7. 前進
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『フォーラへ
元気にしているかな。きっとまだつらい想いをさせてしまっているだろう。毎日謝っても謝りきれない気持ちでいっぱいだ。こちらはみんなあまり元気がない。フォーラのいない八月は随分と寂しすぎたんだ。
この手紙を読んでくれているということは、きっとリーマスがフォーラを本当の両親のところへ連れていってくれたのだろう。きっとフォーラは彼らのことを知りたがると思っていた。二人を捜すのには少し時間が掛かり過ぎてしまった。
私とリプトニアがフォーラと出会ったのは、今フォーラが立っているウェールズから随分北にある、グラスゴーのマグルの孤児院だった。フォーラを迎え入れた当初、何処で生まれた子なのか孤児院は教えてくれなかった。いや、教えられなかったんだ。フォーラはマグルから生まれていたが魔法が使えた。きっとまだ赤ん坊で力を制御できなくて、マグルはわけもわからず気味悪がったのだろう。沢山の孤児院を転々とさせていたようで、どういうことだかその記録を付けてすらいなかった。
何とか孤児院を遡っていくと、途中で潰れてしまった所もあったりした。だが、こうしてやっと辿り着けた。そしてそのおかげで、何故フォーラの御両親が亡くなってしまったのかも知ることができた。
彼らは、当時の死喰い人によるマグル狩りの被害者だった。それを知った時、私たちは怒りを感じる一方で、実は心の底からホッとしていた。フォーラが本当の両親に捨てられたわけではなかったからだ。それだけは本当に唯一良かったと思える点だった。
私たちは、本来ならフォーラが本当の両親の元で幸せに暮らしていられれば、どれだけよかっただろうと度々そんな空想をしてきた。だが、その分だけフォーラを幸せにしたいという想いも強く持っていた。勿論それは今だって変わらない。
それなのに、いざホグワーツでフォーラに本当の事を伝えに向かった時には、私たちはフォーラと十分に正面から向き合えなかったように思う。本当の両親の存在に、私たちはどうしても後ろ髪を引かれていた。フォーラに出生のことを話して、私たちの存在が受け入れられなかったらという不安が、フォーラにも見えてしまっていたのかもしれない。だから結果としてフォーラをあの館で過ごさせることになってしまったのだと思う。本当は引き止めたかった。だが、それをする権利は私たちにはなかった。
私たちは未だにシリウスの館へフォーラに会いに行くのを躊躇ってしまっている。ウェールズへも本当は私たちが案内したいと思っていたが、どうしても勇気が出なかった。フォーラの本当の親になることを誓っていた筈なのに、これでは親失格だろう。
ただ、もし許されるのなら……その時はどうかもう一度、私たちのところへ帰ってきてほしい。そして沢山話しをして、残りの休みを一緒に過ごしたい。そう願っている。
私たちの最も愛しい子、フォーラ。
ファントム家を代表して。シェードより』
手紙を読み終えたフォーラの瞳からは気付かないうちに涙が溢れていたが、今の彼女にはそんなことはどうでもよかった。両親は必死に自分の過去を見つけ出し、目の前の墓石に花を手向けてくれた。そしていつも穏やかで冷静な二人が、こんなにも自分を想って必死な気持ちを綴ってくれた。いや、自分が気付かなかっただけで、彼らは最初からこちらのことをいつも心から想ってくれていた。『本当の両親』だなんて、そんな言葉は必要なかった。自分の幼い頃や、これまでのどの日々を振り返っても、彼らはいつでも『本当の両親』だったのだから。二人の気持ちの前では、最早『穢れた血』や『純血』などという言葉はフォーラの中から消え去ってしまっていた。
フォーラは涙を拭うと、そのまま手紙をルーピンに差し出した。彼は読んでもいいものか戸惑っていたが、彼女がもう一度改めて手紙を押しつけたものだから、彼はとうとうそれを受け取って目を通した。そして読み終えた彼が目を上げてフォーラを見ると、驚いたことに目の前の彼女はブラック邸に来てから最も素敵な表情でこちらに微笑んでいた。
「ルーピン、私、家に帰らなきゃ。だって、みんなが首を長くして私の帰りを待っているんですもの!」
その後、二人がブラック邸に戻ってホールに足を踏み入れると、昼食までモリーの掃除の手伝いをしていた友人たちが物音を聞きつけて出迎えてくれた。ハーマイオニーが一番にフォーラの手を取って心配そうに尋ねた。
「フォーラ!どうだった?つらくなったりしていない?私、ハリーのこともあなたのことも、とっても気掛かりで―――」
ハーマイオニーの続きの言葉は、フォーラによって憚られてしまった。何故ならフォーラがハーマイオニーをギュッと抱き締めたのだ。
「えっ、フォーラ!?どうしたの?」
普段のフォーラからはあまり想像のつかない突然の行動に、周囲のみんなも多少なりとも驚かずにはいられなかった。そして程なくして彼女が抱擁を解くと、みんなにお礼の言葉を述べた。
「私、みんなのお陰で沢山のことに気付けたの。本当にありがとう……。もう、すっかり大丈夫。それから、立ち直るまでに時間が掛かってしまって本当にごめんなさい。私、随分馬鹿だったと思う。でも、もう両親とのことは何も気にしないわ。純血だろうと、マグル生まれだろうと、何も。」
フォーラの表情から自然と笑顔が溢れて、周囲もそれを見て本当に安心した。そのふとした瞬間に、フォーラの視線がジョージの視線と重なった。すると彼はより一層笑顔になって、彼女の回復を目に見えて誰よりも喜んだのだった。
それから程なくして食堂の方からモリーが現れ、彼女もフォーラの様子に大層安堵した。そしてそれも束の間、彼女は子供たちにすぐ掃除に戻るようお叱りの言葉を投げ、彼らを上の階へ追い戻した。
「まったくもう、気を抜くとすぐさぼろうとするんだから!リーマスもフォーラも疲れたでしょう。紅茶でも淹れましょうか?」
元気にしているかな。きっとまだつらい想いをさせてしまっているだろう。毎日謝っても謝りきれない気持ちでいっぱいだ。こちらはみんなあまり元気がない。フォーラのいない八月は随分と寂しすぎたんだ。
この手紙を読んでくれているということは、きっとリーマスがフォーラを本当の両親のところへ連れていってくれたのだろう。きっとフォーラは彼らのことを知りたがると思っていた。二人を捜すのには少し時間が掛かり過ぎてしまった。
私とリプトニアがフォーラと出会ったのは、今フォーラが立っているウェールズから随分北にある、グラスゴーのマグルの孤児院だった。フォーラを迎え入れた当初、何処で生まれた子なのか孤児院は教えてくれなかった。いや、教えられなかったんだ。フォーラはマグルから生まれていたが魔法が使えた。きっとまだ赤ん坊で力を制御できなくて、マグルはわけもわからず気味悪がったのだろう。沢山の孤児院を転々とさせていたようで、どういうことだかその記録を付けてすらいなかった。
何とか孤児院を遡っていくと、途中で潰れてしまった所もあったりした。だが、こうしてやっと辿り着けた。そしてそのおかげで、何故フォーラの御両親が亡くなってしまったのかも知ることができた。
彼らは、当時の死喰い人によるマグル狩りの被害者だった。それを知った時、私たちは怒りを感じる一方で、実は心の底からホッとしていた。フォーラが本当の両親に捨てられたわけではなかったからだ。それだけは本当に唯一良かったと思える点だった。
私たちは、本来ならフォーラが本当の両親の元で幸せに暮らしていられれば、どれだけよかっただろうと度々そんな空想をしてきた。だが、その分だけフォーラを幸せにしたいという想いも強く持っていた。勿論それは今だって変わらない。
それなのに、いざホグワーツでフォーラに本当の事を伝えに向かった時には、私たちはフォーラと十分に正面から向き合えなかったように思う。本当の両親の存在に、私たちはどうしても後ろ髪を引かれていた。フォーラに出生のことを話して、私たちの存在が受け入れられなかったらという不安が、フォーラにも見えてしまっていたのかもしれない。だから結果としてフォーラをあの館で過ごさせることになってしまったのだと思う。本当は引き止めたかった。だが、それをする権利は私たちにはなかった。
私たちは未だにシリウスの館へフォーラに会いに行くのを躊躇ってしまっている。ウェールズへも本当は私たちが案内したいと思っていたが、どうしても勇気が出なかった。フォーラの本当の親になることを誓っていた筈なのに、これでは親失格だろう。
ただ、もし許されるのなら……その時はどうかもう一度、私たちのところへ帰ってきてほしい。そして沢山話しをして、残りの休みを一緒に過ごしたい。そう願っている。
私たちの最も愛しい子、フォーラ。
ファントム家を代表して。シェードより』
手紙を読み終えたフォーラの瞳からは気付かないうちに涙が溢れていたが、今の彼女にはそんなことはどうでもよかった。両親は必死に自分の過去を見つけ出し、目の前の墓石に花を手向けてくれた。そしていつも穏やかで冷静な二人が、こんなにも自分を想って必死な気持ちを綴ってくれた。いや、自分が気付かなかっただけで、彼らは最初からこちらのことをいつも心から想ってくれていた。『本当の両親』だなんて、そんな言葉は必要なかった。自分の幼い頃や、これまでのどの日々を振り返っても、彼らはいつでも『本当の両親』だったのだから。二人の気持ちの前では、最早『穢れた血』や『純血』などという言葉はフォーラの中から消え去ってしまっていた。
フォーラは涙を拭うと、そのまま手紙をルーピンに差し出した。彼は読んでもいいものか戸惑っていたが、彼女がもう一度改めて手紙を押しつけたものだから、彼はとうとうそれを受け取って目を通した。そして読み終えた彼が目を上げてフォーラを見ると、驚いたことに目の前の彼女はブラック邸に来てから最も素敵な表情でこちらに微笑んでいた。
「ルーピン、私、家に帰らなきゃ。だって、みんなが首を長くして私の帰りを待っているんですもの!」
その後、二人がブラック邸に戻ってホールに足を踏み入れると、昼食までモリーの掃除の手伝いをしていた友人たちが物音を聞きつけて出迎えてくれた。ハーマイオニーが一番にフォーラの手を取って心配そうに尋ねた。
「フォーラ!どうだった?つらくなったりしていない?私、ハリーのこともあなたのことも、とっても気掛かりで―――」
ハーマイオニーの続きの言葉は、フォーラによって憚られてしまった。何故ならフォーラがハーマイオニーをギュッと抱き締めたのだ。
「えっ、フォーラ!?どうしたの?」
普段のフォーラからはあまり想像のつかない突然の行動に、周囲のみんなも多少なりとも驚かずにはいられなかった。そして程なくして彼女が抱擁を解くと、みんなにお礼の言葉を述べた。
「私、みんなのお陰で沢山のことに気付けたの。本当にありがとう……。もう、すっかり大丈夫。それから、立ち直るまでに時間が掛かってしまって本当にごめんなさい。私、随分馬鹿だったと思う。でも、もう両親とのことは何も気にしないわ。純血だろうと、マグル生まれだろうと、何も。」
フォーラの表情から自然と笑顔が溢れて、周囲もそれを見て本当に安心した。そのふとした瞬間に、フォーラの視線がジョージの視線と重なった。すると彼はより一層笑顔になって、彼女の回復を目に見えて誰よりも喜んだのだった。
それから程なくして食堂の方からモリーが現れ、彼女もフォーラの様子に大層安堵した。そしてそれも束の間、彼女は子供たちにすぐ掃除に戻るようお叱りの言葉を投げ、彼らを上の階へ追い戻した。
「まったくもう、気を抜くとすぐさぼろうとするんだから!リーマスもフォーラも疲れたでしょう。紅茶でも淹れましょうか?」