4. チョコレートケーキと彼
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ジニーが今しまったばかりのケーキが入った冷蔵庫をチラと開けてすぐにパタンと閉めた。それを見てフォーラは再びにこやかになるとフレッドを振り返った。
「ふふ。それにね、待っている間に自分もみんなも楽しみになる魔法がかかっている、気がして・・・」
そこまで言った時、フォーラの頭の中片隅には母親が今し方自分が言った言葉と同じ事を自分に言っていたのを思い出した。そのすぐ横でメイド長のハンナが出来立てのケーキを冷蔵庫に閉まいながら微笑んでいる。幼いフォーラはその後度々冷蔵庫をチラと開けてはホールケーキを覗き見て、母と作ったケーキの出来にワクワクし、父に食べさせたらなんと言うだろうかとドキドキする魔法にかかっていた。
フォーラはパッと意識を引き戻し、言葉を打ち切ったのがわからないくらいに留めて笑顔のまま続けた。
「私、大好きなの。」
「!・・・なるほど」
フレッドは自分に向けられた彼女の笑顔が思っていたより眩しくて、目を背けた後にそう言うと、先程からフォーラを見ているジョージとロンを交互に見てニヤリと笑った。
「君は杖を使わずに魔法をかける天才だな」
二人が小馬鹿にされたような何かを察してフレッドに言い返そうとした時、ちょうど部屋の入り口のドアが開いた。中に入ってきたのは買い物袋を抱えたモリーだった。
「ああ、皆んなここにいたのね」
手の空いた何人かが彼女の荷物運びに駆け寄った。
「おかえり、ママ。いつもより荷物が多いね」
ロンが紙袋の中を覗き見てからそれを抱えた。
「そうなのよ。それがね、今日の夕食にダンブルドア先生がいらっしゃることになったの。
お仕事で近くを通るから、ここにも寄ってくださるそうよ。スネイプ先生も一緒だけど、彼は食事はなさらないそうなの」
「「!!」」
皆ダンブルドアと聞いて顔が明るくなったが、フォーラを除いてスネイプの名を聞いた途端に表情がやや引きつっていた。
「じゃあ、ダンブルドア先生が来るなら今晩はいっぱいおもてなししなきゃね。ちょうどケーキも振る舞えるし」
ジニーが気を取り直したように言った。ハーマイオニーも調子を上げていた。
「わあーッ、校長先生に食べてもらうとおもうと、急に緊張してきちゃった」
フォーラもつられてドキドキしたが、どちらかというとスネイプが夕食を食べないのなら、せめてカットケーキを持ち帰ってくれないだろうかという気持ちの方が強かった。
それから夕食時までの間、フォーラは皆と一緒に過ごしたが、主にはダンブルドアにハリーのことで質問する内容について話し合った。熱の入るハーマイオニーの陰でロンがこっそり教えてくれたが、以前ダンブルドアが見えた際に二人はもう殆どと言っていいほどハリーについて質問し尽くしてしまっているらしい。何故早く騎士団本部に連れてこないのか、何故彼に梟便の返事を書いてはいけないか、ハリーは今何をしているのか?
ハリーに関してこれまでで一番有益な情報だったのは、彼の家周辺を毎日騎士団の誰かが見張っているということ、ハリーの叔母の家が彼にとって一番安全らしいということだけだった。
ロンが続けた。
「僕らも色々考えたよ。ダンブルドアがどうしてハリーをここから遠ざけるのかって。もし新学期になって騎士団の話をしたら、彼はきっとカンカンになって怒るに決まってる。好きでもない叔母さんと叔父さんの家に夏休み中閉じ込められて、僕らは騎士団の本部にいるんだから。
でも、仕方がないだろ?ダンブルドアが駄目と言ったら駄目なんだ。きっと僕らがまだ子供だから、何も知らせたくないんだよ」
「ハリーの叔母様のお家はどんな様子なの?」
フォーラがじっとロンを見て尋ねると、彼は彼女が自分の話に関心を示していることに心の底でドキドキしていた。
「えっと、まず一家はマグルなんだ。魔法を毛嫌いしてる。それで、あんまり叔父さんも叔母さんもハリーを好きじゃなさそうだった。一度ハリーの家に行ったけど―――、ハリー曰く、あの家には一秒も居たくないって」
「そう、いくら安全でも、そこにじっとしているのはとっても辛いわね・・。」
フォーラはふと家族がこちらに笑いかけてくれている姿を思い出した。きっと自分はハリーに比べたら帰る家もあって十分恵まれているに違いなかった。だがそれでも受け入れられずに家から飛び出してここに逃げ込んでいる。ハリーがどれほど辛い思いをしているかわかっているつもりだが、実際自分には計り知れない程なのだろう。
「ハリーが早くここに来られるように、私もダンブルドア先生にお願いするのを手伝うわ。」
その日の夕食時に確かにダンブルドアは現れた。ルーピンやアーサーもほぼ同じタイミングで帰宅して玄関でダンブルドアを迎え入れた。彼は厨房に入った時、以前ここに来た時に見なかった顔ににっこりと微笑んだ。
「おおフォーラ、元気にしておったかの」
フォーラは思わず椅子から立ち上がった。友人達はダンブルドアに挨拶した後、ちょうど同じく部屋に入って来たアーサーとルーピンに気を取られてそちらと会話をしているところだった。
「ええと・・・、はい。皆さんが良くして下さるので。」
彼女の曖昧な返事にダンブルドアは微笑んだ。フォーラは彼の質問の中に、暗に養子のことが含まれているのもわかったし、それに自分が"はい"と言ったのが嘘だと見透かされているのもわかっていた。
「その、この間の学期の終わりは、突然お邪魔してすみませんでした・・。
私、先生のお願いも、まだ・・」
「いいんじゃよ。」
ダンブルドアはフォーラの発言を遮るようにしてそう言った。そしてそれを見てフォーラはこの話題がここで話すべきことでないのだと悟った。彼女が学期末にダンブルドアの部屋を訪ねて自身と家族の事を相談した時、彼からもしフォーラが立ち直ったら彼自身のお願いを聞いて欲しいと言われていた。
「ふふ。それにね、待っている間に自分もみんなも楽しみになる魔法がかかっている、気がして・・・」
そこまで言った時、フォーラの頭の中片隅には母親が今し方自分が言った言葉と同じ事を自分に言っていたのを思い出した。そのすぐ横でメイド長のハンナが出来立てのケーキを冷蔵庫に閉まいながら微笑んでいる。幼いフォーラはその後度々冷蔵庫をチラと開けてはホールケーキを覗き見て、母と作ったケーキの出来にワクワクし、父に食べさせたらなんと言うだろうかとドキドキする魔法にかかっていた。
フォーラはパッと意識を引き戻し、言葉を打ち切ったのがわからないくらいに留めて笑顔のまま続けた。
「私、大好きなの。」
「!・・・なるほど」
フレッドは自分に向けられた彼女の笑顔が思っていたより眩しくて、目を背けた後にそう言うと、先程からフォーラを見ているジョージとロンを交互に見てニヤリと笑った。
「君は杖を使わずに魔法をかける天才だな」
二人が小馬鹿にされたような何かを察してフレッドに言い返そうとした時、ちょうど部屋の入り口のドアが開いた。中に入ってきたのは買い物袋を抱えたモリーだった。
「ああ、皆んなここにいたのね」
手の空いた何人かが彼女の荷物運びに駆け寄った。
「おかえり、ママ。いつもより荷物が多いね」
ロンが紙袋の中を覗き見てからそれを抱えた。
「そうなのよ。それがね、今日の夕食にダンブルドア先生がいらっしゃることになったの。
お仕事で近くを通るから、ここにも寄ってくださるそうよ。スネイプ先生も一緒だけど、彼は食事はなさらないそうなの」
「「!!」」
皆ダンブルドアと聞いて顔が明るくなったが、フォーラを除いてスネイプの名を聞いた途端に表情がやや引きつっていた。
「じゃあ、ダンブルドア先生が来るなら今晩はいっぱいおもてなししなきゃね。ちょうどケーキも振る舞えるし」
ジニーが気を取り直したように言った。ハーマイオニーも調子を上げていた。
「わあーッ、校長先生に食べてもらうとおもうと、急に緊張してきちゃった」
フォーラもつられてドキドキしたが、どちらかというとスネイプが夕食を食べないのなら、せめてカットケーキを持ち帰ってくれないだろうかという気持ちの方が強かった。
それから夕食時までの間、フォーラは皆と一緒に過ごしたが、主にはダンブルドアにハリーのことで質問する内容について話し合った。熱の入るハーマイオニーの陰でロンがこっそり教えてくれたが、以前ダンブルドアが見えた際に二人はもう殆どと言っていいほどハリーについて質問し尽くしてしまっているらしい。何故早く騎士団本部に連れてこないのか、何故彼に梟便の返事を書いてはいけないか、ハリーは今何をしているのか?
ハリーに関してこれまでで一番有益な情報だったのは、彼の家周辺を毎日騎士団の誰かが見張っているということ、ハリーの叔母の家が彼にとって一番安全らしいということだけだった。
ロンが続けた。
「僕らも色々考えたよ。ダンブルドアがどうしてハリーをここから遠ざけるのかって。もし新学期になって騎士団の話をしたら、彼はきっとカンカンになって怒るに決まってる。好きでもない叔母さんと叔父さんの家に夏休み中閉じ込められて、僕らは騎士団の本部にいるんだから。
でも、仕方がないだろ?ダンブルドアが駄目と言ったら駄目なんだ。きっと僕らがまだ子供だから、何も知らせたくないんだよ」
「ハリーの叔母様のお家はどんな様子なの?」
フォーラがじっとロンを見て尋ねると、彼は彼女が自分の話に関心を示していることに心の底でドキドキしていた。
「えっと、まず一家はマグルなんだ。魔法を毛嫌いしてる。それで、あんまり叔父さんも叔母さんもハリーを好きじゃなさそうだった。一度ハリーの家に行ったけど―――、ハリー曰く、あの家には一秒も居たくないって」
「そう、いくら安全でも、そこにじっとしているのはとっても辛いわね・・。」
フォーラはふと家族がこちらに笑いかけてくれている姿を思い出した。きっと自分はハリーに比べたら帰る家もあって十分恵まれているに違いなかった。だがそれでも受け入れられずに家から飛び出してここに逃げ込んでいる。ハリーがどれほど辛い思いをしているかわかっているつもりだが、実際自分には計り知れない程なのだろう。
「ハリーが早くここに来られるように、私もダンブルドア先生にお願いするのを手伝うわ。」
その日の夕食時に確かにダンブルドアは現れた。ルーピンやアーサーもほぼ同じタイミングで帰宅して玄関でダンブルドアを迎え入れた。彼は厨房に入った時、以前ここに来た時に見なかった顔ににっこりと微笑んだ。
「おおフォーラ、元気にしておったかの」
フォーラは思わず椅子から立ち上がった。友人達はダンブルドアに挨拶した後、ちょうど同じく部屋に入って来たアーサーとルーピンに気を取られてそちらと会話をしているところだった。
「ええと・・・、はい。皆さんが良くして下さるので。」
彼女の曖昧な返事にダンブルドアは微笑んだ。フォーラは彼の質問の中に、暗に養子のことが含まれているのもわかったし、それに自分が"はい"と言ったのが嘘だと見透かされているのもわかっていた。
「その、この間の学期の終わりは、突然お邪魔してすみませんでした・・。
私、先生のお願いも、まだ・・」
「いいんじゃよ。」
ダンブルドアはフォーラの発言を遮るようにしてそう言った。そしてそれを見てフォーラはこの話題がここで話すべきことでないのだと悟った。彼女が学期末にダンブルドアの部屋を訪ねて自身と家族の事を相談した時、彼からもしフォーラが立ち直ったら彼自身のお願いを聞いて欲しいと言われていた。