7. 前進
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その翌日、フォーラの両親は朝から彼女を迎えにブラック邸までやってきた。
「「フォーラ!」」
モリーに促されたフォーラの両親は食堂に入るや否や、娘の姿を視界に捉えてその名を呼んだ。フォーラは久し振りに見た両親の声にパッと振り返ると、勢いよく椅子から立ち上がって二人の元へ駆けていき、そのまま二人の腕の中に飛び込んだ。彼女の友人たちはその光景を温かく見守った。
「父様、母様、会いたかったわ。」
フォーラからその言葉を聞けて、二人とも目を潤ませながら娘をぎゅっと抱き締めた。シェードが震える声で言った。
「フォーラ、すまなかった。もう戻ってきてくれないのではと、何度もそんなことを考えていた」父の腕に一層力が入った。リプトニアも涙を流して声を発した。
「良かった、本当に……。フォーラ、長い間会いにきてあげられなくてごめんなさい。私たち、あなたにどうしてあげればいいのか分からなくなって……。会うのが怖かったの。フォーラがいない間、毎日あなたのことばかり想っていたわ。毎日毎日……」
すると今度はフォーラが口を開いた。彼女の瞳にも涙が浮かんでいたが、その瞳はしっかりと両親を見据えていた。
「……正直二人のこと、沢山恨んだりもしたわ。それに、実はまだ怒っていることがあるの。」
二人ともそれを聞いて不安げな様子が増していたし、周囲も固唾を吞んで一家を見守った。フォーラはほんの少しの間だけ発言を躊躇って黙っていたが、そのうちに意を決した。
「どうして、ずっと私の故郷を捜してくれていたことを直接教えてくれなかったの?それに、ウェールズへ行こうって、どうして直接私に言ってくれなかったの?手紙じゃなくて、直接教えてほしいの。」
二人は娘が今回の件でそんな風に真っすぐ自分たちに強い怒りをぶつけてくる姿を殆ど初めて見た。今までのフォーラは自身の中に生まれに関する不安を溜め込んで、それを両親に対してさらけ出すことがなかったのだ。そんな彼女を二人はしっかりと見つめ返し、そしてシェードが言葉を発した。
「フォーラ……そのことは、本当にすまなかった。勿論、私たちの手でフォーラの生まれた町に自ら連れていきたいと心から望んでいたし、故郷を捜していたことも伝えようと思っていた。そうしなかったのを、今になってとっても後悔しているよ。私たちは、直前になって怖気づいてしまったんだ。フォーラはきっと私たちに会いたくないだろうと勝手に考えて、これ以上傷つけるのを怖がって……それでリーマスを頼ってしまったんだ」
その後にリプトニアが続いた。
「フォーラがそんな風に思ってくれていたと、もっと早く気付けていたら……。いいえ、あなたに向き合うのを恐れて、知ろうともしていなかったのよね。娘にどうしてやればいいか分からないなんて、親失格だわ。フォーラ……あなたの気持ちを考えもせずに行かせてしまって、本当にごめんなさい」
こんなに互いを想い合っているのに、こんなにも気持ちがすれ違ってしまっていたなんて。フォーラは少しの間二人をじっと見つめた。両親も周囲の人たちも、彼女の言葉を待っていた。するとフォーラがみんなの予想に反して、目に涙を溜めた状態で柔らかな笑顔を見せたものだから、これには全員随分驚いてしまった。
「私も……二人がどれだけ私のことを想っているかなんて、知ろうともしていなかった。私もどうすればいいか分からなかったんだもの。私たち、同じだったんだわ。だからもういいの。私、さっきはあんな質問をしたけれど、でも、本当はそんなことがどうでもよくなってしまうくらい二人が大好きって、自分でもう知っているの。ここにいるみんなと過ごして、それが分かったのよ。」
フォーラが振り返ると、両親もその先を見やった。そこにはこちらを優しく見守るみんなの姿があった。フォーラは視線の先の彼らに笑いかけた後、改めて両親に向き直ろうとした。すると彼女が二人をはっきり視界に捉らえる前に、両親は再び彼女を抱擁した。互いに和解できた喜びを分かち合う姿に、フォーラだけでなく周囲のみんなも思わず嬉しくなった。そしてフォーラと彼女の両親は、娘を支えてくれた友人たちや騎士団のメンバーに何度も何度もお礼の言葉を伝えたのだった。
それから小一時間後、ファントム家の三人は例のタペストリーが飾られている客間へと入った。ここへ来るまでにフォーラの両親は娘からタペストリーに関する説明を受けていたが、それでもいざ目の前にしてみると、その圧倒的存在感に随分と驚いていた。
「シリウスさんから、二人の名前を焼くように言われているの。」フォーラは彼らにシリウスから預かった葉巻とライターを見せた後、続けて尋ねた。
「私、ここに来たばかりの時は、二人と血が繋がっていないことや、自分が純血でないことをとっても気にしていたわ。でも、二人がどれだけ今まで私を大切に育ててくれていたか、この館で沢山思い出せたの。……私、本当に二人の娘でいいのよね?これまでも、これからも……。」
どこか不安げな様子のフォーラに、二人は優しく微笑んだ。
「勿論だとも」
「いつだって想っているわ。逆に私たちも、これからもフォーラの親でいていいかしら?」
彼らの心からの言葉に、フォーラは先程までの不安をすっかり消し去り、素直な笑顔で頷いた。そしてシェードがタペストリーに残った自身と妻の名前を焼き潰すと、三人とも互いに顔を見合わせた。この時、三人はようやく本当の意味で家族となったのだ。
「ねえ、父様、母様。」二人を呼んだフォーラは今や、自身がマグル生まれだと知る前以上に良い顔をしていた。
「私、家に帰ったら、屋敷のみんなと写真を撮りたいわ。去年マリアから、彼女が縫ったドレスを着ている私の写真が欲しいと言われていたのだけど、ホグワーツのダンスパーティーですっかりそのことを忘れていたの。だから、その代わりになればと思って!」
そしてその日の正午頃、三人はブラック邸のみんなに別れの挨拶を済ませ、館を後にした。フォーラはこの館で共に過ごしたメンバーからもらった沢山の思い出と、温かい気持ちを胸に、次へ進もうという決意を新たにしていた。
「必ずみんなで生き抜こう。私たちは勿論、我が家のみんなも、騎士団員も、それにドラコ君や、ルシウスにナルシッサもだ。誰も欠けさせない」
父のその言葉を聞いた時、フォーラはタペストリーに書かれていたドラコの名を自然と思い出した。今頃、ドラコはどうしているだろう。何か危ないことを聞いたり、自ら関わったりしていないだろうか?それに……彼はもうとっくに自分への想いを吹っ切ってしまっただろうか。自ら彼の告白を断っておいて今更だし、仮にまだ好きでいてくれたとしても、どうしようもない筈なのに。フォーラの頭の中をそんな矛盾が静かに過ぎ去っていったのだった。
「「フォーラ!」」
モリーに促されたフォーラの両親は食堂に入るや否や、娘の姿を視界に捉えてその名を呼んだ。フォーラは久し振りに見た両親の声にパッと振り返ると、勢いよく椅子から立ち上がって二人の元へ駆けていき、そのまま二人の腕の中に飛び込んだ。彼女の友人たちはその光景を温かく見守った。
「父様、母様、会いたかったわ。」
フォーラからその言葉を聞けて、二人とも目を潤ませながら娘をぎゅっと抱き締めた。シェードが震える声で言った。
「フォーラ、すまなかった。もう戻ってきてくれないのではと、何度もそんなことを考えていた」父の腕に一層力が入った。リプトニアも涙を流して声を発した。
「良かった、本当に……。フォーラ、長い間会いにきてあげられなくてごめんなさい。私たち、あなたにどうしてあげればいいのか分からなくなって……。会うのが怖かったの。フォーラがいない間、毎日あなたのことばかり想っていたわ。毎日毎日……」
すると今度はフォーラが口を開いた。彼女の瞳にも涙が浮かんでいたが、その瞳はしっかりと両親を見据えていた。
「……正直二人のこと、沢山恨んだりもしたわ。それに、実はまだ怒っていることがあるの。」
二人ともそれを聞いて不安げな様子が増していたし、周囲も固唾を吞んで一家を見守った。フォーラはほんの少しの間だけ発言を躊躇って黙っていたが、そのうちに意を決した。
「どうして、ずっと私の故郷を捜してくれていたことを直接教えてくれなかったの?それに、ウェールズへ行こうって、どうして直接私に言ってくれなかったの?手紙じゃなくて、直接教えてほしいの。」
二人は娘が今回の件でそんな風に真っすぐ自分たちに強い怒りをぶつけてくる姿を殆ど初めて見た。今までのフォーラは自身の中に生まれに関する不安を溜め込んで、それを両親に対してさらけ出すことがなかったのだ。そんな彼女を二人はしっかりと見つめ返し、そしてシェードが言葉を発した。
「フォーラ……そのことは、本当にすまなかった。勿論、私たちの手でフォーラの生まれた町に自ら連れていきたいと心から望んでいたし、故郷を捜していたことも伝えようと思っていた。そうしなかったのを、今になってとっても後悔しているよ。私たちは、直前になって怖気づいてしまったんだ。フォーラはきっと私たちに会いたくないだろうと勝手に考えて、これ以上傷つけるのを怖がって……それでリーマスを頼ってしまったんだ」
その後にリプトニアが続いた。
「フォーラがそんな風に思ってくれていたと、もっと早く気付けていたら……。いいえ、あなたに向き合うのを恐れて、知ろうともしていなかったのよね。娘にどうしてやればいいか分からないなんて、親失格だわ。フォーラ……あなたの気持ちを考えもせずに行かせてしまって、本当にごめんなさい」
こんなに互いを想い合っているのに、こんなにも気持ちがすれ違ってしまっていたなんて。フォーラは少しの間二人をじっと見つめた。両親も周囲の人たちも、彼女の言葉を待っていた。するとフォーラがみんなの予想に反して、目に涙を溜めた状態で柔らかな笑顔を見せたものだから、これには全員随分驚いてしまった。
「私も……二人がどれだけ私のことを想っているかなんて、知ろうともしていなかった。私もどうすればいいか分からなかったんだもの。私たち、同じだったんだわ。だからもういいの。私、さっきはあんな質問をしたけれど、でも、本当はそんなことがどうでもよくなってしまうくらい二人が大好きって、自分でもう知っているの。ここにいるみんなと過ごして、それが分かったのよ。」
フォーラが振り返ると、両親もその先を見やった。そこにはこちらを優しく見守るみんなの姿があった。フォーラは視線の先の彼らに笑いかけた後、改めて両親に向き直ろうとした。すると彼女が二人をはっきり視界に捉らえる前に、両親は再び彼女を抱擁した。互いに和解できた喜びを分かち合う姿に、フォーラだけでなく周囲のみんなも思わず嬉しくなった。そしてフォーラと彼女の両親は、娘を支えてくれた友人たちや騎士団のメンバーに何度も何度もお礼の言葉を伝えたのだった。
それから小一時間後、ファントム家の三人は例のタペストリーが飾られている客間へと入った。ここへ来るまでにフォーラの両親は娘からタペストリーに関する説明を受けていたが、それでもいざ目の前にしてみると、その圧倒的存在感に随分と驚いていた。
「シリウスさんから、二人の名前を焼くように言われているの。」フォーラは彼らにシリウスから預かった葉巻とライターを見せた後、続けて尋ねた。
「私、ここに来たばかりの時は、二人と血が繋がっていないことや、自分が純血でないことをとっても気にしていたわ。でも、二人がどれだけ今まで私を大切に育ててくれていたか、この館で沢山思い出せたの。……私、本当に二人の娘でいいのよね?これまでも、これからも……。」
どこか不安げな様子のフォーラに、二人は優しく微笑んだ。
「勿論だとも」
「いつだって想っているわ。逆に私たちも、これからもフォーラの親でいていいかしら?」
彼らの心からの言葉に、フォーラは先程までの不安をすっかり消し去り、素直な笑顔で頷いた。そしてシェードがタペストリーに残った自身と妻の名前を焼き潰すと、三人とも互いに顔を見合わせた。この時、三人はようやく本当の意味で家族となったのだ。
「ねえ、父様、母様。」二人を呼んだフォーラは今や、自身がマグル生まれだと知る前以上に良い顔をしていた。
「私、家に帰ったら、屋敷のみんなと写真を撮りたいわ。去年マリアから、彼女が縫ったドレスを着ている私の写真が欲しいと言われていたのだけど、ホグワーツのダンスパーティーですっかりそのことを忘れていたの。だから、その代わりになればと思って!」
そしてその日の正午頃、三人はブラック邸のみんなに別れの挨拶を済ませ、館を後にした。フォーラはこの館で共に過ごしたメンバーからもらった沢山の思い出と、温かい気持ちを胸に、次へ進もうという決意を新たにしていた。
「必ずみんなで生き抜こう。私たちは勿論、我が家のみんなも、騎士団員も、それにドラコ君や、ルシウスにナルシッサもだ。誰も欠けさせない」
父のその言葉を聞いた時、フォーラはタペストリーに書かれていたドラコの名を自然と思い出した。今頃、ドラコはどうしているだろう。何か危ないことを聞いたり、自ら関わったりしていないだろうか?それに……彼はもうとっくに自分への想いを吹っ切ってしまっただろうか。自ら彼の告白を断っておいて今更だし、仮にまだ好きでいてくれたとしても、どうしようもない筈なのに。フォーラの頭の中をそんな矛盾が静かに過ぎ去っていったのだった。