第1部〜水道魔導器魔核奪還編〜
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旅籠『冒険王』
帝都の結界を抜けて、外に出て半日が経った
つい昨日も結界の外にいたのだが、こうしてユーリやラピードと出るのは初めてで、すごく新鮮な感じがする
まぁ、とりあえず、エステルがいる理由とか聞きたいし、どっか休める場所…
「あ、ユーリ、エステル、『冒険王』がいるよ。今日はあそこで休も」
「『冒険王』…ですか??」
「そう!旅をしながら宿を提供してくれるの」
そう説明しながら、冒険王に近づくといつもの二人の姿が見えた
「あらぁ、アリシアさん、一昨日ぶりですね」
「こっちの女性がカレンさんで、こっちの男性がリッチさんだよ」
「休んで行かれます?」
「じゃあ、お言葉に甘えて、今日はここで休むとするか」
「……ゆっくり休め……」
「もう!お兄ちゃん!もっと愛想よくしてよ!」
またいつもの喧嘩が始まったなぁ、と苦笑いをする
夕飯を食べながらユーリとエステルが会った経緯を聞いた
どうやら私の予想通り、牢に入れられていたみたいだ
そして、逃げ出す時にたまたま居合わせたエステルがフレンの知り合いで、彼に身の危険を知らせに行こうとしているらしい
「……フレン、こんな可愛いガールフレンドが出来たのか」
カレンさんが入れてくれた紅茶を飲みながら、冗談交じりに呟いた
「がっ…ガールフレンドって!そんなんじゃないです!///」
ちょっとからかうと面白い反応が返ってきた
正直言って楽しい
「そ、そーゆーアリシアはどうなんです?ユーリとフレンの幼馴染みなんですよね??どっちが好きなんですか??」
「ぶっ!?」
そのエステルの問いに驚いたのは、私ではなくユーリだった
「うっわ!?ユーリ!いきなり吹き出さないでよ!?」
「わ、悪ぃ悪ぃ…」
全くもう、なーんでユーリが吹き出すんだか…
「で、で!どうなんです??」
「うーん、どうなんです?って言われても…ねぇ?ラピード」
「ワンっワンっ!」
ラピードを撫でながら話を逸らす
正直なところ、ユーリもフレンも好きだ
でもまぁ、フレンに対しては恋愛感情というよりも、兄弟っていう方の好きなわけだしねぇ…?
「はぐらかさないでください!」
「まぁまぁエステル、そのくらいにして、今日はもう寝ろって」
話を戻そうとするエステルにユーリがそう言った
「むぅ……わかりました。今日はこのくらいにしてもう寝ます。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
「おやすみ、エステル」
そう言い、エステルはテントの中に入って行った
「……って…『今日は』ってことは、また問いただされるの……!?」
ちょっ、待って…!
それだけは、是が非でも回避したい…!
「さぁ、な?…んで?結局のところ、どうなんだ?」
ユーリは紅茶の入っていたコップを地面に置くと、ぐっと私に詰め寄ってくる
「んー?何??ユーリもやっぱり気になるの?」
半分茶化し気味に笑うと少しムッとしてしまう
「そりゃまぁな」
「…知ってる癖に」
苦笑いしながらユーリを見詰める
「お前の口から聞きたいんだよ、バーカ」
「むっ、バカって言った方がバカなんですー!」
そう、ユーリは私が好きなことを知ってる
…まぁ、公にしてないけど、一応付き合ってるし
言ってない理由は言うと周りが面倒だから
主に貴族達と、フレン
私の家はそこそこいい地位だから、当然貴族達は私に言い寄ってくる
まぁ、そんなのガン無視なんだけど
私自身、身勝手な貴族達は大嫌いだから、そんな奴らの元へ嫁ぐ気はさらさらない
フレンの方は、彼が私のことを好きなことを知っているから言うに言えないというか…
「シア?」
「え?あ、ごめん。えっと…なんだっけ?」
「…言ってくれないのか?」
「うっ…もう…好きだよ、ユーリ//」
相変わらず、言うのがなれない
というか、上目遣いでそうやって言ってくるのは反則だ
恥ずかしくなり顔を背けると不意に後ろから抱きしめられる
「オレも好きだよ、シア」
耳元でそう言うと髪にキスをする
「っ///////もう/////」
「顔赤いぞ??」
「うるっさい//見ないでよもう//」
「はっはっ、ほら、お前ももう寝ろよ。オレも寝るからさ」
「ん…わかった。おやすみ、ユーリ」
ユーリの腕から解放されて、テントへと足を向けた
が、途中で方向を変えてユーリの元へ戻る
「?どうした?シア」
きょとんとした顔でそう言ってきたユーリの頬に私は、軽くキスをした
「っ!?///」
突然の出来事に頭がついていっていないのだろうか
びっくりした顔をしている
「さっきのお返しっ!…おやすみ!ユーリ」
そう言うだけ言って、テントへと小走りで戻った
ユーリside
「おやすみ!ユーリ」
オレの頬に触れるだけのキスをして、おやすみ、と告げて走ってテントに戻るシア
「…ありゃ、反則だわ//」
左手で口元を隠しながら呟く
今さっきのシアの行動が目に焼き付いてて、自然と顔がにやけてしまう
普段、あまり自分からそうゆうことをしてこないんで、たまにされるとすごく嬉しくなる
「ワンっワンっ!」
「ん?どうした、ラピード」
思い出してにやけていると、不意にラピードに声をかけられる
「ウー、ワンっ!」
「はは、オレももう寝ろってか。それもそうだな。今日は寝るか」
ポンポンっとラピードの背を撫でてそう答える
まぁ…流石に女子二人が寝ているテントで寝るわけにもいかねぇか
昔、騎士団時代によくやった様に、木に寄りかかって寝ようとする
ラピードも隣にきて、いつものように丸まってすぐに眠りについた
が、俺のほうはなかなか寝付けない
昨日今日とあまりにも色々ありすぎて、頭ん中で整理が出来ていない
水道魔導器の魔核が盗まれたこと
エステルとあったこと
シアが帰って来ていたこと
一緒に旅に出たこと
下町のみんなのこと
そして、フレンのこと
沢山の出来事が眠ることを妨げる
たった二日で沢山のことがありすぎた
そんな二日間を振り返ってみると、今まで下町で何をするわけでもなく、ただぼーっとしていたあの日々よりも少し楽しめる気がした
空を見上げると、そこには満天の星空が見えていて、自然と笑みがこぼれた
「…そーいや、シアは星空が好きだったよなぁ…」
そんなことを思いながら星を見る
真っ暗な空に煌めく沢山の星
その星が、なんとなくいつも笑っているシアと重なった
「……オレも相当、シアに溺れてんな」
ははっと苦笑する
だが、それも悪くない
一緒に居るだけで落ち着けるあの感覚が心地いいのだ
大分気持ちも落ち着いて、頭ん中で状況が整理出来てくると、段々と眠くなってきた
重くなってきた瞼をゆっくり閉じ、意識を手放した
アリシアside
ベッドに入って眠ろうとした
…まではよかった
だが、さっき自分がした行動を思い出し、なかなか眠りにつけない
隣では既にエステルが寝ているので、あまり大きな音を立てるわけにはいかないんだが……
けど、あまりに落ち着かなかったから、外に出て久々に星と話すことにした
私の一族に伝わる、不思議な力
ちょっと気になることもあるから、久しぶりに話してみようと静かにテントから外に出た
「うわぁ…やっぱ星空は綺麗…」
空を見上げて、思わず笑みが溢れる
吸い込まれるような黒にキラキラと光る星達
この景色が昔からとても好きだ
「今日はどの星が話してくれるのかな?」
そう呟くと、カペラが話しかけて来た
『やぁ、アリシア、久しぶりだね!』
「久しぶり、カペラ」
見えないその声の主にニコッと笑いかける
目を瞑れば見えるけど、今はこの空を見ていたかった
『デイドン砦に行くなら、白髪の男に気をつけたほうがいいよ。君の一族のこと、知ってるみたいだからさ』
少し心配した声でカペラはそう言った
「白髪の男…?その人って悪い人なの?」
そう問いかけると、今度はシリウスがその問に答えてくれた
『悪い奴ではない。だが、何を考えているかわからない様な奴だ。用心に越した事はないぞ』
そう教えてくれた
まぁ、つまり、悪い人ではなさそうだけど、危険かもしれないから気をつけた方がいいってことかな
「ありがとう。気をつけるよ」
『それもだけど、なんか始祖の隷長 達が騒ぎだしてるよ』
カペラの言葉に首を傾げる
「え?なんで?」
『わからない、でも何かに怒ってる。気をつけて…』
彼らが怒り出すようなことをした記憶は私にはないんだけど……
「……そっか…わかった、気をつけるよ。ありがとう、二人とも」
カペラとシリウスにお礼を言うと、すぐに二人の気配が消えた
ぐっと伸びをしてもう一度星空を見つめる
「……さーてと、そろそろ寝なきゃ」
そう呟いて、テントの方へと足を向けると、不意にアルタイルが声をかけてきた
『そうそう、戻る前に木の下で寝てる君の彼氏に毛布かけてあげなよ、風邪ひいちゃうよ』
そう言われ、ふと先ほどまでいた木の下を見ると木に寄りかかって寝ているユーリが見えた
「またあんなところで寝て…」
はぁ…と軽くため息をついて、テントから毛布を持って行ってかけてあげる
よほど疲れていたのか、私が近寄ったのに気づく気配はなかった
寝ている姿がまるで子供みたいで、それが可愛くて、そっと頭を撫でる
「……お疲れ様、ユーリ」
起こさないように小さく呟いて、額に軽くキスをする
そして、そっとその場を離れてテントへと戻った
翌日ーーー
「お、シア、おはよう」
朝、テントから出ると既に目覚めていたユーリが昨日と同じ木の下に座っているのが目に入った
「おはよう、ユーリ」
ニッと笑いながら挨拶を交わしていると、少し眠そうにしながらエステルがテントから出てきた
「ふぁ……おはようございます、ユーリ、アリシア」
「おはよう、エステル」
「おぅ、おはよーさん」
「ウーワンっワンっ!」
エステルに声をかけていると、忘れるなと言わんばかりに、ユーリの隣にいたラピードが唸った
「あっ、ごめんごめん、ラピードもおはよう」
私は慌ててラピードの傍に寄って頭を撫でた
「さてと、そんじゃ、そろそろ行くとしますか」
「はいっ!」「うんっ!」
カレンさんとリッチさんにお礼を言い、デイドン砦へと向かう
歩きながら、ユーリとの昔話をエステルに話したり、ラピードの話をしたり、いろいろなことを話ながら歩いた
いつも一人だったから、こうして話せる相手が居るのは楽しい
…まぁ、のんびり楽しんでいられる旅じゃないんだけど、ね
帝都の結界を抜けて、外に出て半日が経った
つい昨日も結界の外にいたのだが、こうしてユーリやラピードと出るのは初めてで、すごく新鮮な感じがする
まぁ、とりあえず、エステルがいる理由とか聞きたいし、どっか休める場所…
「あ、ユーリ、エステル、『冒険王』がいるよ。今日はあそこで休も」
「『冒険王』…ですか??」
「そう!旅をしながら宿を提供してくれるの」
そう説明しながら、冒険王に近づくといつもの二人の姿が見えた
「あらぁ、アリシアさん、一昨日ぶりですね」
「こっちの女性がカレンさんで、こっちの男性がリッチさんだよ」
「休んで行かれます?」
「じゃあ、お言葉に甘えて、今日はここで休むとするか」
「……ゆっくり休め……」
「もう!お兄ちゃん!もっと愛想よくしてよ!」
またいつもの喧嘩が始まったなぁ、と苦笑いをする
夕飯を食べながらユーリとエステルが会った経緯を聞いた
どうやら私の予想通り、牢に入れられていたみたいだ
そして、逃げ出す時にたまたま居合わせたエステルがフレンの知り合いで、彼に身の危険を知らせに行こうとしているらしい
「……フレン、こんな可愛いガールフレンドが出来たのか」
カレンさんが入れてくれた紅茶を飲みながら、冗談交じりに呟いた
「がっ…ガールフレンドって!そんなんじゃないです!///」
ちょっとからかうと面白い反応が返ってきた
正直言って楽しい
「そ、そーゆーアリシアはどうなんです?ユーリとフレンの幼馴染みなんですよね??どっちが好きなんですか??」
「ぶっ!?」
そのエステルの問いに驚いたのは、私ではなくユーリだった
「うっわ!?ユーリ!いきなり吹き出さないでよ!?」
「わ、悪ぃ悪ぃ…」
全くもう、なーんでユーリが吹き出すんだか…
「で、で!どうなんです??」
「うーん、どうなんです?って言われても…ねぇ?ラピード」
「ワンっワンっ!」
ラピードを撫でながら話を逸らす
正直なところ、ユーリもフレンも好きだ
でもまぁ、フレンに対しては恋愛感情というよりも、兄弟っていう方の好きなわけだしねぇ…?
「はぐらかさないでください!」
「まぁまぁエステル、そのくらいにして、今日はもう寝ろって」
話を戻そうとするエステルにユーリがそう言った
「むぅ……わかりました。今日はこのくらいにしてもう寝ます。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
「おやすみ、エステル」
そう言い、エステルはテントの中に入って行った
「……って…『今日は』ってことは、また問いただされるの……!?」
ちょっ、待って…!
それだけは、是が非でも回避したい…!
「さぁ、な?…んで?結局のところ、どうなんだ?」
ユーリは紅茶の入っていたコップを地面に置くと、ぐっと私に詰め寄ってくる
「んー?何??ユーリもやっぱり気になるの?」
半分茶化し気味に笑うと少しムッとしてしまう
「そりゃまぁな」
「…知ってる癖に」
苦笑いしながらユーリを見詰める
「お前の口から聞きたいんだよ、バーカ」
「むっ、バカって言った方がバカなんですー!」
そう、ユーリは私が好きなことを知ってる
…まぁ、公にしてないけど、一応付き合ってるし
言ってない理由は言うと周りが面倒だから
主に貴族達と、フレン
私の家はそこそこいい地位だから、当然貴族達は私に言い寄ってくる
まぁ、そんなのガン無視なんだけど
私自身、身勝手な貴族達は大嫌いだから、そんな奴らの元へ嫁ぐ気はさらさらない
フレンの方は、彼が私のことを好きなことを知っているから言うに言えないというか…
「シア?」
「え?あ、ごめん。えっと…なんだっけ?」
「…言ってくれないのか?」
「うっ…もう…好きだよ、ユーリ//」
相変わらず、言うのがなれない
というか、上目遣いでそうやって言ってくるのは反則だ
恥ずかしくなり顔を背けると不意に後ろから抱きしめられる
「オレも好きだよ、シア」
耳元でそう言うと髪にキスをする
「っ///////もう/////」
「顔赤いぞ??」
「うるっさい//見ないでよもう//」
「はっはっ、ほら、お前ももう寝ろよ。オレも寝るからさ」
「ん…わかった。おやすみ、ユーリ」
ユーリの腕から解放されて、テントへと足を向けた
が、途中で方向を変えてユーリの元へ戻る
「?どうした?シア」
きょとんとした顔でそう言ってきたユーリの頬に私は、軽くキスをした
「っ!?///」
突然の出来事に頭がついていっていないのだろうか
びっくりした顔をしている
「さっきのお返しっ!…おやすみ!ユーリ」
そう言うだけ言って、テントへと小走りで戻った
ユーリside
「おやすみ!ユーリ」
オレの頬に触れるだけのキスをして、おやすみ、と告げて走ってテントに戻るシア
「…ありゃ、反則だわ//」
左手で口元を隠しながら呟く
今さっきのシアの行動が目に焼き付いてて、自然と顔がにやけてしまう
普段、あまり自分からそうゆうことをしてこないんで、たまにされるとすごく嬉しくなる
「ワンっワンっ!」
「ん?どうした、ラピード」
思い出してにやけていると、不意にラピードに声をかけられる
「ウー、ワンっ!」
「はは、オレももう寝ろってか。それもそうだな。今日は寝るか」
ポンポンっとラピードの背を撫でてそう答える
まぁ…流石に女子二人が寝ているテントで寝るわけにもいかねぇか
昔、騎士団時代によくやった様に、木に寄りかかって寝ようとする
ラピードも隣にきて、いつものように丸まってすぐに眠りについた
が、俺のほうはなかなか寝付けない
昨日今日とあまりにも色々ありすぎて、頭ん中で整理が出来ていない
水道魔導器の魔核が盗まれたこと
エステルとあったこと
シアが帰って来ていたこと
一緒に旅に出たこと
下町のみんなのこと
そして、フレンのこと
沢山の出来事が眠ることを妨げる
たった二日で沢山のことがありすぎた
そんな二日間を振り返ってみると、今まで下町で何をするわけでもなく、ただぼーっとしていたあの日々よりも少し楽しめる気がした
空を見上げると、そこには満天の星空が見えていて、自然と笑みがこぼれた
「…そーいや、シアは星空が好きだったよなぁ…」
そんなことを思いながら星を見る
真っ暗な空に煌めく沢山の星
その星が、なんとなくいつも笑っているシアと重なった
「……オレも相当、シアに溺れてんな」
ははっと苦笑する
だが、それも悪くない
一緒に居るだけで落ち着けるあの感覚が心地いいのだ
大分気持ちも落ち着いて、頭ん中で状況が整理出来てくると、段々と眠くなってきた
重くなってきた瞼をゆっくり閉じ、意識を手放した
アリシアside
ベッドに入って眠ろうとした
…まではよかった
だが、さっき自分がした行動を思い出し、なかなか眠りにつけない
隣では既にエステルが寝ているので、あまり大きな音を立てるわけにはいかないんだが……
けど、あまりに落ち着かなかったから、外に出て久々に星と話すことにした
私の一族に伝わる、不思議な力
ちょっと気になることもあるから、久しぶりに話してみようと静かにテントから外に出た
「うわぁ…やっぱ星空は綺麗…」
空を見上げて、思わず笑みが溢れる
吸い込まれるような黒にキラキラと光る星達
この景色が昔からとても好きだ
「今日はどの星が話してくれるのかな?」
そう呟くと、カペラが話しかけて来た
『やぁ、アリシア、久しぶりだね!』
「久しぶり、カペラ」
見えないその声の主にニコッと笑いかける
目を瞑れば見えるけど、今はこの空を見ていたかった
『デイドン砦に行くなら、白髪の男に気をつけたほうがいいよ。君の一族のこと、知ってるみたいだからさ』
少し心配した声でカペラはそう言った
「白髪の男…?その人って悪い人なの?」
そう問いかけると、今度はシリウスがその問に答えてくれた
『悪い奴ではない。だが、何を考えているかわからない様な奴だ。用心に越した事はないぞ』
そう教えてくれた
まぁ、つまり、悪い人ではなさそうだけど、危険かもしれないから気をつけた方がいいってことかな
「ありがとう。気をつけるよ」
『それもだけど、なんか
カペラの言葉に首を傾げる
「え?なんで?」
『わからない、でも何かに怒ってる。気をつけて…』
彼らが怒り出すようなことをした記憶は私にはないんだけど……
「……そっか…わかった、気をつけるよ。ありがとう、二人とも」
カペラとシリウスにお礼を言うと、すぐに二人の気配が消えた
ぐっと伸びをしてもう一度星空を見つめる
「……さーてと、そろそろ寝なきゃ」
そう呟いて、テントの方へと足を向けると、不意にアルタイルが声をかけてきた
『そうそう、戻る前に木の下で寝てる君の彼氏に毛布かけてあげなよ、風邪ひいちゃうよ』
そう言われ、ふと先ほどまでいた木の下を見ると木に寄りかかって寝ているユーリが見えた
「またあんなところで寝て…」
はぁ…と軽くため息をついて、テントから毛布を持って行ってかけてあげる
よほど疲れていたのか、私が近寄ったのに気づく気配はなかった
寝ている姿がまるで子供みたいで、それが可愛くて、そっと頭を撫でる
「……お疲れ様、ユーリ」
起こさないように小さく呟いて、額に軽くキスをする
そして、そっとその場を離れてテントへと戻った
翌日ーーー
「お、シア、おはよう」
朝、テントから出ると既に目覚めていたユーリが昨日と同じ木の下に座っているのが目に入った
「おはよう、ユーリ」
ニッと笑いながら挨拶を交わしていると、少し眠そうにしながらエステルがテントから出てきた
「ふぁ……おはようございます、ユーリ、アリシア」
「おはよう、エステル」
「おぅ、おはよーさん」
「ウーワンっワンっ!」
エステルに声をかけていると、忘れるなと言わんばかりに、ユーリの隣にいたラピードが唸った
「あっ、ごめんごめん、ラピードもおはよう」
私は慌ててラピードの傍に寄って頭を撫でた
「さてと、そんじゃ、そろそろ行くとしますか」
「はいっ!」「うんっ!」
カレンさんとリッチさんにお礼を言い、デイドン砦へと向かう
歩きながら、ユーリとの昔話をエステルに話したり、ラピードの話をしたり、いろいろなことを話ながら歩いた
いつも一人だったから、こうして話せる相手が居るのは楽しい
…まぁ、のんびり楽しんでいられる旅じゃないんだけど、ね