2019
洗濯日和はまた明日
「な、な、な!」
驚きのあまり、次の言葉が出てこなくなった村岡涼一はぽかんと口に空気を含んだままパクパクと上下に開閉させていた。
彼の目の前にはある人物が一人。麻生大介だ。彼が上半身裸体のまま、濡れた髪に滴をしたたらせ、ちょうどバスルームから姿を現したところだった。
「ん? どうしたの、村岡くん」
「どどどど、どうしたじゃないですよ!」
涼一は麻生の下半身に向かって勢いよく人差し指を立てた。
「ん?」
事態が呑み込めていない麻生が小首をかしげる。水滴が垂れ、彼の整った顔に一筋の道を作って顎から水が一滴垂れた。
「だから! そのパンツ!」
と、大声を出してみた後で、急に恥ずかしくなったのか、涼一の頬が真っ赤に染まった。涼一は麻生を直視できずに視線をそらす。
「何? 一体何がいいたんだ。こっちを見てから言いなさい」
年上の有無を言わさない物言いにぎこちなく肩を震わせる涼一。そのまま、すまなそうな小声で答えた。
「そのパンツ、僕のです。麻生さん」
消え入るようなか細い声は、衝撃の事実を麻生にもたらした。
「へ? ……えっ、うっそぉ! まじで?」
すっとんきょうな声を上げたが、その後、彼は事態の深刻さに気が付かないのか、笑い声を立てた。
「あはは、こんなこともあるんだね、これが村岡くんのサイズか!」
「ちょっと、何で笑っているんですか! もう!」
「分かった、分かったって。今から脱ぐから!」
「わー、や、やめてください!」
その場で脱ぎだした麻生を制止させようと涼一は必死になった。
「じゃあ、このままでいいの? 俺のここが村岡くんのままで」
「……いやらしい言い方しないでください」
恥ずかしそうに首を左右に振る涼一を見て麻生の口角が吊り上った。
「かわいいね」
「うるさい」
「あ、天気予報で明日は晴れって言ってたっけ。せっかくの日曜だし、明日は一緒に洗濯でもしようか」
「へ?」
急に話題が変わったので涼一はまたもや、ぽかんとだらしのない顔つきになった。
「いつも君がしてくれるだろう。今回みたいな間違いを犯さないためにも、明日は一緒に洗ったり、干したりしようね」
彼の上品な笑い方は気品ある騎士そのものだと涼一は思う。だが、その笑みに隠されたもう一つの麻生を彼は知っている。
「で、それはどうするんですか?」
おずおずと疑問を口に出してみると、思い切り麻生に抱きしめられた。その肌は熱く火照っていて、通常ではありえないくらいの心拍数で鼓動していた。
「い、いつも、麻生さんがしてくれるみたいに……しましょうか?」
真っ赤になりながら、彼に問う。
「いいね、してよ」
もう爆発しそうだとばかりに麻生は余裕のない苦笑を漏らした。
「な、な、な!」
驚きのあまり、次の言葉が出てこなくなった村岡涼一はぽかんと口に空気を含んだままパクパクと上下に開閉させていた。
彼の目の前にはある人物が一人。麻生大介だ。彼が上半身裸体のまま、濡れた髪に滴をしたたらせ、ちょうどバスルームから姿を現したところだった。
「ん? どうしたの、村岡くん」
「どどどど、どうしたじゃないですよ!」
涼一は麻生の下半身に向かって勢いよく人差し指を立てた。
「ん?」
事態が呑み込めていない麻生が小首をかしげる。水滴が垂れ、彼の整った顔に一筋の道を作って顎から水が一滴垂れた。
「だから! そのパンツ!」
と、大声を出してみた後で、急に恥ずかしくなったのか、涼一の頬が真っ赤に染まった。涼一は麻生を直視できずに視線をそらす。
「何? 一体何がいいたんだ。こっちを見てから言いなさい」
年上の有無を言わさない物言いにぎこちなく肩を震わせる涼一。そのまま、すまなそうな小声で答えた。
「そのパンツ、僕のです。麻生さん」
消え入るようなか細い声は、衝撃の事実を麻生にもたらした。
「へ? ……えっ、うっそぉ! まじで?」
すっとんきょうな声を上げたが、その後、彼は事態の深刻さに気が付かないのか、笑い声を立てた。
「あはは、こんなこともあるんだね、これが村岡くんのサイズか!」
「ちょっと、何で笑っているんですか! もう!」
「分かった、分かったって。今から脱ぐから!」
「わー、や、やめてください!」
その場で脱ぎだした麻生を制止させようと涼一は必死になった。
「じゃあ、このままでいいの? 俺のここが村岡くんのままで」
「……いやらしい言い方しないでください」
恥ずかしそうに首を左右に振る涼一を見て麻生の口角が吊り上った。
「かわいいね」
「うるさい」
「あ、天気予報で明日は晴れって言ってたっけ。せっかくの日曜だし、明日は一緒に洗濯でもしようか」
「へ?」
急に話題が変わったので涼一はまたもや、ぽかんとだらしのない顔つきになった。
「いつも君がしてくれるだろう。今回みたいな間違いを犯さないためにも、明日は一緒に洗ったり、干したりしようね」
彼の上品な笑い方は気品ある騎士そのものだと涼一は思う。だが、その笑みに隠されたもう一つの麻生を彼は知っている。
「で、それはどうするんですか?」
おずおずと疑問を口に出してみると、思い切り麻生に抱きしめられた。その肌は熱く火照っていて、通常ではありえないくらいの心拍数で鼓動していた。
「い、いつも、麻生さんがしてくれるみたいに……しましょうか?」
真っ赤になりながら、彼に問う。
「いいね、してよ」
もう爆発しそうだとばかりに麻生は余裕のない苦笑を漏らした。