7. 前進
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その後の二人は午前中の残りをルーピンの部屋で過ごした。互いに椅子に座って向き合い、モリーの淹れた紅茶を啜りながら、今朝の出来事について言葉を交わした。
「今日は、お忙しいのにあんなに遠くまで連れていってくださって、本当にありがとうございました。私、みんなやルーピンのお陰で、ずっとモヤモヤしていた気持ちがようやく晴れた気がします。」
「私は何もしてないさ。フォーラが頑張ったんだ」謙遜するルーピンに、フォーラは首を横に振った。
「いいえ、絶対にそんなことはありません。本当に助けられました……。それに沢山のことに気付かせてくれて、思い出させてもくれました。」
フォーラはじっとルーピンを見つめ、一呼吸してから続けた。
「ルーピンは、私がこの館に来て初めて心からの本音を打ち明けられた人でした。そして、貴方はその話を真剣に聞いてくれました。」
ルーピンは自身の頬の傷跡を指でなぞりながら、少々居心地が悪そうに肘掛に座り直した。そんな彼を見て、フォーラはふふっと笑った。
「あの日、客間でボガートから助けていただいた時だって、貴方は私の欲しがっていた言葉を掛けてくれて、言葉どおり本当に生まれ故郷に連れていってくれました。反対する人もいたのに、沢山手を尽くしてくださった。今日だってルーピンと一緒だったから、私、立ち直れたんです。」
ルーピンは次第にフォーラの目を見られなくなりながら、焦った様子で言った。
「そんなに誉めないでくれ。今回のことは君のご両親からの頼みなんだから。私は、君の元教師として当然のことをしたまでだ」
今回フォーラを連れ出したのは、心から純粋に彼女を自分の手で助けたいと思ったからだった。その為に必死だったし、特にウェールズにいる間はいつ敵が現れはしないかと細心の注意を払った。だからこうして無事元気になった彼女と館へ戻ってこられた時には、本当にホッとした。
それなのに、これだけしておいて『元教師として当然のこと』だなんて謙遜の言葉を今更強調している自分に嫌気がさしてしまう。フォーラからこんな風にお礼の言葉を伝えられてしまうと、自分が彼女に求めているものが露わになってしまいそうで怖い。どんな形であってもフォーラにとっての特別でありたいと願っているのに、これではあまりにも矛盾している。ルーピンは自分が彼女とどうあるべきなのか、すっかり分からなくなってしまっていた。
すると不意にフォーラがほんの少し恥ずかしそうに、しかし優しい声色で言った。
「ルーピン、実は……。その、『元教師』の立場でこの話をされると、きっと、絶対びっくりされると思うのですけれど、」
ルーピンは逸らしていた視線をフォーラに戻した。パチリと二人の目が合うと、彼女は照れくさそうに肩を竦めた。
「まだ貴方が私たちの先生だった頃、私、貴方に恋をしていたんです。その……知っていましたか?」
ルーピンはその問いに対して思わずほんの一瞬言葉を詰まらせた。
「いいや」
フォーラはホッとしたような、少し残念そうな様子で微笑んだ。
「あの時の私は、ルーピンの前ではいつも緊張していて、上手く話せなくて……。貴方は、私にとってそれ程に特別だったんです。でも、今だって貴方は意味こそ違っても、私の本当に特別な人です。私は元教え子としてではなく、フォーラ・ファントムとして、貴方を尊敬しています。」
最後まで言い切った彼女が本当に眩しくて、ルーピンは心が洗われたような気持ちだった。彼女を助けるつもりが、まさか自分が助けられるなんて思っても見なかったのだ。
(フォーラは、どんな形であれ今も私を慕ってくれている。それに彼女はもう前に進んでいるんだ。それなのに私ときたら、何を怖がって立ち止まっているのか、本当に呆れるじゃないか)
「フォーラ」
呼ばれた彼女はじっとルーピンを見つめていた。彼はその瞳を見て意を決した。
「本当にありがとう。私としたことが、さっきの『元教師』という言葉は撤回させてくれ。私にとっても、フォーラは本当に特別な存在だ。ホグワーツに勤務していた当時、人狼の私を慕ってくれていると分かった時からずっとだ。だから今日のことだって、絶対に私が手ずから助けたいと思った」ルーピンは間髪入れず、そのままの勢いで続けた。
「セブルス・スネイプ、いや、『セブルスさん』に負けないほど、君に慕われたいと思っていたからね」
彼がそう言い切ると、二人はほんの一瞬の間があった後で、互いに吹き出した。
「ふふ、もうそんなの、とっくに負けないくらい慕っています。」
楽しそうに笑うフォーラに、ルーピンが優しく微笑んだ。そして、彼がずっと前から考えていたことを彼女に勇気を持って提案しようとした時、不意に彼女の方が先に口を開いた。
「あの、そういえば、呼び方についてずっと考えていたことがあるんです。ルーピンは以前、ハーマイオニーたちが呼ぶように貴方自身のことを苗字で呼んでほしいって、私にそう仰いましたけど……。私、できればルーピンのこと、リーマスさんってお呼びしたいと思っていたんです。」
それを聞いたルーピンは身動きが取れなかった。フォーラが続けた。
「セブルスさんやシリウスさんのことはファーストネームで呼んでいるのに、何だか貴方とは距離を感じてしまって。その、どうでしょうか?」
ルーピンは今まさに自分が言おうとしたことをフォーラに先に提案されて言葉が出なかったが、すぐに我に返ると、一本取られたとでもいうような表情で嬉しそうに頷いた。彼女の言葉によって、彼もようやく自分が彼女の前でどうあるべきか、その答えを見つけられたのだ。
「ああ、勿論だとも!」
「今日は、お忙しいのにあんなに遠くまで連れていってくださって、本当にありがとうございました。私、みんなやルーピンのお陰で、ずっとモヤモヤしていた気持ちがようやく晴れた気がします。」
「私は何もしてないさ。フォーラが頑張ったんだ」謙遜するルーピンに、フォーラは首を横に振った。
「いいえ、絶対にそんなことはありません。本当に助けられました……。それに沢山のことに気付かせてくれて、思い出させてもくれました。」
フォーラはじっとルーピンを見つめ、一呼吸してから続けた。
「ルーピンは、私がこの館に来て初めて心からの本音を打ち明けられた人でした。そして、貴方はその話を真剣に聞いてくれました。」
ルーピンは自身の頬の傷跡を指でなぞりながら、少々居心地が悪そうに肘掛に座り直した。そんな彼を見て、フォーラはふふっと笑った。
「あの日、客間でボガートから助けていただいた時だって、貴方は私の欲しがっていた言葉を掛けてくれて、言葉どおり本当に生まれ故郷に連れていってくれました。反対する人もいたのに、沢山手を尽くしてくださった。今日だってルーピンと一緒だったから、私、立ち直れたんです。」
ルーピンは次第にフォーラの目を見られなくなりながら、焦った様子で言った。
「そんなに誉めないでくれ。今回のことは君のご両親からの頼みなんだから。私は、君の元教師として当然のことをしたまでだ」
今回フォーラを連れ出したのは、心から純粋に彼女を自分の手で助けたいと思ったからだった。その為に必死だったし、特にウェールズにいる間はいつ敵が現れはしないかと細心の注意を払った。だからこうして無事元気になった彼女と館へ戻ってこられた時には、本当にホッとした。
それなのに、これだけしておいて『元教師として当然のこと』だなんて謙遜の言葉を今更強調している自分に嫌気がさしてしまう。フォーラからこんな風にお礼の言葉を伝えられてしまうと、自分が彼女に求めているものが露わになってしまいそうで怖い。どんな形であってもフォーラにとっての特別でありたいと願っているのに、これではあまりにも矛盾している。ルーピンは自分が彼女とどうあるべきなのか、すっかり分からなくなってしまっていた。
すると不意にフォーラがほんの少し恥ずかしそうに、しかし優しい声色で言った。
「ルーピン、実は……。その、『元教師』の立場でこの話をされると、きっと、絶対びっくりされると思うのですけれど、」
ルーピンは逸らしていた視線をフォーラに戻した。パチリと二人の目が合うと、彼女は照れくさそうに肩を竦めた。
「まだ貴方が私たちの先生だった頃、私、貴方に恋をしていたんです。その……知っていましたか?」
ルーピンはその問いに対して思わずほんの一瞬言葉を詰まらせた。
「いいや」
フォーラはホッとしたような、少し残念そうな様子で微笑んだ。
「あの時の私は、ルーピンの前ではいつも緊張していて、上手く話せなくて……。貴方は、私にとってそれ程に特別だったんです。でも、今だって貴方は意味こそ違っても、私の本当に特別な人です。私は元教え子としてではなく、フォーラ・ファントムとして、貴方を尊敬しています。」
最後まで言い切った彼女が本当に眩しくて、ルーピンは心が洗われたような気持ちだった。彼女を助けるつもりが、まさか自分が助けられるなんて思っても見なかったのだ。
(フォーラは、どんな形であれ今も私を慕ってくれている。それに彼女はもう前に進んでいるんだ。それなのに私ときたら、何を怖がって立ち止まっているのか、本当に呆れるじゃないか)
「フォーラ」
呼ばれた彼女はじっとルーピンを見つめていた。彼はその瞳を見て意を決した。
「本当にありがとう。私としたことが、さっきの『元教師』という言葉は撤回させてくれ。私にとっても、フォーラは本当に特別な存在だ。ホグワーツに勤務していた当時、人狼の私を慕ってくれていると分かった時からずっとだ。だから今日のことだって、絶対に私が手ずから助けたいと思った」ルーピンは間髪入れず、そのままの勢いで続けた。
「セブルス・スネイプ、いや、『セブルスさん』に負けないほど、君に慕われたいと思っていたからね」
彼がそう言い切ると、二人はほんの一瞬の間があった後で、互いに吹き出した。
「ふふ、もうそんなの、とっくに負けないくらい慕っています。」
楽しそうに笑うフォーラに、ルーピンが優しく微笑んだ。そして、彼がずっと前から考えていたことを彼女に勇気を持って提案しようとした時、不意に彼女の方が先に口を開いた。
「あの、そういえば、呼び方についてずっと考えていたことがあるんです。ルーピンは以前、ハーマイオニーたちが呼ぶように貴方自身のことを苗字で呼んでほしいって、私にそう仰いましたけど……。私、できればルーピンのこと、リーマスさんってお呼びしたいと思っていたんです。」
それを聞いたルーピンは身動きが取れなかった。フォーラが続けた。
「セブルスさんやシリウスさんのことはファーストネームで呼んでいるのに、何だか貴方とは距離を感じてしまって。その、どうでしょうか?」
ルーピンは今まさに自分が言おうとしたことをフォーラに先に提案されて言葉が出なかったが、すぐに我に返ると、一本取られたとでもいうような表情で嬉しそうに頷いた。彼女の言葉によって、彼もようやく自分が彼女の前でどうあるべきか、その答えを見つけられたのだ。
「ああ、勿論だとも!」