7. 前進
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
するとジョージは唐突にフォーラの頭をポンと撫でた後、脆い笑顔を見せた。
「俺の方こそ、ごめんな。そんな顔をさせたいわけじゃなかったんだ。急だったからびっくりしたよな」
謝るジョージにフォーラは大きく首を横に振った。彼女の瞳は真剣だった。
「わ……私、ジョージがいつも優しくしてくれて、本当に嬉しいの。沢山優しさをもらって、沢山励まされて……。それなのに私、貴方の気持ちに気付いていたのに、貴方が何も言わないことに甘えて知らないふりをしていたの。私は、本当はジョージの思っているような人じゃないのよ。狡くって、本当にごめんなさい……。」
ジョージはずっとフォーラが自分の気持ちに気付いていないだろうと考えていただけに、その言葉には少々驚かされた。しかし彼は『馬鹿だなあ』と微笑むと、優しく彼女の名前を呼んだ。
「いつから俺の気持ちに気付いてたんだ?」
「この間の冬の、ダンスパーティーの夜から……。」
「そうだったのか。あの時は確か俺、結構頑張って君にアプローチしてたけど、全然分かってもらえてないって思い込んでたんだ。分かってないのは俺の方だったのにな」ジョージは自嘲気味に笑うと続けた。
「寧ろ黙ってくれてて良かったよ。こうしてちゃんと積年の想いを伝えられたし。フォーラは狡くなんてなくて、ただ単に気を遣ってくれたんだよな。俺だって君の立場ならそうしたさ」
「ジョージ……」
「それに」
フォーラはジョージが一度言葉を切ったので小さく首を傾げた。一方の彼は、失恋しても彼女のこんな仕草一つすら可愛いと思うあたり、この想いは相当重症だと感じた。
「どうやら、一回振られたからってそう簡単には君を諦められそうにないみたいだ。だから、どうか俺にこれからも君を助けさせてくれないか。せめて、俺が君とホグワーツに居られる残り一年間だけでも、今までみたいに。どうかな」
窺うように尋ねるジョージに、フォーラははっきり伝えなければいけないと思った。今までのように自分にとって都合の悪いことから目を背けない。これは彼女がこの館に来て学んだことの一つだった。
フォーラはジョージへの罪悪感を強く覚えたが、なるべくそれを悟られないよう、優しく、柔らかい表情を向けた。
「私、ジョージのことは本当に素敵なお友達だと思っているから、この先も今までどおりでいられるのなら、私はそれが一番よ。だからきっと……私がドラコを想う限り、貴方の気持ちには応えられないと思う。それでも、いいのなら。」
ジョージはあわよくば、フォーラなら押しの弱さを覗かせるかもしれないと期待していた。しかし彼女がこんなにはっきりと言葉を伝えてきたことで、きっと自分と同じように彼女も相当勇気を出してこちらに向き合ってくれたのだと思った。こんなにも真っ直ぐ本音を伝えられたら、もう彼は強がるしかなかった。
「ああ、それでも構わない。フォーラ、ありがとう」
ジョージが脆い笑顔で感謝を述べると、フォーラも彼に優しく微笑み返したのだった。
ところで、ジョージには一つ気に掛かることがあった。それは彼が今こうして想いを告げる前からずっと頭の片隅に置いていたことだった。とはいえ、このタイミングでそれを尋ねるのは自ら自分の傷をえぐるようで、幾らか勇気が必要だった。
「そういえば、フォーラはあいつが……マルフォイが君をどう思ってるか、知ってるのか?」
フォーラは想定外の質問を受け、自分を想ってくれているジョージに教えていいものか迷ったが、正直に答えることにした。
「ええ、知っているわ。実は……ドラコが、学年末に私に好意を伝えてくれて。だけど私は生まれの件で悩んでいたりした時期だったから、彼にはただの幼馴染のままがいいとだけ伝えて、その好意を断ったの。それからすぐ夏休みに入ったから、私たち、殆どまともに話していないわ。」
フォーラが無理に笑って言うものだから、ジョージは彼女の気持ちがいたたまれないのと、自分に向けられていない想いを再認識したのとが合わさって胸が痛んだ。そして、彼女を苦しめる原因を作っているドラコのことはやはり好きになれないと思った。ただ、ドラコが自分よりも早く彼女に想いを告げていたことに関しては、これ以上彼に失望せずに済んで幾らかマシだと感じた。
「……俺、そんなに心が広くないから言うけど、フォーラに同情はしても応援はしない。君がどれだけマルフォイに気持ちを向けていようが、奴のどこを好きだろうが、俺の気持ちは変わらない。いつだって君がこっちを見ればいいって思ってる。それに、フォーラに誰も恋人がいないって分かっただけでも、今はそれで十分さ」
ジョージは後半をニッと笑ってみせたが、フォーラにはその笑顔に痛みも半分含まれているのがよく分かった。そのため彼女は何も言わずに諦めたように微笑み、頷いたのだった。
それからの時間、二人はもう少しだけその場で言葉を重ねた。
「ねえジョージ、私からの感謝の印に、家に帰ったら約束どおり『気絶キャンディ』に使える薬草を母様から貰ってくるわ。」
「ああ、それはすっごく助かるけど、でもいいのか?貴重な物じゃないのか?」
「きっと大丈夫。母様にきちんと説明すれば譲ってくださるわ。だって貴方にはこんなにもお世話になったんですもの。学校が始まったら、必ず貴方に届けるわ。約束。」
フォーラが片方の小指を立ててジョージに差し出したものだから、彼は軽く口角を上げて自身の小指を絡めた。二人の指はほんの少ししてから離れたが、彼の指にはその後暫く彼女の細い指の感触が残っていた。
(ああ、一人になったら泣きそうだ)
そんなことを思いながら、ジョージは力なく彼女に改めて笑いかけたのだった。
「俺の方こそ、ごめんな。そんな顔をさせたいわけじゃなかったんだ。急だったからびっくりしたよな」
謝るジョージにフォーラは大きく首を横に振った。彼女の瞳は真剣だった。
「わ……私、ジョージがいつも優しくしてくれて、本当に嬉しいの。沢山優しさをもらって、沢山励まされて……。それなのに私、貴方の気持ちに気付いていたのに、貴方が何も言わないことに甘えて知らないふりをしていたの。私は、本当はジョージの思っているような人じゃないのよ。狡くって、本当にごめんなさい……。」
ジョージはずっとフォーラが自分の気持ちに気付いていないだろうと考えていただけに、その言葉には少々驚かされた。しかし彼は『馬鹿だなあ』と微笑むと、優しく彼女の名前を呼んだ。
「いつから俺の気持ちに気付いてたんだ?」
「この間の冬の、ダンスパーティーの夜から……。」
「そうだったのか。あの時は確か俺、結構頑張って君にアプローチしてたけど、全然分かってもらえてないって思い込んでたんだ。分かってないのは俺の方だったのにな」ジョージは自嘲気味に笑うと続けた。
「寧ろ黙ってくれてて良かったよ。こうしてちゃんと積年の想いを伝えられたし。フォーラは狡くなんてなくて、ただ単に気を遣ってくれたんだよな。俺だって君の立場ならそうしたさ」
「ジョージ……」
「それに」
フォーラはジョージが一度言葉を切ったので小さく首を傾げた。一方の彼は、失恋しても彼女のこんな仕草一つすら可愛いと思うあたり、この想いは相当重症だと感じた。
「どうやら、一回振られたからってそう簡単には君を諦められそうにないみたいだ。だから、どうか俺にこれからも君を助けさせてくれないか。せめて、俺が君とホグワーツに居られる残り一年間だけでも、今までみたいに。どうかな」
窺うように尋ねるジョージに、フォーラははっきり伝えなければいけないと思った。今までのように自分にとって都合の悪いことから目を背けない。これは彼女がこの館に来て学んだことの一つだった。
フォーラはジョージへの罪悪感を強く覚えたが、なるべくそれを悟られないよう、優しく、柔らかい表情を向けた。
「私、ジョージのことは本当に素敵なお友達だと思っているから、この先も今までどおりでいられるのなら、私はそれが一番よ。だからきっと……私がドラコを想う限り、貴方の気持ちには応えられないと思う。それでも、いいのなら。」
ジョージはあわよくば、フォーラなら押しの弱さを覗かせるかもしれないと期待していた。しかし彼女がこんなにはっきりと言葉を伝えてきたことで、きっと自分と同じように彼女も相当勇気を出してこちらに向き合ってくれたのだと思った。こんなにも真っ直ぐ本音を伝えられたら、もう彼は強がるしかなかった。
「ああ、それでも構わない。フォーラ、ありがとう」
ジョージが脆い笑顔で感謝を述べると、フォーラも彼に優しく微笑み返したのだった。
ところで、ジョージには一つ気に掛かることがあった。それは彼が今こうして想いを告げる前からずっと頭の片隅に置いていたことだった。とはいえ、このタイミングでそれを尋ねるのは自ら自分の傷をえぐるようで、幾らか勇気が必要だった。
「そういえば、フォーラはあいつが……マルフォイが君をどう思ってるか、知ってるのか?」
フォーラは想定外の質問を受け、自分を想ってくれているジョージに教えていいものか迷ったが、正直に答えることにした。
「ええ、知っているわ。実は……ドラコが、学年末に私に好意を伝えてくれて。だけど私は生まれの件で悩んでいたりした時期だったから、彼にはただの幼馴染のままがいいとだけ伝えて、その好意を断ったの。それからすぐ夏休みに入ったから、私たち、殆どまともに話していないわ。」
フォーラが無理に笑って言うものだから、ジョージは彼女の気持ちがいたたまれないのと、自分に向けられていない想いを再認識したのとが合わさって胸が痛んだ。そして、彼女を苦しめる原因を作っているドラコのことはやはり好きになれないと思った。ただ、ドラコが自分よりも早く彼女に想いを告げていたことに関しては、これ以上彼に失望せずに済んで幾らかマシだと感じた。
「……俺、そんなに心が広くないから言うけど、フォーラに同情はしても応援はしない。君がどれだけマルフォイに気持ちを向けていようが、奴のどこを好きだろうが、俺の気持ちは変わらない。いつだって君がこっちを見ればいいって思ってる。それに、フォーラに誰も恋人がいないって分かっただけでも、今はそれで十分さ」
ジョージは後半をニッと笑ってみせたが、フォーラにはその笑顔に痛みも半分含まれているのがよく分かった。そのため彼女は何も言わずに諦めたように微笑み、頷いたのだった。
それからの時間、二人はもう少しだけその場で言葉を重ねた。
「ねえジョージ、私からの感謝の印に、家に帰ったら約束どおり『気絶キャンディ』に使える薬草を母様から貰ってくるわ。」
「ああ、それはすっごく助かるけど、でもいいのか?貴重な物じゃないのか?」
「きっと大丈夫。母様にきちんと説明すれば譲ってくださるわ。だって貴方にはこんなにもお世話になったんですもの。学校が始まったら、必ず貴方に届けるわ。約束。」
フォーラが片方の小指を立ててジョージに差し出したものだから、彼は軽く口角を上げて自身の小指を絡めた。二人の指はほんの少ししてから離れたが、彼の指にはその後暫く彼女の細い指の感触が残っていた。
(ああ、一人になったら泣きそうだ)
そんなことを思いながら、ジョージは力なく彼女に改めて笑いかけたのだった。