第1部〜水道魔導器魔核奪還編〜
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花の街『ハルル』
カロルと出会ったところから出口まではそう遠くなく、あっさりと森を抜けることが出来た
「お、ようやく抜けたな」
「ね、ねぇ、本当にこの森、通って来たの?」
半分疑ったようにカロルはそう聞いてくる
「?なんで何度も聞くんです?」
エステルは不思議そうに首を傾げる
「い、いやぁ~エッグベアに本当に会ってないのかなって思ってさ…」
「んー、見てないと思うけどなぁ」
記憶を辿るように思い出しながら私は答える
会ったときから同じ会話の繰り返しだ
なにやらエッグベアと言う魔物をカロルは倒したいらしく、会ってないのかと何度も聞いてくる
だが、魔物に関して知識のあまりない私達は見たのかどうかあやふやだった
「とりあえずさ!早くハルルへ行こう!」
遠目ではあるが、もうハルルの樹が見え始めていた
待ちきれなくなって、みんなを置いて一人、街道を走り出す
「あ、アリシア!待ってください!」
エステルが後を追いかけてくるのと、呆れたようにラピードか追いかけてくるのが横目に見えた
ハルルの街は何度か来ているが、前回来た時はまだ満開ではなかったし
もう一度、あの満開の花が見たくて見たくてじっとしていられない
期待を胸に真っ直ぐとハルルの街へ足を進めた
「なんか…エステルとアリシアって、ちょっと似てるよね」
ため息混じりにカロルはそう呟く
「だな。勝手に一人で突っ走ってくところとかな」
残されたカロルと俺は呆れた顔をしてため息をつく
そして、駆け足で二人と一匹の後を追いかけた
「おいおい、この街の結界はどーなってんだよ」
ハルルについてから一番最初に気になったのは、結界がなくなっていることだった
「みんなはハルルに来るのは初めて?」
カロルは私達を見回しながら首を傾げる
「私は何度か来たことあるけど、この時期に来るのは初めてかな」
頭の後ろで手を組んでカロルの質問にそう答える
つい四日ほど前にも、仕事でここハルルまで来ていたが、その時はちゃんと結界はあったはずだった
「じゃあ、ここの結界魔導器のこと、知らないんだ。ハルルの結界魔導器は中央に見える樹と一体化しちゃっててさ、ハルルの樹が満開になる少し前に弱くなっちゃうんだ」
カロルは丁寧にそう教えてくれた
「ほーお。でもよ、こりゃ弱くなったっていうか、完全に消えてるぜ?」
キョロキョロと見回しながらユーリはそう言う
確かに、結界のあの光の輪が完全に消えて無くなってしまっている
弱まっているのであれば、ただ光が薄くなってるだけだと思うんだけどなぁ…
「いつもならこの時期はギルドに護衛を頼んでいるみたいなんだけど、今年はいつもよりも早く結界魔導器が弱まっちゃって、ギルドが到着する前に魔物の襲撃をくらっちゃったみたいなんだよね」
若干申し訳なさそうにカロルは肩を竦める
確かにそう言われて周りを見ると、地べたに座り込んでいる人達は皆、怪我をしているようだった
そんな村人達が気になったようで、エステルはみんなを治癒してくる、と言って村人達の方へと走って行ってしまった
「!!あ、ごめん!!僕もう行くね!!」
カロルもどうやら知り合いを見かけたらしく、そう言うと走って行ってしまった
「ったく、大人しく出来ないお姫様だな」
ユーリは大きくため息をつく
が、今はあまり気にしていられない
それよりも、気になることがあるし…
「…ユーリ、私もちょっと別行動するね。樹のこと、気になるし」
一呼吸間を空けてユーリにそう声をかける
「へいへい。エステル連れてオレもすぐ行くから、樹のところで大人しくしててくれよ」
「わかった!」
そう言って私はハルルの樹の元へと走り出した
「ったく、なーんでどいつもこいつも集団行動が出来ないんだかねぇ…」
ユーリは苦笑いをして、半ば呆れたようにため息をつき、ラピードを見る
「ワフゥン……」
それに応えるようにラピードも声をあげる
そして、互いに視線で合図を送り合うと、エステルの方へと歩き始めた
私は走ってハルルの樹の根本までやって来きた
想像していたよりも現状は酷く、樹は枯れ始めていた
「…根本の土が変色している…もしかして魔物の血…?これが枯れている原因なの?」
太く地面から飛び出た根を登って、樹の裏側へ周る
そこの地面も、やはり土が赤黒く変色していた
『……て……………さい…………』
「っ!?誰っ!?」
何処からともなく微かだが、声が聞こえた
その声の主を探そうと辺りを見回すが、周りに人はおらず、あるのは目の前のハルルの樹だけだ
私はなんとなく、目の前の樹に耳を傾けてみた
すると、今度ははっきりと声が聞こえた
《星暦の姫よ、お願いです、私を助けて下さい…》
一瞬、耳を疑った
自分のことを『星暦の姫』と、呼ぶのは親戚か古くからこの世界を守り続けている『彼ら』だけだったから
突然のことに戸惑うが、昔、幼い頃に読んだ古い本のことを思い出して、『あぁ、そうゆうことか』と、一人納得する
それよりも今はこの毒をどうにかすることが先だ
(でも……かなりの量染み込んでしまっているし、一体どうすればいいの…?)
顎に手を当て、考えていると、ユーリとラピードが、エステルとカロルの声が聞こえてくる
やばい…私の姿が見えなかったら、ユーリ絶対怒る
そう思い、慌てて樹の裏側から出る
裏側から出てくるのとほぼ同時に、ユーリたちがやって来た
…が、既に一度探しに来ていたらしく、若干ユーリの顔が焦っていた
「シア!お前どこいたんだよ!」
「あ、あはは…ごめんごめん、ちょっと樹の周りを一周してて々…」
苦笑いして答えると、あからさまに納得していないような目で、ユーリは見詰めてくる
「ほーお?んで、なんかわかったか?」
ユーリが首を傾げながら聞いてくる
「んー、まぁ、原因がわかったことにはわかったけど、解決策が…ねぇ…」
そう言いにくそうに答えると、
「原因が魔物の血だってことです?」
と、エステルが聞いてきた
まさか彼女まで知っていると思わなかった為、驚きを隠せずにいた
「すごい!エステルよく分かったね!」
「カロル先生が教えてくれたんだよな。ついでに、解決策もな」
ユーリが言うとカロルは照れくさそうに俯いて頭をかいた
「へぇ!カロル、小さいのに物知りなんだ!んじゃあ、その解決策っていうの、試してみよっか!」
嬉しそうにニコニコしながら三人を見る
するとエステルは少し嫌そうな表情をしながら言う
「えっと…その為にはまず、クオイの森に材料を取りに行かないといけないみたいなんです…」
言いにくそうにエステルはそう言う
大方、またあの森に入るのが嫌なのだろう
「え?そうなの?じゃあ早く取りいこっ!」
「えっ?あっ!アリシア!ま、待ってください!」
エステルの腕をしっかり掴んで、静止など無視し街の出口へと向かう
「あっ!おい、シア!!勝手に先に行くなって!!」
その後をユーリ達は慌てて追いかけて、私たちは再び、クオイの森へと足を運んだ
カロルと出会ったところから出口まではそう遠くなく、あっさりと森を抜けることが出来た
「お、ようやく抜けたな」
「ね、ねぇ、本当にこの森、通って来たの?」
半分疑ったようにカロルはそう聞いてくる
「?なんで何度も聞くんです?」
エステルは不思議そうに首を傾げる
「い、いやぁ~エッグベアに本当に会ってないのかなって思ってさ…」
「んー、見てないと思うけどなぁ」
記憶を辿るように思い出しながら私は答える
会ったときから同じ会話の繰り返しだ
なにやらエッグベアと言う魔物をカロルは倒したいらしく、会ってないのかと何度も聞いてくる
だが、魔物に関して知識のあまりない私達は見たのかどうかあやふやだった
「とりあえずさ!早くハルルへ行こう!」
遠目ではあるが、もうハルルの樹が見え始めていた
待ちきれなくなって、みんなを置いて一人、街道を走り出す
「あ、アリシア!待ってください!」
エステルが後を追いかけてくるのと、呆れたようにラピードか追いかけてくるのが横目に見えた
ハルルの街は何度か来ているが、前回来た時はまだ満開ではなかったし
もう一度、あの満開の花が見たくて見たくてじっとしていられない
期待を胸に真っ直ぐとハルルの街へ足を進めた
「なんか…エステルとアリシアって、ちょっと似てるよね」
ため息混じりにカロルはそう呟く
「だな。勝手に一人で突っ走ってくところとかな」
残されたカロルと俺は呆れた顔をしてため息をつく
そして、駆け足で二人と一匹の後を追いかけた
「おいおい、この街の結界はどーなってんだよ」
ハルルについてから一番最初に気になったのは、結界がなくなっていることだった
「みんなはハルルに来るのは初めて?」
カロルは私達を見回しながら首を傾げる
「私は何度か来たことあるけど、この時期に来るのは初めてかな」
頭の後ろで手を組んでカロルの質問にそう答える
つい四日ほど前にも、仕事でここハルルまで来ていたが、その時はちゃんと結界はあったはずだった
「じゃあ、ここの結界魔導器のこと、知らないんだ。ハルルの結界魔導器は中央に見える樹と一体化しちゃっててさ、ハルルの樹が満開になる少し前に弱くなっちゃうんだ」
カロルは丁寧にそう教えてくれた
「ほーお。でもよ、こりゃ弱くなったっていうか、完全に消えてるぜ?」
キョロキョロと見回しながらユーリはそう言う
確かに、結界のあの光の輪が完全に消えて無くなってしまっている
弱まっているのであれば、ただ光が薄くなってるだけだと思うんだけどなぁ…
「いつもならこの時期はギルドに護衛を頼んでいるみたいなんだけど、今年はいつもよりも早く結界魔導器が弱まっちゃって、ギルドが到着する前に魔物の襲撃をくらっちゃったみたいなんだよね」
若干申し訳なさそうにカロルは肩を竦める
確かにそう言われて周りを見ると、地べたに座り込んでいる人達は皆、怪我をしているようだった
そんな村人達が気になったようで、エステルはみんなを治癒してくる、と言って村人達の方へと走って行ってしまった
「!!あ、ごめん!!僕もう行くね!!」
カロルもどうやら知り合いを見かけたらしく、そう言うと走って行ってしまった
「ったく、大人しく出来ないお姫様だな」
ユーリは大きくため息をつく
が、今はあまり気にしていられない
それよりも、気になることがあるし…
「…ユーリ、私もちょっと別行動するね。樹のこと、気になるし」
一呼吸間を空けてユーリにそう声をかける
「へいへい。エステル連れてオレもすぐ行くから、樹のところで大人しくしててくれよ」
「わかった!」
そう言って私はハルルの樹の元へと走り出した
「ったく、なーんでどいつもこいつも集団行動が出来ないんだかねぇ…」
ユーリは苦笑いをして、半ば呆れたようにため息をつき、ラピードを見る
「ワフゥン……」
それに応えるようにラピードも声をあげる
そして、互いに視線で合図を送り合うと、エステルの方へと歩き始めた
私は走ってハルルの樹の根本までやって来きた
想像していたよりも現状は酷く、樹は枯れ始めていた
「…根本の土が変色している…もしかして魔物の血…?これが枯れている原因なの?」
太く地面から飛び出た根を登って、樹の裏側へ周る
そこの地面も、やはり土が赤黒く変色していた
『……て……………さい…………』
「っ!?誰っ!?」
何処からともなく微かだが、声が聞こえた
その声の主を探そうと辺りを見回すが、周りに人はおらず、あるのは目の前のハルルの樹だけだ
私はなんとなく、目の前の樹に耳を傾けてみた
すると、今度ははっきりと声が聞こえた
《星暦の姫よ、お願いです、私を助けて下さい…》
一瞬、耳を疑った
自分のことを『星暦の姫』と、呼ぶのは親戚か古くからこの世界を守り続けている『彼ら』だけだったから
突然のことに戸惑うが、昔、幼い頃に読んだ古い本のことを思い出して、『あぁ、そうゆうことか』と、一人納得する
それよりも今はこの毒をどうにかすることが先だ
(でも……かなりの量染み込んでしまっているし、一体どうすればいいの…?)
顎に手を当て、考えていると、ユーリとラピードが、エステルとカロルの声が聞こえてくる
やばい…私の姿が見えなかったら、ユーリ絶対怒る
そう思い、慌てて樹の裏側から出る
裏側から出てくるのとほぼ同時に、ユーリたちがやって来た
…が、既に一度探しに来ていたらしく、若干ユーリの顔が焦っていた
「シア!お前どこいたんだよ!」
「あ、あはは…ごめんごめん、ちょっと樹の周りを一周してて々…」
苦笑いして答えると、あからさまに納得していないような目で、ユーリは見詰めてくる
「ほーお?んで、なんかわかったか?」
ユーリが首を傾げながら聞いてくる
「んー、まぁ、原因がわかったことにはわかったけど、解決策が…ねぇ…」
そう言いにくそうに答えると、
「原因が魔物の血だってことです?」
と、エステルが聞いてきた
まさか彼女まで知っていると思わなかった為、驚きを隠せずにいた
「すごい!エステルよく分かったね!」
「カロル先生が教えてくれたんだよな。ついでに、解決策もな」
ユーリが言うとカロルは照れくさそうに俯いて頭をかいた
「へぇ!カロル、小さいのに物知りなんだ!んじゃあ、その解決策っていうの、試してみよっか!」
嬉しそうにニコニコしながら三人を見る
するとエステルは少し嫌そうな表情をしながら言う
「えっと…その為にはまず、クオイの森に材料を取りに行かないといけないみたいなんです…」
言いにくそうにエステルはそう言う
大方、またあの森に入るのが嫌なのだろう
「え?そうなの?じゃあ早く取りいこっ!」
「えっ?あっ!アリシア!ま、待ってください!」
エステルの腕をしっかり掴んで、静止など無視し街の出口へと向かう
「あっ!おい、シア!!勝手に先に行くなって!!」
その後をユーリ達は慌てて追いかけて、私たちは再び、クオイの森へと足を運んだ