6. 私の素顔
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「この家の考えに相応しくない者は名前を消されているんだ。私からすれば全く光栄だとも」
タペストリー全体を見てみると、所々に同様の黒い焦げ跡が残されていた。そうしてフォーラが眺めていると、その中からある人物の名を見つけた。
「!ドラコ、それに、私の両親も……」
フォーラは両親の名前のすぐ下に黒い焦げ跡が一つあることにも気が付いた。すると彼女の目線を見てシリウスが口を開いた。
「それはクリーチャーの仕業だ。フォーラの名前が書かれていたんだが、君が来る前にご両親が話してくれた養子の件を盗み聞きでもしたんだろう。だが何も気にすることはない。私からすれば君のご両親は賞賛に値するよ。何せ君の名がここにあったということは、君が血縁でないのを隠して私の母までも騙していたことになるわけだから」
「……そうですか……」
フォーラはシリウスを見た後、もう一度タペストリーに視線を移した。シリウスは彼女の純血に対する複雑な心情を知らぬが故に、何も気にしていない様子だった。一方、二人の隣で話を聞いていたハリーは何か話題を変えるような言葉を発した方が良いような気がした。
「じゃあ、シリウスはフォーラやマルフォイと親戚関係ってこと?」
ハリーはそう尋ねたが、あたかもフォーラが純血であるかのように話してしまったとすぐに気が付いた。それはこれまでのフォーラへの認識がハリーの中から抜けきっていなかったからで、彼が反射的にフォーラの方を見ると、彼女は何も聞いていない風を装っているのか、まだタペストリーをじっと見つめていた。
樹形図を辿っていくと、フォーラとドラコも関係上は遠い親戚であることが見て取れた。ロンの父親や、トンクスの母(彼女はナルシッサと並んでいたので姉妹だと分かった)も純血のようだが、焦げ跡で名前を消されていた。
「純血の家系は随分少ないからね。純血同士の結婚ともなれば、自然とみんな親戚になるものだ」
ハリーはそれを聞いて何だかフォーラに対して居た堪れない気持ちになったが、彼女にかける気前のいい言葉をすぐには思いつけなかった。昨日、彼女の秘めた悩みを聞いたばかりだったから余計に難しかった。
すると、フォーラの純血に対する想いを知らないシリウスは、如何に自身の純血の親戚関係がつらかったかを話して聞かせてくれた。
「夏休みの間は、ハリー、私は殆ど君のお父さんの家に居て、ご両親は私を親子同然に迎えてくれた……」
フォーラはそれを聞いて一瞬シリウスに目を向けたものの、彼がハリーと水入らずの話をしているのだと気付くと、そのまま二人からそっと離れて他のみんなの所へ戻った。その際、彼女は一度だけタペストリーを振り返った。そして彼女から少し離れた場所で休憩していたジョージは、彼女のその姿を心配そうな面持ちで見つめていたのだった。
その日の夜にみんなが就寝前の準備を済ませた頃、フォーラは自室から持ち出したランプの灯りを頼りに、昼間のタペストリーのある部屋に忍び込んでいた。壁一面のカーテンを開けるとタペストリーが露わになり、窓の外の月明りがそれを照らした。フォーラはざっと樹形図を見渡すと、ドラコや自分の両親の名を指でなぞった。そして自身の名前があった筈の焦げ跡にたどり着いたところでその手はピタリと止まってしまった。
この部屋を再訪した理由は特になかった。ただ強いて言うなら、久しぶりに目にしたドラコの名前をもう一度ゆっくり眺めたかった……といったところだろうか。しかしこうしてタペストリーを目にしてしまうと、近しい人たちのうち、どうしても彼女自身の名だけが黒い焦げ跡に掻き消されてしまっているのが目について離れなかった。
そういえば、シリウスは自身の名が黒焦げになっていることについて『光栄だ』と言っていた。フォーラがそれを思い返した時、その後の彼がハリーに話した内容も合わせて思い出した。彼が学生時代にハリーの父親家族と家族同然に長期休暇を過ごしたという話だ。
(シリウスさんは、血の繋がった家族ではなくて、ハリーのお父様たちを家族だと心からそう思っている様子だった)
フォーラとしては、シリウスが初めから持っている強い血の繋がりを捨てる必要があったことに驚きを隠せなかった。彼女の求めているものが目の前のタペストリーに刻まれていて、彼もその中の正式な一員だったというのに、何とも勿体ない話だ。だがそれでもきっと、シリウスには本当の家族を手に入れるために自分の名前を樹形図から焼くことが必要な行為だったのだろう。
(……本当の家族……)
自分と血の繋がった両親は、何処で何をしているのだろう。シリウスにもハリーにも、それぞれ好きかどうかは別として血縁者がいる。だが自分にはそれは無く、本当は何処の誰かも今のところ分からない。
(そんなこと、考えても仕方がないって前も思ったじゃない)
フォーラは一つため息を吐くと、こんな時間にここに居ては要らぬ事まで考えていけないと思い立ち、ようやく部屋を後にすべく踵を返した。彼女は廊下に続く扉を通る前に一度タペストリーの方を振り返ったが、薄暗くてそれはもう殆ど見えなくなっていた。そして廊下の方を再び見やると、調度目の前に自分のランプとは別の灯りが現れたものだから、これにはあまりにも驚いて心臓が止まるかと思った。
「驚いた。フォーラじゃないか。こんな時間にこんな所で、どうしたんだ?」
彼女が見上げると声の主がシリウスであると分かった。暗がりにランプの灯りが彼の顔をオレンジ色に照らしていた。
「シ、シリウスさん……!ええと、その、何でもないんです!昼間に忘れ物をしてしまって、取りに来ただけなんです。あの……おやすみなさい!」
フォーラは急いでそう言うと、そのまま上階の自室へと足早に去ってしまったのだった。
「?あんなに慌てなくても」
もしかして、ランプで下から照らされた自分の顔が怖かったのだろうか?シリウスはそんなことを考えながら、ふとフォーラが部屋の中の方を振り返っていたのを思い出した。ほんの少し気になって開いたままのドアから中を覗いてみると、昼間ハリーと話した後に閉めた筈のタペストリーのカーテンが開いていた。
「……?」シリウスはタペストリーとフォーラが去って行った廊下の先を交互に見た後、杖で一振りしてタペストリーのカーテンを閉め、部屋の扉も閉めた。そして何やら考えるようにしながら顎に手を当て、自身が向かっていた自室へと歩みを進め直したのだった。
タペストリー全体を見てみると、所々に同様の黒い焦げ跡が残されていた。そうしてフォーラが眺めていると、その中からある人物の名を見つけた。
「!ドラコ、それに、私の両親も……」
フォーラは両親の名前のすぐ下に黒い焦げ跡が一つあることにも気が付いた。すると彼女の目線を見てシリウスが口を開いた。
「それはクリーチャーの仕業だ。フォーラの名前が書かれていたんだが、君が来る前にご両親が話してくれた養子の件を盗み聞きでもしたんだろう。だが何も気にすることはない。私からすれば君のご両親は賞賛に値するよ。何せ君の名がここにあったということは、君が血縁でないのを隠して私の母までも騙していたことになるわけだから」
「……そうですか……」
フォーラはシリウスを見た後、もう一度タペストリーに視線を移した。シリウスは彼女の純血に対する複雑な心情を知らぬが故に、何も気にしていない様子だった。一方、二人の隣で話を聞いていたハリーは何か話題を変えるような言葉を発した方が良いような気がした。
「じゃあ、シリウスはフォーラやマルフォイと親戚関係ってこと?」
ハリーはそう尋ねたが、あたかもフォーラが純血であるかのように話してしまったとすぐに気が付いた。それはこれまでのフォーラへの認識がハリーの中から抜けきっていなかったからで、彼が反射的にフォーラの方を見ると、彼女は何も聞いていない風を装っているのか、まだタペストリーをじっと見つめていた。
樹形図を辿っていくと、フォーラとドラコも関係上は遠い親戚であることが見て取れた。ロンの父親や、トンクスの母(彼女はナルシッサと並んでいたので姉妹だと分かった)も純血のようだが、焦げ跡で名前を消されていた。
「純血の家系は随分少ないからね。純血同士の結婚ともなれば、自然とみんな親戚になるものだ」
ハリーはそれを聞いて何だかフォーラに対して居た堪れない気持ちになったが、彼女にかける気前のいい言葉をすぐには思いつけなかった。昨日、彼女の秘めた悩みを聞いたばかりだったから余計に難しかった。
すると、フォーラの純血に対する想いを知らないシリウスは、如何に自身の純血の親戚関係がつらかったかを話して聞かせてくれた。
「夏休みの間は、ハリー、私は殆ど君のお父さんの家に居て、ご両親は私を親子同然に迎えてくれた……」
フォーラはそれを聞いて一瞬シリウスに目を向けたものの、彼がハリーと水入らずの話をしているのだと気付くと、そのまま二人からそっと離れて他のみんなの所へ戻った。その際、彼女は一度だけタペストリーを振り返った。そして彼女から少し離れた場所で休憩していたジョージは、彼女のその姿を心配そうな面持ちで見つめていたのだった。
その日の夜にみんなが就寝前の準備を済ませた頃、フォーラは自室から持ち出したランプの灯りを頼りに、昼間のタペストリーのある部屋に忍び込んでいた。壁一面のカーテンを開けるとタペストリーが露わになり、窓の外の月明りがそれを照らした。フォーラはざっと樹形図を見渡すと、ドラコや自分の両親の名を指でなぞった。そして自身の名前があった筈の焦げ跡にたどり着いたところでその手はピタリと止まってしまった。
この部屋を再訪した理由は特になかった。ただ強いて言うなら、久しぶりに目にしたドラコの名前をもう一度ゆっくり眺めたかった……といったところだろうか。しかしこうしてタペストリーを目にしてしまうと、近しい人たちのうち、どうしても彼女自身の名だけが黒い焦げ跡に掻き消されてしまっているのが目について離れなかった。
そういえば、シリウスは自身の名が黒焦げになっていることについて『光栄だ』と言っていた。フォーラがそれを思い返した時、その後の彼がハリーに話した内容も合わせて思い出した。彼が学生時代にハリーの父親家族と家族同然に長期休暇を過ごしたという話だ。
(シリウスさんは、血の繋がった家族ではなくて、ハリーのお父様たちを家族だと心からそう思っている様子だった)
フォーラとしては、シリウスが初めから持っている強い血の繋がりを捨てる必要があったことに驚きを隠せなかった。彼女の求めているものが目の前のタペストリーに刻まれていて、彼もその中の正式な一員だったというのに、何とも勿体ない話だ。だがそれでもきっと、シリウスには本当の家族を手に入れるために自分の名前を樹形図から焼くことが必要な行為だったのだろう。
(……本当の家族……)
自分と血の繋がった両親は、何処で何をしているのだろう。シリウスにもハリーにも、それぞれ好きかどうかは別として血縁者がいる。だが自分にはそれは無く、本当は何処の誰かも今のところ分からない。
(そんなこと、考えても仕方がないって前も思ったじゃない)
フォーラは一つため息を吐くと、こんな時間にここに居ては要らぬ事まで考えていけないと思い立ち、ようやく部屋を後にすべく踵を返した。彼女は廊下に続く扉を通る前に一度タペストリーの方を振り返ったが、薄暗くてそれはもう殆ど見えなくなっていた。そして廊下の方を再び見やると、調度目の前に自分のランプとは別の灯りが現れたものだから、これにはあまりにも驚いて心臓が止まるかと思った。
「驚いた。フォーラじゃないか。こんな時間にこんな所で、どうしたんだ?」
彼女が見上げると声の主がシリウスであると分かった。暗がりにランプの灯りが彼の顔をオレンジ色に照らしていた。
「シ、シリウスさん……!ええと、その、何でもないんです!昼間に忘れ物をしてしまって、取りに来ただけなんです。あの……おやすみなさい!」
フォーラは急いでそう言うと、そのまま上階の自室へと足早に去ってしまったのだった。
「?あんなに慌てなくても」
もしかして、ランプで下から照らされた自分の顔が怖かったのだろうか?シリウスはそんなことを考えながら、ふとフォーラが部屋の中の方を振り返っていたのを思い出した。ほんの少し気になって開いたままのドアから中を覗いてみると、昼間ハリーと話した後に閉めた筈のタペストリーのカーテンが開いていた。
「……?」シリウスはタペストリーとフォーラが去って行った廊下の先を交互に見た後、杖で一振りしてタペストリーのカーテンを閉め、部屋の扉も閉めた。そして何やら考えるようにしながら顎に手を当て、自身が向かっていた自室へと歩みを進め直したのだった。