7. 前進
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さて、それから数刻して昼食となった。フォーラはその時にモリーやみんなに対し、明日帰宅しようと考えている旨を伝えた。急なニュースに寂しがる者もいたが、みんな彼女の回復を喜んでくれていて、そのような言葉をもらう度に彼女は何度もお礼を伝えた。そしてブラック邸で過ごして気付かせてもらった沢山の考えや、今朝のウェールズでの出来事をお礼に織り交ぜながら話して聞かせたのだった。
そこから少し離れた席でルーピンが紅茶を嗜んでいると、任務から帰宅したトンクスが彼の向かいに腰かけた。
「トンクス、忙しいのに今日は護衛の時間を作ってくれてありがとう」ルーピンがそう伝えると、彼女はニッコリ笑って応えた。
「ううん。二人がウェールズに行くためにはそれが条件だったじゃない。うまく尾行できてたでしょ?フォーラ、すっかり元気になったみたいで本当に良かった」
「ああ、本当に」そう言って二人はフォーラに視線を移した。そしてトンクスが再びルーピンに目をやると、フォーラを見る彼の目が慈愛に満ちていたものだから、思わず困ったように笑った。
「でも」トンクスが不意に言葉を発したので、ルーピンが彼女に視線を戻した。
「幾ら『姿くらまし』のためって分かってても、二人がずっと手を繋いでたのには、ちょっと……ううん、結構妬けちゃったかも」
「えっ?」
理解が追いついていないルーピンを余所に、トンクスは心なしか気恥ずかしそうにガタッと立ち上がると、そのままキッチンまでランチを取りにバタバタと去ってしまったのだった。
そうして昼食が落ち着いた頃、フォーラは館の上階にあるバックビークの飼育部屋の扉をノックした。彼女はシリウスに用事があったのだが、彼の方がまだ昼食時の食堂に姿を見せていなかったのだ。部屋の中から返事がしたので扉を開けてみると、案の定シリウスはそこにいた。彼は部屋の一角の床に座ってバックビークに死んだネズミを食べさせているところだった。
「ああ、フォーラか。どうかしたか?」
「あの、昼食を召し上がらないのかと思って。」フォーラが中に入りながら問うと、シリウスは首を横に振った。
「ハリーが帰るまでは、あまり何か食べる気にならなくてね」
「ハリーなら絶対に大丈夫です。だって、何も悪いことはしていないでしょう?」
フォーラの真っすぐな言葉にシリウスは微笑むと、話題を変えるべく彼女に一つ提案した。
「ああ、君の言うとおりだとも。……そうだな、もしよかったら少しの間、私の話し相手をしてくれないか?」
フォーラはシリウスの言葉で、自分が彼に何か尋ねあぐねているのが見透かされているのだと理解した。彼女はほんの少し肩を竦めて彼の隣に腰を下ろした。
「気を遣わせてごめんなさい。」
「いいや、何も。それよりフォーラ、初めて見る故郷はどうだったんだ?」
「……私、本当の故郷は今の両親のところだと、改めてそう思ったんです。」
フォーラは自身が旅先で見たことや、ここでの暮らし、その両方のお陰ですっかり元気になったことをシリウスに伝えた。
「私、明日ここを出ます。長い間置いてくださって、本当に感謝しています。」
「この館は広いし、人が多いのはなんの問題もなかったとも。それに君の目的が果たせたようで何よりだ。私としては、もう一度アニメーガスの仲間に会えて嬉しかったよ」
「私も、貴方に会えて良かったです。世間の悪評どおりなんかじゃなくって、とってもお優しい方だと知れたんですから。」
シリウスは少し驚いた表情をした後で、幾らか照れ臭そうに笑った。
「それから……、私、ここへはもう一つお礼を伝えにきたんです。先程リーマスさんに教えてもらったんですけど、私が客間のタペストリーを気にしているって、シリウスさんが彼に伝えてくださったんですよね?そうでなかったら彼が数日前に客間に寄ることもなかったし、その際にきっとボガートから私を助けられなかっただろうと話してくださったんです。」
シリウスはほんの少しの間キョトンとしていたが、すぐに「ああ」と何のことかを思い出したようだった。彼は死んだネズミをもう一匹バックビークに投げながら続けた。
「以前、君は夜中の客間に一人でいただろう?何だか気になってね。きっと私よりリーマスに相談した方がいいだろうと思ったんだ。それだけだ」
「あの、本当にありがとうございます。それでその……。私、シリウスさんに聞きたいことがあって。あのタペストリーのことで。」
シリウスはフォーラに視線を戻すと彼女の瞳をじっと見つめた。そして彼女の考えていることを何となく想像した。きっとそれが、彼女がこの部屋にやって来た本当の理由なのだろうと思えた。
「私が思うに恐らく君は、騎士団に加わっている御両親の名が、何故あのタペストリー上で焼かれていないのか気になっているんじゃないか?」
フォーラはシリウスが自分の考えを当ててしまったので驚いたが、彼はその様子が何だか可笑しくて思わずクツクツと喉を鳴らして笑った。不思議そうにこちらを見る彼女に、彼は一言謝ると話を続けた。
「すっかり元気になった君が気にすることといったら、きっとその件だろうと思っただけだ。タペストリーを君に初めて見せた時は、まだ落ち込んでいただろう。だからあまり詳しく話さない方がいいと思っていたんだが、寧ろそんなことはなかったかもしれないな」
「……あれを見た時は、少し違和感を覚えただけだったんです。でも、今こうして自分が両親の子だと自覚したからこそ、ブラック家のご先祖が掲げていたような、根っからの純血主義の思想に背いている二人の名前が焼かれていないのが気になって。」
シリウスはフォーラを見て後ろ頭を掻いた後、「あいつは本当に嫌な奴だ」と呟いた。
「えっ?」フォーラが尋ねると、シリウスは最後のネズミをバッビークに投げやった。
そこから少し離れた席でルーピンが紅茶を嗜んでいると、任務から帰宅したトンクスが彼の向かいに腰かけた。
「トンクス、忙しいのに今日は護衛の時間を作ってくれてありがとう」ルーピンがそう伝えると、彼女はニッコリ笑って応えた。
「ううん。二人がウェールズに行くためにはそれが条件だったじゃない。うまく尾行できてたでしょ?フォーラ、すっかり元気になったみたいで本当に良かった」
「ああ、本当に」そう言って二人はフォーラに視線を移した。そしてトンクスが再びルーピンに目をやると、フォーラを見る彼の目が慈愛に満ちていたものだから、思わず困ったように笑った。
「でも」トンクスが不意に言葉を発したので、ルーピンが彼女に視線を戻した。
「幾ら『姿くらまし』のためって分かってても、二人がずっと手を繋いでたのには、ちょっと……ううん、結構妬けちゃったかも」
「えっ?」
理解が追いついていないルーピンを余所に、トンクスは心なしか気恥ずかしそうにガタッと立ち上がると、そのままキッチンまでランチを取りにバタバタと去ってしまったのだった。
そうして昼食が落ち着いた頃、フォーラは館の上階にあるバックビークの飼育部屋の扉をノックした。彼女はシリウスに用事があったのだが、彼の方がまだ昼食時の食堂に姿を見せていなかったのだ。部屋の中から返事がしたので扉を開けてみると、案の定シリウスはそこにいた。彼は部屋の一角の床に座ってバックビークに死んだネズミを食べさせているところだった。
「ああ、フォーラか。どうかしたか?」
「あの、昼食を召し上がらないのかと思って。」フォーラが中に入りながら問うと、シリウスは首を横に振った。
「ハリーが帰るまでは、あまり何か食べる気にならなくてね」
「ハリーなら絶対に大丈夫です。だって、何も悪いことはしていないでしょう?」
フォーラの真っすぐな言葉にシリウスは微笑むと、話題を変えるべく彼女に一つ提案した。
「ああ、君の言うとおりだとも。……そうだな、もしよかったら少しの間、私の話し相手をしてくれないか?」
フォーラはシリウスの言葉で、自分が彼に何か尋ねあぐねているのが見透かされているのだと理解した。彼女はほんの少し肩を竦めて彼の隣に腰を下ろした。
「気を遣わせてごめんなさい。」
「いいや、何も。それよりフォーラ、初めて見る故郷はどうだったんだ?」
「……私、本当の故郷は今の両親のところだと、改めてそう思ったんです。」
フォーラは自身が旅先で見たことや、ここでの暮らし、その両方のお陰ですっかり元気になったことをシリウスに伝えた。
「私、明日ここを出ます。長い間置いてくださって、本当に感謝しています。」
「この館は広いし、人が多いのはなんの問題もなかったとも。それに君の目的が果たせたようで何よりだ。私としては、もう一度アニメーガスの仲間に会えて嬉しかったよ」
「私も、貴方に会えて良かったです。世間の悪評どおりなんかじゃなくって、とってもお優しい方だと知れたんですから。」
シリウスは少し驚いた表情をした後で、幾らか照れ臭そうに笑った。
「それから……、私、ここへはもう一つお礼を伝えにきたんです。先程リーマスさんに教えてもらったんですけど、私が客間のタペストリーを気にしているって、シリウスさんが彼に伝えてくださったんですよね?そうでなかったら彼が数日前に客間に寄ることもなかったし、その際にきっとボガートから私を助けられなかっただろうと話してくださったんです。」
シリウスはほんの少しの間キョトンとしていたが、すぐに「ああ」と何のことかを思い出したようだった。彼は死んだネズミをもう一匹バックビークに投げながら続けた。
「以前、君は夜中の客間に一人でいただろう?何だか気になってね。きっと私よりリーマスに相談した方がいいだろうと思ったんだ。それだけだ」
「あの、本当にありがとうございます。それでその……。私、シリウスさんに聞きたいことがあって。あのタペストリーのことで。」
シリウスはフォーラに視線を戻すと彼女の瞳をじっと見つめた。そして彼女の考えていることを何となく想像した。きっとそれが、彼女がこの部屋にやって来た本当の理由なのだろうと思えた。
「私が思うに恐らく君は、騎士団に加わっている御両親の名が、何故あのタペストリー上で焼かれていないのか気になっているんじゃないか?」
フォーラはシリウスが自分の考えを当ててしまったので驚いたが、彼はその様子が何だか可笑しくて思わずクツクツと喉を鳴らして笑った。不思議そうにこちらを見る彼女に、彼は一言謝ると話を続けた。
「すっかり元気になった君が気にすることといったら、きっとその件だろうと思っただけだ。タペストリーを君に初めて見せた時は、まだ落ち込んでいただろう。だからあまり詳しく話さない方がいいと思っていたんだが、寧ろそんなことはなかったかもしれないな」
「……あれを見た時は、少し違和感を覚えただけだったんです。でも、今こうして自分が両親の子だと自覚したからこそ、ブラック家のご先祖が掲げていたような、根っからの純血主義の思想に背いている二人の名前が焼かれていないのが気になって。」
シリウスはフォーラを見て後ろ頭を掻いた後、「あいつは本当に嫌な奴だ」と呟いた。
「えっ?」フォーラが尋ねると、シリウスは最後のネズミをバッビークに投げやった。