第1部〜水道魔導器魔核奪還編〜
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出会い、そして旅立ち
「とりあえず、これで一安心じゃな」
ふぅ…と息を吐きながらハンクスさんは辺りを見回した
夕方頃になってからようやく水が止まった
止まったというか、先程まで水を流しすぎて、今度は水不足になった、って言った方が正しいのかもしれない
「あぁ。だけど、ユーリの奴、帰って来ないな」
市民街の方を向きながら、一人が心配そうに呟いた
「…また捕まってるのかな」
半分呆れ気味にため息をついて私も市民街の方を向く
つい一週間前に税の徴収に来た騎士と揉めて、牢に入れられたばかりなのに…
「さぁさ!アリシアが気にしてても仕方ないさ!仕事帰りで何も食べていないでしょ?夕飯作ってあげるからおいで!」
宿屋の女将さんがパンパンっと手を叩きながら声をかけてくる
そう言われてみれば、帰って来てからまだ何も食べていない
「…それもそうですよね。じゃあ、お言葉に甘えてさせていただきます!」
ニッと笑いながら女将さんの方を向いた
ユーリならきっとすぐ帰ってくる
恐らく大丈夫だろう
私はとりあえずご飯食べて寝よう
少し不安を抱いたまま、私は女将さんの後を追いかけるようにその場を後にした
女将さんのとこで夕飯を食べて、今は下町の家にいる
本当は『貴族街の方の家』に取りに行く物があったけど…
ユーリのことが心配だったし、今日は行くのをやめた
ま、いつ行っても変わらないしね
そんなこんなで、時刻はもう真夜中
いつもの様に窓際に座って、月明かりの下で本を読んでいる
いつもと違うのは、今日はラピードがそばにいること
夕飯を食べている時に、ラピードだけが袋を持って帰って来た
袋の中にはハンクスさん達が魔導器の修理費にと集めていたお金等が入っていた
もちろん、ちゃんと持ち主のところに返した
「……ユーリ、帰って来ないね、ラピード…」
「ワフゥン…」
パタッと本を閉じ、ラピードの頭を撫でながら話しかける
おそらくお城の牢屋に入れられているのだろうと、検討はついているが…
やはり心配ではある
普段から夜なかなか寝付けないのだが、今日は特に眠れそうになかった
「…明日、朝一でお城に行ってみよっか?」
「ワンっ!」
そう話かけるとラピードも賛成、と言うように答えてくれた
それと同時に立ち上がったと思いきや、服の袖を引っ張られた
どうやら寝ろと言っているようだ
ユーリみたいにラピードが何を言ってるか、完全に理解することは出来ないけれど…
何となく、言いたいことはわかる
「わかったよ、ラピード。今日はもう寝るよ」
そう言いながらラピードの頭を撫でる
すると、満足そうに
「ゥワンッ!」
と、一声鳴いた
立ち上がって本を棚に戻しベットに横になる
「おやすみ、ラピード」
ラピードに声をかけて、ゆっくりと目を瞑った
チュンチュン
「ワンっワンっ」
「ん………」
「ウーワンっ!ワンっ」
「うわぁ!?」
ドサッ!
「うー…痛っっっ……あれ…?ラピード?」
「ワフゥン…」
ラピードの鳴き声に驚き、ベットから落ちてしまった…
窓を見るとだいぶ明るくなっていることに気づく
「ふぁ………そっか…もう朝なんだね…おはよ!ラピード!」
背伸びをしながらラピードに笑いかける
「ワンっ!」
嬉しそうに尻尾を振りながら、ラピードも答える
「んー!さーてとっ!準備しますかっ!」
そう言いながらベッドから飛び降りる
何があってもいいように、いつも仕事に行く時に持っていくものを揃える
ユーリが捕まる時って、いっつも厄介事引っさげてるからなぁ…
「よしっ!これでオッケー!ラピード!行こう!」
愛刀を腰に付けて、ラピードの方を振り向く
「ワンっ!ワンっ!」
ラピードの声に、窓から部屋を飛び出した
地面に着地するなり、まずは噴水広場へと走り出す
お城に行くためにはまず、市民街に出なきゃいけないしね
噴水広場に出ると、水道魔導器の近くにはハンクスさんがいた
「ん?おお、アリシア、おはよう」
私に気づいたハンクスさんがニコッと笑いかけてくる
「おはようございます!ハンクスさん」
足を止めて、私も笑顔で返す
「どこに行くのじゃ?」
私の持ち物を見ながら、少し不思議そうに首を傾げる
「ユーリを迎えに行こうかなって」
苦笑いしながら肩を竦めると、ハンクスさんも納得したように苦笑いする
「おぉ、そうかい。アリシアが行ってくれればきっと早く……ん?」
「………てーぃ!……リ・ローウェル!!!!」
市民街の方向から慌ただしい声と足音が聞こえてくる
「………なんか、聞き覚えのあるような声と名前が聞こえる気がする…」
市民街の方向を見つめながらそう呟いた
覚えがあるとかじゃない
この声は間違いなく、ルブランのものだ
それに、今絶対『ローウェル』って言ってた
と、いうことは、だ
ゴンッという鈍い音が響いてから数秒して、見覚えのある影が目に入る
「ユーリ!!」
その影に迷わず声をかけると、その人物は驚いたようにこちらに目を向けた
「あっ!?シア!?お前帰ってくんのおせぇよ!」
私に駆け寄りながら、半分怒り気味に彼はそう言う
「ユーリにそれ言われたくないんだけど…!」
それに私も、半分怒りながら言い返した
見間違えることのない、私の大切で大好きな幼馴染、ユーリがそこには居た
…………知らない女の子を連れてだけど…………
「ユーリ、知り合いですか?」
その少女は首を傾げながらユーリに問いかけた
……え、ちょっ、誰?この子……
「ん?あぁ、幼馴染ってやつだな」
「そうなんですか?はじめまして、エステリーゼと申します」
と、少女は礼儀正しく挨拶をしてきた
身なりといい、口調といい、恐らく貴族だろう
……なんで貴族の子と一緒に居るんだか……
「はじめまして。アリシア・ラグナロクです」
一旦そのことは置いておいて、エステリーゼと名乗った少女に挨拶をした
その間にユーリはハンクスさんと話をしていた
どうやら、魔導器を直した貴族は魔核目当てだったらしく、貴族かどうかすら怪しいらしい
「っつーことで、ちょっくらそいつとっ捕まえに行ってくるわ。だから、しばらく帝都離れるぜ。一発ぶん殴らねぇと気がすまねぇ」
その言葉に私が一番驚いた
「えっ!?ユーリ、結界の外に行くの!?私が誘ってもあんなに嫌がってたのに!?」
私がそう言うと、ユーリは肩を竦めながら私の方を向く
「お前の仕事の手伝いは面倒だっただけだ。それに、事情が違うだろ」
確かにそうだけど…納得いかない
「ユーリ・ローーーーウェルーー!!!!!大人しくお縄につけー!!!」
言い返そうとした時、市民街の入口の方からルブランの声が聞こえてきた
うっわ…相変わらず仕事熱心なことで…
「げっ、もう来やがった。シア!お前も付き合え!」
「へ!?」
唐突にそう言われ驚いてユーリを見つめる
「オレ、結界の外のこととかわかんねぇしさ、頼むっ!」
いやいや…急に言われても……
まぁ…今は『仕事』もない事だし…
「…ん、わかった!」
ニッと笑いかけると、ユーリは少し嬉しそうに目を細めた
すると、ハンクスさんと話していたエステリーゼもどうやらついてくるようで、
「おじいさん、私も行きますね」
と、声をかけていた
「ん?そうかい。気をつけるんじゃぞ」
「はいっ!」
ニコッと笑うと駆け足で走りよってきた
「ユーリ!野垂れ死ぬんじゃないぞ!」
ユーリに背を向けてハンクスさんは手をひらひらとさせる
「わーってるよ!じいさんも、年甲斐もなくはしゃぐなよ!」
私達が下町の出口に向かった途端、ルブランの方へ下町の人達が波のように押し寄せた
「騎士様!水道魔導器はいつ直るんですか!?」
「騎士様や、ばあさんの入れ歯を探してくれんかの?」
「えーい!邪魔だ!!退かぬか!!」
「あーぁ、ルブラン大変そう」
クスッと笑いながら振り返る
後ろには、下町の住民にもみくちゃにされているルブランの姿が見えた
「いいんだよ、あいつにゃあれぐらいがお似合いだろ。さ、オレ達もさっさといk」
ドドドドドっ!
「「うわぁっ!?」」「きゃっ!?」
ユーリが言いかけた途端、なんと前からも人が押し寄せ、私達までも足止めをくらってしまった
「結界の外に行くならまずハルルに行くといい!これ、持ってきな!!」
「あぁ!?これ途中までしかねーじゃんか!?」
「仕方ないだろ!結界の外になんて出ないんだから!残りは自分で埋めてくれ!」
「ユーリ!アリシアちゃん達を泣かすんじゃないよ!」
「誰が泣かせるかよ…!」
「アリシア!ユーリの面倒ちゃんと見るんだよ!」
「あ、あはは…」
下町のみんなからたくさんの差し入れと励ましの言葉ももらいながら、なんとか抜け出すことが出来た
「ユーリ達は、みんなに愛されているんですね」
少し息を切らせながらエステリーゼは微笑む
苦笑いをして応えようとした、その時、
「待てー!!!!ユーリ・ローウェルー!!!」
声に振り返ると、どうやって抜け出したのかルブランの姿がすぐそこに見えた
あーぁ、来ちゃったよ…
ここはファイヤーボールでも当てて足止めしようかな
「ワウン!」
「うわっ!な、なんだ…?」
私がファイヤーボールを打とうと準備した途端、物陰からラピードがルブランめがけて飛び出してきた
ありゃ、先こされちゃったか
「お前…狙ってただろ、おいしいとこだけ持ってきやがって」
「犬?」
「さ、さっさと行こうぜ」
「うんっ!」
「まずは北のデイドン砦だな。どこまで一緒かわかんねえけど、ま、よろしくな、エステル」
「はい……え?あれ?エス……テル?エステル……エステル……こちらこそよろしくお願いします、ユーリ、アリシア!」
「うん!よろしくね!」
こうして私達は結界の外へと足を向けた
「とりあえず、これで一安心じゃな」
ふぅ…と息を吐きながらハンクスさんは辺りを見回した
夕方頃になってからようやく水が止まった
止まったというか、先程まで水を流しすぎて、今度は水不足になった、って言った方が正しいのかもしれない
「あぁ。だけど、ユーリの奴、帰って来ないな」
市民街の方を向きながら、一人が心配そうに呟いた
「…また捕まってるのかな」
半分呆れ気味にため息をついて私も市民街の方を向く
つい一週間前に税の徴収に来た騎士と揉めて、牢に入れられたばかりなのに…
「さぁさ!アリシアが気にしてても仕方ないさ!仕事帰りで何も食べていないでしょ?夕飯作ってあげるからおいで!」
宿屋の女将さんがパンパンっと手を叩きながら声をかけてくる
そう言われてみれば、帰って来てからまだ何も食べていない
「…それもそうですよね。じゃあ、お言葉に甘えてさせていただきます!」
ニッと笑いながら女将さんの方を向いた
ユーリならきっとすぐ帰ってくる
恐らく大丈夫だろう
私はとりあえずご飯食べて寝よう
少し不安を抱いたまま、私は女将さんの後を追いかけるようにその場を後にした
女将さんのとこで夕飯を食べて、今は下町の家にいる
本当は『貴族街の方の家』に取りに行く物があったけど…
ユーリのことが心配だったし、今日は行くのをやめた
ま、いつ行っても変わらないしね
そんなこんなで、時刻はもう真夜中
いつもの様に窓際に座って、月明かりの下で本を読んでいる
いつもと違うのは、今日はラピードがそばにいること
夕飯を食べている時に、ラピードだけが袋を持って帰って来た
袋の中にはハンクスさん達が魔導器の修理費にと集めていたお金等が入っていた
もちろん、ちゃんと持ち主のところに返した
「……ユーリ、帰って来ないね、ラピード…」
「ワフゥン…」
パタッと本を閉じ、ラピードの頭を撫でながら話しかける
おそらくお城の牢屋に入れられているのだろうと、検討はついているが…
やはり心配ではある
普段から夜なかなか寝付けないのだが、今日は特に眠れそうになかった
「…明日、朝一でお城に行ってみよっか?」
「ワンっ!」
そう話かけるとラピードも賛成、と言うように答えてくれた
それと同時に立ち上がったと思いきや、服の袖を引っ張られた
どうやら寝ろと言っているようだ
ユーリみたいにラピードが何を言ってるか、完全に理解することは出来ないけれど…
何となく、言いたいことはわかる
「わかったよ、ラピード。今日はもう寝るよ」
そう言いながらラピードの頭を撫でる
すると、満足そうに
「ゥワンッ!」
と、一声鳴いた
立ち上がって本を棚に戻しベットに横になる
「おやすみ、ラピード」
ラピードに声をかけて、ゆっくりと目を瞑った
チュンチュン
「ワンっワンっ」
「ん………」
「ウーワンっ!ワンっ」
「うわぁ!?」
ドサッ!
「うー…痛っっっ……あれ…?ラピード?」
「ワフゥン…」
ラピードの鳴き声に驚き、ベットから落ちてしまった…
窓を見るとだいぶ明るくなっていることに気づく
「ふぁ………そっか…もう朝なんだね…おはよ!ラピード!」
背伸びをしながらラピードに笑いかける
「ワンっ!」
嬉しそうに尻尾を振りながら、ラピードも答える
「んー!さーてとっ!準備しますかっ!」
そう言いながらベッドから飛び降りる
何があってもいいように、いつも仕事に行く時に持っていくものを揃える
ユーリが捕まる時って、いっつも厄介事引っさげてるからなぁ…
「よしっ!これでオッケー!ラピード!行こう!」
愛刀を腰に付けて、ラピードの方を振り向く
「ワンっ!ワンっ!」
ラピードの声に、窓から部屋を飛び出した
地面に着地するなり、まずは噴水広場へと走り出す
お城に行くためにはまず、市民街に出なきゃいけないしね
噴水広場に出ると、水道魔導器の近くにはハンクスさんがいた
「ん?おお、アリシア、おはよう」
私に気づいたハンクスさんがニコッと笑いかけてくる
「おはようございます!ハンクスさん」
足を止めて、私も笑顔で返す
「どこに行くのじゃ?」
私の持ち物を見ながら、少し不思議そうに首を傾げる
「ユーリを迎えに行こうかなって」
苦笑いしながら肩を竦めると、ハンクスさんも納得したように苦笑いする
「おぉ、そうかい。アリシアが行ってくれればきっと早く……ん?」
「………てーぃ!……リ・ローウェル!!!!」
市民街の方向から慌ただしい声と足音が聞こえてくる
「………なんか、聞き覚えのあるような声と名前が聞こえる気がする…」
市民街の方向を見つめながらそう呟いた
覚えがあるとかじゃない
この声は間違いなく、ルブランのものだ
それに、今絶対『ローウェル』って言ってた
と、いうことは、だ
ゴンッという鈍い音が響いてから数秒して、見覚えのある影が目に入る
「ユーリ!!」
その影に迷わず声をかけると、その人物は驚いたようにこちらに目を向けた
「あっ!?シア!?お前帰ってくんのおせぇよ!」
私に駆け寄りながら、半分怒り気味に彼はそう言う
「ユーリにそれ言われたくないんだけど…!」
それに私も、半分怒りながら言い返した
見間違えることのない、私の大切で大好きな幼馴染、ユーリがそこには居た
…………知らない女の子を連れてだけど…………
「ユーリ、知り合いですか?」
その少女は首を傾げながらユーリに問いかけた
……え、ちょっ、誰?この子……
「ん?あぁ、幼馴染ってやつだな」
「そうなんですか?はじめまして、エステリーゼと申します」
と、少女は礼儀正しく挨拶をしてきた
身なりといい、口調といい、恐らく貴族だろう
……なんで貴族の子と一緒に居るんだか……
「はじめまして。アリシア・ラグナロクです」
一旦そのことは置いておいて、エステリーゼと名乗った少女に挨拶をした
その間にユーリはハンクスさんと話をしていた
どうやら、魔導器を直した貴族は魔核目当てだったらしく、貴族かどうかすら怪しいらしい
「っつーことで、ちょっくらそいつとっ捕まえに行ってくるわ。だから、しばらく帝都離れるぜ。一発ぶん殴らねぇと気がすまねぇ」
その言葉に私が一番驚いた
「えっ!?ユーリ、結界の外に行くの!?私が誘ってもあんなに嫌がってたのに!?」
私がそう言うと、ユーリは肩を竦めながら私の方を向く
「お前の仕事の手伝いは面倒だっただけだ。それに、事情が違うだろ」
確かにそうだけど…納得いかない
「ユーリ・ローーーーウェルーー!!!!!大人しくお縄につけー!!!」
言い返そうとした時、市民街の入口の方からルブランの声が聞こえてきた
うっわ…相変わらず仕事熱心なことで…
「げっ、もう来やがった。シア!お前も付き合え!」
「へ!?」
唐突にそう言われ驚いてユーリを見つめる
「オレ、結界の外のこととかわかんねぇしさ、頼むっ!」
いやいや…急に言われても……
まぁ…今は『仕事』もない事だし…
「…ん、わかった!」
ニッと笑いかけると、ユーリは少し嬉しそうに目を細めた
すると、ハンクスさんと話していたエステリーゼもどうやらついてくるようで、
「おじいさん、私も行きますね」
と、声をかけていた
「ん?そうかい。気をつけるんじゃぞ」
「はいっ!」
ニコッと笑うと駆け足で走りよってきた
「ユーリ!野垂れ死ぬんじゃないぞ!」
ユーリに背を向けてハンクスさんは手をひらひらとさせる
「わーってるよ!じいさんも、年甲斐もなくはしゃぐなよ!」
私達が下町の出口に向かった途端、ルブランの方へ下町の人達が波のように押し寄せた
「騎士様!水道魔導器はいつ直るんですか!?」
「騎士様や、ばあさんの入れ歯を探してくれんかの?」
「えーい!邪魔だ!!退かぬか!!」
「あーぁ、ルブラン大変そう」
クスッと笑いながら振り返る
後ろには、下町の住民にもみくちゃにされているルブランの姿が見えた
「いいんだよ、あいつにゃあれぐらいがお似合いだろ。さ、オレ達もさっさといk」
ドドドドドっ!
「「うわぁっ!?」」「きゃっ!?」
ユーリが言いかけた途端、なんと前からも人が押し寄せ、私達までも足止めをくらってしまった
「結界の外に行くならまずハルルに行くといい!これ、持ってきな!!」
「あぁ!?これ途中までしかねーじゃんか!?」
「仕方ないだろ!結界の外になんて出ないんだから!残りは自分で埋めてくれ!」
「ユーリ!アリシアちゃん達を泣かすんじゃないよ!」
「誰が泣かせるかよ…!」
「アリシア!ユーリの面倒ちゃんと見るんだよ!」
「あ、あはは…」
下町のみんなからたくさんの差し入れと励ましの言葉ももらいながら、なんとか抜け出すことが出来た
「ユーリ達は、みんなに愛されているんですね」
少し息を切らせながらエステリーゼは微笑む
苦笑いをして応えようとした、その時、
「待てー!!!!ユーリ・ローウェルー!!!」
声に振り返ると、どうやって抜け出したのかルブランの姿がすぐそこに見えた
あーぁ、来ちゃったよ…
ここはファイヤーボールでも当てて足止めしようかな
「ワウン!」
「うわっ!な、なんだ…?」
私がファイヤーボールを打とうと準備した途端、物陰からラピードがルブランめがけて飛び出してきた
ありゃ、先こされちゃったか
「お前…狙ってただろ、おいしいとこだけ持ってきやがって」
「犬?」
「さ、さっさと行こうぜ」
「うんっ!」
「まずは北のデイドン砦だな。どこまで一緒かわかんねえけど、ま、よろしくな、エステル」
「はい……え?あれ?エス……テル?エステル……エステル……こちらこそよろしくお願いします、ユーリ、アリシア!」
「うん!よろしくね!」
こうして私達は結界の外へと足を向けた