2019

染めて夕焼け

 皮膚の薄い部分に血管が透けて淡いブルーの色だった。横顔、こめかみ近く。振り向きざまに君が言う。
「こないだ借りてたDVD、良かったよ!」
「へえ、それは良かった」
「本当だって! 白黒の映画なんて滅多なことがないと見ないけど、すごく良かった」
 窓辺に二人。ガラスと窓枠の隙間から微風が肌を撫で上げていく。遠くでは部活の声。
「新しいの、持ってきてるけど見るか?」
「えっ、本当!?」
 染まる。染め上げる。
 夕日のオレンジが差した。しんとした廊下の奥にまで届くように。
「じゃあ、君の好きなものも教えて」
 僕の好きなものはすべて君に捧げる。


 染める… 2019.06.18 1h @BL_ONEhour

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