*1年生
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〜平和な休日…?〜
「うー…………」
「シア…んなに落ち込むなっての…」
テーブルの上に突っ伏したままで唸る『ぼく』の頭を撫でながらユーリは苦笑いする
どうやら誰がお医者さんに連絡したらしく、家の前で待ち伏せされてしまってた←
で、夕方まで病院で精密検査受けまくって来た
幸いなことに今回は軽傷で済んでたらしく、入院はしなくていいみたいだけど、当分の間は絶対安静
まぁ、それは運動して倒れた時いつもだから、お医者さんもあんまり気にしてはなかった
それよりも、頭の怪我の方が心配だったみたい
ほぼお父さんのせいと言っても過言じゃないこの傷は、どうにも治りが悪い
一応血は止まってるけど、傷痕の塞がり具合いが悪いんだって
…そんな事言われても『ぼく』だってわからないけど
で、当分の間は絶対安静な『ぼく』は、当然学校も行けないわけで……
「……次登校したら覚えとけよ……」
少し顔をあげてポツリと呟く
「そういう言葉はアリシアが使うものじゃないだろう」
そう言いながら、フレンは『ぼく』が大好きな飲み物を持って来てくれた
「うーー……1週間も学校行けないとか、死んじゃうよ…」
「大丈夫だろ…死にゃしねぇっての」
フレンが『ぼく』の隣に座ると、ユーリは椅子に掛けてあったエプロンを取ってキッチンに向かった
「それに本当は、学校行かないでゲーム出来るからラッキー、って思ってるだろう?」
「えー、確かにそれも思ってるけどー…」
「思ってんのかよ……」
「思ってるけど……でも、学校行けないとユーリと居れる時間減るじゃん」
そう言うと、隣で飲み物を飲んでたフレンが思い切り咳き込み始めた
ユーリはユーリで左手を額に当てて項垂れているのが目に入った
「ゲホッゲホッ……アリシア……そういうことを言うような子だったか……?」
「失礼だなぁ……『ぼく』だって言う時は言いますー!」
身体を起こしてフレンの方を見て言うと、大きくため息をつかれた
「………まだその状態だからだね………ユーリ、早くしてくれないかい…?」
「………………待てっての………焼くのに時間かかんだっての………」
何処か疲れたようにユーリはそう返した
「ねー、ユーリー、何作ってるのー?」
「まだ秘密、だよ」
カウンターの向こう側からそう声をかけてくる
若干泡立て器の音が聞こえてきたから、生クリームでも作ってるのかな?
「ほら、ゲーム返してあげるから出来上がるまでやって来たらどうだい?」
そう言っていつの間に持って来たのかゲーム機を手渡してくれる
「ん、わかった!」
ニコッと笑ってゲーム機を手にして、テレビの方へ向かった
これでやっと3週目が出来る!
〜ユーリside〜
「ふぅ……相変わらずご機嫌取りが大変だ……」
そう言いながら、フレンが隣に並んだ
「ったく、本当に余計なことしてくれたよな…あいつら」
苦笑いしながら冷蔵庫からイチゴの入った箱を2つを取り出す
シアは昔からキレることは滅多にないんだが、時折限界が来るとこんな感じで後先考えずに行動した挙句の果てに、自分のして欲しいことや欲しいものがもらえるまで機嫌が直らない
オマケに、一人称変わるし、口調も態度も変わるわで何度苦労したことか…
「ま、ゲーム機返したのはいい判断だな。少しは落ち着いただろ」
「だといいんだけどね…君が作ってるのは、やっぱりアリシアが大好きなものかい?」
「当たり前だろ?」
そう言いながらイチゴを1箱分切っていく
作ってるのはショートケーキ
生地ももう少しで焼けるだろう
「ユーリのことだから、その辺に売ってるようなのは作らないだろ?」
「ま、少しはアレンジするけどな」
さっき作った生クリームを半分別のボールに移しながら答える
そして、もう2箱のイチゴのヘタだけを切り落としてミキサーに入れて細かくする
それを半分に分けた生クリームのボールに入れて混ぜ合わせる
混ぜ合わせ終わったのとほぼ同時にオーブンが止まった音がした
「………イチゴ尽くし、だね……」
「これでもかっ、つーくらいにイチゴだらけにしてやろうと思ってさ」
若干引き気味に言ったフレンに苦笑いして、オーブンから生地を取り出した
型から出して半分に切る
ノーマルの生クリームを片方の上に乗せて平らにし、切ったイチゴを乗せてその上からまた生クリームを乗せて平らにする
で、もう片方の生地をその上に乗せて今度はイチゴの生クリームを全体に乗せていく
…あれだな、やっぱ回転台ないときついな……
「へぇ…いい出来栄えじゃないか」
「そうかぁ?側面塗りムラありまくりだろ?やっぱ回転台ねぇときついわ…今度家から取ってくるかな」
「それは流石に駄目だろ…叔母さんと叔父さん、仕事出来なくなるんじゃないか?」
「へーきへーき、1個くらい問題ねぇって」
【ユーリの家はケーキ屋さん】
均等になるように切っていないイチゴを上に乗せて、食べやすい大きさに切り分ける
最後に皿の上に乗せる
「…うっし!シアー!出来たぞー!」
「本当?!」
声をかけると、嬉しそうにこっちを向いてゲームを終了させてから先程と同じ位置に座る
とりあえずホークと一切れ分だけ持って行く
「ほい、オレ特性イチゴケーキ。まだあっから好きなだけ食っていいよ」
コトっとシアの目の前に置くと、嬉しそうに目をキラキラさせて、いただきますっと言った瞬間に食べ始める
「ん……おいしい……!!」
「ははっ、そりゃよかったよ」
嬉しそうにニコニコしながらケーキを頬張るシアが可愛すぎてやばい←
めっちゃくちゃ写真を撮りたい
本当に天使って言っても過言じゃねぇな…
ゴクンッ「フレンとユーリは食べないの?」
唐突にコテンッと首を傾げて聞いてくる
これには流石に驚いた
いつもなら絶対にそんな事は言ってこないんだが…
「あー…シアにって作ったからなぁ」
「アリシアの為にユーリが作ったものを勝手に貰う訳にはいかないからね」
「…じゃあ、一緒に食べよ?」
1人で食べててもつまらないし、とぼそっと呟きながらシアはケーキを口に運んだ
珍しい事もあるんだななんて考えながら、フレンと顔を見合わせて肩を竦めた
こうやって言ってくるのは今まで1度もなかった
1人でも好きなものがもらえればいい、今まではずっとそんな様子だった
少しはシアも大人になったんだろう
「アリシアがそう言ってくれるなら、1つ貰おうかな」
「だな。ついでにおかわり持ってくるか?」
「うんっ!」
フレンと一緒に答えると、更に嬉しそうに笑った
…本当、可愛すぎる←
フレンの分とオレの分、それにシアの分を取って、残りは冷蔵庫にしまった
席に戻ると1つ目は食べ終わってたようで足をパタパタさせながら待っていた
そのシアの前に2つ目を置いて、フレンと二人彼女の前の席に並んで座った
いただきます、とフレンと2人で言ってから自分で作ったケーキを口に運ぶ
思ってた以上にイチゴの主張が激しいが、割といい出来だろう
イチゴ好きなら喜んで買って行きそうだ
「いかにもアリシアが好きって感じの味だね。……おいしいのが若干悔しいけど」
「おいこらフレン、それどうゆう意味だよ」
クスッとわらったフレンをジト目で見つめる
そんなオレらをシアはニコニ笑ってケーキを食べながら見ている
「良かったねアリシア、好物を作ってくれる人が彼氏で」
若干嫌味ともとれるような口ぶりでフレンはシアに言った
「んー、確かに好きなものいーっぱい作ってくれるけど、ユーリが好きなのはそれだけじゃないよ?」
「シア、言わなくていいからな…?」
余計なことを言われる前にシアに釘を刺す
実際言われたらフレンの対処するのが面倒だ
「はーいっ!」
素直にそう返事をすると、パクっとイチゴを口にした
…シアがこうやって嬉しそうに食べてるとこ、一生見てても絶対に飽きないと本気で思う
「ご馳走様、癪だけどおいしかったよ、ユーリ」
「お粗末さま、一言余計だぞ、フレン」
苦笑いしながら隣にいるフレンを横目で見る
素直に言わないのはオレもフレンも今に始まったことじゃねぇけどさ
「アリシア、後2つ残ってるけど、もう1つ食べるかい?」
2つ目を食べ終わりそうなシアにフレンが問いかけた
すると、以外にも首を横に振った
「ううん、夕飯食べてから食べるっ!」
「そんなに気に入ったのか?」
そう聞くと大きく頷いた
「相当気に入ったみたいだね」
微笑ましそうにシアを見つめてフレンは言う
ここまで嬉しそうに食べてくれると、こっちも嬉しくなる
「さてと…僕は1度帰ろうかな」
「あん?どうしたんだよ、急に」
唐突にそう言って立ち上がったフレンに首を傾げる
「あー……いや………ここ最近、ずっとこっちに居て家に帰ってなかっただろ?…土日はエステリーゼが泊まりに来ることが多かったから、それが出来なくて彼女が若干拗ねてしまってね……今日は丁度金曜だし、1度帰ろうと思ってさ」
苦笑いしながらフレンは肩を竦めた
「つまり、ご機嫌取りしに行くわけか」
「そんなとこだね。まぁ寂しい想いをさせたのは僕だから、その言い方はどうかと思うけど」
「はっはっは、それもそうだな。気をつけろよ?特に叔父さんにな」
「……それを言わないでくれ……」
少し嫌そうな顔をしてそう呟きながら、バックを持ち上げる
「フレン、またねー!」
「あぁ、またね」
そう言ってフレンは帰って行った
久しぶりの2人きりの空間…
先程のシアの言葉が耳から離れなくて、色々やばい←
油断したらなんか色々崩壊しそうなレベルでやばい←
「ユーリ?どしたの?」
相当ボーッとしていたのか、シアが少し心配そうに顔を覗いてきた
「……大丈夫、なんでもねぇよ」
「んー、それならいいけど」
そう言って立ち上がると、皿を片付け始める
自分の分だけでなく、オレやフレンの分も片付けてくれた
こういう所はしっかりしてんだよな
「んで、少しは機嫌直りましたかね?おじょーさん」
クルっと後ろを向いて洗い物をしているシアに問い掛ける
「……まぁ、大分落ち着いた…かな?」
「なんで疑問系なんだよ…」
そう言いながら立ち上がってシアの方へ行くと、洗い物自体は終わっていたが何故か頭に手を当てて項垂れていた
「シア?」
「……………なんでもない」
下ろされた髪が邪魔で顔が見えないが、あからさまに様子がおかしい
「いやなんでもなくねぇだろ、具合でも悪くなったか?」
傍に寄って髪を退ける
「うわわっ!?なっ、なんでもないっ!!なんでもないってばぁ!!///////」
ばっとオレから逃げるように後ろに下がる
ようやく見えた顔は耳まで真っ赤に染まっていた
…あぁ、なるほど、いつものか
「んなに顔赤いのになんでもねぇわけないだろ?熱でも出たか?」ニヤッ
ゆっくりシアの方に向かって歩いて行く
機嫌が直ってすぐは、いつも自分が言ったこと思い出して恥ずかしがるんだよなぁ
ま、それをいじめんのも楽しいんだけどな
「バカっ//理由知ってる癖にっ!/////」
「あん?誰がバカだって??」
とうとう壁際まで来たらしく、シアは一瞬後ろを見た
その隙に手を掴んで思い切り引き寄せた
「わっ…!?」
「うっし、捕まえた」
そう言ってニッと笑うと更に顔を赤くした
「本当、顔真っ赤。かーわい」
「っーーーーーーー///////」
赤くなった頬を撫でると、相当恥ずかしいのかオレに抱きついて顔を隠そうとする
ぎゅっと抱きしめ返すと、自分が何をしたのかようやく気づいたようで、今度は離れようとする
「へぇ、自分から抱きついて来たくせに離れようとすんだ??」
「っ//////バカっ//意地悪っ!////」
「意地悪で結構、かわいーシア離したくねーもん」
「もぅ……////」
そう呟くと離れようとするのをやめて、また抱きついてくる
シン…と静まり返った部屋
心臓の音がやけに大きく耳に響く
久しぶりに抱きしめた身体はやっぱり小さくて、少し体温が低い
「……やっぱりユーリって体温高いと思う」
ポツリと小さくシアが呟いた
「シアの体温が低いだけだろ?」
「そんなことないもん。ユーリが高いのー」
そう言って顔をあげる
少しむっとしたように頬を膨らませて見上げてくるのが可愛くて、思わず笑ってしまう
笑っているとつられてかシアも笑いだす
抱き合ったまま2人で笑う
「シア」
ひとしきり笑ったところで名前を呼びながらシアの顎を少しあげる
一瞬驚いた表情を見せたけど、すぐに嬉しそうに微笑むと目を軽く瞑る
触れるだけ、でも少し長いキスをする
最後にしたときはつい衝動にかられて深めにしてしまったから、今日は早めに離れる
「さてと…そろそろ夕飯作るから、出来るまでゲームしてくるか?」
「…ん、そうしようかな//」
少し頬を赤くしてそう言うと、ケーキを食べる前と同じようにテレビの方へ行った
「……本当、かーわい」
クスッと笑いながらシアの後ろ姿を眺める
また嬉しそうにオレが作った料理を食べてくれるとこを少しでも早く見たい
そんな事を考えながら、夕飯を作り始めた
ーーーーーーーーーーー
「ふぁ………眠…………」
自分の部屋のベッドの縁に寄りかかりながら欠伸をする
現在午後11時
後少しで日付が変わる
ユーリが作ってくれた夕飯を食べた後、残ってたケーキを2人で食べて、テレビを少し見た後にお風呂入って今にいたる
「髪……乾かさなきゃ………」
眠気でだるい身体を頑張って動かしてタオルで髪を拭く
…乾かさないと、また怒られるし…
「シアー?ドライヤー持って来てるか?」
髪を拭いているとユーリがそう言いながら部屋に入ってきた
「んー………あるー……」
「…眠そうだな……」
「だって……いっぱい動いたから……」
「ほら、こっち来いよ。どうせまだ髪拭いただけだろ?」
苦笑いしながらユーリはおいでっと手招きしてくる
んー、と言いながらユーリに近寄って目の前に座る
「お、今日は割と拭けてるな。偉い偉い」
そう言ってドライヤーの電源をオンにしたようで、ゴーっと音が鳴る
「…わたし、そんなに子どもじゃないー…」
「よく言うよ、ケーキ作ってやるまで小さい子どもみたいだった癖に」
ドライヤーの音にかき消されないように少し大きめの声で言うと、ユーリも少し大きめの声で反論してくる
…それ、言われたら言い返せないじゃんか…
「ったく、『ぼく』っ子シアを大人しくさせんの、大変なんだぞ?」
「わたしのせいじゃないもんー………あの子達が怒らせたのがいけないのー…」
わたしがそう言ったのと同時に、カチッとドライヤーを止めた音が聞こえた
「へいへい、わかったから先にベット行って寝て来いよ」
ユーリはそう言いながら髪を解かしてくれる
「………やだ」
小さくポツリとそう呟いた
それに反応したのか、ユーリの手が止まった
「……………ユーリから離れるの…やだ」
そんな風にちょっとだけ、我儘を言ってみる
フレンが居た間、あまりユーリと2人きりで居られなかった
…正直に言ってしまえば寂しかったのだ
「………………ダメ?」
首を傾げて見上げると、あからさまに動揺したユーリの顔が目に入った
少しすると、ユーリの顔が赤く染まっていく
「〜〜〜〜〜〜〜っ/////////」
その顔を隠すようにわたしに抱きついてくる
「馬鹿野郎////唐突にそういうこと言うな//////」
「ユーリも唐突に言うからお互い様ー」
背中から伝わってくる体温はやっぱり高い
お風呂上がったばかりだからかもしれないけど…
「……ちょっと待っててくれ、髪乾かすから////」
「はーい」
そう返して軽くユーリに寄りかかる
この温かさが落ち着いて余計眠くなる……
「おーい、寝んなよー?」
ドライヤーの音にかき消されないように大きめの声でそう言ってくる
「……多分、ねないー……」
「おいおい…信用ならねぇ声だな……ほら、終わったから寝に行くぞ?」
そう言って肩を揺すってくる
「んー……ゆーり、つれてってー……」
「……はぁ……しょーがねぇなぁ」
深いため息が聞こえた後に、ふわっと身体が浮いた
眠い頭ではユーリに抱き上げられたことに気づくのに少し時間がかかった
「ったく、世話のかかるやつ」
そう言いながらも、何処か嬉しそうにユーリは笑っていた
わたしをベットの上に乗せると、右隣に寝転んでくる
「ゆーりがとなりいるの……ひさしぶりだねー……」
「そうだな。フレンのやつ、隣で寝させてくんねーし。ようやく独り占め出来んな?」
ニヤッといたずらっ子みたいに笑ってそっと頬を撫でてくる
ちょっぴりくすぐったくて、目を細める
「ほーら、眠いんだろ?もう寝ろって」
「ん………おやすみー……ゆーり…」
「おぅ、おやすみ、シア」
優しく頭を撫でてくる感覚が心地よくて、ゆっくりと眠りについた
〜翌朝〜
「…………んー………?」
部屋が眩しくて目が覚める
いつの間にか朝になっていたみたいで、窓から光が差し込んでる
「……れ………?ユーリ………??」
いつも一緒に寝た時は絶対に隣にいるはずのユーリがいない
眠い目を擦りながら身体を起こして見回してみるが、部屋の中にユーリの姿はない
……というか、朝にしては日が高すぎる気がする
「ふぁ………今なん………………へ??」
小さな棚の上に置かれた携帯の画面を見ると、時計は11時
23時じゃなくて11時と表示されてる
壁掛け時計も見てみるけど、そっちも11時を過ぎた頃を刺している
「…………うっわぁ…………寝すぎた………」
大きくため息をついて頭に手を当ててうなだれるあ
これならユーリが隣に居ないことにも納得がいく
…ユーリ、朝早いしなぁ……
ガチャッ「お、ようやく起きたか?」
聞き慣れた声に顔を上げると、扉の前にユーリの姿が見えた
「あー…うん、おはよう?」
「おはよう、ではねぇけどな」
クスッと笑いながらユーリはベットの縁に腰掛けて、わたしの髪に手を伸ばす
「…いっつも思うけど、朝ドライヤーかけなくても平気じゃないか?」
毛先をくるくると指に絡めながら、逆に傷むぞ?と言ってくる
「んー…まぁそうだけど、癖でつい」
「折角綺麗な髪なんだから、勿体ないぞ?」
「…本当にユーリって簡単にそういうこと言えるよね」
「シアにしか言わねーよ、こんなこと」
指に絡めていた髪にそっとキスすると、指から髪を解く
……本当、いつまでもなれないなぁ
「ほーら、いつまでもそこにいないで下降りようぜ?」
そう言って立ち上がると手を差出してくれる
「うん!」
ニコッと笑ってベットの縁に座るように体の向きを変え手を取ると、ユーリが立ち上がらせてくれた
「朝飯兼昼飯食べたら、少し外散歩でもしに行くか。少しは体力つけねぇとな」
「えぇ……いーよ別に……わたし引き篭もってt」
「まーたぶっ倒れられてもオレが困んの。心配でヒヤヒヤすんのはごめんだっての」
コツンと軽く頭を小突かれる
わたしの目に映ったユーリの表情は真剣で…
「……じゃあ、少しだけ」
少しムッとしながらもそう答えた
すると、ユーリの表情が少し和らいだ
「おう、少しだけ、な?」
わたしをあやすように頭を撫でてくる
……何時になったらこの子ども扱い……無くなるんだろ……
「じゃあ、着替えてから下降りるから、先行ってて?」
「了解。飯用意して待ってるわ」
そう言ってユーリは部屋から出て行った
外に出るのは嫌だけど、ユーリがあれだけ真剣な顔してたし……
…あんまり心配かけたくないから、少しくらいは出ないと
そんなことを考えながら、クローゼットから洋服を出して着替え始めた
「シア、寒くねぇか?」
ちょっと心配そうにユーリが聞いてくる
「ん、大丈夫!パーカー持って来てるし!」
クルっと振り返りながらそう答えた
午後1時、約束通りユーリと一緒に散歩に出掛けてます
ユーリが心配そうに声をかけてきたのは、わたしが薄着だから
一応パーカーは持って来てるし、寒くなったら着ればいいかなってわたしは思ってる
「……それならいいんだけど」
何処か納得がいかなさそうにユーリは言う
「ね、ユーリ!何処までお散歩する?」
「んー…そうだなぁ……駅前は面倒なの居そうだし、神社の方行ってみっか」
「だね、そうしよっか!」
そう言ってユーリの隣に立って手を繋いで歩き出した
なんだかんだ、ユーリと2人で出掛けるのは久しぶりだ
だからこうやって手を繋ぐのも久しぶりなわけで…
嬉しくなって思わず口角があがった
「なーにニヤニヤしてんの?」
ひょこっとユーリが顔を覗き込んでくる
「こうやってユーリと歩くの、久しぶりだから嬉しくって」
そう答えると、ちょっと顔を赤くさせながら、あっそ、と言った
顔を逸らされて上手く見えないけど、よく見ると耳まで赤くなっている
「ユーリ、照れてる?」
ちょっと意地悪してそんなこと聞いてみる
「……照れてねーよ、バーカ//////」
「えー、本当に?」クスッ
「…笑うなっつーの//」
「いつもの仕返しー!」
たまにこうやってユーリをからかうのは楽しくって
ついついやりすぎて怒られちゃったりするんだよなぁ…
正直何処までがセーフかわからない←
「あっ!ユーリにアリシア!」
「あれ?エステル??」
交差点に差し掛かったところで、左の道からフレンとエステルが手を繋ぎながら歩いて来るのが見えた
…なんか、あっちもフレンが顔真っ赤にしてる
「アリシア達もお散歩です?」
「『も』ってことはエステルたちも?」
「はい!久しぶりにフレンと一緒に居られるので」
何処か嫌味ともとれるような口ぶりでエステルは言った
これ……相当根に持ってるなぁ……
「なるほどね。こっちはわたしが体力ないから、ちょっとでもつけないとって少しお散歩」
少し苦笑いしてそう答えた
「そうなんですね!あ、でも無理しちゃ駄目ですよ?」
「大丈夫だっての、オレついてんだから」
「……僕は君が1番信用ならないけどね」
「あん?どうゆう意味だよそれ」
「いつも無理させるのはユーリじゃないか」
「いーや、そりゃお前だな」
「いや、絶対に君だよ。この前だって」
またいつものか言い合いが始まる
こうなると2人の気が済むまでテコでも動かない
エステルと顔を見合わせて苦笑いする
こうやって喧嘩するけど、本当はとっても仲がいい癖に…
こんなこと言ったら、余計長引いちゃいそうだから言わないけど……
「えっと……アリシアたちは何処へ行く予定なんです?」
「え?あー……一応神社の方に行くつもりだよ?」
「それなら私たちと反対方向ですね。これから駅前に行く予定なんです」
「駅前かぁ……わたしはお医者さんがいいって言うまでそっちには行けないかな」
少し肩を竦めながらそう答えた
…のんびり話してる場合じゃないけどね
「アリシアが今行ったら、また文句言われちゃいそうですもんね」
「あれ?もうそっちにまで広がってる??」
「広がってる、なんてレベルじゃないですよ。2年生以上はまた無茶して…ってみんな言ってましたよ?」
「………本当、広がるの早くて怖いよ、うちらの学園は……」
「ふふふ、これで当分無理無茶出来ないですね」
何処か楽しそうにエステルが笑う
…なんか、怖いよ…エステル……
「フレン、そろそろ行きませんか?アリシアを早めに帰してあげないと、また病院沙汰になりかねないですよ?」
喧嘩中のフレンにエステルが声をかけると、ピタッと2人の言い合いが止まった
「確かに……ありえる」
「いい加減にしねぇと、1人でどっか行きそうだしな……」
「……わたしのイメージおかしいでしょ。流石にそんな事しないって」
あまりにも2人が真剣な顔で言うから少し殺意が芽生えそうになる←
いくらわたしでもそこまではしないって…
「いーや。無茶すんなって言葉が通用しねぇのがシアなんだから、絶対ないってことがない」
「それ、ユーリに言われたくない」
ジト目で見つめ返すが、本人は知らん顔
……ユーリが無茶したら、同じこと仕返したる
「それじゃ、また月曜日」
「おう、またな」
そう言い合うと、フレンとエステルはわたしたちが歩いて来た道を歩いて行った
「さてと……割と時間経っちまったな。あんま外連れ回してっと怒られるし、今日は帰るか」
「時間経った理由、ユーリとフレンが言い合いしてたからだけどね」
「……るっせ、ほら行くぞー」
そう言ってわたしの手を引いて歩き出す
あー……まだ若干機嫌悪いなぁ……
…まぁ、少ししたら直ると思うけどさ
「にしても、1週間も絶対安静かぁ……」
はぁ…っと短くため息をつく
「今回はまだ短い方だろ?それに、どうせずっとゲームしてんだろ?」
「…1人で長時間家に居るの、暇なんだよ?確かにゲーム3週目終わらせられるとは思うけど……」
「……それ、一体何時間やりゃ出来んだよ…」
「え?んー……サブイベ飛ばしまくったら30時間くらいかな。でも今回は全コンプ目指してるから…………ざっと100時間くらいかな?」
「……毎回思うが、こだわりすぎだろ……」
「えぇ……そんなことないけどなぁ……あっ、でもそろそろ1番好きなシリーズのリメイク版出るんだよなぁ……」
どうしよう……なんて呟きながら首を傾げた
今やってるのも充分面白いけど、やっぱりお気に入りのリメイク版もやりたい
…発売、まだだけど
「因みに聞くが……それ、まさかとは思うが予約してたりしねぇよな?」
ちょっと考え込んでると、遠慮気味にユーリが聞いてくる
「予約してるに決まってるじゃん!だって予約特典でキーホルダーついてくるんだよ!?しかも初回限定盤は主メンバーの缶バッチ箱付きだよ!!?それにプラスでネット予約だと主人公のクリアスタンド付いてくるとか書かれたら、予約するの一択だって!!」
「…………本っ当、好きだよなぁ……」
若干興奮気味にそう言うと、呆れ気味に見つめてくる
そんな目で見られても、好きなものは好きなんだからいいじゃないか←
わたし、ユーリやフレンの好きなものに文句言わないし
「とりあえず、帰ったら携帯の方のゲームやならいと」
「なんだよその使命感…」
「……だって、ギルドあるゲーム……入ってたとこみんなギルマス引退しちゃって、わたしに押し付けてきたんだもん……やるからにはそれなりにやっとかないと」
「………………あっそ………」
何処か諦めたように項垂れたユーリを引っ張って、家までの道を急いで帰った
ーーーーーーーーーー
「んー………こっちはやっぱり辞める人多いなぁ……」
ソファーに寄りかかりながら携帯と睨めっこする
今開いてるのは某オンラインゲーム
このゲーム……ガチャが絶望的に引き悪かったり、初心者にはめっちゃ融通されてたり、ソロじゃ進みにくすぎるっていう仕様
進みにくいっていうか、進めない←
そろそろ投げ出したくなる……
「おーい、いつまで睨めっこしてるつもりだ?」
肩に重みがかかって顔を上げると、ユーリが後ろから抱きついてきてた
「そろそろやめるとこー!」
携帯に目を戻してメンバーに一言声をかけてからログアウトした
「夕飯出来た??」
ユーリに目を戻して首を傾げる
「まだだっての…っつーか、お前は飯のことばっかかっての」
「この時間にユーリが引っ付いてくるのは夕飯出来た時が多いから聞いただけだもん」
ムッと頬を膨らませると、わかったわかったと苦笑いしながら頬を突っついてくる
「んー、ならもう少しゲームしてよっかな」
そう呟いて目の前のテーブルの上に置かれたテレビのリモコンとコントローラーに手を伸ばす
「まだやんのかよ……オレ、たまにゃシアが作った料理食べたいんですけどねぇ?」
唐突にそう言われて、伸ばした手が止まる
…いや確かに料理出来るけどユーリほど上手くないし……
というか、もう今日は作ってるじゃん……
「駄目か??」
少し寂しそうな声で聞きながら肩に顎を乗せてきた
「……学校休んでる間だけなら//」
ちょっと恥ずかしくって、声が裏返りそうになるのを必死で抑える
「んじゃ、約束な」
わたしの左手の小指に左手の小指を絡めながら耳元で呟く
耳に息がかかって少しくすぐったい
「オレ、楽しみにしてっからさ」
「……わかったから……/////」
「んじゃ、オレ続きしてくっから」
ちゅっと頬にキスして戻って行った
……何作るか、考えておかないとなぁ
そんなことを考えながらゲームを再開した
……日曜日もこんな感じでずーっと引っ付いてたりしてました←
「うー…………」
「シア…んなに落ち込むなっての…」
テーブルの上に突っ伏したままで唸る『ぼく』の頭を撫でながらユーリは苦笑いする
どうやら誰がお医者さんに連絡したらしく、家の前で待ち伏せされてしまってた←
で、夕方まで病院で精密検査受けまくって来た
幸いなことに今回は軽傷で済んでたらしく、入院はしなくていいみたいだけど、当分の間は絶対安静
まぁ、それは運動して倒れた時いつもだから、お医者さんもあんまり気にしてはなかった
それよりも、頭の怪我の方が心配だったみたい
ほぼお父さんのせいと言っても過言じゃないこの傷は、どうにも治りが悪い
一応血は止まってるけど、傷痕の塞がり具合いが悪いんだって
…そんな事言われても『ぼく』だってわからないけど
で、当分の間は絶対安静な『ぼく』は、当然学校も行けないわけで……
「……次登校したら覚えとけよ……」
少し顔をあげてポツリと呟く
「そういう言葉はアリシアが使うものじゃないだろう」
そう言いながら、フレンは『ぼく』が大好きな飲み物を持って来てくれた
「うーー……1週間も学校行けないとか、死んじゃうよ…」
「大丈夫だろ…死にゃしねぇっての」
フレンが『ぼく』の隣に座ると、ユーリは椅子に掛けてあったエプロンを取ってキッチンに向かった
「それに本当は、学校行かないでゲーム出来るからラッキー、って思ってるだろう?」
「えー、確かにそれも思ってるけどー…」
「思ってんのかよ……」
「思ってるけど……でも、学校行けないとユーリと居れる時間減るじゃん」
そう言うと、隣で飲み物を飲んでたフレンが思い切り咳き込み始めた
ユーリはユーリで左手を額に当てて項垂れているのが目に入った
「ゲホッゲホッ……アリシア……そういうことを言うような子だったか……?」
「失礼だなぁ……『ぼく』だって言う時は言いますー!」
身体を起こしてフレンの方を見て言うと、大きくため息をつかれた
「………まだその状態だからだね………ユーリ、早くしてくれないかい…?」
「………………待てっての………焼くのに時間かかんだっての………」
何処か疲れたようにユーリはそう返した
「ねー、ユーリー、何作ってるのー?」
「まだ秘密、だよ」
カウンターの向こう側からそう声をかけてくる
若干泡立て器の音が聞こえてきたから、生クリームでも作ってるのかな?
「ほら、ゲーム返してあげるから出来上がるまでやって来たらどうだい?」
そう言っていつの間に持って来たのかゲーム機を手渡してくれる
「ん、わかった!」
ニコッと笑ってゲーム機を手にして、テレビの方へ向かった
これでやっと3週目が出来る!
〜ユーリside〜
「ふぅ……相変わらずご機嫌取りが大変だ……」
そう言いながら、フレンが隣に並んだ
「ったく、本当に余計なことしてくれたよな…あいつら」
苦笑いしながら冷蔵庫からイチゴの入った箱を2つを取り出す
シアは昔からキレることは滅多にないんだが、時折限界が来るとこんな感じで後先考えずに行動した挙句の果てに、自分のして欲しいことや欲しいものがもらえるまで機嫌が直らない
オマケに、一人称変わるし、口調も態度も変わるわで何度苦労したことか…
「ま、ゲーム機返したのはいい判断だな。少しは落ち着いただろ」
「だといいんだけどね…君が作ってるのは、やっぱりアリシアが大好きなものかい?」
「当たり前だろ?」
そう言いながらイチゴを1箱分切っていく
作ってるのはショートケーキ
生地ももう少しで焼けるだろう
「ユーリのことだから、その辺に売ってるようなのは作らないだろ?」
「ま、少しはアレンジするけどな」
さっき作った生クリームを半分別のボールに移しながら答える
そして、もう2箱のイチゴのヘタだけを切り落としてミキサーに入れて細かくする
それを半分に分けた生クリームのボールに入れて混ぜ合わせる
混ぜ合わせ終わったのとほぼ同時にオーブンが止まった音がした
「………イチゴ尽くし、だね……」
「これでもかっ、つーくらいにイチゴだらけにしてやろうと思ってさ」
若干引き気味に言ったフレンに苦笑いして、オーブンから生地を取り出した
型から出して半分に切る
ノーマルの生クリームを片方の上に乗せて平らにし、切ったイチゴを乗せてその上からまた生クリームを乗せて平らにする
で、もう片方の生地をその上に乗せて今度はイチゴの生クリームを全体に乗せていく
…あれだな、やっぱ回転台ないときついな……
「へぇ…いい出来栄えじゃないか」
「そうかぁ?側面塗りムラありまくりだろ?やっぱ回転台ねぇときついわ…今度家から取ってくるかな」
「それは流石に駄目だろ…叔母さんと叔父さん、仕事出来なくなるんじゃないか?」
「へーきへーき、1個くらい問題ねぇって」
【ユーリの家はケーキ屋さん】
均等になるように切っていないイチゴを上に乗せて、食べやすい大きさに切り分ける
最後に皿の上に乗せる
「…うっし!シアー!出来たぞー!」
「本当?!」
声をかけると、嬉しそうにこっちを向いてゲームを終了させてから先程と同じ位置に座る
とりあえずホークと一切れ分だけ持って行く
「ほい、オレ特性イチゴケーキ。まだあっから好きなだけ食っていいよ」
コトっとシアの目の前に置くと、嬉しそうに目をキラキラさせて、いただきますっと言った瞬間に食べ始める
「ん……おいしい……!!」
「ははっ、そりゃよかったよ」
嬉しそうにニコニコしながらケーキを頬張るシアが可愛すぎてやばい←
めっちゃくちゃ写真を撮りたい
本当に天使って言っても過言じゃねぇな…
ゴクンッ「フレンとユーリは食べないの?」
唐突にコテンッと首を傾げて聞いてくる
これには流石に驚いた
いつもなら絶対にそんな事は言ってこないんだが…
「あー…シアにって作ったからなぁ」
「アリシアの為にユーリが作ったものを勝手に貰う訳にはいかないからね」
「…じゃあ、一緒に食べよ?」
1人で食べててもつまらないし、とぼそっと呟きながらシアはケーキを口に運んだ
珍しい事もあるんだななんて考えながら、フレンと顔を見合わせて肩を竦めた
こうやって言ってくるのは今まで1度もなかった
1人でも好きなものがもらえればいい、今まではずっとそんな様子だった
少しはシアも大人になったんだろう
「アリシアがそう言ってくれるなら、1つ貰おうかな」
「だな。ついでにおかわり持ってくるか?」
「うんっ!」
フレンと一緒に答えると、更に嬉しそうに笑った
…本当、可愛すぎる←
フレンの分とオレの分、それにシアの分を取って、残りは冷蔵庫にしまった
席に戻ると1つ目は食べ終わってたようで足をパタパタさせながら待っていた
そのシアの前に2つ目を置いて、フレンと二人彼女の前の席に並んで座った
いただきます、とフレンと2人で言ってから自分で作ったケーキを口に運ぶ
思ってた以上にイチゴの主張が激しいが、割といい出来だろう
イチゴ好きなら喜んで買って行きそうだ
「いかにもアリシアが好きって感じの味だね。……おいしいのが若干悔しいけど」
「おいこらフレン、それどうゆう意味だよ」
クスッとわらったフレンをジト目で見つめる
そんなオレらをシアはニコニ笑ってケーキを食べながら見ている
「良かったねアリシア、好物を作ってくれる人が彼氏で」
若干嫌味ともとれるような口ぶりでフレンはシアに言った
「んー、確かに好きなものいーっぱい作ってくれるけど、ユーリが好きなのはそれだけじゃないよ?」
「シア、言わなくていいからな…?」
余計なことを言われる前にシアに釘を刺す
実際言われたらフレンの対処するのが面倒だ
「はーいっ!」
素直にそう返事をすると、パクっとイチゴを口にした
…シアがこうやって嬉しそうに食べてるとこ、一生見てても絶対に飽きないと本気で思う
「ご馳走様、癪だけどおいしかったよ、ユーリ」
「お粗末さま、一言余計だぞ、フレン」
苦笑いしながら隣にいるフレンを横目で見る
素直に言わないのはオレもフレンも今に始まったことじゃねぇけどさ
「アリシア、後2つ残ってるけど、もう1つ食べるかい?」
2つ目を食べ終わりそうなシアにフレンが問いかけた
すると、以外にも首を横に振った
「ううん、夕飯食べてから食べるっ!」
「そんなに気に入ったのか?」
そう聞くと大きく頷いた
「相当気に入ったみたいだね」
微笑ましそうにシアを見つめてフレンは言う
ここまで嬉しそうに食べてくれると、こっちも嬉しくなる
「さてと…僕は1度帰ろうかな」
「あん?どうしたんだよ、急に」
唐突にそう言って立ち上がったフレンに首を傾げる
「あー……いや………ここ最近、ずっとこっちに居て家に帰ってなかっただろ?…土日はエステリーゼが泊まりに来ることが多かったから、それが出来なくて彼女が若干拗ねてしまってね……今日は丁度金曜だし、1度帰ろうと思ってさ」
苦笑いしながらフレンは肩を竦めた
「つまり、ご機嫌取りしに行くわけか」
「そんなとこだね。まぁ寂しい想いをさせたのは僕だから、その言い方はどうかと思うけど」
「はっはっは、それもそうだな。気をつけろよ?特に叔父さんにな」
「……それを言わないでくれ……」
少し嫌そうな顔をしてそう呟きながら、バックを持ち上げる
「フレン、またねー!」
「あぁ、またね」
そう言ってフレンは帰って行った
久しぶりの2人きりの空間…
先程のシアの言葉が耳から離れなくて、色々やばい←
油断したらなんか色々崩壊しそうなレベルでやばい←
「ユーリ?どしたの?」
相当ボーッとしていたのか、シアが少し心配そうに顔を覗いてきた
「……大丈夫、なんでもねぇよ」
「んー、それならいいけど」
そう言って立ち上がると、皿を片付け始める
自分の分だけでなく、オレやフレンの分も片付けてくれた
こういう所はしっかりしてんだよな
「んで、少しは機嫌直りましたかね?おじょーさん」
クルっと後ろを向いて洗い物をしているシアに問い掛ける
「……まぁ、大分落ち着いた…かな?」
「なんで疑問系なんだよ…」
そう言いながら立ち上がってシアの方へ行くと、洗い物自体は終わっていたが何故か頭に手を当てて項垂れていた
「シア?」
「……………なんでもない」
下ろされた髪が邪魔で顔が見えないが、あからさまに様子がおかしい
「いやなんでもなくねぇだろ、具合でも悪くなったか?」
傍に寄って髪を退ける
「うわわっ!?なっ、なんでもないっ!!なんでもないってばぁ!!///////」
ばっとオレから逃げるように後ろに下がる
ようやく見えた顔は耳まで真っ赤に染まっていた
…あぁ、なるほど、いつものか
「んなに顔赤いのになんでもねぇわけないだろ?熱でも出たか?」ニヤッ
ゆっくりシアの方に向かって歩いて行く
機嫌が直ってすぐは、いつも自分が言ったこと思い出して恥ずかしがるんだよなぁ
ま、それをいじめんのも楽しいんだけどな
「バカっ//理由知ってる癖にっ!/////」
「あん?誰がバカだって??」
とうとう壁際まで来たらしく、シアは一瞬後ろを見た
その隙に手を掴んで思い切り引き寄せた
「わっ…!?」
「うっし、捕まえた」
そう言ってニッと笑うと更に顔を赤くした
「本当、顔真っ赤。かーわい」
「っーーーーーーー///////」
赤くなった頬を撫でると、相当恥ずかしいのかオレに抱きついて顔を隠そうとする
ぎゅっと抱きしめ返すと、自分が何をしたのかようやく気づいたようで、今度は離れようとする
「へぇ、自分から抱きついて来たくせに離れようとすんだ??」
「っ//////バカっ//意地悪っ!////」
「意地悪で結構、かわいーシア離したくねーもん」
「もぅ……////」
そう呟くと離れようとするのをやめて、また抱きついてくる
シン…と静まり返った部屋
心臓の音がやけに大きく耳に響く
久しぶりに抱きしめた身体はやっぱり小さくて、少し体温が低い
「……やっぱりユーリって体温高いと思う」
ポツリと小さくシアが呟いた
「シアの体温が低いだけだろ?」
「そんなことないもん。ユーリが高いのー」
そう言って顔をあげる
少しむっとしたように頬を膨らませて見上げてくるのが可愛くて、思わず笑ってしまう
笑っているとつられてかシアも笑いだす
抱き合ったまま2人で笑う
「シア」
ひとしきり笑ったところで名前を呼びながらシアの顎を少しあげる
一瞬驚いた表情を見せたけど、すぐに嬉しそうに微笑むと目を軽く瞑る
触れるだけ、でも少し長いキスをする
最後にしたときはつい衝動にかられて深めにしてしまったから、今日は早めに離れる
「さてと…そろそろ夕飯作るから、出来るまでゲームしてくるか?」
「…ん、そうしようかな//」
少し頬を赤くしてそう言うと、ケーキを食べる前と同じようにテレビの方へ行った
「……本当、かーわい」
クスッと笑いながらシアの後ろ姿を眺める
また嬉しそうにオレが作った料理を食べてくれるとこを少しでも早く見たい
そんな事を考えながら、夕飯を作り始めた
ーーーーーーーーーーー
「ふぁ………眠…………」
自分の部屋のベッドの縁に寄りかかりながら欠伸をする
現在午後11時
後少しで日付が変わる
ユーリが作ってくれた夕飯を食べた後、残ってたケーキを2人で食べて、テレビを少し見た後にお風呂入って今にいたる
「髪……乾かさなきゃ………」
眠気でだるい身体を頑張って動かしてタオルで髪を拭く
…乾かさないと、また怒られるし…
「シアー?ドライヤー持って来てるか?」
髪を拭いているとユーリがそう言いながら部屋に入ってきた
「んー………あるー……」
「…眠そうだな……」
「だって……いっぱい動いたから……」
「ほら、こっち来いよ。どうせまだ髪拭いただけだろ?」
苦笑いしながらユーリはおいでっと手招きしてくる
んー、と言いながらユーリに近寄って目の前に座る
「お、今日は割と拭けてるな。偉い偉い」
そう言ってドライヤーの電源をオンにしたようで、ゴーっと音が鳴る
「…わたし、そんなに子どもじゃないー…」
「よく言うよ、ケーキ作ってやるまで小さい子どもみたいだった癖に」
ドライヤーの音にかき消されないように少し大きめの声で言うと、ユーリも少し大きめの声で反論してくる
…それ、言われたら言い返せないじゃんか…
「ったく、『ぼく』っ子シアを大人しくさせんの、大変なんだぞ?」
「わたしのせいじゃないもんー………あの子達が怒らせたのがいけないのー…」
わたしがそう言ったのと同時に、カチッとドライヤーを止めた音が聞こえた
「へいへい、わかったから先にベット行って寝て来いよ」
ユーリはそう言いながら髪を解かしてくれる
「………やだ」
小さくポツリとそう呟いた
それに反応したのか、ユーリの手が止まった
「……………ユーリから離れるの…やだ」
そんな風にちょっとだけ、我儘を言ってみる
フレンが居た間、あまりユーリと2人きりで居られなかった
…正直に言ってしまえば寂しかったのだ
「………………ダメ?」
首を傾げて見上げると、あからさまに動揺したユーリの顔が目に入った
少しすると、ユーリの顔が赤く染まっていく
「〜〜〜〜〜〜〜っ/////////」
その顔を隠すようにわたしに抱きついてくる
「馬鹿野郎////唐突にそういうこと言うな//////」
「ユーリも唐突に言うからお互い様ー」
背中から伝わってくる体温はやっぱり高い
お風呂上がったばかりだからかもしれないけど…
「……ちょっと待っててくれ、髪乾かすから////」
「はーい」
そう返して軽くユーリに寄りかかる
この温かさが落ち着いて余計眠くなる……
「おーい、寝んなよー?」
ドライヤーの音にかき消されないように大きめの声でそう言ってくる
「……多分、ねないー……」
「おいおい…信用ならねぇ声だな……ほら、終わったから寝に行くぞ?」
そう言って肩を揺すってくる
「んー……ゆーり、つれてってー……」
「……はぁ……しょーがねぇなぁ」
深いため息が聞こえた後に、ふわっと身体が浮いた
眠い頭ではユーリに抱き上げられたことに気づくのに少し時間がかかった
「ったく、世話のかかるやつ」
そう言いながらも、何処か嬉しそうにユーリは笑っていた
わたしをベットの上に乗せると、右隣に寝転んでくる
「ゆーりがとなりいるの……ひさしぶりだねー……」
「そうだな。フレンのやつ、隣で寝させてくんねーし。ようやく独り占め出来んな?」
ニヤッといたずらっ子みたいに笑ってそっと頬を撫でてくる
ちょっぴりくすぐったくて、目を細める
「ほーら、眠いんだろ?もう寝ろって」
「ん………おやすみー……ゆーり…」
「おぅ、おやすみ、シア」
優しく頭を撫でてくる感覚が心地よくて、ゆっくりと眠りについた
〜翌朝〜
「…………んー………?」
部屋が眩しくて目が覚める
いつの間にか朝になっていたみたいで、窓から光が差し込んでる
「……れ………?ユーリ………??」
いつも一緒に寝た時は絶対に隣にいるはずのユーリがいない
眠い目を擦りながら身体を起こして見回してみるが、部屋の中にユーリの姿はない
……というか、朝にしては日が高すぎる気がする
「ふぁ………今なん………………へ??」
小さな棚の上に置かれた携帯の画面を見ると、時計は11時
23時じゃなくて11時と表示されてる
壁掛け時計も見てみるけど、そっちも11時を過ぎた頃を刺している
「…………うっわぁ…………寝すぎた………」
大きくため息をついて頭に手を当ててうなだれるあ
これならユーリが隣に居ないことにも納得がいく
…ユーリ、朝早いしなぁ……
ガチャッ「お、ようやく起きたか?」
聞き慣れた声に顔を上げると、扉の前にユーリの姿が見えた
「あー…うん、おはよう?」
「おはよう、ではねぇけどな」
クスッと笑いながらユーリはベットの縁に腰掛けて、わたしの髪に手を伸ばす
「…いっつも思うけど、朝ドライヤーかけなくても平気じゃないか?」
毛先をくるくると指に絡めながら、逆に傷むぞ?と言ってくる
「んー…まぁそうだけど、癖でつい」
「折角綺麗な髪なんだから、勿体ないぞ?」
「…本当にユーリって簡単にそういうこと言えるよね」
「シアにしか言わねーよ、こんなこと」
指に絡めていた髪にそっとキスすると、指から髪を解く
……本当、いつまでもなれないなぁ
「ほーら、いつまでもそこにいないで下降りようぜ?」
そう言って立ち上がると手を差出してくれる
「うん!」
ニコッと笑ってベットの縁に座るように体の向きを変え手を取ると、ユーリが立ち上がらせてくれた
「朝飯兼昼飯食べたら、少し外散歩でもしに行くか。少しは体力つけねぇとな」
「えぇ……いーよ別に……わたし引き篭もってt」
「まーたぶっ倒れられてもオレが困んの。心配でヒヤヒヤすんのはごめんだっての」
コツンと軽く頭を小突かれる
わたしの目に映ったユーリの表情は真剣で…
「……じゃあ、少しだけ」
少しムッとしながらもそう答えた
すると、ユーリの表情が少し和らいだ
「おう、少しだけ、な?」
わたしをあやすように頭を撫でてくる
……何時になったらこの子ども扱い……無くなるんだろ……
「じゃあ、着替えてから下降りるから、先行ってて?」
「了解。飯用意して待ってるわ」
そう言ってユーリは部屋から出て行った
外に出るのは嫌だけど、ユーリがあれだけ真剣な顔してたし……
…あんまり心配かけたくないから、少しくらいは出ないと
そんなことを考えながら、クローゼットから洋服を出して着替え始めた
「シア、寒くねぇか?」
ちょっと心配そうにユーリが聞いてくる
「ん、大丈夫!パーカー持って来てるし!」
クルっと振り返りながらそう答えた
午後1時、約束通りユーリと一緒に散歩に出掛けてます
ユーリが心配そうに声をかけてきたのは、わたしが薄着だから
一応パーカーは持って来てるし、寒くなったら着ればいいかなってわたしは思ってる
「……それならいいんだけど」
何処か納得がいかなさそうにユーリは言う
「ね、ユーリ!何処までお散歩する?」
「んー…そうだなぁ……駅前は面倒なの居そうだし、神社の方行ってみっか」
「だね、そうしよっか!」
そう言ってユーリの隣に立って手を繋いで歩き出した
なんだかんだ、ユーリと2人で出掛けるのは久しぶりだ
だからこうやって手を繋ぐのも久しぶりなわけで…
嬉しくなって思わず口角があがった
「なーにニヤニヤしてんの?」
ひょこっとユーリが顔を覗き込んでくる
「こうやってユーリと歩くの、久しぶりだから嬉しくって」
そう答えると、ちょっと顔を赤くさせながら、あっそ、と言った
顔を逸らされて上手く見えないけど、よく見ると耳まで赤くなっている
「ユーリ、照れてる?」
ちょっと意地悪してそんなこと聞いてみる
「……照れてねーよ、バーカ//////」
「えー、本当に?」クスッ
「…笑うなっつーの//」
「いつもの仕返しー!」
たまにこうやってユーリをからかうのは楽しくって
ついついやりすぎて怒られちゃったりするんだよなぁ…
正直何処までがセーフかわからない←
「あっ!ユーリにアリシア!」
「あれ?エステル??」
交差点に差し掛かったところで、左の道からフレンとエステルが手を繋ぎながら歩いて来るのが見えた
…なんか、あっちもフレンが顔真っ赤にしてる
「アリシア達もお散歩です?」
「『も』ってことはエステルたちも?」
「はい!久しぶりにフレンと一緒に居られるので」
何処か嫌味ともとれるような口ぶりでエステルは言った
これ……相当根に持ってるなぁ……
「なるほどね。こっちはわたしが体力ないから、ちょっとでもつけないとって少しお散歩」
少し苦笑いしてそう答えた
「そうなんですね!あ、でも無理しちゃ駄目ですよ?」
「大丈夫だっての、オレついてんだから」
「……僕は君が1番信用ならないけどね」
「あん?どうゆう意味だよそれ」
「いつも無理させるのはユーリじゃないか」
「いーや、そりゃお前だな」
「いや、絶対に君だよ。この前だって」
またいつものか言い合いが始まる
こうなると2人の気が済むまでテコでも動かない
エステルと顔を見合わせて苦笑いする
こうやって喧嘩するけど、本当はとっても仲がいい癖に…
こんなこと言ったら、余計長引いちゃいそうだから言わないけど……
「えっと……アリシアたちは何処へ行く予定なんです?」
「え?あー……一応神社の方に行くつもりだよ?」
「それなら私たちと反対方向ですね。これから駅前に行く予定なんです」
「駅前かぁ……わたしはお医者さんがいいって言うまでそっちには行けないかな」
少し肩を竦めながらそう答えた
…のんびり話してる場合じゃないけどね
「アリシアが今行ったら、また文句言われちゃいそうですもんね」
「あれ?もうそっちにまで広がってる??」
「広がってる、なんてレベルじゃないですよ。2年生以上はまた無茶して…ってみんな言ってましたよ?」
「………本当、広がるの早くて怖いよ、うちらの学園は……」
「ふふふ、これで当分無理無茶出来ないですね」
何処か楽しそうにエステルが笑う
…なんか、怖いよ…エステル……
「フレン、そろそろ行きませんか?アリシアを早めに帰してあげないと、また病院沙汰になりかねないですよ?」
喧嘩中のフレンにエステルが声をかけると、ピタッと2人の言い合いが止まった
「確かに……ありえる」
「いい加減にしねぇと、1人でどっか行きそうだしな……」
「……わたしのイメージおかしいでしょ。流石にそんな事しないって」
あまりにも2人が真剣な顔で言うから少し殺意が芽生えそうになる←
いくらわたしでもそこまではしないって…
「いーや。無茶すんなって言葉が通用しねぇのがシアなんだから、絶対ないってことがない」
「それ、ユーリに言われたくない」
ジト目で見つめ返すが、本人は知らん顔
……ユーリが無茶したら、同じこと仕返したる
「それじゃ、また月曜日」
「おう、またな」
そう言い合うと、フレンとエステルはわたしたちが歩いて来た道を歩いて行った
「さてと……割と時間経っちまったな。あんま外連れ回してっと怒られるし、今日は帰るか」
「時間経った理由、ユーリとフレンが言い合いしてたからだけどね」
「……るっせ、ほら行くぞー」
そう言ってわたしの手を引いて歩き出す
あー……まだ若干機嫌悪いなぁ……
…まぁ、少ししたら直ると思うけどさ
「にしても、1週間も絶対安静かぁ……」
はぁ…っと短くため息をつく
「今回はまだ短い方だろ?それに、どうせずっとゲームしてんだろ?」
「…1人で長時間家に居るの、暇なんだよ?確かにゲーム3週目終わらせられるとは思うけど……」
「……それ、一体何時間やりゃ出来んだよ…」
「え?んー……サブイベ飛ばしまくったら30時間くらいかな。でも今回は全コンプ目指してるから…………ざっと100時間くらいかな?」
「……毎回思うが、こだわりすぎだろ……」
「えぇ……そんなことないけどなぁ……あっ、でもそろそろ1番好きなシリーズのリメイク版出るんだよなぁ……」
どうしよう……なんて呟きながら首を傾げた
今やってるのも充分面白いけど、やっぱりお気に入りのリメイク版もやりたい
…発売、まだだけど
「因みに聞くが……それ、まさかとは思うが予約してたりしねぇよな?」
ちょっと考え込んでると、遠慮気味にユーリが聞いてくる
「予約してるに決まってるじゃん!だって予約特典でキーホルダーついてくるんだよ!?しかも初回限定盤は主メンバーの缶バッチ箱付きだよ!!?それにプラスでネット予約だと主人公のクリアスタンド付いてくるとか書かれたら、予約するの一択だって!!」
「…………本っ当、好きだよなぁ……」
若干興奮気味にそう言うと、呆れ気味に見つめてくる
そんな目で見られても、好きなものは好きなんだからいいじゃないか←
わたし、ユーリやフレンの好きなものに文句言わないし
「とりあえず、帰ったら携帯の方のゲームやならいと」
「なんだよその使命感…」
「……だって、ギルドあるゲーム……入ってたとこみんなギルマス引退しちゃって、わたしに押し付けてきたんだもん……やるからにはそれなりにやっとかないと」
「………………あっそ………」
何処か諦めたように項垂れたユーリを引っ張って、家までの道を急いで帰った
ーーーーーーーーーー
「んー………こっちはやっぱり辞める人多いなぁ……」
ソファーに寄りかかりながら携帯と睨めっこする
今開いてるのは某オンラインゲーム
このゲーム……ガチャが絶望的に引き悪かったり、初心者にはめっちゃ融通されてたり、ソロじゃ進みにくすぎるっていう仕様
進みにくいっていうか、進めない←
そろそろ投げ出したくなる……
「おーい、いつまで睨めっこしてるつもりだ?」
肩に重みがかかって顔を上げると、ユーリが後ろから抱きついてきてた
「そろそろやめるとこー!」
携帯に目を戻してメンバーに一言声をかけてからログアウトした
「夕飯出来た??」
ユーリに目を戻して首を傾げる
「まだだっての…っつーか、お前は飯のことばっかかっての」
「この時間にユーリが引っ付いてくるのは夕飯出来た時が多いから聞いただけだもん」
ムッと頬を膨らませると、わかったわかったと苦笑いしながら頬を突っついてくる
「んー、ならもう少しゲームしてよっかな」
そう呟いて目の前のテーブルの上に置かれたテレビのリモコンとコントローラーに手を伸ばす
「まだやんのかよ……オレ、たまにゃシアが作った料理食べたいんですけどねぇ?」
唐突にそう言われて、伸ばした手が止まる
…いや確かに料理出来るけどユーリほど上手くないし……
というか、もう今日は作ってるじゃん……
「駄目か??」
少し寂しそうな声で聞きながら肩に顎を乗せてきた
「……学校休んでる間だけなら//」
ちょっと恥ずかしくって、声が裏返りそうになるのを必死で抑える
「んじゃ、約束な」
わたしの左手の小指に左手の小指を絡めながら耳元で呟く
耳に息がかかって少しくすぐったい
「オレ、楽しみにしてっからさ」
「……わかったから……/////」
「んじゃ、オレ続きしてくっから」
ちゅっと頬にキスして戻って行った
……何作るか、考えておかないとなぁ
そんなことを考えながらゲームを再開した
……日曜日もこんな感じでずーっと引っ付いてたりしてました←