぶりね。やっと集会から解放されたんだけど、グリフィンドールの監督生ったら誰だったと思う?まさかのウィーズリーよ……あれ?ドラコ?中に入らないの?」
パンジーが振り返ると、ドラコは首を横に振った。
「クラッブとゴイルを探す。セオドールも何処かにいるかもしれない。パーキンソン、また後で指定の時間に会おう」
そう言ってドラコがコンパートメントを後にしようとした時、彼とフォーラの視線がパチリと合った。フォーラは彼に声を掛けようとしたが、それをする前にドラコは視線を逸らして去っていってしまった。その場に残った三人は彼の消えた方向を視線で軽く追い、程なくしてパンジーとルニーが疑問を顔に浮かべながらフォーラの方を振り向いた。二人からの視線を受けたフォーラは彼女たちを交互に見た後、力なく笑った。
「パンジー、監督生おめでとう。」
「ええありがとう……って、それより!ドラコのあれ、どうしちゃったの?いつもならフォーラがいれば喜んで転がり込んでくるのに」
「ホントよ。そういえば夏休み直前のロンドンに向かう帰りの列車でも、ドラコは私たちの所には来ずにセオドールと一緒だったわね。もしかしてだけど、フォーラ、ドラコと何かあった?」
「私もそうじゃないかと思っていたんだけど、どうなの?」
パンジーがフォーラの隣に腰掛けながら尋ね、ルニーは正面のフォーラの方に身を乗り出した。フォーラはドラコとの出来事を二人には話しておかなければならないと考えていたため、意を決して口を開いた。
「あのね、実は私……。この間の学年終わり、ホグワーツからロンドンへ向かう前日に、その……。ドラコに好きだって言われたの。」
ルニーもパンジーも突然の事に少しの間だけ瞳をパチクリさせていたが、次第にたった今何を言われたのか理解するや否や、心の底から驚きの反応を示した。
「えっ、ええ!?初耳だわ!どうしてそんな大事なことを―――ううん、それよりも!フォーラは何と答えたの!?」
パンジーの質問に、フォーラは一呼吸置いてから回答した。
「私……彼の気持ちに応えられなくて、幼馴染のままがいいって伝えたの。」
「そんな。私たち、てっきりフォーラもドラコのことが恋愛感情ありきで好きなんだと思ってたから……。フォーラはドラコじゃ駄目なの?」ルニーが尋ねた。フォーラはそのような質問が飛んでくるであろうことを勿論予想していた。
「駄目じゃないわ。全然、寧ろとっても嬉しかった。胸が痛いくらい……。でも、でもね。私、どうしても今の関係を壊すのが怖かったの。だって私たちは本当に長い間ずっと幼馴染だったから。それで、あの時はどうすればいいか本当に分からなくなってしまって……。」
(さっきは単純に、列車の入り口に人がいたから驚いただけだ。それがフォーラだったからってわけじゃない。監督生のことだって彼女に褒められて悪い気はしなかったが、別に誰に言われても同じように感じただろう。それに今の僕からすれば、彼女と話しても何のメリットもない)
それからドラコは先頭車両のボックス席に到着し、そこでパンジーや他の新しい五学年の監督生と合流した。どうやらグリフィンドールの新監督生はまだ揃っていないようだ。パンジーはドラコに挨拶するや否や、ニヤニヤと笑みを向けながら小声で彼に耳打ちした。
「ドラコ、女子の監督生はフォーラがよかったんじゃない?」
ドラコは一瞬喉元まで焦りの言葉が出そうになったが、すぐにそれを呑み込むと至って冷静に否定した。
「そんなわけないだろう。それに、彼女のことは何とも思ってない」ドラコが小声で返答した。
「ふうん?そんなに強がらなくてもいいのに。『彼女』はきっと寂しがっていると思うけど」パンジーは相変わらず笑みを絶やさなかったが、今度はすっかり耳打ちすることを忘れていた。
「馬鹿、声が大きいぞ」
ドラコは近くに座っている新監督生たちに話しを聞かれていないか気になって、無意識のうちに視線をサッと周囲に向けた。すると案の定、正面に座っているハッフルパフのアーニー・マクミランという男子生徒と目が合った。
「マルフォイ、『彼女』ってもしかしてフォーラ・ファントムのこと?君たちは付き合っていると思っていたけど、その認識で間違いないかい?」
「はあ!?何でそんな……」ドラコは頭の中がカアッと熱くなりかけたが、すぐに我に返って落ち着きを取り戻した。
「まったく。そんな出まかせ、一体誰から聞いたんだか」
「なあんだ、ただの噂話か。でも『何とも思ってない』っていうのは流石に嘘だろう?だって君の顔に書いてあるじゃないか?」
アーニーが鎌をかけているのが透けて見え、それに腹を立てたドラコは彼をキッと睨むとゆっくり唱えた。
「嘘じゃない」
するとそれを聞いたアーニーは怯むどころかたちまち明るい笑顔を見せたではないか。これにはドラコも、彼の隣のパンジーも少々面食らった。
「いやいや、それならよかった!実はさ……」
さて、キングス・クロス駅を離れたホグワーツ特急はもう随分と速度を上げ、通路では昼食のワゴン販売が行われ始めた。その頃のフォーラはルニーと夏休みの思い出話に花を咲かせていた。とはいえフォーラは殆ど聞き役に徹しており、自身のことを話す際はルニーに申し訳ないと思いながらも、随分昔に訪れた観光地をあたかもこの夏の旅行先であるかのように軽く話して聞かせた。
以前のフォーラなら友人に嘘をつくことを相当躊躇ったし、何なら嘘を話した後には何度も罪悪感に悩まされていた。しかし今は絶対に不死鳥の騎士団のことを話すわけにはいかなかった。そう思うと後ろめたさこそあれ、彼女はまだ何とか堂々としていられた。ブラック邸で過ごした時間が、彼女を些細な面も含めて確実に強くしていたのだ。
ワゴン販売が通り過ぎて少し経った頃、不意にフォーラとルニーのいるコンパートメントの扉をノックする音が聞こえた。二人がそちらを見やると、扉のガラス越しに笑顔で手を振るパンジーと、その隣にはいつもより何処か表情の硬いドラコの姿があった。するとパンジーがコンパートメントの引き戸を開けて中に入ってきた。
「フォーラ、久しぶり!ルニーはさっきぶりね。やっと集会から解放されたんだけど、グリフィンドールの監督生ったら誰だったと思う?まさかのウィーズリーよ……あれ?ドラコ?中に入らないの?」
パンジーが振り返ると、ドラコは首を横に振った。
「クラッブとゴイルを探す。セオドールも何処かにいるかもしれない。パーキンソン、また後で指定の時間に会おう」
そう言ってドラコがコンパートメントを後にしようとした時、彼とフォーラの視線がパチリと合った。フォーラは彼に声を掛けようとしたが、それをする前にドラコは視線を逸らして去っていってしまった。その場に残った三人は彼の消えた方向を視線で軽く追い、程なくしてパンジーとルニーが疑問を顔に浮かべながらフォーラの方を振り向いた。二人からの視線を受けたフォーラは彼女たちを交互に見た後、力なく笑った。
「パンジー、監督生おめでとう。」
「ええありがとう……って、それより!ドラコのあれ、どうしちゃったの?いつもならフォーラがいれば喜んで転がり込んでくるのに」
「ホントよ。そういえば夏休み直前のロンドンに向かう帰りの列車でも、ドラコは私たちの所には来ずにセオドールと一緒だったわね。もしかしてだけど、フォーラ、ドラコと何かあった?」
「私もそうじゃないかと思っていたんだけど、どうなの?」
パンジーがフォーラの隣に腰掛けながら尋ね、ルニーは正面のフォーラの方に身を乗り出した。フォーラはドラコとの出来事を二人には話しておかなければならないと考えていたため、意を決して口を開いた。
「あのね、実は私……。この間の学年終わり、ホグワーツからロンドンへ向かう前日に、その……。ドラコに好きだって言われたの。」
ルニーもパンジーも突然の事に少しの間だけ瞳をパチクリさせていたが、次第にたった今何を言われたのか理解するや否や、心の底から驚きの反応を示した。
「えっ、ええ!?初耳だわ!どうしてそんな大事なことを―――ううん、それよりも!フォーラは何と答えたの!?」
パンジーの質問に、フォーラは一呼吸置いてから回答した。
「私……彼の気持ちに応えられなくて、幼馴染のままがいいって伝えたの。」
「そんな。私たち、てっきりフォーラもドラコのことが恋愛感情ありきで好きなんだと思ってたから……。フォーラはドラコじゃ駄目なの?」ルニーが尋ねた。フォーラはそのような質問が飛んでくるであろうことを勿論予想していた。
「駄目じゃないわ。全然、寧ろとっても嬉しかった。胸が痛いくらい……。でも、でもね。私、どうしても今の関係を壊すのが怖かったの。だって私たちは本当に長い間ずっと幼馴染だったから。それで、あの時はどうすればいいか本当に分からなくなってしまって……。」