*1年生
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高等学部への進学
「うーん………」
じぃ~っと鏡の中の自分とにらめっこする
朝ごはんを食べてからかれこれ30分、ずっとこの状態だ
わたしは今日からヴェスペリア学園の高等部に通う
と言っても、中等部と校舎の位置や制服が少し変わる程度なのだが…
「……変……じゃないよね……?」
鏡の前でクルッと1回転する
髪については校則が緩くなったのだが、結ばないと邪魔なのだ
だからと言って切るのはごめんなのだが……
「おーい、シア、いつまでかかってんだよ?」
「ん、んー……ねぇ、ユーリっ!やっぱ髪やって!」
ドアの向こう側にいるであろう幼なじみに声をかけると、ガチャっと音がしてユーリが入ってきた
「おいおい…まだ鏡とにらめっこしてたのかよ」
少し呆れ気味に言ってくるが、ささっと髪を結いてくれる
その手先の器用さ、わたしに分けてください
「ほらよ、出来たぜ」
そう言われて鏡を見ると、ハーフアップで、お団子のような形に結いてくれた
「ありがとう、ユーリっ!」
「どういたしまして
…にしても新しい制服、結構可愛いな」
「んー?そうかな?ユーリの制服もカッコイイと思うよ?」
首を傾げながらそう言う
「~っ!//」
すると、何故か顔をそらせてしまう
え?なんで?変なこと言ったっけ?
「ユーリ?どうしたの?」
「うっせ//ほら、フレン待ってっし行くぞっ」
そう言ってわたしの鞄を持って先に行ってしまう
ますますわけがわからないよ……
「ユーリっ!待ってよー!」
慌てて後を追いかけようとするが、部屋を出る前に1つ忘れ物をしているのを思い出した
「あ、やっばっ!」
机の上に置きっぱなしにしていた『それ』を急いで取りあげる
それは、赤い飾りのついたペンダントだ
ユーリが去年の誕生日にくれたもので、もらった日からほぼずっとつけているものだ
「アリシアー!早くしないと置いていくよ!」
「今行くっ!」
素早くペンダントを首にかけて、わざと服の下へ隠す
ちゃんと窓の鍵を締めたことを確認してから部屋を出た
「おっ、やりぃ!3人ともC組だぜ」
学園について早々、ユーリは真っ先にクラス表を見に行った
ここに来る途中、ユーリがフレンにジャンケンをして負けた方が見て来よう!と言って勝負して呆気なくユーリが負けたからだ
ユーリもフレンも視力いいし、身長高いから後ろの方からでも見えるのだ
「また同じクラスだね!」
ニコニコ笑いながら言うが、フレンは少し困った顔をしている
「きっと、ユーリが危なっかしいからだろうね」
「あん?なーんでだよ?」
「去年、1人だけクラス違って先生のところに殴り込みに行きそうだったじゃないか。そのせいでクラス変更になった子が何人かいたし」
あぁ……そういえばそんなこともあったっけ……
「ありゃオレだけ違うクラスに飛ばしたのがいけねぇ」
腰に手を当てながら悪びれもせずにユーリは言う
「それ以外にもいろいろやっているけどね…」
「そーいえば、ユーリネクタイどしたの?」
「首周りが鬱陶しいからつけてこなかった」
あぁ、先生がわたし達を同じクラスにした理由がなんとなくわかったよ…
相変わらず校則なんて殆ど気にしないユーリに苦笑する
「んなことよりも、さっさと教室行こうぜ?」
「それもそうだね」
「それじゃあ行こっか?」
そう言ってわたし達3人は新しい昇降口から学園内へ入って行った
「あ、やっぱり席自由だってよ?」
教室につくと、まだあまり人は来ていなくて、席はあきあきだった
黒板には『自由に座って待っててくれ』と、一言だけ書いてある
この学園…高等部も中等部も席は適当なんだなぁ…
「んじゃ、窓側にでもしますかね」
「それならいつもと同じでいいかな?」
「おう、オレは構わねぇぜ」
「わたしもー!」
窓側の1番後ろの席にわたしが座り、右隣にユーリ、前にフレンという配置で座る
特に意味があるわけではないが、この座り方がいつの間にか定着していたのだ
だからなのか席替えしてバラバラになるとユーリとフレンの機嫌がものすごく悪くなる…
結局、先生がそんな2人のオーラに折れて元の位置に戻るのだ
席についた後は先生が来るまで他愛のない話をしながら待っていた
徐々に人が集まってくると、何故かみんな(主に女子)が、こっちを見てヒソヒソ話しているのが見える
ユーリとフレンもそれに気づいているようで、フレンは気づいてない素振りで話を続けるけど、ユーリはイライラしだして……
「おい、さっきから何チラチラ見てきてんの?」
なんて声を掛けてしまった…
しかもすごい低トーンで……
「え……あっ……いや……」
チラチラ見てきていた子達は、わたわたと慌て始める
…慌てるなら見なきゃいいのに
「ユーリ、そんな言い方しなくてもいいじゃないか?」
「よく言うぜ、フレンこそ言いたいことがあんなら言いに来いよって顔してたぜ?」
バチバチッと2人の間に火花が散る
…やめて、せめてここではやめて…
すると、ガララッと教室のドアが開いて、先生が入ってくる
立っていた人たちは慌てて自分の席に戻った
「あー、いいか??今日からこのクラスの担任になったレイヴンだ。1年間よろしく、な?」
少しざわついた教室に先生の声が響く
レイヴン先生…か
中等部の時に1度だけチラッと見たことあるけど…あの人サボってなかった…?
「じゃあ…出席……は、いいか。全員いそうだし」
あまりの適当さに、若干驚く
……こんなのが教師でいいのだろうか……
「ね…ユーリ、この先生めっちゃ適当じゃ…」ヒソッ
「楽でいいだろ…楽で」ヒソッ
そ、それはそうかもだけど…
本当にこんなんでいいのかな……?
その後は自己紹介したり、教科書貰ったりして終わった
自己紹介の時、ユーリとフレンの時だけ女子の目が異常にキラキラしてた…
しかも私の時はめっちゃ怖かったし…
男子はなんかすっごいキラキラした目で見つめてくるし……
そんな男子にユーリ達は睨みきかせてたし……
なんか、無駄に疲れたよ……
「随分疲れた顔をしているね、アリシア」
「だって疲れたもん…」
リビングでテーブルの上に突っ伏してると、クスッと笑いながら飲み物を持ってフレンが来た
現在進行形でわたしの家なのだが、昔から朝ごはんと夕飯は3人で食べることが普通だった
3人とも両親共働きだし…
中等部が終わってからは、両親が転勤で海外に飛ばされて1人暮らしだし
そんなことで、ほぼ毎日のように3人でいる
いつの間にか空いてる部屋に自分達の荷物置き始めたし…
「なんでシアが疲れんだよ…俺の方が大変だったわ」
「あ、ご飯出来た?」
キッチンからユーリがエプロンを外しながら戻ってきた
ある意味ユーリはご飯係だ
「まだだっつーの、ご飯炊けてねぇしもう少し待てっての」
軽く小突きながらそう言ってくる
「にしても、キャラの濃い先生だったね」
「同感だ。女子が自己紹介する度にニヤニヤしやがって…シアんときゃぶっ飛ばしてやろうかと思った」
「それを言うのならば他の男子もだろう?ひとまとめにやってしまった方がいいんじゃないかい?」
「やめて、新学期早々やめて、暴力沙汰にしないで…」
はぁ…とため息をつきながら2人を見る
毎年、どの学年になっても、この2人はわたしのことになると、なりふり構わずに喧嘩売って、暴力沙汰になることがしょっちゅうあった
フレンに関しては最近落ち着いたけど、それでも言葉で説き伏せちゃうし
ユーリは未だに力でねじ伏せちゃうから、本当に困る
そうなった2人を止められるの、わたししかいないんだもん…
「んで?話逸れたが、なんでシアが疲れてんだよ?お前の分の教科書持って帰ってきたのオレらだぜ?」
わたしの隣の席に腰掛ならがユーリが言うと、フレンも飲み物を配って真正面の席についた
「まぁ確かに、それもそうだね」
「だって、周りの女子の目がめっちゃ怖かったんだもん」
そう言うと、そう言われてみれば…とフレンもユーリも納得したようだ
「あー…疲れてるのとは違うけど、こうなってるもう1つ理由あげるなら……」
「あげるなら?」
「ゲーム出来る時間また減った!もう少しであのゲームクリア出来そうなのにっ!!!」
ガタッと立ち上がって半分涙目になる
先月に大好きなRPGのシリーズ最新作が出てから休日はずっとそれをやっている
本当にあともう少しでクリアなのだ
「ゲームかよ……っ!?」
かなり呆れたようにユーリに言われたがわたしには死活問題だ
「だってだってだって!後ラスボス倒したら2週目終わるんだよっ!?」
「に、2週目って……どんな頻度でやったら…」
「え?1日20時間くら」
「「当分ゲーム禁止だっ!馬鹿野郎!!」」
「えっ!?あっ、なんで!?!!」
この後、本気でゲーム没収されました…
「うー………」
夕飯も食べ終わり、お風呂も入って今は自分の部屋の机に突っ伏してます
フレンは夕飯を食べてから両親から帰ってきたと連絡が来てまた明日と言って帰って行った
因みに、ゲームはいつの間にか使い出したフレンの部屋に置かれている
…ご丁寧に鍵かけてあるし…
いつの間に鍵なんてつけたのよ……
ユーリはと言うと今日は遅くなると言われたらしく、じゃあ泊まってくとか言ってわたしがお風呂入った後に勝手に入って行った
…別に構わないのだが……
いや泊まってくのは問題ないのだ
別にそれは構わないのだけど……
中等部に入ったあたりから妙にユーリのことを意識してしまっているから恥ずかしいと言うか…
まぁ、好きなんだって気づいたのは去年、誕プレをもらった時なのだが…
思いを伝えられるかと聞かれたら間違いなくNOだ
いや無理、絶対無理
平気で日常会話に好きを混ぜて話してくるユーリみたいに話せるわけが無い
そんなことを考えていると、ガチャっとドアが開いた
「おいおい……まだ根に持ってんのかよ……」
「だぁって……本当にあと少しだったんだもん……」
やる気のない声で答える
いやもうほんと、ゲーム没収とか死んでしまいますよ……
「シアが1日にやりすぎたのがいけねぇだろ?ほら、これ飲んで少しは元気だせよ」
そう言って机の上にマグカップを置いてきた
少し湯気がたってるのが見える
「ん…ありがと…」
そう言って1口飲む
「あ、ホットミルクだ」
「見りゃわかると思うんだが…」
「意識が明後日の方向に飛んでってた」
「……どんだけゲーム依存性なんだよ……」
呆れ気味のユーリはほっといて、ホットミルクを飲み干した
「ふぁぁ……ねっむい……」
「寝んならベッドで寝ろよ…」
机に突っ伏して寝ようとしたら怒られた
「めんどくさい…」
「んなとこで寝たら風邪引くっての」
そう言ってユーリは無理矢理わたしを立ち上がらせてベッドに連れていく
ボフッとベッドにダイブするといよいよ瞼が重くなってきた
「掛け布団かけろっての……」
少し苦笑いしてユーリが布団をかけてくれた
「んー………」
「おやすみ、シア」
ポンポンと頭を撫でながらユーリはそう言ってくる
「おやすみ……ユーリ………」
そう呟いてわたしの意識はフェイドアウトしていった
「うーん………」
じぃ~っと鏡の中の自分とにらめっこする
朝ごはんを食べてからかれこれ30分、ずっとこの状態だ
わたしは今日からヴェスペリア学園の高等部に通う
と言っても、中等部と校舎の位置や制服が少し変わる程度なのだが…
「……変……じゃないよね……?」
鏡の前でクルッと1回転する
髪については校則が緩くなったのだが、結ばないと邪魔なのだ
だからと言って切るのはごめんなのだが……
「おーい、シア、いつまでかかってんだよ?」
「ん、んー……ねぇ、ユーリっ!やっぱ髪やって!」
ドアの向こう側にいるであろう幼なじみに声をかけると、ガチャっと音がしてユーリが入ってきた
「おいおい…まだ鏡とにらめっこしてたのかよ」
少し呆れ気味に言ってくるが、ささっと髪を結いてくれる
その手先の器用さ、わたしに分けてください
「ほらよ、出来たぜ」
そう言われて鏡を見ると、ハーフアップで、お団子のような形に結いてくれた
「ありがとう、ユーリっ!」
「どういたしまして
…にしても新しい制服、結構可愛いな」
「んー?そうかな?ユーリの制服もカッコイイと思うよ?」
首を傾げながらそう言う
「~っ!//」
すると、何故か顔をそらせてしまう
え?なんで?変なこと言ったっけ?
「ユーリ?どうしたの?」
「うっせ//ほら、フレン待ってっし行くぞっ」
そう言ってわたしの鞄を持って先に行ってしまう
ますますわけがわからないよ……
「ユーリっ!待ってよー!」
慌てて後を追いかけようとするが、部屋を出る前に1つ忘れ物をしているのを思い出した
「あ、やっばっ!」
机の上に置きっぱなしにしていた『それ』を急いで取りあげる
それは、赤い飾りのついたペンダントだ
ユーリが去年の誕生日にくれたもので、もらった日からほぼずっとつけているものだ
「アリシアー!早くしないと置いていくよ!」
「今行くっ!」
素早くペンダントを首にかけて、わざと服の下へ隠す
ちゃんと窓の鍵を締めたことを確認してから部屋を出た
「おっ、やりぃ!3人ともC組だぜ」
学園について早々、ユーリは真っ先にクラス表を見に行った
ここに来る途中、ユーリがフレンにジャンケンをして負けた方が見て来よう!と言って勝負して呆気なくユーリが負けたからだ
ユーリもフレンも視力いいし、身長高いから後ろの方からでも見えるのだ
「また同じクラスだね!」
ニコニコ笑いながら言うが、フレンは少し困った顔をしている
「きっと、ユーリが危なっかしいからだろうね」
「あん?なーんでだよ?」
「去年、1人だけクラス違って先生のところに殴り込みに行きそうだったじゃないか。そのせいでクラス変更になった子が何人かいたし」
あぁ……そういえばそんなこともあったっけ……
「ありゃオレだけ違うクラスに飛ばしたのがいけねぇ」
腰に手を当てながら悪びれもせずにユーリは言う
「それ以外にもいろいろやっているけどね…」
「そーいえば、ユーリネクタイどしたの?」
「首周りが鬱陶しいからつけてこなかった」
あぁ、先生がわたし達を同じクラスにした理由がなんとなくわかったよ…
相変わらず校則なんて殆ど気にしないユーリに苦笑する
「んなことよりも、さっさと教室行こうぜ?」
「それもそうだね」
「それじゃあ行こっか?」
そう言ってわたし達3人は新しい昇降口から学園内へ入って行った
「あ、やっぱり席自由だってよ?」
教室につくと、まだあまり人は来ていなくて、席はあきあきだった
黒板には『自由に座って待っててくれ』と、一言だけ書いてある
この学園…高等部も中等部も席は適当なんだなぁ…
「んじゃ、窓側にでもしますかね」
「それならいつもと同じでいいかな?」
「おう、オレは構わねぇぜ」
「わたしもー!」
窓側の1番後ろの席にわたしが座り、右隣にユーリ、前にフレンという配置で座る
特に意味があるわけではないが、この座り方がいつの間にか定着していたのだ
だからなのか席替えしてバラバラになるとユーリとフレンの機嫌がものすごく悪くなる…
結局、先生がそんな2人のオーラに折れて元の位置に戻るのだ
席についた後は先生が来るまで他愛のない話をしながら待っていた
徐々に人が集まってくると、何故かみんな(主に女子)が、こっちを見てヒソヒソ話しているのが見える
ユーリとフレンもそれに気づいているようで、フレンは気づいてない素振りで話を続けるけど、ユーリはイライラしだして……
「おい、さっきから何チラチラ見てきてんの?」
なんて声を掛けてしまった…
しかもすごい低トーンで……
「え……あっ……いや……」
チラチラ見てきていた子達は、わたわたと慌て始める
…慌てるなら見なきゃいいのに
「ユーリ、そんな言い方しなくてもいいじゃないか?」
「よく言うぜ、フレンこそ言いたいことがあんなら言いに来いよって顔してたぜ?」
バチバチッと2人の間に火花が散る
…やめて、せめてここではやめて…
すると、ガララッと教室のドアが開いて、先生が入ってくる
立っていた人たちは慌てて自分の席に戻った
「あー、いいか??今日からこのクラスの担任になったレイヴンだ。1年間よろしく、な?」
少しざわついた教室に先生の声が響く
レイヴン先生…か
中等部の時に1度だけチラッと見たことあるけど…あの人サボってなかった…?
「じゃあ…出席……は、いいか。全員いそうだし」
あまりの適当さに、若干驚く
……こんなのが教師でいいのだろうか……
「ね…ユーリ、この先生めっちゃ適当じゃ…」ヒソッ
「楽でいいだろ…楽で」ヒソッ
そ、それはそうかもだけど…
本当にこんなんでいいのかな……?
その後は自己紹介したり、教科書貰ったりして終わった
自己紹介の時、ユーリとフレンの時だけ女子の目が異常にキラキラしてた…
しかも私の時はめっちゃ怖かったし…
男子はなんかすっごいキラキラした目で見つめてくるし……
そんな男子にユーリ達は睨みきかせてたし……
なんか、無駄に疲れたよ……
「随分疲れた顔をしているね、アリシア」
「だって疲れたもん…」
リビングでテーブルの上に突っ伏してると、クスッと笑いながら飲み物を持ってフレンが来た
現在進行形でわたしの家なのだが、昔から朝ごはんと夕飯は3人で食べることが普通だった
3人とも両親共働きだし…
中等部が終わってからは、両親が転勤で海外に飛ばされて1人暮らしだし
そんなことで、ほぼ毎日のように3人でいる
いつの間にか空いてる部屋に自分達の荷物置き始めたし…
「なんでシアが疲れんだよ…俺の方が大変だったわ」
「あ、ご飯出来た?」
キッチンからユーリがエプロンを外しながら戻ってきた
ある意味ユーリはご飯係だ
「まだだっつーの、ご飯炊けてねぇしもう少し待てっての」
軽く小突きながらそう言ってくる
「にしても、キャラの濃い先生だったね」
「同感だ。女子が自己紹介する度にニヤニヤしやがって…シアんときゃぶっ飛ばしてやろうかと思った」
「それを言うのならば他の男子もだろう?ひとまとめにやってしまった方がいいんじゃないかい?」
「やめて、新学期早々やめて、暴力沙汰にしないで…」
はぁ…とため息をつきながら2人を見る
毎年、どの学年になっても、この2人はわたしのことになると、なりふり構わずに喧嘩売って、暴力沙汰になることがしょっちゅうあった
フレンに関しては最近落ち着いたけど、それでも言葉で説き伏せちゃうし
ユーリは未だに力でねじ伏せちゃうから、本当に困る
そうなった2人を止められるの、わたししかいないんだもん…
「んで?話逸れたが、なんでシアが疲れてんだよ?お前の分の教科書持って帰ってきたのオレらだぜ?」
わたしの隣の席に腰掛ならがユーリが言うと、フレンも飲み物を配って真正面の席についた
「まぁ確かに、それもそうだね」
「だって、周りの女子の目がめっちゃ怖かったんだもん」
そう言うと、そう言われてみれば…とフレンもユーリも納得したようだ
「あー…疲れてるのとは違うけど、こうなってるもう1つ理由あげるなら……」
「あげるなら?」
「ゲーム出来る時間また減った!もう少しであのゲームクリア出来そうなのにっ!!!」
ガタッと立ち上がって半分涙目になる
先月に大好きなRPGのシリーズ最新作が出てから休日はずっとそれをやっている
本当にあともう少しでクリアなのだ
「ゲームかよ……っ!?」
かなり呆れたようにユーリに言われたがわたしには死活問題だ
「だってだってだって!後ラスボス倒したら2週目終わるんだよっ!?」
「に、2週目って……どんな頻度でやったら…」
「え?1日20時間くら」
「「当分ゲーム禁止だっ!馬鹿野郎!!」」
「えっ!?あっ、なんで!?!!」
この後、本気でゲーム没収されました…
「うー………」
夕飯も食べ終わり、お風呂も入って今は自分の部屋の机に突っ伏してます
フレンは夕飯を食べてから両親から帰ってきたと連絡が来てまた明日と言って帰って行った
因みに、ゲームはいつの間にか使い出したフレンの部屋に置かれている
…ご丁寧に鍵かけてあるし…
いつの間に鍵なんてつけたのよ……
ユーリはと言うと今日は遅くなると言われたらしく、じゃあ泊まってくとか言ってわたしがお風呂入った後に勝手に入って行った
…別に構わないのだが……
いや泊まってくのは問題ないのだ
別にそれは構わないのだけど……
中等部に入ったあたりから妙にユーリのことを意識してしまっているから恥ずかしいと言うか…
まぁ、好きなんだって気づいたのは去年、誕プレをもらった時なのだが…
思いを伝えられるかと聞かれたら間違いなくNOだ
いや無理、絶対無理
平気で日常会話に好きを混ぜて話してくるユーリみたいに話せるわけが無い
そんなことを考えていると、ガチャっとドアが開いた
「おいおい……まだ根に持ってんのかよ……」
「だぁって……本当にあと少しだったんだもん……」
やる気のない声で答える
いやもうほんと、ゲーム没収とか死んでしまいますよ……
「シアが1日にやりすぎたのがいけねぇだろ?ほら、これ飲んで少しは元気だせよ」
そう言って机の上にマグカップを置いてきた
少し湯気がたってるのが見える
「ん…ありがと…」
そう言って1口飲む
「あ、ホットミルクだ」
「見りゃわかると思うんだが…」
「意識が明後日の方向に飛んでってた」
「……どんだけゲーム依存性なんだよ……」
呆れ気味のユーリはほっといて、ホットミルクを飲み干した
「ふぁぁ……ねっむい……」
「寝んならベッドで寝ろよ…」
机に突っ伏して寝ようとしたら怒られた
「めんどくさい…」
「んなとこで寝たら風邪引くっての」
そう言ってユーリは無理矢理わたしを立ち上がらせてベッドに連れていく
ボフッとベッドにダイブするといよいよ瞼が重くなってきた
「掛け布団かけろっての……」
少し苦笑いしてユーリが布団をかけてくれた
「んー………」
「おやすみ、シア」
ポンポンと頭を撫でながらユーリはそう言ってくる
「おやすみ……ユーリ………」
そう呟いてわたしの意識はフェイドアウトしていった