第1部〜水道魔導器魔核奪還編〜
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ハルルの結界魔導器
「ね、ねぇ!ちょっと聞きたいんだけどさ!」
走りながらカロルが前にいるユーリに話しかける
「ん?どした?」
ユーリは少し顔を後ろに向けながらカロルに話しかける
「ずっと疑問だったんだけど、武醒魔導器 なんて貴重品、どこで手に入れたの?僕はギルドに入っているから機会はいくらでもあるけど…」
カロルはそう言って首を傾げる
確かに、ギルド関係者からしたら一般人が武醒魔導器を持っていたら不思議に思うだろう
…約二名、一般人じゃないんだけどねぇ…
「オレは前に騎士団に入ってたからな。辞めた餞別にもらったの。ラピードのは前の御主人様の形見ってとこだな」
全く悪びれる様子もなくユーリはそう答えた
「餞別って…それ盗品じゃ……エステルとアリシアは?」
カロルは私とエステルを見ながらそう聞いてくる
「えと…私は…」
エステルは少し躊躇いがちに項垂れる
…まぁ、言い難いだろうねぇ…
「…私は元々貴族出身だからね…エステルは貴族だから持ってても当然かな」
ニコッと笑いながらそう言うと、カロルは驚きの声をあげる
「えっ!アリシアも貴族なの!?エステルはそんな感じしてたけど、全然わからなかった!」
エステルの方はカロルもやはり気付いていたようだけど、やっぱり私の方はわからなかったようだ
まぁ…貴族として生きてたのなんてかなり前の話だしなぁ…
「元だよ、元。両親が死んでからはずっと下町で育ったからね」
肩を竦めながら苦笑いしてそう言う
私が貴族出身だったことには、エステルも驚いたようだ
それは、私が騎士でもないのに剣を巧みに扱い、いとも簡単に魔物を倒していく姿を何度も目にしているからだろう
「って、ユーリ!さっき元騎士って言ったよね!?」
唐突に思い出したようにカロルはユーリに声をかける
「ん?あぁ、言ったぜ?」
不思議そうにしながらユーリはそう言う
「なんで元騎士が騎士に追われてるの!?……何したの?器物破損?詐欺?密航?ドロボウ?人殺し?火付け?」
少し怯えたようにカロルは質問をなげかける
…そりゃそうだろうなぁ……
元騎士が騎士に追いかけられるとか、前代未聞すぎるよなぁ…
「いや…脱獄だけだと思うんだけどな」
苦笑いしながらユーリは肩を竦める
「まぁ、ここまでくれば、しばらくは追いつかないでしょ!」
私は前方を指差しながらニコッと笑う
目の前にはもう、ハルルの街が見えてきていた
街につく頃にはすっかり夜になってしまい、空には星が瞬いていた
街につくなり私は樹の元へ行くために、急いでユーリ達の元を離れた
「あ、おい!シア!」
後ろからユーリの静止する声が聞こえてくるが、そんなこと気にしていられない
「ごめんっ!用事思い出した!あとお願いっ!」
軽く後ろを振り返って彼らにそう告げると、一直線にハルルの樹の裏へとやってきた
表は村人が沢山集まっており、ここでないと話しができないから…ね
(ねぇ…まだ、大丈夫?仲間が解毒剤を作ってくれたよ!だから、もう少しだけ、頑張って…)
幹に触れながら励ますが、かなりの量の毒が回ってしまっているようで、ハルルの樹は他の人には聞こえない悲鳴をあげていた
《辛い……苦しい……助けて……》
(お願い…っ!もう少し…もう少しだけ、頑張って…っ!)
必死に樹に話しかけていると、反対側からユーリ達がパナシーアボトルを持ってやってきたようだ
「じ、じゃあ、やるよ!」
カロルの声をかけると同時に地面に薬をかけると樹はキラキラと光り出した
これで助かる…そう思った時、
《…足りない…》
たった一言、そう聞こえた
「……え……?」
その声と同時に光は聞けえしまった
向こう側からは街の人々の悲痛な声が聞こえてきている
《足りない……この毒を浄化しきるのには全く足りない……》
「そんな………」
絶望的だった
何故ならパナシーアボトルを作るためのルルリエの花弁はもう残っていないんだ
私は腕を組んで考える
そんなことをしている余裕はないのだが私自身、両親と昔交わした約束を破りたくなかった
だが、このままではハルルの樹が枯れてしまう
私は意を決して樹に話しかける
(……本当はダメだけれども……もう、あなたを助けるにはこれしか方法がない…)
小さく息を吸い込むと空を見上げ、瞬く星達に呼びかける
「お願い…私に力を貸して…この街を、守るために」
私の呼び声に反応して星達はキラキラと輝き始める、と同時に私の身体も輝き始めた
一方その頃、反対側でも似たようなことが起きていた
「……お願い……咲いて……」
エステルが祈り始めると同時に彼女の身体もまた輝き出していた
そして、ハルルの樹も徐々に輝き出し、ゆっくりと花が咲き始めた
満開に近づくと同時に今まで消えていた結界の光の輪が空中へと浮かび上がった
アリシアとエステル、二人の少女と女性のおかげて、再びハルルの樹が蘇ったのだ
もちろんアリシアのことは誰も知らないが…
街の人々はお祭り騒ぎでエステルにお礼を言いに集まる
だが、エステルは自分でも何をしたのかわからないようで、戸惑っていた
「…すげぇな、エステル。あんな術が使えるなんて…立てるか?」
ユーリはエステルにそっと手を差し出す
「は、はい…自分でも何をしたのかわからないんです…」
エステルは少し戸惑いながらも、その手を取って立ち上がる
「でもすごいよ!ハルルの樹を直しちゃったんだから!」
カロルは興奮気味にエステルに笑いかける
「さてと、二人とも、ちょっとここで待っててくんねぇか?シアを探してくるわ」
ユーリはエステルとカロルにそう声をかける
「あ、はい、わかりました」
エステルが頷くと、ラピードと共にハルルの樹の裏側へと向かった
表側に、彼女の姿が見えなかった為、それならばと裏へまわってみたのだ
裏側へつくと、あっさりと探していた人物を見つけることが出来た
「おいおい、こんなとこで何してんだよ」
呆れ気味にユーリはアリシアに話しかける
「あ、ユーリ、ラピード」
アリシアは一人と一匹の姿を見るなり走り寄ってきた
「今の力、エステルでしょ」
見ていたわけではないのに、エステルだと言い当てるアリシア
「へぇ、よくわかったな」
ユーリが関心したようにそう答えると、アリシアは軽く肩を竦める
「星が教えてくれたからね。…でも、みんな警告してるよ。これ以上、彼女に力を使わせるなって」
少し声のトーンを落としながらアリシア呟く
「ん?そりゃどーゆうことだ?」
ユーリは首を傾げるが、彼女はただ、首を横に振った
「うーん…詳しく教えてくれてないからわからない…」
アリシアは頭を掻きながらそう答える
「ふーん、ま、また後で聞いて見りゃいーさ。あいつらんとこに戻ろうぜ」
「…うん、そうしよっか」
先に歩き出したユーリの後ろを少ししてから、アリシアは追いかけるようについて行った
この時、彼女が辛そうにしていたことに、ユーリは気がつけなかった
アリシアside
え…なんで…樹の蘇生があまりにも早すぎる…かなり弱っていたはずなのに…
完全に蘇生されきったハルルの樹を見上げながら唖然とする
何故?私の力じゃこんなに早く蘇生されないわよ……?
《ありがとう星暦の姫よ。満月の子にも礼を伝えておくれ》
ハルルの樹は嬉しそうにそう声をかけてきた
「満月の…子……?ま、まさか…!?」
『そのまさかよ』
私の問に答えたのはハルルの樹ではなく、アリオトだった
『あなたが帝都を出た時からずっと一緒にいる、エステリーゼこそ満月の子よ』
アリオトの答えに、一瞬言葉を失いかける
「………ということは…皇族…!?」
あまりの事実に驚きを隠せない
確かに貴族だとは言っていたが、まさか皇族だったとは…
これで、ルブラン達がしつこく追いかけてきていることにも納得がいった
『アリシア、気をつけなさい。始祖の霊長達が怒る前に、彼女を帝都へと戻さないと危険だわ』
心配そうにアリオトは忠告してくる
「…わかってるよ、アリオト。成るべく早くに連れ戻す」
力強く私は頷いて答える
『…アリシア…あなたの体調にも気をつけるのよ…?満月の子の力はあなたにとっt』
「おいおい、こんなとこで何してんだよ」
アリオトの言葉を遮るようにユーリの声が聞こえてきた
慌てて振り返ると、ユーリとラピードが呆れ気味な顔をして立っていた
「あ、ユーリ、ラピード」
アリオトの話は途切れてしまったが、迎えに来てくれた彼の方へと走り寄り、先程の出来事について聞く
「今の力、エステルでしょ」
そう聞くと、驚いたように目を見開く
「へぇ、よくわかったな」
関心したような声に、やっぱりか…と納得する
「星が教えてくれたからね。…でも、みんな警告してるよ。これ以上、彼女に力を使わせるなって」
少し低いトーンでそう言うと、不思議そうに首を傾げた
「ん?そりゃどーゆうことだ?」
「うーん…詳しく教えてくれてないからわからない…」
軽く肩を竦めながらそう答える
「ふーん、ま、また後で聞いて見りゃいーさ。あいつらんとこに戻ろうぜ」
あまり興味無さそうにユーリはそう言うと、先に歩き出す
「…うん、そうしよっか」
…ごめん、ユーリ…本当は知っている…理由も全部、知っている…だけどまだ話してはいけないから…
だからごめんね……
話せる時まで…もう少し待って……
心の奥底で話せない罪悪感に襲われながらユーリの後をついて仲間の元へと戻る
その途中、ふと足を止めて空を見上げる
アリオトが話かけてくることはないけれど……
彼女が言いたかったことはわかっている
星暦と満月の子……
……相容れない一族同士が近くにいる……
……それは……私にとって……
「………大丈夫、充分注意するよ、アリオト……」
空に向かってそう小さく呟き、ユーリの後を小走りで追いかけた
「ね、ねぇ!ちょっと聞きたいんだけどさ!」
走りながらカロルが前にいるユーリに話しかける
「ん?どした?」
ユーリは少し顔を後ろに向けながらカロルに話しかける
「ずっと疑問だったんだけど、
カロルはそう言って首を傾げる
確かに、ギルド関係者からしたら一般人が武醒魔導器を持っていたら不思議に思うだろう
…約二名、一般人じゃないんだけどねぇ…
「オレは前に騎士団に入ってたからな。辞めた餞別にもらったの。ラピードのは前の御主人様の形見ってとこだな」
全く悪びれる様子もなくユーリはそう答えた
「餞別って…それ盗品じゃ……エステルとアリシアは?」
カロルは私とエステルを見ながらそう聞いてくる
「えと…私は…」
エステルは少し躊躇いがちに項垂れる
…まぁ、言い難いだろうねぇ…
「…私は元々貴族出身だからね…エステルは貴族だから持ってても当然かな」
ニコッと笑いながらそう言うと、カロルは驚きの声をあげる
「えっ!アリシアも貴族なの!?エステルはそんな感じしてたけど、全然わからなかった!」
エステルの方はカロルもやはり気付いていたようだけど、やっぱり私の方はわからなかったようだ
まぁ…貴族として生きてたのなんてかなり前の話だしなぁ…
「元だよ、元。両親が死んでからはずっと下町で育ったからね」
肩を竦めながら苦笑いしてそう言う
私が貴族出身だったことには、エステルも驚いたようだ
それは、私が騎士でもないのに剣を巧みに扱い、いとも簡単に魔物を倒していく姿を何度も目にしているからだろう
「って、ユーリ!さっき元騎士って言ったよね!?」
唐突に思い出したようにカロルはユーリに声をかける
「ん?あぁ、言ったぜ?」
不思議そうにしながらユーリはそう言う
「なんで元騎士が騎士に追われてるの!?……何したの?器物破損?詐欺?密航?ドロボウ?人殺し?火付け?」
少し怯えたようにカロルは質問をなげかける
…そりゃそうだろうなぁ……
元騎士が騎士に追いかけられるとか、前代未聞すぎるよなぁ…
「いや…脱獄だけだと思うんだけどな」
苦笑いしながらユーリは肩を竦める
「まぁ、ここまでくれば、しばらくは追いつかないでしょ!」
私は前方を指差しながらニコッと笑う
目の前にはもう、ハルルの街が見えてきていた
街につく頃にはすっかり夜になってしまい、空には星が瞬いていた
街につくなり私は樹の元へ行くために、急いでユーリ達の元を離れた
「あ、おい!シア!」
後ろからユーリの静止する声が聞こえてくるが、そんなこと気にしていられない
「ごめんっ!用事思い出した!あとお願いっ!」
軽く後ろを振り返って彼らにそう告げると、一直線にハルルの樹の裏へとやってきた
表は村人が沢山集まっており、ここでないと話しができないから…ね
(ねぇ…まだ、大丈夫?仲間が解毒剤を作ってくれたよ!だから、もう少しだけ、頑張って…)
幹に触れながら励ますが、かなりの量の毒が回ってしまっているようで、ハルルの樹は他の人には聞こえない悲鳴をあげていた
《辛い……苦しい……助けて……》
(お願い…っ!もう少し…もう少しだけ、頑張って…っ!)
必死に樹に話しかけていると、反対側からユーリ達がパナシーアボトルを持ってやってきたようだ
「じ、じゃあ、やるよ!」
カロルの声をかけると同時に地面に薬をかけると樹はキラキラと光り出した
これで助かる…そう思った時、
《…足りない…》
たった一言、そう聞こえた
「……え……?」
その声と同時に光は聞けえしまった
向こう側からは街の人々の悲痛な声が聞こえてきている
《足りない……この毒を浄化しきるのには全く足りない……》
「そんな………」
絶望的だった
何故ならパナシーアボトルを作るためのルルリエの花弁はもう残っていないんだ
私は腕を組んで考える
そんなことをしている余裕はないのだが私自身、両親と昔交わした約束を破りたくなかった
だが、このままではハルルの樹が枯れてしまう
私は意を決して樹に話しかける
(……本当はダメだけれども……もう、あなたを助けるにはこれしか方法がない…)
小さく息を吸い込むと空を見上げ、瞬く星達に呼びかける
「お願い…私に力を貸して…この街を、守るために」
私の呼び声に反応して星達はキラキラと輝き始める、と同時に私の身体も輝き始めた
一方その頃、反対側でも似たようなことが起きていた
「……お願い……咲いて……」
エステルが祈り始めると同時に彼女の身体もまた輝き出していた
そして、ハルルの樹も徐々に輝き出し、ゆっくりと花が咲き始めた
満開に近づくと同時に今まで消えていた結界の光の輪が空中へと浮かび上がった
アリシアとエステル、二人の少女と女性のおかげて、再びハルルの樹が蘇ったのだ
もちろんアリシアのことは誰も知らないが…
街の人々はお祭り騒ぎでエステルにお礼を言いに集まる
だが、エステルは自分でも何をしたのかわからないようで、戸惑っていた
「…すげぇな、エステル。あんな術が使えるなんて…立てるか?」
ユーリはエステルにそっと手を差し出す
「は、はい…自分でも何をしたのかわからないんです…」
エステルは少し戸惑いながらも、その手を取って立ち上がる
「でもすごいよ!ハルルの樹を直しちゃったんだから!」
カロルは興奮気味にエステルに笑いかける
「さてと、二人とも、ちょっとここで待っててくんねぇか?シアを探してくるわ」
ユーリはエステルとカロルにそう声をかける
「あ、はい、わかりました」
エステルが頷くと、ラピードと共にハルルの樹の裏側へと向かった
表側に、彼女の姿が見えなかった為、それならばと裏へまわってみたのだ
裏側へつくと、あっさりと探していた人物を見つけることが出来た
「おいおい、こんなとこで何してんだよ」
呆れ気味にユーリはアリシアに話しかける
「あ、ユーリ、ラピード」
アリシアは一人と一匹の姿を見るなり走り寄ってきた
「今の力、エステルでしょ」
見ていたわけではないのに、エステルだと言い当てるアリシア
「へぇ、よくわかったな」
ユーリが関心したようにそう答えると、アリシアは軽く肩を竦める
「星が教えてくれたからね。…でも、みんな警告してるよ。これ以上、彼女に力を使わせるなって」
少し声のトーンを落としながらアリシア呟く
「ん?そりゃどーゆうことだ?」
ユーリは首を傾げるが、彼女はただ、首を横に振った
「うーん…詳しく教えてくれてないからわからない…」
アリシアは頭を掻きながらそう答える
「ふーん、ま、また後で聞いて見りゃいーさ。あいつらんとこに戻ろうぜ」
「…うん、そうしよっか」
先に歩き出したユーリの後ろを少ししてから、アリシアは追いかけるようについて行った
この時、彼女が辛そうにしていたことに、ユーリは気がつけなかった
アリシアside
え…なんで…樹の蘇生があまりにも早すぎる…かなり弱っていたはずなのに…
完全に蘇生されきったハルルの樹を見上げながら唖然とする
何故?私の力じゃこんなに早く蘇生されないわよ……?
《ありがとう星暦の姫よ。満月の子にも礼を伝えておくれ》
ハルルの樹は嬉しそうにそう声をかけてきた
「満月の…子……?ま、まさか…!?」
『そのまさかよ』
私の問に答えたのはハルルの樹ではなく、アリオトだった
『あなたが帝都を出た時からずっと一緒にいる、エステリーゼこそ満月の子よ』
アリオトの答えに、一瞬言葉を失いかける
「………ということは…皇族…!?」
あまりの事実に驚きを隠せない
確かに貴族だとは言っていたが、まさか皇族だったとは…
これで、ルブラン達がしつこく追いかけてきていることにも納得がいった
『アリシア、気をつけなさい。始祖の霊長達が怒る前に、彼女を帝都へと戻さないと危険だわ』
心配そうにアリオトは忠告してくる
「…わかってるよ、アリオト。成るべく早くに連れ戻す」
力強く私は頷いて答える
『…アリシア…あなたの体調にも気をつけるのよ…?満月の子の力はあなたにとっt』
「おいおい、こんなとこで何してんだよ」
アリオトの言葉を遮るようにユーリの声が聞こえてきた
慌てて振り返ると、ユーリとラピードが呆れ気味な顔をして立っていた
「あ、ユーリ、ラピード」
アリオトの話は途切れてしまったが、迎えに来てくれた彼の方へと走り寄り、先程の出来事について聞く
「今の力、エステルでしょ」
そう聞くと、驚いたように目を見開く
「へぇ、よくわかったな」
関心したような声に、やっぱりか…と納得する
「星が教えてくれたからね。…でも、みんな警告してるよ。これ以上、彼女に力を使わせるなって」
少し低いトーンでそう言うと、不思議そうに首を傾げた
「ん?そりゃどーゆうことだ?」
「うーん…詳しく教えてくれてないからわからない…」
軽く肩を竦めながらそう答える
「ふーん、ま、また後で聞いて見りゃいーさ。あいつらんとこに戻ろうぜ」
あまり興味無さそうにユーリはそう言うと、先に歩き出す
「…うん、そうしよっか」
…ごめん、ユーリ…本当は知っている…理由も全部、知っている…だけどまだ話してはいけないから…
だからごめんね……
話せる時まで…もう少し待って……
心の奥底で話せない罪悪感に襲われながらユーリの後をついて仲間の元へと戻る
その途中、ふと足を止めて空を見上げる
アリオトが話かけてくることはないけれど……
彼女が言いたかったことはわかっている
星暦と満月の子……
……相容れない一族同士が近くにいる……
……それは……私にとって……
「………大丈夫、充分注意するよ、アリオト……」
空に向かってそう小さく呟き、ユーリの後を小走りで追いかけた