7. 前進
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すると、それを聞いたフォーラの瞳からは知らぬ間に自然と涙が溢れていて、あまりにも突然の事にジョージの表情はギョッとして慌てふためいた。
「フォーラ!?おい、どうした……!?何処か痛むのか?それとも俺、何か不味いことでも言ったか?」
ジョージの問いにフォーラは首を横に振って涙を拭った。彼がこんなにも自分を気に掛けてくれていたことで、彼女は改めて感謝の気持ちが込み上げていた。そして少しだけ震える声を抑えきれないまま、心からのお礼を伝えた。
「ジョージ、……あ、ありがとう。私、その、ジョージがそんなに一生懸命考えてここへ来てくれたって知らなくて……。伝えきれないくらい、感謝しているわ。本当にありがとう。」
言い終わってもなお溢れてくる涙を拭うフォーラの姿に、ジョージは自然と胸の奥がズキズキと痛みを帯びていた。彼女のこの涙は嬉し涙で間違いない。そしてそれは自分にとっても喜ばしいことの筈だ。だが、今後彼女はこの涙とは別の涙を流すことにならないだろうか?今、正に前に進み始めた彼女が、これから進んだ先で傷付かないと誰が言い切れる?そうなれば彼女はどうなる?それに、そんな姿の彼女を見て自分は本当に耐えられるのだろうか?
そう思うと衝動的とはいえ、ジョージはフォーラの前進を止めてでも、今こそ自分が前に進まなくてはいけないと思わずにはいられなかった。それによって彼は、フォーラが涙を拭い終えて顔を上げたのと同時に彼女の腕を取り、思わず自分の腕の中へ引き寄せて抱き締めてしまっていた。
「えっ!あ……えっと、ジ、ジョージ?どうしたの……?」
あまりにも突然の事にフォーラは涙が引っ込んでしまう程驚いたが、ジョージは返事をする代わりに少しばかり腕の力を強めて彼女を抱き締め直した。
ジョージは自身の速くて大きすぎる心臓の音を無視して、視界に入っていたタペストリーの方にゆっくりと視線を移した。そこにはっきりと書かれた『ドラコ・マルフォイ』の名は、見るなと言われても目をやってしまう程、今のジョージには悪い意味で特別だった。ここに書かれたその人物がフォーラの心を荒らしているにも関わらず、彼女から特別な気持ちを向けられているのが本当に憎らしくて仕方がない。これから先、彼女を一番傷つけるのはきっと彼に違いないと思わずにはいられなかった。
「俺さ、」ジョージは不意に発した自身の声が、自らが思うよりもハッキリとした音をしていることに気が付いた。彼はその声色が、戸惑いの中でフォーラへの想いを強く物語っているのだと感じた。
「折角フォーラが元気になったのに、君がアイツに手を差し伸べようとしてまたつらい想いをするなら、そんなのは絶対に許せない」
ジョージは言葉を口にした後になって、自分の身勝手な願望を勢いに任せて曝け出してしまったことを少々後悔した。だがその反面、いずれドラコ・マルフォイのせいで本当にフォーラが今以上につらく苦しい姿になってしまうなら……、その時は本当に自分を選んでほしいと思った。
ジョージはフォーラから身体を少し離して彼女の両手を取ると、真っ直ぐ彼女の瞳を見つめた。
「俺なら、この先そんな風に苦しめたり悩ませたりなんかしない。誰よりもフォーラを笑顔にできるって思ってる。絶対だ」
フォーラの瞳が不安に揺らぎながらこちらを見ている。自分の鼓動が随分と速い。そのせいで感覚が麻痺したようになって、ジョージは周囲の景色を一切遮断して目の前の彼女しか見えなかった。
「フォーラ、好きなんだ。ずっと前から」
二人は互いにじっと見つめ合った。二人しかいない空間に、一層静けさが広がった。フォーラの表情には静かに驚きが現れていたが、ジョージにはその中に戸惑いの色も含まれているのが目に見えて分かっていた。
「俺を選んではもらえないか?」
フォーラは自分の両手に添えられた手が微かに震えているのが伝わってきて、その分ジョージの真剣な気持ちをひしひしと感じ取っていた。先程抱き締められた時だって、彼の心臓の鼓動があまりにも速いものだから、こちらまで心臓が煩くなって緊張してしまった。
「私……」
フォーラは次に言葉を発するまでのほんの短い間に、ジョージと出会ってからこれまでの記憶を幾つも思い出していた。ジョージは誰にでも明るく優しくて、自分にはいつも困っている時に手を差し伸べてくれていた。ユニークな性格だって見ていて飽きないし、いたずらな笑顔もとっても素敵だと思う。みんながそんな彼を好きになって当然だろうし、そんな魅力的な人が自分を想ってくれているなんて、嬉しく思わないわけがなかった。
フォーラだって勿論ジョージのことが好きだ。しかし、彼女の好きは彼が向けてくれるものとは違っていた。以前、ドラコが満点の星空の下で彼女に想いを告げた時に、彼女が心の中でドラコに聞こえないよう唱えた『好き』こそ、今、目の前にいるジョージの想いに釣り合う気持ちだった。
フォーラはジョージに両手を包まれたまま、小さく首を横に振った。彼に自分の気持ちを伝えるのはあまりにも酷で胸の奥がズキズキと痛んだが、彼女は彼から目を背けなかった。
「貴方は本当に素敵な人だと思うし、私を想ってくれていること、とっても、とっても、とっても嬉しくて有難く思っているわ……。だけど……私は、ジョージの気持ちに応えられないの。本当に、本当にごめんなさい。」
ジョージは初めから分かっていた筈なのに、フォーラの言葉に一瞬何も考えられなくなってしまった。こんなに悲しいとは想像以上だったのだ。彼は一度瞼を下ろして彼女に添えた自身の手にきゅっと力を込めると、静かにその手を離した。自分が今どんな顔をしているのか分からず不安だったが、それでも彼は逸らしそうになる視線を彼女に向けた。こちらを見る彼女の表情は哀しみを帯びていた。
「フォーラ!?おい、どうした……!?何処か痛むのか?それとも俺、何か不味いことでも言ったか?」
ジョージの問いにフォーラは首を横に振って涙を拭った。彼がこんなにも自分を気に掛けてくれていたことで、彼女は改めて感謝の気持ちが込み上げていた。そして少しだけ震える声を抑えきれないまま、心からのお礼を伝えた。
「ジョージ、……あ、ありがとう。私、その、ジョージがそんなに一生懸命考えてここへ来てくれたって知らなくて……。伝えきれないくらい、感謝しているわ。本当にありがとう。」
言い終わってもなお溢れてくる涙を拭うフォーラの姿に、ジョージは自然と胸の奥がズキズキと痛みを帯びていた。彼女のこの涙は嬉し涙で間違いない。そしてそれは自分にとっても喜ばしいことの筈だ。だが、今後彼女はこの涙とは別の涙を流すことにならないだろうか?今、正に前に進み始めた彼女が、これから進んだ先で傷付かないと誰が言い切れる?そうなれば彼女はどうなる?それに、そんな姿の彼女を見て自分は本当に耐えられるのだろうか?
そう思うと衝動的とはいえ、ジョージはフォーラの前進を止めてでも、今こそ自分が前に進まなくてはいけないと思わずにはいられなかった。それによって彼は、フォーラが涙を拭い終えて顔を上げたのと同時に彼女の腕を取り、思わず自分の腕の中へ引き寄せて抱き締めてしまっていた。
「えっ!あ……えっと、ジ、ジョージ?どうしたの……?」
あまりにも突然の事にフォーラは涙が引っ込んでしまう程驚いたが、ジョージは返事をする代わりに少しばかり腕の力を強めて彼女を抱き締め直した。
ジョージは自身の速くて大きすぎる心臓の音を無視して、視界に入っていたタペストリーの方にゆっくりと視線を移した。そこにはっきりと書かれた『ドラコ・マルフォイ』の名は、見るなと言われても目をやってしまう程、今のジョージには悪い意味で特別だった。ここに書かれたその人物がフォーラの心を荒らしているにも関わらず、彼女から特別な気持ちを向けられているのが本当に憎らしくて仕方がない。これから先、彼女を一番傷つけるのはきっと彼に違いないと思わずにはいられなかった。
「俺さ、」ジョージは不意に発した自身の声が、自らが思うよりもハッキリとした音をしていることに気が付いた。彼はその声色が、戸惑いの中でフォーラへの想いを強く物語っているのだと感じた。
「折角フォーラが元気になったのに、君がアイツに手を差し伸べようとしてまたつらい想いをするなら、そんなのは絶対に許せない」
ジョージは言葉を口にした後になって、自分の身勝手な願望を勢いに任せて曝け出してしまったことを少々後悔した。だがその反面、いずれドラコ・マルフォイのせいで本当にフォーラが今以上につらく苦しい姿になってしまうなら……、その時は本当に自分を選んでほしいと思った。
ジョージはフォーラから身体を少し離して彼女の両手を取ると、真っ直ぐ彼女の瞳を見つめた。
「俺なら、この先そんな風に苦しめたり悩ませたりなんかしない。誰よりもフォーラを笑顔にできるって思ってる。絶対だ」
フォーラの瞳が不安に揺らぎながらこちらを見ている。自分の鼓動が随分と速い。そのせいで感覚が麻痺したようになって、ジョージは周囲の景色を一切遮断して目の前の彼女しか見えなかった。
「フォーラ、好きなんだ。ずっと前から」
二人は互いにじっと見つめ合った。二人しかいない空間に、一層静けさが広がった。フォーラの表情には静かに驚きが現れていたが、ジョージにはその中に戸惑いの色も含まれているのが目に見えて分かっていた。
「俺を選んではもらえないか?」
フォーラは自分の両手に添えられた手が微かに震えているのが伝わってきて、その分ジョージの真剣な気持ちをひしひしと感じ取っていた。先程抱き締められた時だって、彼の心臓の鼓動があまりにも速いものだから、こちらまで心臓が煩くなって緊張してしまった。
「私……」
フォーラは次に言葉を発するまでのほんの短い間に、ジョージと出会ってからこれまでの記憶を幾つも思い出していた。ジョージは誰にでも明るく優しくて、自分にはいつも困っている時に手を差し伸べてくれていた。ユニークな性格だって見ていて飽きないし、いたずらな笑顔もとっても素敵だと思う。みんながそんな彼を好きになって当然だろうし、そんな魅力的な人が自分を想ってくれているなんて、嬉しく思わないわけがなかった。
フォーラだって勿論ジョージのことが好きだ。しかし、彼女の好きは彼が向けてくれるものとは違っていた。以前、ドラコが満点の星空の下で彼女に想いを告げた時に、彼女が心の中でドラコに聞こえないよう唱えた『好き』こそ、今、目の前にいるジョージの想いに釣り合う気持ちだった。
フォーラはジョージに両手を包まれたまま、小さく首を横に振った。彼に自分の気持ちを伝えるのはあまりにも酷で胸の奥がズキズキと痛んだが、彼女は彼から目を背けなかった。
「貴方は本当に素敵な人だと思うし、私を想ってくれていること、とっても、とっても、とっても嬉しくて有難く思っているわ……。だけど……私は、ジョージの気持ちに応えられないの。本当に、本当にごめんなさい。」
ジョージは初めから分かっていた筈なのに、フォーラの言葉に一瞬何も考えられなくなってしまった。こんなに悲しいとは想像以上だったのだ。彼は一度瞼を下ろして彼女に添えた自身の手にきゅっと力を込めると、静かにその手を離した。自分が今どんな顔をしているのか分からず不安だったが、それでも彼は逸らしそうになる視線を彼女に向けた。こちらを見る彼女の表情は哀しみを帯びていた。