8. いつもと違う日
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「!ドラコ、久しぶり……。」
ドラコはフォーラがまだこの場に留まっているとは思わなかったようで、不意を突かれた表情で「ああ」と相槌を打った。そして彼女の前を通り過ぎ、先頭車両へ向かおうとした。
「あっ、あの、私これからコンパートメントを探すの。ドラコは?」
フォーラはそんなドラコに勇気を出して声を掛けた。すると彼は落ち着き払って振り返り、自身のポケットから何か小さな物を取り出して彼女に見せた。
「これは、」
「監督生バッジだ。監督生はみんな前方の車両に行くことになっている。スリザリンの女子はてっきり君が監督生だと思っていたが、違ったんだな」
「ええ、きっと別の誰かだわ。それにしてもドラコ、監督生になったのね。本当に凄いわ、おめでとう。」
フォーラは緊張していたが、至って冷静にいつもどおりの笑顔を見せた。しかし一方のドラコは表情を変えずに彼女から視線を外すと「ああ。ありがとう」と一言だけ伝え、そのまま目的の方向へ去ってしまったのだった。
「……ドラコ……」
彼がいなくなった後でフォーラはポツリとその名前を呟いた。つい数ヶ月前に想いを告げてくれた彼の気持ちを踏みにじったのは自分自身なのだから、あんな風に距離を置かれることは何ら不思議ではないだろう。とはいえ、実際に彼と顔を合わせるまではどんなリアクションが返ってくるのか予想がつかなかった分、彼女は本当は心のどこかで、彼と再会しても今までどおり接してくれるかもしれないと期待していた。
(ドラコが久しぶりに会っても一つも笑顔も見せないなんて、今まで一度もなかったことだわ。ドラコは、もう私にすっかり愛想を尽かしてしまったのかしら……)
フォーラは落ち込んではいたが、一先ず姿の見えなくなったドラコとは逆方向の車両へ進み、空のコンパートメントを探すことにした。すると彼女は背後からの聞き慣れた声と共に肩を軽く叩かれた。
「フォーラ!」
「え、あっ、ルニー!」
フォーラは振り返った先に同じ寮の親友がいたことでパッと笑顔になると、先程の落ち込みを完全に頭の隅に追いやって挨拶した。
「会えてよかった。ルニーやパンジーが何処にいるか探そうと思っていたの。」
「なら丁度良かった。このまま一緒にコンパートメントを探しに行きましょ」
そうして数分後、フォーラはブロンドヘアのルニーと共に手近なコンパートメントを見つけると、中に入って一息ついた。するとルニーがコンパートメントの窓を開けながら話し始めた。
「パンジーだけど、私、フォーラに出会う前に偶然彼女に会ったの。監督生になったんですって!びっくりしちゃった」
「まあ、そうだったのね。私もさっきドラコに会ったわ。男子は彼が監督生だったの。」
「やっぱりね!でも女子はちょっと意外だったわ。てっきりフォーラがやるのかと思ってたから」
ドラコやルニーが言うように、もしかしたら自分が監督生になることもあり得たかもしれない。しかしフォーラにはそうならなかった理由が何となく分かった。恐らくだが不死鳥の騎士団のこともあって、寮監のスネイプが自分をドラコに近付けすぎないよう配慮した可能性がある。フォーラはまさかそのように思ったとはルニーに打ち明けられる筈もなく、一先ず返答した。
「今年から監督生が選ばれること、ドラコからバッジを見せてもらうまですっかり忘れていたわ。パンジーがこれから忙しいと思うと、何だか少し寂しいわね。」
すると、ルニーが何やら意味深な様子でこちらをじっと見てきたではないか。フォーラが首を傾げてどうしたのか尋ねると、ルニーは微かにニヤッと笑った。
「ううん?ただ、いなくて寂しいのはパンジーだけかと思って」
フォーラはそれを聞いてルニーの言いたいことを察した。実のところ、フォーラはこれまでパンジーとルニーに対して、自分がドラコのことを好きだと一度もきちんと打ち明けてこなかった。タイミングを逃していただけで他意はなかったが、フォーラは学年末の最後の夜のことを話すなら、きっと今だろうと思った。
「えっと……、確かにドラコに関しても寂しいわ。でも、今はそれでいいと思っているの。」
どうしたのかと訝るルニーに、フォーラは意を決して言葉を続けようとした。するとその時、列車の汽笛がホームに鳴り響いた。二人して目を合わせると、自然とその視線は車窓越しに見送りに来ているホームの人だかりの方へと向いた。そうして列車がゆっくり動き始めると、何やら進行方向の車両から生徒たちの楽しそうな声が風に乗って漏れ聞こえてきた。列車が速度を上げていくとすぐにその原因が明らかになった。
「わあ、あのワンちゃん、誰の子かしら?ご主人と離れるのが寂しいのね」
そう発言したルニーの瞳が捉えていたのは、列車を追いかけようとしてホームを懸命に走る、大きくて黒い一匹の犬だった。
「えっ……!?」
それは紛れもなくシリウス・ブラックがアニメーガスに変身した姿だった。彼は列車に追い抜かされながらも走り続けていたが、列車がとうとうホームを離れるとその切れ目で立ち止まり、去りゆく列車を見送ったのだった。
「可愛かったわね」ルニーが何気なくそう言って座り直したのを合図に、フォーラは内心ヒヤヒヤヒヤしつつも何とか話題を変えた。
「そうね、本当に……。ねえ、そういえば!ルニーは夏休みをどう過ごしていたの?」
ドラコはフォーラがまだこの場に留まっているとは思わなかったようで、不意を突かれた表情で「ああ」と相槌を打った。そして彼女の前を通り過ぎ、先頭車両へ向かおうとした。
「あっ、あの、私これからコンパートメントを探すの。ドラコは?」
フォーラはそんなドラコに勇気を出して声を掛けた。すると彼は落ち着き払って振り返り、自身のポケットから何か小さな物を取り出して彼女に見せた。
「これは、」
「監督生バッジだ。監督生はみんな前方の車両に行くことになっている。スリザリンの女子はてっきり君が監督生だと思っていたが、違ったんだな」
「ええ、きっと別の誰かだわ。それにしてもドラコ、監督生になったのね。本当に凄いわ、おめでとう。」
フォーラは緊張していたが、至って冷静にいつもどおりの笑顔を見せた。しかし一方のドラコは表情を変えずに彼女から視線を外すと「ああ。ありがとう」と一言だけ伝え、そのまま目的の方向へ去ってしまったのだった。
「……ドラコ……」
彼がいなくなった後でフォーラはポツリとその名前を呟いた。つい数ヶ月前に想いを告げてくれた彼の気持ちを踏みにじったのは自分自身なのだから、あんな風に距離を置かれることは何ら不思議ではないだろう。とはいえ、実際に彼と顔を合わせるまではどんなリアクションが返ってくるのか予想がつかなかった分、彼女は本当は心のどこかで、彼と再会しても今までどおり接してくれるかもしれないと期待していた。
(ドラコが久しぶりに会っても一つも笑顔も見せないなんて、今まで一度もなかったことだわ。ドラコは、もう私にすっかり愛想を尽かしてしまったのかしら……)
フォーラは落ち込んではいたが、一先ず姿の見えなくなったドラコとは逆方向の車両へ進み、空のコンパートメントを探すことにした。すると彼女は背後からの聞き慣れた声と共に肩を軽く叩かれた。
「フォーラ!」
「え、あっ、ルニー!」
フォーラは振り返った先に同じ寮の親友がいたことでパッと笑顔になると、先程の落ち込みを完全に頭の隅に追いやって挨拶した。
「会えてよかった。ルニーやパンジーが何処にいるか探そうと思っていたの。」
「なら丁度良かった。このまま一緒にコンパートメントを探しに行きましょ」
そうして数分後、フォーラはブロンドヘアのルニーと共に手近なコンパートメントを見つけると、中に入って一息ついた。するとルニーがコンパートメントの窓を開けながら話し始めた。
「パンジーだけど、私、フォーラに出会う前に偶然彼女に会ったの。監督生になったんですって!びっくりしちゃった」
「まあ、そうだったのね。私もさっきドラコに会ったわ。男子は彼が監督生だったの。」
「やっぱりね!でも女子はちょっと意外だったわ。てっきりフォーラがやるのかと思ってたから」
ドラコやルニーが言うように、もしかしたら自分が監督生になることもあり得たかもしれない。しかしフォーラにはそうならなかった理由が何となく分かった。恐らくだが不死鳥の騎士団のこともあって、寮監のスネイプが自分をドラコに近付けすぎないよう配慮した可能性がある。フォーラはまさかそのように思ったとはルニーに打ち明けられる筈もなく、一先ず返答した。
「今年から監督生が選ばれること、ドラコからバッジを見せてもらうまですっかり忘れていたわ。パンジーがこれから忙しいと思うと、何だか少し寂しいわね。」
すると、ルニーが何やら意味深な様子でこちらをじっと見てきたではないか。フォーラが首を傾げてどうしたのか尋ねると、ルニーは微かにニヤッと笑った。
「ううん?ただ、いなくて寂しいのはパンジーだけかと思って」
フォーラはそれを聞いてルニーの言いたいことを察した。実のところ、フォーラはこれまでパンジーとルニーに対して、自分がドラコのことを好きだと一度もきちんと打ち明けてこなかった。タイミングを逃していただけで他意はなかったが、フォーラは学年末の最後の夜のことを話すなら、きっと今だろうと思った。
「えっと……、確かにドラコに関しても寂しいわ。でも、今はそれでいいと思っているの。」
どうしたのかと訝るルニーに、フォーラは意を決して言葉を続けようとした。するとその時、列車の汽笛がホームに鳴り響いた。二人して目を合わせると、自然とその視線は車窓越しに見送りに来ているホームの人だかりの方へと向いた。そうして列車がゆっくり動き始めると、何やら進行方向の車両から生徒たちの楽しそうな声が風に乗って漏れ聞こえてきた。列車が速度を上げていくとすぐにその原因が明らかになった。
「わあ、あのワンちゃん、誰の子かしら?ご主人と離れるのが寂しいのね」
そう発言したルニーの瞳が捉えていたのは、列車を追いかけようとしてホームを懸命に走る、大きくて黒い一匹の犬だった。
「えっ……!?」
それは紛れもなくシリウス・ブラックがアニメーガスに変身した姿だった。彼は列車に追い抜かされながらも走り続けていたが、列車がとうとうホームを離れるとその切れ目で立ち止まり、去りゆく列車を見送ったのだった。
「可愛かったわね」ルニーが何気なくそう言って座り直したのを合図に、フォーラは内心ヒヤヒヤヒヤしつつも何とか話題を変えた。
「そうね、本当に……。ねえ、そういえば!ルニーは夏休みをどう過ごしていたの?」