6. 私の素顔
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その頃のハリーはロンの部屋にいて、ロンとハーマイオニーに『何故手紙の返事を書かなかったのか、ダンブルドアが何故二人にそんな命令をしたのか』と、聞きたい事がありすぎて非常に苛立っていた。二人は案の定起こった事態にハリーを宥めようと必死だった。勿論ハリーが怒るのも無理はない。嫌いな親戚の家で数週間魔法界から切り離されて過ごさせられたのだから。
そしてそういった状況故に、ロンたちはハリーにフォーラのことを話すのが難しくなってきた。きっとハリーは何故敵に近しいフォーラがここに居るのを許されて、自分が許されなかったのかを問いただすだろうと思ったのだ。
そのようなことがあり、ようやくフォーラがロンの部屋に呼ばれて中に入ると、そこには久しぶりに見たハリーの姿があった。フォーラはできるだけ柔らかく挨拶をしたが、彼はやや険しい面持ちで「やあ」とだけ返し、あまり彼女を見ようとはしなかった。彼女から見ても、ロンの予想どおりハリーが随分機嫌を損ねているのが見て取れた。その空間には先程ここに居合わせた他の面々も揃っており、彼女は促されるままベッドの空いたスペースに腰を下ろした。
「それで」不意にハリーがフォーラに言った。
「ロンとハーマイオニーから聞いたよ。君のこと。でもフォーラ、君は―――マルフォイの一番近くにいるのに、つまり、ヴォルデモート側(その時みんなが息を呑んだ)にいる人間といつも一緒にいるのに、どうして今騎士団のアジトにいるんだい?」
ハリーはなるべく穏やかに聞こえるような声色で質問した。それに対してハーマイオニーが口を挟んだ。
「ハリー、フォーラのご両親が騎士団にいるってさっき説明を―――」
「分かってるさ!僕は今フォーラに聞いてるんだ」
みんなの心配そうな瞳や、真っ直ぐな瞳、様々な色を浮かべた瞳がフォーラを捉えた。彼女にはハリーの質問も、彼が気分を害している理由も十分に理解できた。みんなは自分を気遣ってくれたが、きっと本当はハリーのように、ハリーが来る前にハーマイオニーが尋ねてきたように、自分が何を思ってここにいるのか知りたい筈だ。両親が騎士団員だからといって、ドラコと仲の良い―――いや、ドラコと仲の良かった自分が裏切らないとは限らないのだから。
「私……みんなにもお話ししたとおり、両親のことで自分の頭の中を整理したくてここに来させていただいたの。」
フォーラは閉ざしていた口を開き、自身の本音を打ち明ける覚悟を決めた。その間、誰もが彼女を見てその声を聞いていた。
「私、両親の本当の子じゃなかったことは確かにショックだったわ。でも本当は……そのことよりも、自分が純血でなかった、マグル生まれということを……嫌というくらい気にしてしまっているの。」
そう言い切ったフォーラの表情は、今にも消えてしまいたいとでも言うように痛々しかったし、打ち明けたく無いことを打ち明けたせいで、後半は声が震えていた。
みんな互いに驚いた様子で目を見交わせた。特にハーマイオニーはフォーラを不安げな様子で見つめていた。二年生の時、自分に『穢れた血』と言ってきたドラコをフォーラは叱っていたではないか。ここにいるみんなだってその場面を知っていたから、フォーラが純血主義にこだわらない人なのだと考えていた。
ただジョージだけは、フォーラがここに初めて来た日に自分に見せた態度を思えば、彼女が純血との血の繋がりを気にしていたのもあり得ない話ではなかったのだと思えた。
「両親が騎士団に入って、私もみんなと団結しなくちゃいけない時に、こんな状態じゃいけないのに、両親に対する怒りや裏切りの気持ちをどうすればいいのか分からなくて……。そうしたら、セブ―――スネイプ先生が、ここに来ることを勧めてくださったの。」
フォーラが一呼吸する間みんな静かだったが、そんな中ハリーは間髪入れずに言葉を発した。
「マグル生まれかどうかなんて、何も気にする必要ないじゃないか。馬鹿げてるよ。それにはっきり言うけど―――君のご両親が騎士団に入っているからって、君がマルフォイに気を許して、ついうっかりここでの出来事を話さない理由にはならないじゃないか」
「私、騎士団のことはドラコに話さないし、話せない。両親の騎士団での計画を台無しにしたくないし、それに……。私もドラコを助けたいの。だからその為には、私は彼の前で望んでいなくても絶対に純血になりきらなくちゃいけないから、私が本心から彼に心を許すことはないの。私がそう考えざるを得ないことを、ダンブルドア先生もスネイプ先生も分かってくださっているわ。」
するとハリーは眉間に皺を寄せ、椅子に座ってはいたが前のめりになって立ち上がりそうな勢いで声を荒げた。
「マルフォイを助けたいだなんて、君も、君の両親もどうかしてる!それを許したダンブルドアもスネイプだってそうだ。三校対抗試合の迷路課題の時、セドリックが殺されたあの日、ルシウス・マルフォイはヴォルデモートのすぐそばにいた!奴は死喰い人だ!それに、息子の方だって根っからの純血主義で―――」
「分かっているわ」フォーラはやや強めにそう言ってハリーの目を見た。
みんなフォーラのそんな様子を始めて見たような気がして、誰も、ハリーですら何も言わなかった。彼女は一度視線を下げて、一瞬だけ瞳を閉じた。瞼の裏に浮かんだのはいつものツンとした表情のドラコで、記憶の中の彼はその後フッと笑顔を覗かせた。そして彼女は彼本人だけでなく、友人にも誰にも打ち明けたことの無い気持ちを口にしようと再び顔を上げたのだった。その表情は見ている側の胸が苦しくなってしまうような、そんな様子だった。
「私……ドラコを心から愛しているわ。幼馴染としても、……想い人としても。私の両親だって、ルシウスさんやナルシッサさんとは唯一無二の親友で、みんなかけがえのない存在なの。たとえドラコが純血主義でも、彼のご両親が間違ったことをしていても、私の大切な人を『例のあの人』からどうにか引き離したいと思うのは、間違ったことなの?」
ハーマイオニーはフォーラの気持ちが予想どおりだったため、心配そうに両手で自身の胸元を抑え込んでいた。ハリーの方は想像もしていなかったフォーラの想いに驚きを隠せなかったし、みんなと同様に返す言葉が見つからなかった。
そしてハリーはフォーラの口から発された『大切な人』という言葉を耳にした時、もしロンやハーマイオニーがヴォルデモートの側に行ってしまうことがあったら、自分はどうしただろうと考えかけた。しかしそもそもこの二人がそんな風になる筈がないのだと、彼は無理矢理にでも頭の中からそのことを振り払った。とはいえ初めて知ったフォーラの胸中があまりにもやるせなくて、気がつけばハリーは最初に見せていた怒りの態度のままでいる気は無くなっていた。
そしてそういった状況故に、ロンたちはハリーにフォーラのことを話すのが難しくなってきた。きっとハリーは何故敵に近しいフォーラがここに居るのを許されて、自分が許されなかったのかを問いただすだろうと思ったのだ。
そのようなことがあり、ようやくフォーラがロンの部屋に呼ばれて中に入ると、そこには久しぶりに見たハリーの姿があった。フォーラはできるだけ柔らかく挨拶をしたが、彼はやや険しい面持ちで「やあ」とだけ返し、あまり彼女を見ようとはしなかった。彼女から見ても、ロンの予想どおりハリーが随分機嫌を損ねているのが見て取れた。その空間には先程ここに居合わせた他の面々も揃っており、彼女は促されるままベッドの空いたスペースに腰を下ろした。
「それで」不意にハリーがフォーラに言った。
「ロンとハーマイオニーから聞いたよ。君のこと。でもフォーラ、君は―――マルフォイの一番近くにいるのに、つまり、ヴォルデモート側(その時みんなが息を呑んだ)にいる人間といつも一緒にいるのに、どうして今騎士団のアジトにいるんだい?」
ハリーはなるべく穏やかに聞こえるような声色で質問した。それに対してハーマイオニーが口を挟んだ。
「ハリー、フォーラのご両親が騎士団にいるってさっき説明を―――」
「分かってるさ!僕は今フォーラに聞いてるんだ」
みんなの心配そうな瞳や、真っ直ぐな瞳、様々な色を浮かべた瞳がフォーラを捉えた。彼女にはハリーの質問も、彼が気分を害している理由も十分に理解できた。みんなは自分を気遣ってくれたが、きっと本当はハリーのように、ハリーが来る前にハーマイオニーが尋ねてきたように、自分が何を思ってここにいるのか知りたい筈だ。両親が騎士団員だからといって、ドラコと仲の良い―――いや、ドラコと仲の良かった自分が裏切らないとは限らないのだから。
「私……みんなにもお話ししたとおり、両親のことで自分の頭の中を整理したくてここに来させていただいたの。」
フォーラは閉ざしていた口を開き、自身の本音を打ち明ける覚悟を決めた。その間、誰もが彼女を見てその声を聞いていた。
「私、両親の本当の子じゃなかったことは確かにショックだったわ。でも本当は……そのことよりも、自分が純血でなかった、マグル生まれということを……嫌というくらい気にしてしまっているの。」
そう言い切ったフォーラの表情は、今にも消えてしまいたいとでも言うように痛々しかったし、打ち明けたく無いことを打ち明けたせいで、後半は声が震えていた。
みんな互いに驚いた様子で目を見交わせた。特にハーマイオニーはフォーラを不安げな様子で見つめていた。二年生の時、自分に『穢れた血』と言ってきたドラコをフォーラは叱っていたではないか。ここにいるみんなだってその場面を知っていたから、フォーラが純血主義にこだわらない人なのだと考えていた。
ただジョージだけは、フォーラがここに初めて来た日に自分に見せた態度を思えば、彼女が純血との血の繋がりを気にしていたのもあり得ない話ではなかったのだと思えた。
「両親が騎士団に入って、私もみんなと団結しなくちゃいけない時に、こんな状態じゃいけないのに、両親に対する怒りや裏切りの気持ちをどうすればいいのか分からなくて……。そうしたら、セブ―――スネイプ先生が、ここに来ることを勧めてくださったの。」
フォーラが一呼吸する間みんな静かだったが、そんな中ハリーは間髪入れずに言葉を発した。
「マグル生まれかどうかなんて、何も気にする必要ないじゃないか。馬鹿げてるよ。それにはっきり言うけど―――君のご両親が騎士団に入っているからって、君がマルフォイに気を許して、ついうっかりここでの出来事を話さない理由にはならないじゃないか」
「私、騎士団のことはドラコに話さないし、話せない。両親の騎士団での計画を台無しにしたくないし、それに……。私もドラコを助けたいの。だからその為には、私は彼の前で望んでいなくても絶対に純血になりきらなくちゃいけないから、私が本心から彼に心を許すことはないの。私がそう考えざるを得ないことを、ダンブルドア先生もスネイプ先生も分かってくださっているわ。」
するとハリーは眉間に皺を寄せ、椅子に座ってはいたが前のめりになって立ち上がりそうな勢いで声を荒げた。
「マルフォイを助けたいだなんて、君も、君の両親もどうかしてる!それを許したダンブルドアもスネイプだってそうだ。三校対抗試合の迷路課題の時、セドリックが殺されたあの日、ルシウス・マルフォイはヴォルデモートのすぐそばにいた!奴は死喰い人だ!それに、息子の方だって根っからの純血主義で―――」
「分かっているわ」フォーラはやや強めにそう言ってハリーの目を見た。
みんなフォーラのそんな様子を始めて見たような気がして、誰も、ハリーですら何も言わなかった。彼女は一度視線を下げて、一瞬だけ瞳を閉じた。瞼の裏に浮かんだのはいつものツンとした表情のドラコで、記憶の中の彼はその後フッと笑顔を覗かせた。そして彼女は彼本人だけでなく、友人にも誰にも打ち明けたことの無い気持ちを口にしようと再び顔を上げたのだった。その表情は見ている側の胸が苦しくなってしまうような、そんな様子だった。
「私……ドラコを心から愛しているわ。幼馴染としても、……想い人としても。私の両親だって、ルシウスさんやナルシッサさんとは唯一無二の親友で、みんなかけがえのない存在なの。たとえドラコが純血主義でも、彼のご両親が間違ったことをしていても、私の大切な人を『例のあの人』からどうにか引き離したいと思うのは、間違ったことなの?」
ハーマイオニーはフォーラの気持ちが予想どおりだったため、心配そうに両手で自身の胸元を抑え込んでいた。ハリーの方は想像もしていなかったフォーラの想いに驚きを隠せなかったし、みんなと同様に返す言葉が見つからなかった。
そしてハリーはフォーラの口から発された『大切な人』という言葉を耳にした時、もしロンやハーマイオニーがヴォルデモートの側に行ってしまうことがあったら、自分はどうしただろうと考えかけた。しかしそもそもこの二人がそんな風になる筈がないのだと、彼は無理矢理にでも頭の中からそのことを振り払った。とはいえ初めて知ったフォーラの胸中があまりにもやるせなくて、気がつけばハリーは最初に見せていた怒りの態度のままでいる気は無くなっていた。