*1年生
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お泊まり会
〜それから3日後〜
「ユーリ、忘れものはないよね?」
「あったり前だ、フレンこそ大丈夫なんだよな?」
「…忘れものあっても取りに行けばいいんじゃ…」
「そうね、家近いもの」
金曜のお昼休み、中庭でジュディスとユーリ、フレンの四人で昼ごはんを食べながら今日の夜のことについて話し合ってる
と、言っても夕飯何にするとかって話なんだけどね…
最終的に、土日はユーリもフレンもバイト………という名の家の手伝いがないからってことで、わたしの家に泊まって、日曜に帰ろうという結論に至った
まぁ、ユーリもフレンもわたしの家が第2の家みたいな感じだから、勝手に部屋使ってたり
冷蔵庫の中身漁ったりとかしてるからいいんだけどさ…
「それにしても、あの2人変な言い合い始めたけどいいのかしら?」
「ほっといていいよ、もう…」
何故か言い合いを始めた2人を横目に1人お弁当を食べる
…因みにユーリ作だ
気づけば料理は全部やってくれている
夕飯もだし、朝食もだし、お弁当もだし……
多分、わたしよりもキッチンのもの把握してるよ…
そんなことを考えつつ、チラッと校舎の方を見ると、わたし達の教室の窓からクラスメイトの女子が数人集まって、ヒソヒソと話してるのが見える
それを見てため息をつく
「大変ね、学園のプリンスの幼馴染みも」
「うー、そう思うなら助けてよ…ジュディスー……」
「そうね、とりあえずそこの2人の喧嘩さえどうにか出来れば、彼女達はひくんじゃないかしら?」
真正面にいるユーリとフレンを見ながら言う
「はぁ……仕方ないなぁ……ユーリ、フレン」
「「あ?なんだよ?/後にしてくれないかい?」」
2人同時にわたしの方を向いて返事してくる
…息ぴったり過ぎるよ…
「上、見てみなよ、校舎の方」
ボソッと言うとまたまた2人同時に見上げるから、少し可笑しくって笑いそうになってしまう
本当は仲がいいのだから、喧嘩しないで欲しいのだが…
「あ?あいつら、この前言ったばっかなのにまたかよ!」
「…これは、もう一度説教が必要だね」
そう言ってお弁当をさらっと食べ切る
……早すぎだって……
既にお弁当を食べ終えていたわたしとジュディスは、さっさと片付け始める2人を見て苦笑いする
「シア、教室戻るぞ?」
「先に2人で行ってなよ、わたし歩くの遅いし」
「ユーリがいるから大丈夫だろ?」
「へ?それって………きゃっ!?」
急に足が地面から浮いた
何事かと慌てていると、すぐ近くからユーリの声が聞こえてきた
「よし、これで走りゃ問題ねぇだろ」
「問題しかないっ!まず廊下走っちゃ駄目だし、わたしお姫さま抱っこなんてしてたら、何言われるか分かんないじゃん!」
バタバタと暴れてみるが、一向に降ろしてくれそうにない
フレンも、わたしとユーリの分のお弁当箱を持って、走る気満々だし……
いいのか学年委員……
「ジュディ、また後で会おうぜ」
「ええ、また後で」
「ちょっ!ユーリっ!馬鹿っ!!降ろしてってばぁ!!!」
「………………」ムスッ
「シアー、悪かったって」
「アリシア、機嫌直してくれないか…?」
あの後、ユーリは結局教室まで降ろしてくれないし…
フレンはユーリと一緒に窓際でチラチラ見ながら話してた女子に本気でキレてるし…
廊下走ったことを先生に注意されたら、先に人のプライバシー侵害してくる女達をどうにかしろって2人同時に言い出すし……
キレてる2人を更にわたしが説教するという非常に面倒なことになった
だから、今ものすごく機嫌が悪い
2人は本気で謝ってきているが…
「あっ!アリシアーっ!!」
家の前まで来ると、既についていたのかエステルとリタ、それにジュディスの姿があった
「ごめんっ!遅くなっちゃった!」
「まったくもう、ちょっとあんたら2人!また学校で暴れたでしょ!?中等部にまで騒ぎが広がって来たわよ!?」
呆れて少し怒り気味にリタは2人に聞く
「あ~、いや、暴れたっつーか?」
「気づいたら怒られていたね…」
「「(シア/アリシア)に……」」
「あ、あはは……2人とも、学校であまり暴れないで下さいね……?」
「あら、面白い噂が聞こえてきて私は案外楽しんでいるけど?」
いたずらっ子の笑みを浮かべてジュディスはそう言う
なんのことだろう……
頭に『?』を浮かべながら、鍵を開けた
「……………」
「……………」
「…えっと、まだ勝負付きそうにないです?」
「あんたら…何10分それやり続けるつもりなのよ」
「あら、まだ勝負ついてなかったのね」
みんな…うるさいよ……
ユーリが夕飯作ってる間、暇だからって言って始まったババ抜き
開始して、あっさりジュディスはあがっちゃって、先にお風呂勝手に入りいくし(ジュディスが泊まる時はいつもそうだけど)
エステルとリタもあがって、残るはわたしとフレン
でも、中々勝負がつかないんだよね…
さっきから何度もジョーカーを取り合ってる
わたしが取りたいのはジョーカーじゃないのに…!
「おいおい……お前らまだやってたのかよ……夕飯出来たぜ?」
「…ユーリ、ちょっと黙っててくれ」
「……ちょっと今話しかけないで」
「な、なんでそんなにマジでやってんだよ……」
そりゃマジになるよ……だって…負けたら……!!
「……よしっ!こっちだっ!」
「あっ!!」
スッとフレンが取っていったのはクローバーのエース、つまりわたしの負けだ
「僕の勝ち、だよ?アリシア」
ニヤッと不敵な笑みを浮かべて立ち上がるフレン
「ちょっ!まっ!!!フレンっ!!駄目だってばっ!!!」
慌てて立ち上がってフレンを止める
「はぁ…そうゆう『約束』だろう?」
「約束してないっ!フレンが勝手に言っただけじゃんっ!!」
「……なら、ユーリに君が好きだってこと言う方がいいかい?」
ボソッと耳元でみんなに聞こえないように言われて、硬直する
いや、それも駄目だよ!?
それも駄目だけど……!!
フレンの腕を掴む手が緩んだ一瞬の隙をつかれて、小走りで階段を降りる音が聞こえた
「っ!!あーっ!!!フレンっ!!!!本当に駄目だってばぁぁぁぁぁ!!!」
半分悲鳴をあげつつフレンを追いかけた
「……何、してんだ?あいつら……」
ポカーンとして階段下を見る
オレ…夕飯出来たって呼び来ただけなんだけど……
「さぁ?ババ抜きする前にフレンがアリシアになんか言ってたのは見たけど」
「ですね…その後、アリシアが血相変えてフレンに抗議してて…」
「とりあえず、降りてみましょ?」
ジュディの言葉に頷いて、オレらも下に降りた
「うぅ……もーやだ………フレン大っ嫌い…………」
机に突っ伏してボソッと呟く
本当やだ……わたしなんにも悪いことしてないよ………
「おーい、シア…?」
「えっと……大丈夫です?」
不意に後ろからユーリとエステルの声が聞こえた
ああ、みんなも降りてきたのね……
「ちょっと、あんた何やったのよ」
少しキツい声でリタが言う
恐らくフレンも戻って来たのだろう
「いや……僕的には大したことじゃないと思うんだけど…」
「だからぁ……わたしには死活問題なんだってばぁ………」
グスッと半分泣きながら言う
「あら……もしかして……?」
「……れた………」
「え?なんです?」
「またゲーム持って行かれたっ!!しかも全部っ!!!わたし今回なんも怒られるような事してないよっ!?!!」
「またそれかよっ!?」
半分涙目になりつつ顔をあげて言うと、みんな呆れ顔をしている
ゲーム出来ないとかわたしには死活問題なんだって何度も言ってるじゃないか……!!
「この前のテストの点数、中等部最後のテストとほとんど同じものだったのに点数悪くなっていたじゃないか…」
「だーかーらー!!!それはゲーム関係ないって言ったじゃんっ!!!理由知ってる癖に意地悪しないでよ、馬鹿フレンっ!!」
「ば、馬鹿って……君に言われたくは」
「大っっ体!!人の家のDVDデッキで、勝手にアニメ撮りまくってるアニオタにゲームやってることに文句言われたくないっ!!!!」
「んなっ!?アリシアっ!それ言わない約束だろうっ!?それにアニメとゲームは」
「どっちも同じよっ!!!」
「リタの言う通りよ、そんな変な喧嘩しないの」
「アリシア…フレン…そんな喧嘩しないでください…」
ついに怒りの導火線に火のついたリタに怒られた……
いや、本当にテストの点数はゲーム関係ないんだよ……
……だからと言って言えるわけないんだけど……
ふと、ユーリから何も言われてないことに気づいて、目に溜まった涙を拭いて姿を探すとテレビの前のソファーに座って頭を抱えていた
「…ユーリ?」
「……なんか、頭痛ぇわ……オレの幼なじみ、2人揃ってなんでこんな変な方向に……」
はぁ……っとため息をつきながら言うユーリに、フレンと声を揃えて
「「マンガとラノベばっか読んでる(ユーリ/君)には言われたくないっ!!!」
【結論、3人とも二次元にハマってます】
「…っあぁぁぁ……つかれたぁぁぁ……」
ボフッとベッドに倒れ込む
あの後、3人で喧嘩始めてリタに思いっきり頭から水かけられました…
結局、ユーリとフレンも当分禁止っ!と、ジュディスに言われてこの話終わったんだけど……
うん、見事に2人も絶望したような顔してたよね…
流石にそれには笑ってしまった
で、夕飯食べてから自分の部屋のベッドで寝そべってる
エステル達は下の階の客間で寝ると言ってそっちにいる
本当は一緒がいーけど、布団の数が足んないし……
……それよりも…
「……髪乾かさなきゃ……あー…でも面倒……今日はこのままね」
「いや駄目に決まってんだろ…」
その声に少し頭をあげて見ると、ドアの前にユーリがいた
「あれ、いつの間に来たの?」
「ついさっき、いつもドライヤー部屋に持ってきてんのに、脱衣場に置きっぱなしだったからまさかと思って持ってきてみりゃ……」
ため息をつきながら部屋に入ってくるユーリの髪も、まだ少し湿っているように見える
「だってもう面倒……疲れたし寝たい……」
「風邪引くっての…ほら、こっち来いよ」
そう言って手招きしてくるので、渋々ベッドから起き上がって、ユーリの前に座る
「うわっ!?おまっ!全然拭いてねぇじゃねぇかよっ!?なんでそんなんでベッドにダイブすんだよ……」
タオルでわたしの髪を拭きながら呆れたような声で言ってくる
…面倒だったんだもん…髪拭くのも…
「ったく…オレはシアの親じゃねぇんだがな…」
やれやれと、ドライヤーのスイッチ入れて髪を乾かしながら言ってくる
そっと触れてくる手が心地よくて…
つい口元がニヤけそうになる
…本当はこうして貰えるのをちょっと期待してたからっていうのもあるんだけど……
そんなこと、口が裂けても言えそうにない
「……親よりも恋人の方がいいんだけど……」
ボソッと声に出してしまってハッとして、慌てて口を塞ぐ
やばい……何言ってんの……
「ん?なんか言ったか?」
どうやらドライヤーの音でよく聞こえなかったらしい
ほっと胸をなで下ろす
「ユーリが親は嫌だって言っただーけっ!」
今度は聞こえるように答える
「あん?どういう意味だよ?それ」
「そのまんま~っ!」
少し頭をあげてニヤッと笑う
「…オレに喧嘩うってくる口はこれか?」
「痛っ!?!!い、いふぁいっへはっ!!(痛いってば!!)」
ギュッと頬を抓られる
「喧嘩売ったのが悪ぃだろ?」
「ほぉめんっへはぁっ!!(ごめんってばぁ!)」
「ははっ!何言ってっかわかんねぇよ」
そう笑いながらようやく手を離してくれた
それと同時にユーリから離れようとするが、バランスを崩してユーリに倒れかかってしまった
「うわっ!?!」
「おっと!…大丈夫かよ?」
ちょっと心配そうに顔を覗き込んでくる
「もう…ユーリのばーか」
「あぁ?馬鹿って言った方が馬鹿だろ?」
「……ふふっ」
「……くっ…ははっ」
2人して笑い出す
この状況がなんだか楽しくって
傍から見たら付き合ってるようにしか見えないだろう
…でも、ユーリに想いを伝えたら、こうやって笑えなくなるかもしれない
臆病なわたしの心はそんなことを考えて伝えることを躊躇してしまっている
…だからさ、神様
もう少しだけ、こうさせて?
勇気が出るまでユーリとこうやって居させて?
ただ馬鹿やったり、笑っていられるだけで……
幸せだから…
ーーーーーーー
「……はぁ、ったく、本当いつまで経っても変わんねぇな…」
苦笑いしながらオレの腕ん中で寝ちまったシアの頭を撫でる
昔っからそうで、小さい頃からオレの腕ん中で寝るなんてしょっちゅうあった
「さてと…ベッドに寝かしておくとすっか」
シアを抱きかかえて立ち上がる
相変わらず軽いんだよなぁ…
ちゃんと食ってこれだからな…
ベッドに降ろして布団をかける
「……さっきの、ちゃーんと聞こえてたぜ?」
寝ている彼女に向かって小さく呟く
『……親よりも恋人の方がいいんだけど……』
確かにそう言ってたのが聞こえた
聞いてない振りしたどな……
嬉しくて、ちょっとニヤけそうだった
シアもそう思ってくれてるってわかって
…まぁ、まだ言わねぇけどな
伝える日はちゃんと決めてる
だからそれまでもう少し待っててくれ
「さてと、オレもそろそろ……って……」
部屋を後にしようと立ち上がった
……つもりだった
「……はぁ………」
右手を頭にあてて項垂れる
オレの左手は今、ベッドで寝ているシアに思いっきり掴まれてる
…いや、ほとんどシアがオレの腕ん中で寝落ちした時は毎回なんだが…
いつもなら起こすのも可哀想だから、シアの手の力が緩んだとこで出てくだが…
今日はマズイ
フレン達がいんのにそれはマズイ
「にゅ…………ゆーり…………」
「っ!?おわっ!?!」
急に引っ張られベッドに倒れ込む
幸いシアにぶつかりゃしなかったが、これはやばい
左腕に抱きついて離れそうにねぇ
…なんでこいつこんなに寝てる時ゃ力強ぇんだよ……
「……はぁ……しゃーねぇか……」
携帯を取り出し、トークアプリを開いてフレンにメールを送信する
送信してから少ししてドアがア開く
「……何……しているんだい……?」
部屋に入ってきたフレンは唖然としてオレらを見る
そりゃそうだよな…
オレだってきっと驚く
「んなに驚いてねーでさ、助けてくんねぇか…?シア、寝てる時力強くて離そうにも離れねんだよ……」
深くため息をつきながら言う
いや、マジで本当に助けて欲しいわ…
「…君がほぼ毎日泊まっていく理由がよくわかったよ……」
呆れながらシアの腕を外そうとする
「仕方ねぇだろ…ほっとくと髪乾かさねぇで寝ようとすんだから…っ!」
少し力が緩んだとこで腕を抜いて離れる
「ふぅ……助かったわ…」
「まったく……スタンプ連打してくるから、何事かと思えば…」
近くにあったぬいぐるみをシアの傍に置きながらフレンは言ってくる
「……簡単に退かせられたらこっちだって苦労しねぇんだわ……」
頭を掻きながら言う
「そうならないように、さっさと言ってしまえばどうだい?心配する必要なんて欠片もないだろ?」
「あー…まぁ、そうなんだが……」
「……う…………ふれん………」
2人揃ってビクッと肩を震わせて恐る恐る振り向くが、シアはちゃんと寝ていた
…どうやら寝言みたいなのだが……
「……おい、すっげぇ怒ってる時の顔してるぞ?」
「……夢の中でも、僕にゲーム取られたのかなぁ…」
肩をすくめて苦笑する
このままここにいても起こしてしまいそうだ
そっと起こさないように、部屋を後にした
ーーーーーーーー
~次の日~
「ふっ………ん………?」
目が覚めるといつの間にか朝になっていた
記憶にないうちにベッドに居て、抱き枕が傍にある
多分、ユーリだろう
「……またやっちゃったな……これは」
ちょっと苦笑いしながら呟く
昔っから、ユーリの腕の中だと落ち着いて寝てしまう癖がある
その度にユーリはベッドに連れてってくれたり、布団かけたりしてくれるんだけど……
問題はその後だ
抱き枕が置いてある時は、大抵ユーリの腕に引っ付いた時だ
…しかも、よく見たらフレンが誕プレにくれたやつじゃん…これ…
道理でフレンの夢見たわけだ……
しかも…夢の中までゲーム没収なんて鬼畜か…
小さくため息をついてベッドから起き上がる
「んーっ!!さてと、着替えよっと」
今日はみんなでカラオケだ
早く着替えて下降りよっ!
〜それから3日後〜
「ユーリ、忘れものはないよね?」
「あったり前だ、フレンこそ大丈夫なんだよな?」
「…忘れものあっても取りに行けばいいんじゃ…」
「そうね、家近いもの」
金曜のお昼休み、中庭でジュディスとユーリ、フレンの四人で昼ごはんを食べながら今日の夜のことについて話し合ってる
と、言っても夕飯何にするとかって話なんだけどね…
最終的に、土日はユーリもフレンもバイト………という名の家の手伝いがないからってことで、わたしの家に泊まって、日曜に帰ろうという結論に至った
まぁ、ユーリもフレンもわたしの家が第2の家みたいな感じだから、勝手に部屋使ってたり
冷蔵庫の中身漁ったりとかしてるからいいんだけどさ…
「それにしても、あの2人変な言い合い始めたけどいいのかしら?」
「ほっといていいよ、もう…」
何故か言い合いを始めた2人を横目に1人お弁当を食べる
…因みにユーリ作だ
気づけば料理は全部やってくれている
夕飯もだし、朝食もだし、お弁当もだし……
多分、わたしよりもキッチンのもの把握してるよ…
そんなことを考えつつ、チラッと校舎の方を見ると、わたし達の教室の窓からクラスメイトの女子が数人集まって、ヒソヒソと話してるのが見える
それを見てため息をつく
「大変ね、学園のプリンスの幼馴染みも」
「うー、そう思うなら助けてよ…ジュディスー……」
「そうね、とりあえずそこの2人の喧嘩さえどうにか出来れば、彼女達はひくんじゃないかしら?」
真正面にいるユーリとフレンを見ながら言う
「はぁ……仕方ないなぁ……ユーリ、フレン」
「「あ?なんだよ?/後にしてくれないかい?」」
2人同時にわたしの方を向いて返事してくる
…息ぴったり過ぎるよ…
「上、見てみなよ、校舎の方」
ボソッと言うとまたまた2人同時に見上げるから、少し可笑しくって笑いそうになってしまう
本当は仲がいいのだから、喧嘩しないで欲しいのだが…
「あ?あいつら、この前言ったばっかなのにまたかよ!」
「…これは、もう一度説教が必要だね」
そう言ってお弁当をさらっと食べ切る
……早すぎだって……
既にお弁当を食べ終えていたわたしとジュディスは、さっさと片付け始める2人を見て苦笑いする
「シア、教室戻るぞ?」
「先に2人で行ってなよ、わたし歩くの遅いし」
「ユーリがいるから大丈夫だろ?」
「へ?それって………きゃっ!?」
急に足が地面から浮いた
何事かと慌てていると、すぐ近くからユーリの声が聞こえてきた
「よし、これで走りゃ問題ねぇだろ」
「問題しかないっ!まず廊下走っちゃ駄目だし、わたしお姫さま抱っこなんてしてたら、何言われるか分かんないじゃん!」
バタバタと暴れてみるが、一向に降ろしてくれそうにない
フレンも、わたしとユーリの分のお弁当箱を持って、走る気満々だし……
いいのか学年委員……
「ジュディ、また後で会おうぜ」
「ええ、また後で」
「ちょっ!ユーリっ!馬鹿っ!!降ろしてってばぁ!!!」
「………………」ムスッ
「シアー、悪かったって」
「アリシア、機嫌直してくれないか…?」
あの後、ユーリは結局教室まで降ろしてくれないし…
フレンはユーリと一緒に窓際でチラチラ見ながら話してた女子に本気でキレてるし…
廊下走ったことを先生に注意されたら、先に人のプライバシー侵害してくる女達をどうにかしろって2人同時に言い出すし……
キレてる2人を更にわたしが説教するという非常に面倒なことになった
だから、今ものすごく機嫌が悪い
2人は本気で謝ってきているが…
「あっ!アリシアーっ!!」
家の前まで来ると、既についていたのかエステルとリタ、それにジュディスの姿があった
「ごめんっ!遅くなっちゃった!」
「まったくもう、ちょっとあんたら2人!また学校で暴れたでしょ!?中等部にまで騒ぎが広がって来たわよ!?」
呆れて少し怒り気味にリタは2人に聞く
「あ~、いや、暴れたっつーか?」
「気づいたら怒られていたね…」
「「(シア/アリシア)に……」」
「あ、あはは……2人とも、学校であまり暴れないで下さいね……?」
「あら、面白い噂が聞こえてきて私は案外楽しんでいるけど?」
いたずらっ子の笑みを浮かべてジュディスはそう言う
なんのことだろう……
頭に『?』を浮かべながら、鍵を開けた
「……………」
「……………」
「…えっと、まだ勝負付きそうにないです?」
「あんたら…何10分それやり続けるつもりなのよ」
「あら、まだ勝負ついてなかったのね」
みんな…うるさいよ……
ユーリが夕飯作ってる間、暇だからって言って始まったババ抜き
開始して、あっさりジュディスはあがっちゃって、先にお風呂勝手に入りいくし(ジュディスが泊まる時はいつもそうだけど)
エステルとリタもあがって、残るはわたしとフレン
でも、中々勝負がつかないんだよね…
さっきから何度もジョーカーを取り合ってる
わたしが取りたいのはジョーカーじゃないのに…!
「おいおい……お前らまだやってたのかよ……夕飯出来たぜ?」
「…ユーリ、ちょっと黙っててくれ」
「……ちょっと今話しかけないで」
「な、なんでそんなにマジでやってんだよ……」
そりゃマジになるよ……だって…負けたら……!!
「……よしっ!こっちだっ!」
「あっ!!」
スッとフレンが取っていったのはクローバーのエース、つまりわたしの負けだ
「僕の勝ち、だよ?アリシア」
ニヤッと不敵な笑みを浮かべて立ち上がるフレン
「ちょっ!まっ!!!フレンっ!!駄目だってばっ!!!」
慌てて立ち上がってフレンを止める
「はぁ…そうゆう『約束』だろう?」
「約束してないっ!フレンが勝手に言っただけじゃんっ!!」
「……なら、ユーリに君が好きだってこと言う方がいいかい?」
ボソッと耳元でみんなに聞こえないように言われて、硬直する
いや、それも駄目だよ!?
それも駄目だけど……!!
フレンの腕を掴む手が緩んだ一瞬の隙をつかれて、小走りで階段を降りる音が聞こえた
「っ!!あーっ!!!フレンっ!!!!本当に駄目だってばぁぁぁぁぁ!!!」
半分悲鳴をあげつつフレンを追いかけた
「……何、してんだ?あいつら……」
ポカーンとして階段下を見る
オレ…夕飯出来たって呼び来ただけなんだけど……
「さぁ?ババ抜きする前にフレンがアリシアになんか言ってたのは見たけど」
「ですね…その後、アリシアが血相変えてフレンに抗議してて…」
「とりあえず、降りてみましょ?」
ジュディの言葉に頷いて、オレらも下に降りた
「うぅ……もーやだ………フレン大っ嫌い…………」
机に突っ伏してボソッと呟く
本当やだ……わたしなんにも悪いことしてないよ………
「おーい、シア…?」
「えっと……大丈夫です?」
不意に後ろからユーリとエステルの声が聞こえた
ああ、みんなも降りてきたのね……
「ちょっと、あんた何やったのよ」
少しキツい声でリタが言う
恐らくフレンも戻って来たのだろう
「いや……僕的には大したことじゃないと思うんだけど…」
「だからぁ……わたしには死活問題なんだってばぁ………」
グスッと半分泣きながら言う
「あら……もしかして……?」
「……れた………」
「え?なんです?」
「またゲーム持って行かれたっ!!しかも全部っ!!!わたし今回なんも怒られるような事してないよっ!?!!」
「またそれかよっ!?」
半分涙目になりつつ顔をあげて言うと、みんな呆れ顔をしている
ゲーム出来ないとかわたしには死活問題なんだって何度も言ってるじゃないか……!!
「この前のテストの点数、中等部最後のテストとほとんど同じものだったのに点数悪くなっていたじゃないか…」
「だーかーらー!!!それはゲーム関係ないって言ったじゃんっ!!!理由知ってる癖に意地悪しないでよ、馬鹿フレンっ!!」
「ば、馬鹿って……君に言われたくは」
「大っっ体!!人の家のDVDデッキで、勝手にアニメ撮りまくってるアニオタにゲームやってることに文句言われたくないっ!!!!」
「んなっ!?アリシアっ!それ言わない約束だろうっ!?それにアニメとゲームは」
「どっちも同じよっ!!!」
「リタの言う通りよ、そんな変な喧嘩しないの」
「アリシア…フレン…そんな喧嘩しないでください…」
ついに怒りの導火線に火のついたリタに怒られた……
いや、本当にテストの点数はゲーム関係ないんだよ……
……だからと言って言えるわけないんだけど……
ふと、ユーリから何も言われてないことに気づいて、目に溜まった涙を拭いて姿を探すとテレビの前のソファーに座って頭を抱えていた
「…ユーリ?」
「……なんか、頭痛ぇわ……オレの幼なじみ、2人揃ってなんでこんな変な方向に……」
はぁ……っとため息をつきながら言うユーリに、フレンと声を揃えて
「「マンガとラノベばっか読んでる(ユーリ/君)には言われたくないっ!!!」
【結論、3人とも二次元にハマってます】
「…っあぁぁぁ……つかれたぁぁぁ……」
ボフッとベッドに倒れ込む
あの後、3人で喧嘩始めてリタに思いっきり頭から水かけられました…
結局、ユーリとフレンも当分禁止っ!と、ジュディスに言われてこの話終わったんだけど……
うん、見事に2人も絶望したような顔してたよね…
流石にそれには笑ってしまった
で、夕飯食べてから自分の部屋のベッドで寝そべってる
エステル達は下の階の客間で寝ると言ってそっちにいる
本当は一緒がいーけど、布団の数が足んないし……
……それよりも…
「……髪乾かさなきゃ……あー…でも面倒……今日はこのままね」
「いや駄目に決まってんだろ…」
その声に少し頭をあげて見ると、ドアの前にユーリがいた
「あれ、いつの間に来たの?」
「ついさっき、いつもドライヤー部屋に持ってきてんのに、脱衣場に置きっぱなしだったからまさかと思って持ってきてみりゃ……」
ため息をつきながら部屋に入ってくるユーリの髪も、まだ少し湿っているように見える
「だってもう面倒……疲れたし寝たい……」
「風邪引くっての…ほら、こっち来いよ」
そう言って手招きしてくるので、渋々ベッドから起き上がって、ユーリの前に座る
「うわっ!?おまっ!全然拭いてねぇじゃねぇかよっ!?なんでそんなんでベッドにダイブすんだよ……」
タオルでわたしの髪を拭きながら呆れたような声で言ってくる
…面倒だったんだもん…髪拭くのも…
「ったく…オレはシアの親じゃねぇんだがな…」
やれやれと、ドライヤーのスイッチ入れて髪を乾かしながら言ってくる
そっと触れてくる手が心地よくて…
つい口元がニヤけそうになる
…本当はこうして貰えるのをちょっと期待してたからっていうのもあるんだけど……
そんなこと、口が裂けても言えそうにない
「……親よりも恋人の方がいいんだけど……」
ボソッと声に出してしまってハッとして、慌てて口を塞ぐ
やばい……何言ってんの……
「ん?なんか言ったか?」
どうやらドライヤーの音でよく聞こえなかったらしい
ほっと胸をなで下ろす
「ユーリが親は嫌だって言っただーけっ!」
今度は聞こえるように答える
「あん?どういう意味だよ?それ」
「そのまんま~っ!」
少し頭をあげてニヤッと笑う
「…オレに喧嘩うってくる口はこれか?」
「痛っ!?!!い、いふぁいっへはっ!!(痛いってば!!)」
ギュッと頬を抓られる
「喧嘩売ったのが悪ぃだろ?」
「ほぉめんっへはぁっ!!(ごめんってばぁ!)」
「ははっ!何言ってっかわかんねぇよ」
そう笑いながらようやく手を離してくれた
それと同時にユーリから離れようとするが、バランスを崩してユーリに倒れかかってしまった
「うわっ!?!」
「おっと!…大丈夫かよ?」
ちょっと心配そうに顔を覗き込んでくる
「もう…ユーリのばーか」
「あぁ?馬鹿って言った方が馬鹿だろ?」
「……ふふっ」
「……くっ…ははっ」
2人して笑い出す
この状況がなんだか楽しくって
傍から見たら付き合ってるようにしか見えないだろう
…でも、ユーリに想いを伝えたら、こうやって笑えなくなるかもしれない
臆病なわたしの心はそんなことを考えて伝えることを躊躇してしまっている
…だからさ、神様
もう少しだけ、こうさせて?
勇気が出るまでユーリとこうやって居させて?
ただ馬鹿やったり、笑っていられるだけで……
幸せだから…
ーーーーーーー
「……はぁ、ったく、本当いつまで経っても変わんねぇな…」
苦笑いしながらオレの腕ん中で寝ちまったシアの頭を撫でる
昔っからそうで、小さい頃からオレの腕ん中で寝るなんてしょっちゅうあった
「さてと…ベッドに寝かしておくとすっか」
シアを抱きかかえて立ち上がる
相変わらず軽いんだよなぁ…
ちゃんと食ってこれだからな…
ベッドに降ろして布団をかける
「……さっきの、ちゃーんと聞こえてたぜ?」
寝ている彼女に向かって小さく呟く
『……親よりも恋人の方がいいんだけど……』
確かにそう言ってたのが聞こえた
聞いてない振りしたどな……
嬉しくて、ちょっとニヤけそうだった
シアもそう思ってくれてるってわかって
…まぁ、まだ言わねぇけどな
伝える日はちゃんと決めてる
だからそれまでもう少し待っててくれ
「さてと、オレもそろそろ……って……」
部屋を後にしようと立ち上がった
……つもりだった
「……はぁ………」
右手を頭にあてて項垂れる
オレの左手は今、ベッドで寝ているシアに思いっきり掴まれてる
…いや、ほとんどシアがオレの腕ん中で寝落ちした時は毎回なんだが…
いつもなら起こすのも可哀想だから、シアの手の力が緩んだとこで出てくだが…
今日はマズイ
フレン達がいんのにそれはマズイ
「にゅ…………ゆーり…………」
「っ!?おわっ!?!」
急に引っ張られベッドに倒れ込む
幸いシアにぶつかりゃしなかったが、これはやばい
左腕に抱きついて離れそうにねぇ
…なんでこいつこんなに寝てる時ゃ力強ぇんだよ……
「……はぁ……しゃーねぇか……」
携帯を取り出し、トークアプリを開いてフレンにメールを送信する
送信してから少ししてドアがア開く
「……何……しているんだい……?」
部屋に入ってきたフレンは唖然としてオレらを見る
そりゃそうだよな…
オレだってきっと驚く
「んなに驚いてねーでさ、助けてくんねぇか…?シア、寝てる時力強くて離そうにも離れねんだよ……」
深くため息をつきながら言う
いや、マジで本当に助けて欲しいわ…
「…君がほぼ毎日泊まっていく理由がよくわかったよ……」
呆れながらシアの腕を外そうとする
「仕方ねぇだろ…ほっとくと髪乾かさねぇで寝ようとすんだから…っ!」
少し力が緩んだとこで腕を抜いて離れる
「ふぅ……助かったわ…」
「まったく……スタンプ連打してくるから、何事かと思えば…」
近くにあったぬいぐるみをシアの傍に置きながらフレンは言ってくる
「……簡単に退かせられたらこっちだって苦労しねぇんだわ……」
頭を掻きながら言う
「そうならないように、さっさと言ってしまえばどうだい?心配する必要なんて欠片もないだろ?」
「あー…まぁ、そうなんだが……」
「……う…………ふれん………」
2人揃ってビクッと肩を震わせて恐る恐る振り向くが、シアはちゃんと寝ていた
…どうやら寝言みたいなのだが……
「……おい、すっげぇ怒ってる時の顔してるぞ?」
「……夢の中でも、僕にゲーム取られたのかなぁ…」
肩をすくめて苦笑する
このままここにいても起こしてしまいそうだ
そっと起こさないように、部屋を後にした
ーーーーーーーー
~次の日~
「ふっ………ん………?」
目が覚めるといつの間にか朝になっていた
記憶にないうちにベッドに居て、抱き枕が傍にある
多分、ユーリだろう
「……またやっちゃったな……これは」
ちょっと苦笑いしながら呟く
昔っから、ユーリの腕の中だと落ち着いて寝てしまう癖がある
その度にユーリはベッドに連れてってくれたり、布団かけたりしてくれるんだけど……
問題はその後だ
抱き枕が置いてある時は、大抵ユーリの腕に引っ付いた時だ
…しかも、よく見たらフレンが誕プレにくれたやつじゃん…これ…
道理でフレンの夢見たわけだ……
しかも…夢の中までゲーム没収なんて鬼畜か…
小さくため息をついてベッドから起き上がる
「んーっ!!さてと、着替えよっと」
今日はみんなでカラオケだ
早く着替えて下降りよっ!