4. チョコレートケーキと彼
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タイマーのネジ回しを合わせながら心配そうにするハーマイオニーにフォーラが微笑んだ。
「ええ、きっとこれで大丈夫。」
彼女はふうと一息つくと、ハーマイオニーとジニーがキラキラした瞳でオーブンの前に屈み込んで窓から中の生地を眺める姿にもう一度にっこりして立ち上がった。
「私はお菓子作りより、トンクスさんの七変化や変身術に、とっても憧れます。
七変化は、生まれつきなのですよね・・?」
トンクスはキュートな口元をニッと上げて頷いた。
「そうだよ。杖なしで好きなように変身できるの」
トンクスはもちろんフォーラも変身術は大得意で、学年末テストでは毎年一番を取っている。フォーラはとても希少なアニメーガスで、杖なしのまま黒猫に変身できる。優秀な魔法使いが何年もかかるところを彼女は数ヶ月で攻略してしまったのだった。
とはいえそれよりも希少な七変化の女性が目の前にいて、好きな時に杖も無しで変身できるというのはフォーラにとってもとてつもなく憧れることだ。
「とっても素敵・・。
その、それはやっぱり、なろうと思っても難しいのですよね?」
フォーラは控えめに尋ねた。好きな時に髪型やその他だって変えられるのは女子にとってこれ以上なく興味をそそられる。彼女はその時同時に心の奥底で囁いた言葉は聞かなかったことにした。
『自分じゃない誰かになれたら、ドラコと気まずい思いをせずに話せるかもしれないのに』
トンクスが言った。
「途中から習得できる可能性はほぼゼロらしいよ。
あっ、そういえば大昔に一人だけ自力で七変化になった魔女がいるって伝説があるけど、七変化になるのはそれくらい難しいんだね。
なあに?フォーラはどこか見た目で変えたいとこがあるの?十分可愛いと思うけど」
「あ、いえ、えっと・・・そういうわけじゃ」
ニコニコしながら尋ねてくるトンクスにフォーラはモゴモゴと誤魔化した。
すると二人の話に興味を示したジニーがフォーラの横で立ち上がり、キッチンカウンターからひょっこり顔を出してトンクスに尋ねた。
「見た目を自由に変えられるってことは、例えば私の髪型とも全く同じにできるの?」
「うん、やろうと思えば同じにはできるよ」
そう言ったトンクスは目をぎゅっと瞑ったと思うと、あっという間に紫の髪を赤毛のロングヘアに変身させていた。
「わあ、お姉さんが出来たみたい!!」
ジニーはトンクスの方へ向かって行くと、彼女の髪に触れて自分の物と比べて確認した。するとハーマイオニーも先程のジニーのようにカウンターから顔を出してトンクスを見た。
「本当、そっくりだわ。
髪型以外も真似できるの?例えば、見た目を全部そっくりにしたりとか」
「うーん、そうね。
肌の年齢も身体の形も変えられるから、出来ないことはないわね。まあ全く一緒となると顔のパーツだけじゃなくて、皺とか傷とかも作らないといけないし、人のパーツはとーーっても複雑だからかなり面倒だけどね」
ハーマイオニーが感心したように目を丸くした。
「凄いわ!ということは、トンクスはポリジュース薬が必要ないのね!」
「そうだね、色々条件はあるけど。あの薬は一時間しか効果がないし、そもそも材料が手に入りにくいのよね。作るのも時間がかかるし、魔法薬だから増やせないし。それに飲み続けなきゃいけない。でも逆に言うと薬さえ作れば一時間は楽に変身できるのよ。その人を見た事がなくてもね。
七変化で姿を同じにしようと思うと、はっきり姿形を覚えていないと『似た誰か』になるだけだから、見たことのない人やうろ覚えの人にはなれないし。
任務で成りすまし操作なんかをする時は、それぞれの欠点が目立たない変身方法を選ぶ必要があってね・・」
フォーラはそれを聞いて驚き、思わずおうむ返しをしていた。
「成りすまし操作・・・」
トンクスはハッとしてワタワタといらぬ事まで話しすぎてしまったのを誤魔化すように「さっ、生地はどんな感じ?私も手伝おうかな!」と立ち上がったのだった。
それからは四人でケーキ作りの続きを行った。フォーラは初めハーマイオニーとジニーがトンクスの参加で心配そうにしていたのを疑問に思ったが、彼女がクリームを魔法でかき混ぜるのに失敗して泡立て器が飛んで行き、丁度ダイニングを覗き見ようとしていた双子のうちのフレッドの顔面に直撃したのを見てその意味がわかった。フォーラも皆んなも大慌てで心配して駆け寄ったが、彼が全くの無事だとわかると安心したせいか可笑しくて思わず笑ってしまった。
「できたわ!」
「こっちも!」
昼食の準備が始まる前にハーマイオニーとジニーがケーキに飾りのクリームを絞り終えた。キッチンの反対側からカウンターにもたれるようにして双子とロンがケーキの仕上がる様を覗き見ていた。
フレッドがワクワクした様子で言った。
「上手くできてるじゃないか。昼過ぎには食べられるのか?」
フォーラは二つのホールケーキをトンクスに手伝ってもらって冷蔵庫にしまうと振り返ってフレッドに微笑んだ。
「いいえ、夕食の後だわ。」
「えーっ、そんなに待てないぜ。どうしてなんだ?」
「クリームが生地によく馴染むのを待つの。それに、十分冷えたら、クリームもしっかりして口当たりよくなるのよ。
こればっかりは、魔法でやるよりも絶対に美味しくなる方法なの。」
「ええ、きっとこれで大丈夫。」
彼女はふうと一息つくと、ハーマイオニーとジニーがキラキラした瞳でオーブンの前に屈み込んで窓から中の生地を眺める姿にもう一度にっこりして立ち上がった。
「私はお菓子作りより、トンクスさんの七変化や変身術に、とっても憧れます。
七変化は、生まれつきなのですよね・・?」
トンクスはキュートな口元をニッと上げて頷いた。
「そうだよ。杖なしで好きなように変身できるの」
トンクスはもちろんフォーラも変身術は大得意で、学年末テストでは毎年一番を取っている。フォーラはとても希少なアニメーガスで、杖なしのまま黒猫に変身できる。優秀な魔法使いが何年もかかるところを彼女は数ヶ月で攻略してしまったのだった。
とはいえそれよりも希少な七変化の女性が目の前にいて、好きな時に杖も無しで変身できるというのはフォーラにとってもとてつもなく憧れることだ。
「とっても素敵・・。
その、それはやっぱり、なろうと思っても難しいのですよね?」
フォーラは控えめに尋ねた。好きな時に髪型やその他だって変えられるのは女子にとってこれ以上なく興味をそそられる。彼女はその時同時に心の奥底で囁いた言葉は聞かなかったことにした。
『自分じゃない誰かになれたら、ドラコと気まずい思いをせずに話せるかもしれないのに』
トンクスが言った。
「途中から習得できる可能性はほぼゼロらしいよ。
あっ、そういえば大昔に一人だけ自力で七変化になった魔女がいるって伝説があるけど、七変化になるのはそれくらい難しいんだね。
なあに?フォーラはどこか見た目で変えたいとこがあるの?十分可愛いと思うけど」
「あ、いえ、えっと・・・そういうわけじゃ」
ニコニコしながら尋ねてくるトンクスにフォーラはモゴモゴと誤魔化した。
すると二人の話に興味を示したジニーがフォーラの横で立ち上がり、キッチンカウンターからひょっこり顔を出してトンクスに尋ねた。
「見た目を自由に変えられるってことは、例えば私の髪型とも全く同じにできるの?」
「うん、やろうと思えば同じにはできるよ」
そう言ったトンクスは目をぎゅっと瞑ったと思うと、あっという間に紫の髪を赤毛のロングヘアに変身させていた。
「わあ、お姉さんが出来たみたい!!」
ジニーはトンクスの方へ向かって行くと、彼女の髪に触れて自分の物と比べて確認した。するとハーマイオニーも先程のジニーのようにカウンターから顔を出してトンクスを見た。
「本当、そっくりだわ。
髪型以外も真似できるの?例えば、見た目を全部そっくりにしたりとか」
「うーん、そうね。
肌の年齢も身体の形も変えられるから、出来ないことはないわね。まあ全く一緒となると顔のパーツだけじゃなくて、皺とか傷とかも作らないといけないし、人のパーツはとーーっても複雑だからかなり面倒だけどね」
ハーマイオニーが感心したように目を丸くした。
「凄いわ!ということは、トンクスはポリジュース薬が必要ないのね!」
「そうだね、色々条件はあるけど。あの薬は一時間しか効果がないし、そもそも材料が手に入りにくいのよね。作るのも時間がかかるし、魔法薬だから増やせないし。それに飲み続けなきゃいけない。でも逆に言うと薬さえ作れば一時間は楽に変身できるのよ。その人を見た事がなくてもね。
七変化で姿を同じにしようと思うと、はっきり姿形を覚えていないと『似た誰か』になるだけだから、見たことのない人やうろ覚えの人にはなれないし。
任務で成りすまし操作なんかをする時は、それぞれの欠点が目立たない変身方法を選ぶ必要があってね・・」
フォーラはそれを聞いて驚き、思わずおうむ返しをしていた。
「成りすまし操作・・・」
トンクスはハッとしてワタワタといらぬ事まで話しすぎてしまったのを誤魔化すように「さっ、生地はどんな感じ?私も手伝おうかな!」と立ち上がったのだった。
それからは四人でケーキ作りの続きを行った。フォーラは初めハーマイオニーとジニーがトンクスの参加で心配そうにしていたのを疑問に思ったが、彼女がクリームを魔法でかき混ぜるのに失敗して泡立て器が飛んで行き、丁度ダイニングを覗き見ようとしていた双子のうちのフレッドの顔面に直撃したのを見てその意味がわかった。フォーラも皆んなも大慌てで心配して駆け寄ったが、彼が全くの無事だとわかると安心したせいか可笑しくて思わず笑ってしまった。
「できたわ!」
「こっちも!」
昼食の準備が始まる前にハーマイオニーとジニーがケーキに飾りのクリームを絞り終えた。キッチンの反対側からカウンターにもたれるようにして双子とロンがケーキの仕上がる様を覗き見ていた。
フレッドがワクワクした様子で言った。
「上手くできてるじゃないか。昼過ぎには食べられるのか?」
フォーラは二つのホールケーキをトンクスに手伝ってもらって冷蔵庫にしまうと振り返ってフレッドに微笑んだ。
「いいえ、夕食の後だわ。」
「えーっ、そんなに待てないぜ。どうしてなんだ?」
「クリームが生地によく馴染むのを待つの。それに、十分冷えたら、クリームもしっかりして口当たりよくなるのよ。
こればっかりは、魔法でやるよりも絶対に美味しくなる方法なの。」