第4部~星暦の行方と再会そして…~
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屋敷に戻ってくると、レグルスはすぐにアリシアの身体の状態を見に行った
後に残った者たちは食堂に集まっていた
椅子に座ったものの、顔を青くさせて、未だにガタガタと震えているポルックスの傍に、心配そうにカストロとリゲルは座っている
少し離れたところでユーリも座っており、テーブルに肘をついて額に手を当てていた
あの場所で聞いた、彼女であって彼女じゃない声が耳から離れずにいて、なんとか忘れようとしていた
普段あまり見ない様子の彼に、フレン達も心配そうに彼を見ている
「………くっそ、本当に最悪だな……」
しばらくすると、ユーリはため息をつきながら顔を上げ、そう悪態づいて天井を見上げた
『……で?何があった?』
ぶっきらぼうにカープノスは問いかけてくる
『あのさぁ…カープノス、もう少し言い方あるでしょ?』
『そうだよ!もっと気使ってあげなって!』
全く配慮もなく問いかけたカープノスに、アルタイルとカペラはムッと頬を膨らませた
そんな事知るか、とでも言いたげに、カープノスはそっぽを向く
「いいって、別に」
ほんの少し怒っているであろう二人に対し、ユーリはそう言って手をひらつかせた
『…何があったか、話せそうですか?』
アリオトは遠慮気味にそう問いかける
「……あんたらが『あれ』って呼んでるヤツに出くわした。あいつは………シアの姿そのまんまで出てきやがった」
ほんの少し言いづらそうにしながら、ユーリは答える
ユーリの答えにシリウス達は驚く
まさかそんな事態が起こっているなど、夢にも思っていなかったのだろう
『……確かに、強い怨霊は人の姿形を模倣する事がありますが……よりにもよって、アリシア、ですか……』
大きくため息をつきながら、アリオトは呟いた
『……最悪だな』
さすがのカープノスもこれには苦い顔をしていた
「え……ってことは……ボクたち……」
「そのアリシアの姿をしたやつと、戦わなければならない…という事か……」
フレン達も苦い顔をして黙り込んだ
彼女とは確かに一度、
正直もう一度本気で、という気にはなれなかった
『……姿形だけだったら……どれ程よかったか……』
小さな震えた声で、ポルックスは呟く
『ポルックス……?』
心配そうにカストロは自身の相棒の名前を呼んだ
『姿形だけじゃない……あいつ……アリシアの声まで模倣してる………見た目も、仕草も……全部……全部……っ!!』
両腕をギュッと抱きしめながら、ポルックスは言葉を続ける
『…多分、あいつは、アリシアの記憶さえ模倣した……
さっきのあれは、迷子になったあの日……アリシアが言ってた言葉そのままだった……っ!
違うって、わかってても、誤認しそうになった!!あまりにも似すぎてて、頭おかしくなりそうだった…っ!』
悲鳴に近い声を上げて、ポルックスは泣き始めた
『ポルックス!もういい……もういいよ……!』
隣にいたリゲルはそう言いながら、彼に抱きついた
『……ぼくはもう、あいつに会いたくない……
アリシアじゃないって……わかっていても……きっと…………ぼくは、あいつに、剣を向けられない……』
消えそうな声でそう告げて、ポルックスは静かに泣いた
『ポルックス……』
小さく名前を呼びながら、カストロも彼に抱きついた
『………思ってた以上に最悪な展開、だな……』
深刻そうな表情でシリウスは静かに口を開いた
『そうですわね……幾ら怨霊とはいえ、あの子の全てを模倣しているとなれば……わたくし達の中には、本気で攻撃できる者は……いないですわ』
同意するようにペテルギウスが頷いた
「……それは、僕らも、だね…」
ゆっくりとフレンはカロル達を見回す
皆一同に、困ったように顔を顰めていた
「あたしらが嫌な事を的確にやってくるなんて……なんかムカつくわ……っ!!」
テーブルを思い切り叩きながら、リタは声を上げた
「せめて姿がアリシアじゃなければいいのに……」
ポツリとカロルが呟いた
『アリシアとレグルス様の浄化の力さえ当たれば、なんとかなるけど……
でもなぁ……あれ発動するまで時間かかるし…』
「その間、アリシアちゃんの姿の怨霊の相手はしないといけないわけね……さすがにしんどそうねえ……」
なんとかならないものかと、一同は頭を悩ませた
「……あの、ところで、ユーリ?」
不意にエステルはユーリに声をかけた
「なんだよ、エステル?」
ユーリはエステルの方を向きながら首を傾げる
「いえ……ユーリは実際に姿を見たのに、意外と冷静だな、と思って」
彼女もまた首を傾げていた
皆が困ったように顔を顰めていた中、ユーリだけが一人、落ち着いた様子だった
一番嫌なのは彼だろうと思っていただけに、その様子が、エステルには不思議だった
「言われてみればそうね。あなたが一番、困ると思っていたのだけど」
ユーリの顔を見ながら、ジュディスは言う
「これでも一応、困ったな、とは思ってるんだけど」
苦笑いしながら、ユーリは答えた
だが、そう言っている割に、本気で困っているような雰囲気はどこにもなかった
『………そういえば………ユーリ、あの時』
ポルックスが何か言いかけたところで、言葉を遮るように扉が勢いよく開かれた
何事かと一同が扉の方を見ると、
違いがあるとすれば、あの時と違い、嬉しそうな表情な事くらいだろう
「青年、ちょっと来い」
レグルスはそう言ってユーリを見る
「いきなりだな……そんなに慌てて、なんかあったのか?」
「いいから。早く来い」
ユーリの問いに答える事なく、レグルスはただ来いとだけ告げる
訳がわからなかったが、仕方なくユーリは立ち上がった
「よくわかんねえけど……呼ばれてるから、ちょい行ってくるわ」
そう言って、ユーリはレグルスと共に部屋を後にした
『……全く……初代め、本当に説明足らずだな』
呆れ気味に閉まった扉を見ながら、カープノスは言う
『それよりも……ポルックス、何か言いたいこと、あったんじゃない?』
呆れるカープノスを他所に、リゲルはポルックスに問いかけた
『いや……あの時、パニクってたから、あんまりよく聞こえなかったんだけど……』
目元を袖で拭いながら、ポルックスは顔を上げて言う
『ユーリ、なんか怒ってたよ?『次は全力でぶっ飛ばしてやる』って』
「え?アリシアの姿した、怨霊相手に?」
ポルックスの言葉に、カロルが首を傾げた
『……それ、聞き間違いじゃねーの?だって、ユーリだぜ?』
疑い深そうにカストロはポルックスから離れて、問いかけた
『そんな事ないって!それに……あの時のユーリ、ずっと冷静だったよ。『あれ』がアリシアじゃないって、ちゃんと理解してるみたいだった』
首を横に振って、ポルックスは答えた
「どういう事でしょう…?」
エステルはそう言って、更に首を傾げた
『……ああ、そういう事か』
ずっと無言だったライラックが不意に口を開いた
どこか納得したかのように、彼は微笑んだ
『ええ、そういう事よ、きっと』
クスッと笑いながら、アイリーンはそれに頷いた
『そういう事、とは?』
アリオトはそんな二人を見て首を傾げた
『ははっ、何、すぐにわかるさ』
楽しそうにそう言って笑ったライラックの言葉の意味がわからず、一同はただ不思議そうに顔を見合わせていた
ーーーーーー
レグルスに連れられたユーリが来たのは、最初に彼と話し合った会議室
その奥の扉をレグルスは開き、中へ入っていく
部屋の中は壁にそってズラリと本棚とクローゼットが並んでおり、机と椅子、そしてベッドが置いてあった
恐らく彼の私室であろう部屋の中に、ユーリも入って行くと、ベッドに横になっている人影が見え、目を見開いた
「……シア……っ!!」
姿を見るや否や、名前を呼びながら、ユーリは駆け寄った
ベッドの側にしゃがみ、その顔を覗き込んだ
赤い長髪も、その顔立ちも、自身が会いたいと願っていた彼女と、何一つ変わりなかった
目は閉じられ、微動だにしないが、ほんの僅かに呼吸だけはしていた
「青年、白雷を側に置くんだ」
ユーリに近寄りながら、レグルスはそう告げた
言われるがままに、ユーリは白雷を彼女の隣に置いた
すると、白雷からゆっくりと光の筋が彼女の方へと伸びていく
「暫くすれば、目を覚ます。……それまで、お主が傍にいてやれ」
レグルスはそう言って背を向けた
「レグルス、ありがとな」
彼女を見つめたまま、ユーリはそう答えた
「……何、お主が一番の功労者だ。このくらいはしてやらんと、我が彼女に怒られる」
そう言って、レグルスは少しだけユーリの方を見た
この数日間、共に過ごして来たが、その間一度も見せなかった優しげな表情を、ユーリは浮かべて、ただ彼女だけを見ていた
そんなユーリに、レグルスはクスリと笑った
「………本当に、愛されているな、アリシア」
小さくそう呟いて、彼は部屋を出た
しばらくその場にしゃがんでいたユーリだったが、さすがに同じ体勢をずっと取っているのはしんどかったらしく、ベッドの縁に腰掛け、体を半分彼女の方へと向けた
「……シア」
彼女を呼びながら、そっと髪に触れる
一年半前と変わらず、サラサラとした綺麗な髪に目を細めた
そうして、見つめていた時だった
『……ユーリ』
不意に、再び頭の中で声が響いた
「……シア?」
不思議そうにユーリは首を傾げて彼女の顔を見ようと、髪に触れていた手をベッドに置こうとする
その時、側にあった白雷にほんの少し手が触れた
瞬間、白雷が強い光を放った
「は…っ!?」
ユーリは驚いて、目を閉じる
そのまま、彼の意識は途絶えた
ーーその頃ーー
食堂に戻ったレグルスは、そこに残っていた彼らに事情を説明し終えたところだった
『事情はわかった。…だが、レグルス……最初に説明くらいしたっていいだろう!?』
当然、と言うべきかシリウスは少し怒りながら、彼を見た
「あの場で説明してみろ。お主ら全員揃って付いて来ようとしただろう?…特にシリウス、お主は絶対に譲らなかっただろうしな」
呆れ気味にレグルスはシリウスを見返した
その通りだったのか、グッと喉を鳴らして、シリウスは口を閉ざした
「ユーリ、頑張った甲斐があったね!」
ニッコリと、自分のことのように嬉しそうにしながらカロルは言った
「一時はどうなる事かと思ったからねえ。ホント、良かったわ」
椅子の背にもたれながら、レイヴンも微笑んだ
「そうね。一番頑張っていたのだから、このくらいは許してあげないとね、リタ?」
クスッと笑いながら、ジュディスは少し不機嫌そうなリタを見た
「わ、わかってるわよ!そんな事…!!」
ムッとしながら、リタはそっぽを向く
『ふふ……大丈夫よ、リタ。すぐに会えるわ』
アイリーンはそう言ってリタの傍に寄ると、その頭を優しく撫でた
リタは一瞬、どこか嬉しそうな表情を浮かべたが、すぐに恥ずかしくなったのか、頬を赤らめた
「あ、あたし!もうそこまで子どもじゃないわ!!」
アイリーンの方を見ながらそう言えば、彼女はクスクスと笑いながら、リタの頭から手を退けた
『あら、それはごめんなさい。わたしにとっては、あなたもアリシアも、いつまでも子どもだから、つい』
笑いながらそう言う彼女から、リタは顔を背けた
子どもじゃない、と言いつつも、撫でられたのは嬉しかったらしく、少し微笑んでいた
『ちぇっ、やーぱり、一番最初はユーリさんかぁ。ボクらだって会いたいのに』
「お主らは狭間で一緒に居ただろう?少しくらい我慢するのだ」
少し膨れたカペラに、レグルスはあやす様に声をかけた
『ま、そうだよなぁ。ユーリは一年半も会ってない訳だし……それにおれら、散々ユーリに喧嘩ふっかけて、全員、見事に返り討ちにあってんだから、文句も言えねーな』
苦笑いしながら言ったカストロの言葉に、カペラとシリウスはグッと喉を鳴らした
『そうですわね。……特に、シリウスには文句を言う資格はありませんわ』
少し睨み気味に、ペテルギウスはシリウスを見る
『そうだよ、シリウス。一番タチが悪かったんだから』
リゲルはそう言って頬を膨らませた
『……それに関しては、悪かったと思っている』
気まずそうに、シリウスは二人から視線を反らせた
「ところで……彼女の身体に、完全に力が戻るまで、どのくらいかかりそうなんですか?」
少し遠慮気味にフレンはレグルスに問いかける
「そうだな……あのペースなら、後四、五時間程」
レグルスが言いかけた時、部屋の外からドサッと何かが倒れる音がした
「な、なんじゃ?!今の音!!」
パティは驚きながら立ち上がった
『今の音は……お二人のいる部屋の方ではありませんか?』
アリオトの言葉に、一同は青ざめた
何かあったのだと悟った彼らは急いで、その部屋へと向かった
ーーーーーー
『アリシア!!ユーリ!!』
一番最初に部屋についたのはシリウスだった
扉を勢いよく開くと、アリシアはベッドの上に寝たままだったが、ユーリは壁際の本棚の前に倒れ込んでいた
「ユーリっ!?」
シリウスの次に部屋に飛び込んだフレンは慌ててユーリに駆け寄る
「これは……一体どうゆう事よ?」
ほんの少しレグルスを睨みつけながらレイヴンは低い声で問いかけた
「いや……我にも、何がなんだか……」
この状況に一番驚いていたのはレグルス本人だった
こんなことは予想していない
何があったのか、彼にも検討がついていなかった
『と、とりあえずベッドに寝かせてあげた方がいいんじゃない!?』
『だな。さすがにここに寝かしたままはないだろ』
慌てるアルタイルに、珍しくカープノスが少し焦り気味にユーリを抱えようとする
『その前に怪我してないか、アリオトに見てもらった方がいいと思うけど…』
『そうですね……治療すれば、目が覚めるかも知れません』
リゲルの言葉に頷いて、アリオトがユーリに近づこうとした時
『だめ!!!!』
今の今まで、全く口を開かなかったベガが大きな声でアリオトを制止した
「うわっ!ビックリしたぁ……なんでだめなのさ!」
ベガのすぐ傍にいたカロルは、その声に驚きながらも、ベガに強めに問いかけた
『だめなものはだめ……っ!!アリオト、何もしちゃだめ!!』
ベガはそう言うと、彼女の傍へ行き、腕を掴んだ
「……ベガよ、それは、あやつを動かすなという事か?」
少し怒りの混じった声でレグルスは問いかけた
『……ベッドに寝かすくらいなら、いい』
「…だ、そうだ。カープノス、頼めるか?」
レグルスがカープノスに視線を向けると、彼は既にユーリを運んでいるところだった
『ねえ、ベガ?そろそろ話してくれたっていいんじゃない?』
アルタイルはベガの前にしゃがむと、優しく問いかけた
『……………やだ』
そんなアルタイルの言葉も虚しく、ベガはそっぽを向いた
『ベガ……いい加減にしないか!!』
シリウスは声を荒らげながらベガを少し睨む
「あ、あの、落ち着きましょう??怒鳴ってもきっと、話してくれませんし……ね?穏便にいきましょう??!」
不穏な空気に、エステルは全員に落ち着くように言うが、当の本人も落ち着けていなかった
『言わないったら、言わない……!あたしだけ、シリウスに怒られるの不公平…っ!!』
ベガは再び、そう声をあげる
「『あたしだけ』…って、どういう事かしら?」
ベガの言葉に、ジュディスは首を傾げた
『絶対……言わない……っ!アリシア起きるまで、言わない……!!
アリシアとそう約束したから、絶対絶対言わないっ!!!!』
そう叫んですぐに、彼女はしまった!という顔をして、口を塞いだ
『……ベガ、今、なんと言った……?』
そう聞き返すシリウスの声は、怒りのせいか震えていた
『おい、ベガ……!答えろって!!』
シリウス同様、カストロも怒りの混じった声でベガを問い詰める
『『誰と、約束したって……!?』』
ベガがそれ以上、口を開くことはなかった
そんな彼女らを、扉の側で苦笑いしながらポルックスは見ていた
『……あーあ……やっぱりこうなったじゃん…
どーすんの?アリシア』
目をつぶりながら小さく呟いたポルックスの声は、シリウス達の声にかき消され、誰にも届かなかった
ーーー????ーーー
「……あっちゃぁ……やっちゃった」
真っ青な空と水面のような地面が広がっている空間で、アリシアはその場にしゃがんで苦笑いしていた
彼女の目の前には倒れ込んでいるユーリがいた
「力加減間違えたかなぁ……これ、しばらく起きなさそう」
ツンッと彼の頬をつついてみるものの、全く起きる気配はない
「うーん……どうしよう……」
頬杖をつきながら、彼女はユーリを見つめた
目の前にいる大切な人の姿に、ほんの少し嬉しそうに微笑みながら、どうしようかと考えていた時だった
『ねえ、アリシア?』
不意に辺りに声が響いた
「んー?どうしたの?ポルックス」
ユーリから少し視線を外して、アリシアは問いかける
『……ベガが口滑らせて、シリウスとカストロに問い詰められてるよ?あれ、可哀想だ』
呆れたようにポルックスはそう告げた
「あー……そっちもやっちゃったかぁ……」
指で頬を掻きながら、アリシアは肩を竦めた
『…まだ駄目なの?』
「んー……いや、もういいよ。未来は確定したから」
ほんの少し目をつぶりながら彼女はそう答えた
『というか、何やらかしたの?こっちは今、ユーリも倒れて大騒ぎだよ?』
「あー……いや、ちょーっと力加減ミスっちゃって……ね?こっちも今倒れてる」
あはは……と苦笑いしながら、アリシアは言う
『はぁ……だからあれ程気をつけなよって言ったのに』
「そんな事言われても、私だって引き込むの初めてだったし…?」
ポルックスと話していると、彼女の視界の隅で、ユーリの手が動いたのが見えた
『……で?これ、ぼくどう切り出せばいいの?』
「そうだね……じゃあ、こうしたらどう?」
そう言って、アリシアはポルックスに何かを提案した
『…………ま、それしかない、か』
ポルックスは少しため息をつくと、息を整える
『じゃ、行くよ?』
ーーー同時刻ーーー
ポルックスは瞑っていた目を開けると、シリウス達を見る
彼らは未だに、ベガに詰め寄っているところだった
ふーっと息を吐き、大きく吸い込む
『あー!!!!!もう!!!シリウス!!カストロ!!!!うるっさいっ!!!!!聞こえないから、ちょっと黙ってよ!!!!!』
急に大声を上げたポルックスを、全員が驚いた顔で見た
『…本当に言うよ!?言うからね!!?後で文句言わないでよ!?!!』
ポルックスは上を見上げながら、少し怒り気味にそう問いかけた
シリウス達にはその返答は聞こえなかったが、ポルックスにはしっかりと届いていた
『……じゃあ、また後で。ベガの分もちゃんと怒られてよね?『アリシア』』
ポルックスはそう言うと、シリウス達の方へ顔を戻した
「…今、『アリシア』って言ったかい…?」
驚きながらフレンは問いかける
『うん、言った。……ベガ、伝言だよ』
フレンの問いに、短く答えると、ポルックスはベガを見た
不機嫌そうに彼女はポルックスの方を振り返る
『『未来は確定した。だから、話して大丈夫』…だってさ』
ポルックスがそう言うと、ベガは少し驚いた顔をしたが、すぐに嬉しそうな表情へ変わり、安心したように肩を撫で下ろした
『………どういうことだ、ポルックス?』
ワナワナと拳を震わせながら、シリウスは問いかけた
『……ライラック、話進まなくなるから、その馬鹿止めといてくれない??』
『ああ、わかった』
ライラックはそう言うと、後ろからシリウスを羽交い締めにした
『おい、ライラック…っ!!離せ!!』
『シリウス、怒る気持ちがわからないではないが、話が進まなければ何もわからない。大人しくしておけ』
宥めるような優しい声だが、同時にどこか威圧感もあった
グッと喉を鳴らして、シリウスは動きを止めた
『…で、ポルックス、どういう事だよ?』
腕を組みながら、カストロはポルックスを見た
『ぼくより、ベガの方が詳しいんじゃない?』
ポルックスはそう言って、ベガを見た
『………じゃあ、話すよ。あたしと、アリシアが………
一年半前に見た、未来の話』
ーーー????ーーー
『あー!!!!!もう!!!シリウス!!カストロ!!!!うるっさいっ!!!!!聞こえないから、ちょっと黙ってよ!!!!!』
辺りにポルックスの声が響く
その声でユーリは目を覚ました
「っ!?!!」
驚きながら体を起こして辺りを見回すが、そこは全く知らない場所だった
上には真っ青な空、下は水面のような地面……
その水面が、自分から離れたところで、ほんの少し揺れていた
『…本当に言うよ!?言うからね!!?後で文句言わないでよ!?!!』
「そんなに何度も言わなくったって、わかってるって。文句も言わないよ。そっちでまた説明するの、面倒だしね」
ポルックスに次いで聞こえた声は、自分がずっと聞きたかった声で
声の聞こえた方向をゆっくりと見る
そこには、赤い長髪を揺らして立っている、会いたくて会いたくて、仕方のなかった大切な人が立っていた
「………シア………?」
ユーリ自身も驚くくらい、掠れた声が出ていた
声に気づいた彼女は振り返る
綺麗なオレンジ色の瞳は真っ直ぐにユーリを捉えると、ニッコリと笑った
「こっちも話さなきゃいけないから、そっちは任せたよ?ポルックス」
空に向かって彼女はそう告げた
『……じゃあ、また後で。ベガの分もちゃんと怒られてよね?アリシア』
「あはは……努力はするよ」
そう答えて、顔を下ろすと、ゆっくりとユーリの方を向いた
「……ユーリ」
あの日と変わらぬ声でアリシアはユーリを呼んだ
「……っ!!シア…っ!!」
彼女の名前を呼んで、ユーリは駆け寄った
傍まで来ると、ギュッと彼女を抱きしめる
もう二度と、離さないと言わんばかりに、強く彼女を抱きしめる
「……ごめんね、ユーリ、心配かけて」
ユーリの背に手を回しながら、アリシアは声をかける
「……ほんっと、お前はいっつも心配ばっかさせやがって」
顔を上げながらユーリはアリシアの顔を見た
少し泣きそうにしながら、彼女に笑顔を向ける
「でも、ちゃんと当たったでしょ?ベガの予言」
ニコッと笑いながら、アリシアは答えた
「そうゆう問題じゃねえんだけど……っつーか、ここどこだ?」
小さくため息をつきながら、ユーリは再び辺りを見回す
「んー……それを説明するには、ちょっと長くなるんだけど……」
アリシアはそう言いながら、少しユーリから離れる
「……ね、ちょっと話そっか
私とベガの一年半の話を」
ーーー同時刻ーーー
「未来の話??」
ベガの言葉にカロルが首を傾げた
『そう、未来の話……
一年半前のあの日、怨霊本体を見たあたしは、二つの未来を見た。……同じタイミングで、アリシアも、あたしと同じ予言の力が目覚めた。あたしと違って、断片的にしか見れないみたいだけど……』
ベガはゆっくりと話し続ける
『…あたしたちが見たのは、同じ未来。あの日……あたしたちは、怨霊に勝てずに、みんな消える未来』
静かにベガはそう告げた
その言葉に、皆は言葉を失った
『…原因は二つ、怨霊の力が強すぎたこと……そして……アリシアの身体が、弱すぎたこと
あの時点でのアリシアじゃ、浄化の力に耐えられなかった……』
悲しそうに彼女はそう言って目を伏せた
「でも、それじゃあ何故、あなた達は今、ここにいるの?」
ジュディスは少し言葉を選びながら問いかけた
『あの時点では、どう頑張っても勝てないのは決定してた
だから………アリシアは、白雷をユーリさんに預けた。自分の浄化の力を、白雷に移して』
ジュディスの方に目を向けながら、ベガは答える
『それって……つまり……』
『アリシアが浄化の力を持っていないと、術は不安定になる。……でも、レグルス様が黒雷に宿っていたら、術はほぼ完璧な状態で発動しちゃう………だから、術が完成し切る前に、レグルス様を黒雷から追い出した
そうすれば、術は不完全な状態で発動して、怨霊の力を削ぐ事ができる
レグルス様さえ無事なら、あたしたちは消えないし、浄化の力が白雷にある限り、アリシアも消えない
白雷はレグルス様と
消えるのは、ボロボロだった、アリシアの体と、黒雷だけ……
……その方法だけが、あたしが見た、もう一つの未来に繋がる道だったから……』
悔しそうに顔を歪めて、ベガは拳を強く握った
「…我を拒絶したのは奴ではなく、アリシアだったのだな」
レグルスは納得したように呟いた
『でも、さ、なんでおれたちに、それを話してくれなかったんだよ?』
納得いかなさそうに、カストロは問いかける
『……狭間に行った後、アリシアは何度も、未来を見てた。どう行動したら、みんなのところに帰れるか、知りたくて
……結論から言っちゃえば、アリシアがこっちに戻って来るまで、みんなにこの話をしちゃうと、帰って来られなかった』
泣きそうになりながら、ベガはカストロの問いに答えた
『レグルス様が身体の再生に成功する……これは、どんな未来でも変わらなかった……でも、何度やっても、アリシアがこっちに戻る前に、みんなに話すと、アリシアが死んじゃうか、レグルス様が死んじゃって、世界が滅ぶ未来にしか、辿り着かなかった……っ
唯一、そうならなかったのは……怨霊が動き出して、アリシアと、カストロかポルックスが狭間に残った時、どちらかに話した未来だけだった……っ』
ついにベガの目からボロボロと涙が零れた
『アリシア、ずっと嫌がってた……っ!また、みんなに隠し事するの……嫌だって……もう、隠し事なんて、したくないのに……ってっ!!ずっと……辛そうだった……っ!
……でも、隠さないで、世界が滅ぶくらいなら……隠して、後でみんなに怒られた方が、マシだよね…って……寂しそうに笑って、言ってたっ……!』
『ベガ………』
泣きじゃくるベガを、アリオトは名前を呼びながら、そっと抱きしめた
『シリウス、これでもまだ、その怒りを鎮めないのですか?』
ベガを抱き締めたまま、アリオトはシリウスを睨みつける
『………さすがに、これは怒れんな……』
ようやく怒りを鎮めた彼から、少し力が抜けた
もう離しても大丈夫だろうと、ライラックはシリウスから手を引いた
「……シア姐もベガも、苦しかったんじゃの」
悲しそうにパティは呟く
「こんな話を聞いてしまったら、怒るに怒れないね……」
肩を竦めながら、フレンは言う
『……ちょっと待った。でも、なんでおれたちをアリシアは狭間から追い出したんだよ?』
少し納得がいかなさそうに、カストロがまたも問いかける
『狭間で、アリシアが見た未来はぼくらに話さなかった後、三つに分岐したんだって』
これ以上話せそうにないベガの代わりに、ポルックスが口を開いた
『見えた未来は三つ。一つは『あれ』を倒せた未来。もう一つは、動き出した『あれ』がアリシアに取り憑いて、再生した身体からこっちに出てきて、世界を滅ぼす未来。そして、三つ目……動き出した『あれ』が、ぼくらの誰かに取り憑いて、ぼくらを経由し、レグルス様に取り憑いて、世界を滅ぼす未来』
ポルックスの言葉に、シリウス達は息を飲んだ
確かにアリシアと違い、
実体のない自分達よりも、実体のある彼に取り憑こうと考えるのは、当然だろう
『アリシアに取り憑かせないようにするのは簡単、ぼくかカストロが付いていればいい。でも、みんなに取り憑かせないようにするには、狭間から追い出すしかない
アリシアが、何処で
『でも……!じゃあなんで、おれじゃなくて、ポルックスだったんだよ!』
未だにその事に納得していなかった彼は少し声を荒らげた
『直前まで迷ってたみたいだよ?……けどさカストロ、君だと、そもそも『あれ』を寄せ付けない訳じゃん?……ペテルギウスたちには残滓が取り憑いてたわけだし……カストロのせいで、アリシアに近づけないなら……どうすると思う?』
ポルックスはそう言って、その場にいる全員を見回した
「……残滓を辿って、シリウス達の誰かを経由して、我に取り憑こうとする、だな」
レグルスは静かにそう答えた
『……その通り
アリシアはそれを懸念したからぼくを選んだ。ぼくで闇に紛れた方が、『あれ』はぼくらを探すのに必死になって、残滓の存在に気づけないと踏んで』
ポルックスはそう言って、カストロを見つめた
グッと喉を鳴らすと、カストロは諦めたように肩を落とした
『…………それじゃ、仕方ねえか……』
しょんぼりとしながら、カストロは呟いた
『……まぁ、アリシアは『あれ』が動かなくても、みんなを追い出すつもりだったみたいだけど』
小さくため息を着きながら、ポルックスは呟いた
「はぁ?なんでよ?」
少し不機嫌そうにリタは問いかける
『アリシアは『あれ』が自分を模倣する事も知ってた。そして……ぼくらじゃまともに戦えない事も、わかってた
……だから、みんなに、強くなってもらいたかったんだってさ』
ポルックスはフレン達を見ながら言葉を続ける
『…まぁ、みんなってよりは、ユーリに、って言った方が正しいか
追い出されたシリウス達が、怒ってみんなに戦い挑むこともわかってたみたいだよ?
……これは、そうゆう未来を見たんじゃなくて、アリシアの勘だったみたいだけどね』
頭の後ろで手を組んで、ポルックスはシリウス達を見た
『えっ、そこは勘なの?』
カペラはそう言って首を傾げた
『そうみたいだよ?
ちなみに、ペテルギウスとカペラ、アルタイルは
それを聞いたシリウス達はギクリと肩を上げた
『……合ってるんだ……じゃあ、シリウス、アリシアから伝言だよ』
呆れ気味にシリウス達を一通り見ると、ポルックスはシリウスに目を戻した
『……なんだ?』
『『ユーリに怪我させたの、絶対許さない』……ってさ』
彼がそう言うと、シリウスはさっと青ざめた
『えっ……まさか、本気で怪我させたの?』
あーあ、と言いながらポルックスはため息をつく
『幾ら残滓が取り憑いてた上で怒ってたからって、馬鹿なんじゃないの?』
ポルックスがそう言うと、シリウスはガックリと肩を落として俯いた
「アリシアちゃんの勘は恐ろしいわ……」
苦笑いしながら、レイヴンはシリウスを見た
「でも、なんでそれが、強くなって欲しいに繋がるのじゃ?」
不思議そうにパティは首を傾げた
『だって、君たち、一年半もまともに一緒に戦ってなかったでしょ?ユーリはずーっとあんなんだったし
だから、ペテルギウスたちで連携の勘を取り戻してもらって……で、アリシアの剣の癖って、シリウスとライラック譲りだから、二人と戦えば自ずとアリシアの剣の癖も思い出すでしょ?』
ポルックスの答えに一同は納得した
「だが……この状況は一体どういう事なのだ?」
レグルスはベッドの上に寝かされたユーリの方を見ながら問いかける
今一番の問題はそこだった
『……今、アリシアは自分の精神世界に、ユーリを呼んでる。……そこなら、いくら怪我しても、こっちに影響はないから……そこで、ユーリが本当に、本気で戦えるか試すって言ってたよ』
その言葉に、フレン達は驚いた
いくら何でも、それはやり過ぎなんじゃないかと
『まぁ、確かに本番でできませんってなるよりはいいのかもしんないけどさぁ?』
『それ、やり過ぎじゃない??』
アルタイルとカペラはそう言って、ポルックスを見る
フレン達同様、彼らもそう思っていたからだ
『それ、ぼくに言われても困るんだけど』
困ったように笑って、ポルックスは肩を竦めた
「どうして、ユーリなんでしょう…?」
不安そうにそう呟きながら、エステルは首を傾げる
『それは、ぼくにもわかんない……けど、アリシア言ってたよ?『私の姿した怨霊に、本気で剣向けられるのは、ユーリだけだし、私の姿した怨霊が勝てないのも、ユーリだけ』って』
ポルックス自身も、何故アリシアがそう言ったかはわからず、首を傾げた
「……ふ………はははっ!!」
唐突に、レグルスが笑い出す
目元に涙を貯めながら、彼は楽しそうに大笑いしていた
「なるほどな……っ、アリシアめ……あの子もか……っ
ライラック、お前の娘、少し性格に難ありではないか??」
楽しげに笑いながら、レグルスはライラックを見た
『その性格は、レグルス譲りだろう?……私も人の事は言えんくらいには、あなたに似たが……』
「ああ……そうであったな。……うむ!きっと、我が彼女だったとしても、同じ事をしていたな!」
今までにないくらい、楽しそうにレグルスは笑っていた
『………おい、初代……!まさかとは思うが……『あの』性格まで、アリシアが似たって言うんじゃないだろうな……!?』
何かに気づいたカープノスは焦った顔でレグルスを見た
「ははっ……カープノス、思い出してもみろ。我と同じ髪色の者たちは、皆一様にそうではないか」
そう言って、レグルスはライラックとシリウスを見た
なんの事だかわからなさそうにしていたシリウスだったが、急に何かを思い出したらしく、ほんの少し驚いた顔をした
『…待て、ライラック……!!オレは聞いてないぞ?!アリシアもなのかっ!?』
大慌てで、シリウスはライラックの方を振り向いた
『どうやらそうらしいな。ははっ!さすが我が娘だな!』
ライラックはそう言いながら、レグルス同様笑った
『全く……お二人とも、笑い事ではないんですよ?』
アイリーンはそう言って呆れ気味に、楽しそうに笑っている二人を見た
『……最悪だ……『あの』性格だけは、引かないで欲しかったというのに……』
シリウスは頭を抱えてその場に蹲った
「あのー……『あの』性格って……なんの話なのか、教えてもらえたり……?」
遠慮気味に、レイヴンは五人に問いかける
「ふふっ……それは、あの子から直接聞いた方がいい……ははっ!」
五人は全く答えるつもりはないらしく、レグルスとライラックは笑っており、そんな二人をアイリーンは呆れ気味に見つめ、シリウスは動かず、カープノスは困ったように項垂れていた
アリオト達にさえ、『あの』性格がなんなのかはわからないらしく、首を傾げていた
「くく……っ、まあ、兎にも角にも、あの子らが帰って来るまで、待とうじゃないか」
クスクスと笑いながら、レグルスはそう告げた
ーーー????ーーー
一通り話し終え、アリシアはふぅ…っと息を吐いた
彼女が話している間、ユーリは黙って聞いていた
「……ったく、怒るに怒れねぇ話しやがって」
困ったように笑いながら、ユーリは腰に手を当てた
「別に怒ったっていいのに。……悪い事したって、思ってるから……」
眉を下げて申し訳なさそうに微笑みながら、アリシアは言う
「シアが見た未来と、オレらにどうして欲しかったのかはわかった。……でも、なんでオレなんだよ?」
首を傾げながらユーリは問いかける
「だって……ユーリは私を見間違えたりなんてしないでしょ?」
さも当然と言いたげにアリシアはそう言って笑った
「ったく……随分な自信だな。…ま、それもそうだけどな」
呆れ気味に苦笑いしながら、ユーリはアリシアを見つめた
「それともう一つ、『あれ』が私の全部を模倣してるなら……きっと、性格も模倣してる。それなら、『あれ』はどう頑張っても、ユーリには勝てないよ」
クスッと笑いながら、アリシアは言う
「ん?それ、どういう意味だ?」
「ふふ……これは、レグルスの血を強く引いちゃった人みんな共通の性格でさ?……まぁ、後でちゃんと話すよ。……どうせ、レグルスもシリウスも、お父様だって、ちゃんとみんなに話してくれてないだろうから」
少し困ったように笑いながら、彼女はそう告げた
不思議そうにユーリは首を傾げたが、今はアリシアから答えは聞けなさそうだった
「……でもさ、わかっていても、やっぱりちょっと不安なんだ。ユーリが本気になれなかったらどうしようって……だから、さ」
そう言うとパチンッと指を弾いた
アリシアの腰には、いつも使っていた白雷と黒雷が
ユーリの手元には、彼の愛刀が現れていた
ゆっくりと、アリシアは刀を抜いて、白雷の切っ先をユーリに向けた
「ここは精神世界……ここで怪我しても、向こうでは何ともない。だから……ユーリ、今、ここで、本気で私と戦って欲しい」
先程までの笑顔ではなく、真剣な表情で、アリシアはユーリを見つめた
「……それ、本気で言ってるのか?」
少し怒った声で、ユーリは問いかける
「本気じゃないように見える?」
少し首を傾げながら、アリシアは問い返した
「……ったく、さすがに笑えねえぞ?」
ため息をつきながら、ユーリは頭を掻いた
「……うん、そうだね……自分でもわかってるよ。酷いこと言ってるって……でも、大丈夫だって、確証が欲しい。……そうでなきゃ……『あれ』の浄化に、専念できそうにないから」
申し訳なさそうにしながらも、アリシアは刀を納めようとはしなかった
「……んじゃ、シアが確証が持てたら……オレのお願い、一つ聞いてくれるか?」
彼女が折れることはないと悟ったユーリは、顔を上げてアリシアを見ながら、諦め気味に問いかけた
アリシアは少し驚いた顔をするが、クスッと笑って、ユーリの目を見た
「いいよ。一つでも二つでも……聞くよ」
その答えを聞くと、少し渋りながらも、ユーリも刀を抜いた
「……行くよ、ユーリ」
「…おう、いつでもいいぜ」
二人はそう言い合うと、足を踏み出した