第2部〜満月の子と星暦の真実〜
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新たな始まり
~次の日~
「ユーリ、見送りに行かないの?」
ベッドで寝転んでいるユーリの頬をつつきながら聞く
今日はエステルが帝都に帰る日だ
「オレが行ったら、まーた旅を続けたいだとか言い出しそうだろ?」
私から顔を背けるように寝返りを打ってそう答える
確かにそれはそうかもしれないが……
「むぅ……じゃあ、ユーリ!」
名前を呼びながら私に背を向けたユーリに抱きつく
「っ!?」
突然抱きつかれたことに驚いたのか、肩がビクッと上がる
「…一緒にエステルのとこ、行こ?」
普段、他に人が居れば出さないような甘えた声で言う
「……あのなぁ……そんな声出すなよ……/////」
顔は見えないが、あからさまに照れているこはわかった
「…駄目?ユーリ」
「っ!//あーっ!わーったよ!//」
私の手をどかしてガバッと起き上がる
左手で口元を隠しているが、あからさまに顔が赤い
そんなユーリが可愛くて、クスクス笑いながら体を起こす
「笑うなよ…っ!」
「ふふっ、はいはい、早く行こう?」
微笑みながら言うと、観念してようやくベットから降りた
それにならって私もベットから降りて、ユーリの手に自分の手を重ねた
「おーおー、随分とまあ積極的だな?」
ニヤッと少し嬉しそうに悪戯っぽい笑みを浮かべる
昨日の一件で私の中で敷かれていたストッパーが外れたのかもしれない
言葉でなく、ニコッと笑って返すと空いている手で頭を撫でてくる
「んじゃ、行くとします」
ドオォォォォンッ!!!
ユーリがドアを開けようとした瞬間、外から大きな音が聞こえた
「っ!?な、何っ!?」
「シア!急ぐぞ!」
「うんっ!」
慌てて二人で外に飛び出すと、馬車が一台横転しているのが見えた
それと同時に、空に大きな魔物と、それを見上げているエステルの姿が見える
「ヘラクレスの用意をっ!!」
遠くで膝を付いているフレンと、その傍にお兄様が叫んでいるのも見えた
それでも、私の意識は『彼』に向いていた
(あれは……まさかっ!!)
「シアっ!?」
握っていたユーリの手を離して無意識のうちにエステルの元に駆け寄っていた
《忌マワシキ世界ノ毒ハ消ス》
『彼』の声が聞こえる
「人の言葉を……?あなたは………?」
エステルの言葉も聞かずに攻撃をしようとする
「っ!!駄目っ!!フェローっ!!」
『彼』の名を呼びながらエステルの前に立ち塞がる
《姫……っ!?何故此処ニ…!!》
「…お願い、もう少し待って…っ!この子は私の大事な友達なのっ!」
《ソレ以上、彼女ト居テハ姫ノ命ガ危ナイノダゾ……っ!?》
フェローの悲痛な叫びが胸に響く
彼にとって、私が大切なことは分かっている
それでもこればかりは引くわけにいかない
「……彼女を殺すつもりなら、私は此処を退かない。解決策は必ず見つけるっ!!だから」
ドンッ!
言い終わらないうちにフェローが攻撃される
攻撃が来た方向を見れば、お兄様が勝手に作っていた兵器魔導器 、ヘラクレスが攻撃していた
フェローに向けた筈の攻撃は辺りに飛び散っていて最早大惨事だ
「っ!!!お兄様の馬鹿っ!!」
舌打ちしながらお兄様を睨みつける
「シアっ!!エステルっ!!」
ユーリが私たちの名前を呼びながら、カロルとラピードを連れて駆け寄って来た
「アリシア……私………」
「…エステル、ここからはあなたが決めること。どうしたいの?このままフレンの元に戻って帝都に帰るか……旅を続けてさっきの答えを探すか」
じっとエステルを見詰めて問いかける
「……私、旅を続けたいです」
真剣な目をしてそう答えるエステルに、ふっと顔を緩めて微笑む
「そうこなくっちゃっ!」
エステルの手を掴んで出口に走り出す
後を追いかけるようにユーリ達が追ってくると同時に、先程まで居た場所に砲弾が落ちて、橋が崩れる
「ジュディスっ!何してるんですかっ!?」
私の手を離して傍に居た女性に近づく
何か話していたと思ったら、その人の手を引いて走り出す
……知り合い……?
「ユーリっ!!アリシアっ!!それにエステリーゼ様までっ!!」
反対側からフレンの呼ぶ声が聞こえて足を止める
「ごめんなさいフレン、やっぱり帝都には戻れません。まだ、学ばないといけないことが沢山あります!帝都にはノール港で苦しむ人々の声は届きませんでした!自分から歩み寄らなければ何も得られない……だから、旅を続けます!」
「エステリーゼ様……」
エステルがフレンにそう告げると、ユーリは懐に入れていた水道魔導器の魔核をフレンに投げ渡した
「悪ぃっ!フレン!!それ下町に届けてくれっ!!オレギルド始めるわ!ハンクスじいさんやみんなによろしくな」
「ギルド……それが君が言っていたやり方か」
少し寂しそうにフレンは言う
「アリシア……お前も行くのか?」
フレンの横に立ちながらお兄様も言う
チラッとユーリと、カロルによろしくなと声をかけている
「…彼との約束を守らなきゃいけませんから。だから、私はユーリ達と共に行きます」
それだけ言って背を向けて、駆け出す
「さっ!さっさと行きましょっ!!」
通りすがりにエステルとユーリの腕を掴んで引っ張る
「おいっ!?シア!!」
「きゃっ!!アリシアっ!?」
「ちょっ!置いてかないでよっ!!」
「ふふっ、元気な人ね」
「クゥン……」
「はっ……はぁ……ごめっ……ちょっと休憩………」
ダングレストを離れて少しした所で立ち止まる
「はぁ……はぁ……騎士も……追いかけて……来てない……みたいだしね……」
「はぁっ……だな………」
息を切らしながらみんな賛成して、ゆっくりと野営の準備をする
ヘリオードまではまだ距離があるし、このままでは日が暮れる前に着きそうにない
「……で、さっきから…気になってたんだけど……」
チラッと青髪の女性を見ながらそう言う
「そうね、あなたとは初めて会うものね」
ニコッと微笑みながら女性は言う
「あぁ、そういやそうだったな、シア、昨日話したジュディだよ」
「あー…クリティア族の人だっけ?」
「えぇ、そうよ。あなたはアリシアでいいのかしら?」
微笑みながらそう聞いてくる
……名乗った覚えはないんだけど……
「うん、そうだよ」
少し警戒しながらそう答える
「宜しくね、アリシア」
「……で、ユーリ本当にギルド作るの…?」
恐る恐るカロルが言うと当たり前だろ?とユーリは答えた
すると、パァっと笑顔になる
「じゃあ最初に掟を決めなきゃっ!」
「ふふ、なんだか楽しそうねギルドって」
「ジュディスも入ればいいんじゃないですか?」
エステルがそう提案すると、カロルは大賛成する
楽しそうだなぁと思いながら、少し離れたところで眺める
焚き火は作ったし、後は夕飯だなぁ……
材料を見ながらメニューを考えるけど、そもそもマーボーカレーの材料しかないし……
……ユーリにご飯任せまくってたからだな……
苦笑いしながら淡々と一人作り始める
時折チラッと見ると楽しそうに笑っているユーリが見える
下町で燻っていた時よりも楽しそうで私も嬉しくなる
コトコト煮込んでいると、後ろに人の気配を感じた
「あら、マーボーカレーかしら?」
「ん、そうだよ」
声の主はジュディスだった
「それで、あなたフェローとどんな関係なのかしら?」
ピタリと手が止まる
『フェロー』……その名は、さっきダングレストに現れた始祖の隷長の名前
彼女の口からその名が出ると言うことは……
「……竜使い?」
小声で問いかければ肩を竦める
正解、ととっていいのだろう
「…星暦、そう言えばあなたならきっとわかるわよ」
「……!あなたがバウルが言ってた子なのね」
「バウルって、ジュディスが乗ってた始祖の隷長?」
「えぇ、私の一番の友達よ」
ニッコリ笑いながらそう言う
「……で、なんか私に用事あったんじゃないの?」
第三者の足音が聞こえて話題を逸らすと、ジュディスも気づいたようだ
「ユーリとカロルがあなたもギルドに入らないかって言っていたわよ?」
「私も?」
「そうそう、シアが居た方が心強いしな」
近寄って来ていたのはユーリだったようだ
「んー…まぁ、別に入ってもいいかな、ちょっと面白そうだしね」
ニコッとして言うと、うっしゃっ!とガッツポーズしてるユーリが視界の隅に映る
「んで、なーに作ってんだ?」
ぎゅっと後ろから抱きつきながら聞いてくる
私が答える前に何かわかったようで鍋の中身を見て目を輝かせる
「おっ、マーボーカレーじゃん、やりぃ!」
「それしか材料無かったんだもん、計画犯でしょ?」
呆れ気味に言うが、本人は全くと言っていいほど気にした様子がない
「うふふ、仲がいいわね。私はお邪魔かしら?」
クスリと笑いながらそう言う
「ううん、そんな事ないよ、それよりもお皿用意して欲しいかな」
「えぇ、わかったわ」
そう答えると、お皿の準備を始める
「で、ユーリ?そろそろ退いてくれないかな」
私の肩に顎を乗せているユーリの頭を軽く小突く
「ん、もー少し」
腰に回された腕に軽く力が入ってくる
こうなったらしばらく離れないから凄く困る
さてどうしたものか……と考えていると、足元にふわふわした感触がした
「いってぇっ!?!!」
ユーリが悲鳴を上げると同時に飛び退いた
何事かと思ったが、その原因はすぐにわかった
「ラピード…っ!!てめぇ!」
ユーリは涙目になって私の足元にお座りしているラピードを睨みつける
が、ラピードは知らんと言わんばかりに顔を背ける
「ふふ、ラピードにご飯あげてたの、私の方が多かったからかな?」
クスクス笑いながらラピードを見れば、ワンッ!っと嬉しそうに鳴く
どうやら私の言った通りのようだ
「本気で噛みやがって…っ!マジで痛てぇ…」
噛まれた箇所を撫でながら尚ラピードを睨んでいるが、全くもって見向きされていない
……流石にちょっと可哀想……
いや、でも離れなかったユーリがいけないし…
「はい、アリシア。お皿取って来たわよ」
「あ、ジュディス、ありがとう」
戻って来たジュディスからお皿を受け取って出来た料理を注いでいく
「エステルー!カロルー!ご飯出来たよー!」
「やったぁっ!!僕もうお腹ぺこぺこだよ!」
嬉しそうにはしゃぎながらカロルが駆け寄って来る
ついでエステルも嬉しそうにしながら近寄って来た
「アリシアもマーボーカレーが得意料理なんです?」
お皿を受け取りながらエステルは首を傾げた
「んー、まあ得意って言えば得意かな。私はユーリみたいになんでも作れるわけじゃないからね」
「おいおい、オレだってそんなになんでも作れるわけじゃねぇぞ?」
心外だと言わんばかりに顔を歪めながらお皿を受け取る
「あら、ユーリも料理が出来るのね。以外だわ」
クスクス笑いながらジュディスは言う
「あー……まあな、帝都に居た頃から自炊してたしな」
「私も下町に住むようになってからは自分で作ってたなぁ……」
ユーリと顔を見合わせて苦笑いする
その様子を不思議に思ったのかカロルが首を傾げた
「ほーら、話すのはもういいだろ?さっさと食べねぇと冷めちまうぜ?」
そう言うが早いか、既にユーリは食べ始めていた
「それもそうですね…いただきます!」
エステルが手を合わせて食べ始めると、それにならってジュディスとカロルも食べ始めた
ラピードにご飯をあげてから私も食べ始める
……やばい、マーボーカレー食べてると嫌な思い出を思い出すよ……
一人苦笑いしながら食べ進めるが、他のみんなは美味しい!を連呼しながら食べている
やっぱり誰かに食べてもらえるのは嬉しいなぁ…と思わず笑みが零れる
夕飯を食べ終わって片付けが終わると、みんなそれぞれの時間を過ごし始めた
エステルはこれからどうするか一人考えているし、カロルはギルドの名前を考えている
ラピードとジュディスは見張りをしてくれてて、ユーリはみんなの様子を見て回っている
私はみんなから少し離れたところで星たちと話していた
「……って感じで、成り行きでギルド入っちゃった」
『全く……いつになったらお前は後先考えて行動してくれるのだ……』
『ですが、アリシアらしい行動ですね』
ため息をつくシリウスに、クスクスと笑っているアリオト
『いいなぁ!僕もアリシアと旅がしたいよ!』
『だよなぁ!一緒に色んなところを見て回りたいよな!』
ポルックスとカストロの双子の羨ましそうな声も聞こえる
「ふふ…あなた達はいつも空から世界を見渡してるじゃない」
そう言えば、アリシアと一緒に回りたいんだっ!と文句を言われる
『でもアリシア……無茶しないでね?』
『そうだよ……また倒れることしないでね?』
心配性なベガとリゲルの不満そうな声で言う
『そんなこと言っても無駄だよ。だってアリシアだもん』
『そうそう、なんたって無茶するのが大得意なアリシアだもん』
呆れ気味にカペラとアルタイルはそんな二人に告げる
「ちょっ、カペラ、アルタイル……私だってこれ以上倒れるようなことするつもりないよ?」
苦笑いして制するが、いつもそう言って無茶するだろ?と、みんなに言われてしまって言い返せなくなる
……ここまで星たちが集まるのは凄く珍しいなぁと心の中で思った
普段集まっても三、四人だ
こんなに勢揃いしたのは初めてだ
……きっと、みんな『昨日』のことを気にしてくれているんだろう
言葉にしなくてもわかる
声に出さなくてもわかる
『もうやらない』
最後に彼らにそう言ったのはいつだっただろう
つい最近だったような気もする
何度も止められて、何度も怒られて……
それでも繰り返した行動
やらないと約束しては破った
…それを怒らなくなったのは、『仕方の無いこと』と諦めたからなのかもしれない
怒らないけれど、話し掛けてこようとしてくれる
それは、平然としててもつらがっていることを知ってるからだろう
隠してても、彼らには隠しきれない
上手く隠せているつもりでも、彼らにはすぐバレてしまう
それは、リタやフレン、それにユーリとお兄様も例外ではないのだが……
『さて……アリシア、そろそろ休め』
『そうですね、明日も色々起こりそうですしね』
「色々…?」
『ヘリオード、行くんでしょ?』
『あそこ、今気持ち悪い騎士が変なことしてるよ』
ポルックスとカストロは物凄く嫌そうな声を出す
『気を付けてね…?』
『細心の注意払ってよ…?』
『本当は近づかないのが一番だけどねぇ』
『黒いのが見過ごしそうにないね』
苦い声でカペラとアルタイルもそう言うがわけがわからない
頭の中が?でいっぱいの中、それじゃまた
と言ってみんな何処かに行ってしまった
「……もう……肝心なことは言わないんだから……」
ため息を付きながらバタッと後ろに倒れ込む
彼らと話すのは凄く楽しいのだが、自分勝手に言うだけ言って話せなくなるのは、物凄く困る
夜空に瞬く星たちを見上げながらそんなことを考えていると、不意に視界が少し暗くなった
驚いて体を起こすと、傍にユーリが立っていた
「いつからそこに居たの?」
「ついさっき来たとこ。まーた星たちとお喋りしてたのか?」
ニコッと微笑みながら隣に腰をおろして、肩を寄せてくる
「ん、そうだよ。相変わらず言いたい事だけ言って話せなくなっちゃったけどね」
苦笑いしながらユーリの左手に自分の手を重ねた
こうしてニ人でいるのはいつ以来だろう
最近は私が下町に居る時間がなかったから凄く昔な気もする
特に会話がある訳でもなく、無言なまま肩を並べて星空を見上げる
ただユーリが傍に居てくれる時間が嬉しい
嬉しくて少し顔がニヤけてしまう
「なーに笑ってんだよ?シア」
不意に顎に手が添えられて、無理矢理目線を合わせられる
突然のことに驚いてあたふたしていると、いい事思いついたと言わんばかりの笑顔を見せる
……絶対、ろくな事考えてない……
そう思ったのもつかの間、私の首元に顔を埋めたと思いきやチクリと痛みが走る
「っ!?」
「本当、シアの体ってキスマ付きやすいよな」
顔を上げたユーリはニヤニヤと笑っている
…エステル達が近くに居るのに何してるんだこの人は……
「ユーリ……エステル達近くに居るのに…」
「あん?あいつらならもうとっくに寝てるぜ?」
親指でクイッと後ろを指すので振り返って見れば既にエステルもカロルも眠りに付いているのが見える
ジュディスもニ人から少し離れた場所で眠っていた
ラピードは恐らく起きているのだろうが、寝た振りを決め込んでいるのが目に見える
……つまり、起きているのは私とユーリだけという訳で……
恐る恐るユーリの方を向けば、すっごく嬉しそうな笑顔を見せている
…………その笑顔は、私をいじる時に見せるものと全く同じで…
何を考えているかが容易に想像出来た
「えーっと………ユーリ?」
ゆっくりと少しずつユーリと距離を置くように後ろに下がる
「ん?どうした、シア」
新しいおもちゃを見つけた子供のようにニコニコと笑いながら、距離を取ろうとしている私に近づいてくる
「あのね?明日も朝早いわけだしさ、そろそろ寝ようと思ってるんだけど…」
「あん?しょっちゅう夜更かししたり寝ずに一日過ごしてる癖にか?」
「あっと……そ、それはそれとして……寝たとしてもね?エステル達近くに居るしさ……?」
「あのニ人、一度寝たら朝まで起きねぇのシアも知ってるだろ?それに、ジュディがあのニ人起きねぇように見ててくれるらしいしな」
ユーリの爆弾発言に思わず固まってしまった
…なんて余計なことをユーリに言ってくれたんだジュディス……!
私の動きが止まったことをいい事に、一気に距離を詰めてきてそのまま押し倒されてしまった
「うわっ!?ちょっ!!ユーリ…っ!!」
バタバタと暴れるが彼から逃れられるはずがない
簡単に両腕とも掴まれてしまうし、足も抑えられてしまうしで身動きが取れない
「シア」
真っ黒で吸い込まれそうな瞳に見詰められて不覚にもドキッとしてしまう
……これは、あれだ、もう逃げようがない
すっと重なる唇を受け入れる以外なす術がない
軽いキスから深いキスに変わっていくこの感覚は、未だに慣れそうにない
バレたらどうするんだのなんだのと考えていた頭も、最早そんなことどうでもよくなってきていた
結局、いつものようにその場の雰囲気に流されてしまって、起きざまにスプラッシュをお見舞いしたのは言うまでもないだろう
誰かこの色間をどうにかしてください……
~次の日~
「ユーリ、見送りに行かないの?」
ベッドで寝転んでいるユーリの頬をつつきながら聞く
今日はエステルが帝都に帰る日だ
「オレが行ったら、まーた旅を続けたいだとか言い出しそうだろ?」
私から顔を背けるように寝返りを打ってそう答える
確かにそれはそうかもしれないが……
「むぅ……じゃあ、ユーリ!」
名前を呼びながら私に背を向けたユーリに抱きつく
「っ!?」
突然抱きつかれたことに驚いたのか、肩がビクッと上がる
「…一緒にエステルのとこ、行こ?」
普段、他に人が居れば出さないような甘えた声で言う
「……あのなぁ……そんな声出すなよ……/////」
顔は見えないが、あからさまに照れているこはわかった
「…駄目?ユーリ」
「っ!//あーっ!わーったよ!//」
私の手をどかしてガバッと起き上がる
左手で口元を隠しているが、あからさまに顔が赤い
そんなユーリが可愛くて、クスクス笑いながら体を起こす
「笑うなよ…っ!」
「ふふっ、はいはい、早く行こう?」
微笑みながら言うと、観念してようやくベットから降りた
それにならって私もベットから降りて、ユーリの手に自分の手を重ねた
「おーおー、随分とまあ積極的だな?」
ニヤッと少し嬉しそうに悪戯っぽい笑みを浮かべる
昨日の一件で私の中で敷かれていたストッパーが外れたのかもしれない
言葉でなく、ニコッと笑って返すと空いている手で頭を撫でてくる
「んじゃ、行くとします」
ドオォォォォンッ!!!
ユーリがドアを開けようとした瞬間、外から大きな音が聞こえた
「っ!?な、何っ!?」
「シア!急ぐぞ!」
「うんっ!」
慌てて二人で外に飛び出すと、馬車が一台横転しているのが見えた
それと同時に、空に大きな魔物と、それを見上げているエステルの姿が見える
「ヘラクレスの用意をっ!!」
遠くで膝を付いているフレンと、その傍にお兄様が叫んでいるのも見えた
それでも、私の意識は『彼』に向いていた
(あれは……まさかっ!!)
「シアっ!?」
握っていたユーリの手を離して無意識のうちにエステルの元に駆け寄っていた
《忌マワシキ世界ノ毒ハ消ス》
『彼』の声が聞こえる
「人の言葉を……?あなたは………?」
エステルの言葉も聞かずに攻撃をしようとする
「っ!!駄目っ!!フェローっ!!」
『彼』の名を呼びながらエステルの前に立ち塞がる
《姫……っ!?何故此処ニ…!!》
「…お願い、もう少し待って…っ!この子は私の大事な友達なのっ!」
《ソレ以上、彼女ト居テハ姫ノ命ガ危ナイノダゾ……っ!?》
フェローの悲痛な叫びが胸に響く
彼にとって、私が大切なことは分かっている
それでもこればかりは引くわけにいかない
「……彼女を殺すつもりなら、私は此処を退かない。解決策は必ず見つけるっ!!だから」
ドンッ!
言い終わらないうちにフェローが攻撃される
攻撃が来た方向を見れば、お兄様が勝手に作っていた
フェローに向けた筈の攻撃は辺りに飛び散っていて最早大惨事だ
「っ!!!お兄様の馬鹿っ!!」
舌打ちしながらお兄様を睨みつける
「シアっ!!エステルっ!!」
ユーリが私たちの名前を呼びながら、カロルとラピードを連れて駆け寄って来た
「アリシア……私………」
「…エステル、ここからはあなたが決めること。どうしたいの?このままフレンの元に戻って帝都に帰るか……旅を続けてさっきの答えを探すか」
じっとエステルを見詰めて問いかける
「……私、旅を続けたいです」
真剣な目をしてそう答えるエステルに、ふっと顔を緩めて微笑む
「そうこなくっちゃっ!」
エステルの手を掴んで出口に走り出す
後を追いかけるようにユーリ達が追ってくると同時に、先程まで居た場所に砲弾が落ちて、橋が崩れる
「ジュディスっ!何してるんですかっ!?」
私の手を離して傍に居た女性に近づく
何か話していたと思ったら、その人の手を引いて走り出す
……知り合い……?
「ユーリっ!!アリシアっ!!それにエステリーゼ様までっ!!」
反対側からフレンの呼ぶ声が聞こえて足を止める
「ごめんなさいフレン、やっぱり帝都には戻れません。まだ、学ばないといけないことが沢山あります!帝都にはノール港で苦しむ人々の声は届きませんでした!自分から歩み寄らなければ何も得られない……だから、旅を続けます!」
「エステリーゼ様……」
エステルがフレンにそう告げると、ユーリは懐に入れていた水道魔導器の魔核をフレンに投げ渡した
「悪ぃっ!フレン!!それ下町に届けてくれっ!!オレギルド始めるわ!ハンクスじいさんやみんなによろしくな」
「ギルド……それが君が言っていたやり方か」
少し寂しそうにフレンは言う
「アリシア……お前も行くのか?」
フレンの横に立ちながらお兄様も言う
チラッとユーリと、カロルによろしくなと声をかけている
「…彼との約束を守らなきゃいけませんから。だから、私はユーリ達と共に行きます」
それだけ言って背を向けて、駆け出す
「さっ!さっさと行きましょっ!!」
通りすがりにエステルとユーリの腕を掴んで引っ張る
「おいっ!?シア!!」
「きゃっ!!アリシアっ!?」
「ちょっ!置いてかないでよっ!!」
「ふふっ、元気な人ね」
「クゥン……」
「はっ……はぁ……ごめっ……ちょっと休憩………」
ダングレストを離れて少しした所で立ち止まる
「はぁ……はぁ……騎士も……追いかけて……来てない……みたいだしね……」
「はぁっ……だな………」
息を切らしながらみんな賛成して、ゆっくりと野営の準備をする
ヘリオードまではまだ距離があるし、このままでは日が暮れる前に着きそうにない
「……で、さっきから…気になってたんだけど……」
チラッと青髪の女性を見ながらそう言う
「そうね、あなたとは初めて会うものね」
ニコッと微笑みながら女性は言う
「あぁ、そういやそうだったな、シア、昨日話したジュディだよ」
「あー…クリティア族の人だっけ?」
「えぇ、そうよ。あなたはアリシアでいいのかしら?」
微笑みながらそう聞いてくる
……名乗った覚えはないんだけど……
「うん、そうだよ」
少し警戒しながらそう答える
「宜しくね、アリシア」
「……で、ユーリ本当にギルド作るの…?」
恐る恐るカロルが言うと当たり前だろ?とユーリは答えた
すると、パァっと笑顔になる
「じゃあ最初に掟を決めなきゃっ!」
「ふふ、なんだか楽しそうねギルドって」
「ジュディスも入ればいいんじゃないですか?」
エステルがそう提案すると、カロルは大賛成する
楽しそうだなぁと思いながら、少し離れたところで眺める
焚き火は作ったし、後は夕飯だなぁ……
材料を見ながらメニューを考えるけど、そもそもマーボーカレーの材料しかないし……
……ユーリにご飯任せまくってたからだな……
苦笑いしながら淡々と一人作り始める
時折チラッと見ると楽しそうに笑っているユーリが見える
下町で燻っていた時よりも楽しそうで私も嬉しくなる
コトコト煮込んでいると、後ろに人の気配を感じた
「あら、マーボーカレーかしら?」
「ん、そうだよ」
声の主はジュディスだった
「それで、あなたフェローとどんな関係なのかしら?」
ピタリと手が止まる
『フェロー』……その名は、さっきダングレストに現れた始祖の隷長の名前
彼女の口からその名が出ると言うことは……
「……竜使い?」
小声で問いかければ肩を竦める
正解、ととっていいのだろう
「…星暦、そう言えばあなたならきっとわかるわよ」
「……!あなたがバウルが言ってた子なのね」
「バウルって、ジュディスが乗ってた始祖の隷長?」
「えぇ、私の一番の友達よ」
ニッコリ笑いながらそう言う
「……で、なんか私に用事あったんじゃないの?」
第三者の足音が聞こえて話題を逸らすと、ジュディスも気づいたようだ
「ユーリとカロルがあなたもギルドに入らないかって言っていたわよ?」
「私も?」
「そうそう、シアが居た方が心強いしな」
近寄って来ていたのはユーリだったようだ
「んー…まぁ、別に入ってもいいかな、ちょっと面白そうだしね」
ニコッとして言うと、うっしゃっ!とガッツポーズしてるユーリが視界の隅に映る
「んで、なーに作ってんだ?」
ぎゅっと後ろから抱きつきながら聞いてくる
私が答える前に何かわかったようで鍋の中身を見て目を輝かせる
「おっ、マーボーカレーじゃん、やりぃ!」
「それしか材料無かったんだもん、計画犯でしょ?」
呆れ気味に言うが、本人は全くと言っていいほど気にした様子がない
「うふふ、仲がいいわね。私はお邪魔かしら?」
クスリと笑いながらそう言う
「ううん、そんな事ないよ、それよりもお皿用意して欲しいかな」
「えぇ、わかったわ」
そう答えると、お皿の準備を始める
「で、ユーリ?そろそろ退いてくれないかな」
私の肩に顎を乗せているユーリの頭を軽く小突く
「ん、もー少し」
腰に回された腕に軽く力が入ってくる
こうなったらしばらく離れないから凄く困る
さてどうしたものか……と考えていると、足元にふわふわした感触がした
「いってぇっ!?!!」
ユーリが悲鳴を上げると同時に飛び退いた
何事かと思ったが、その原因はすぐにわかった
「ラピード…っ!!てめぇ!」
ユーリは涙目になって私の足元にお座りしているラピードを睨みつける
が、ラピードは知らんと言わんばかりに顔を背ける
「ふふ、ラピードにご飯あげてたの、私の方が多かったからかな?」
クスクス笑いながらラピードを見れば、ワンッ!っと嬉しそうに鳴く
どうやら私の言った通りのようだ
「本気で噛みやがって…っ!マジで痛てぇ…」
噛まれた箇所を撫でながら尚ラピードを睨んでいるが、全くもって見向きされていない
……流石にちょっと可哀想……
いや、でも離れなかったユーリがいけないし…
「はい、アリシア。お皿取って来たわよ」
「あ、ジュディス、ありがとう」
戻って来たジュディスからお皿を受け取って出来た料理を注いでいく
「エステルー!カロルー!ご飯出来たよー!」
「やったぁっ!!僕もうお腹ぺこぺこだよ!」
嬉しそうにはしゃぎながらカロルが駆け寄って来る
ついでエステルも嬉しそうにしながら近寄って来た
「アリシアもマーボーカレーが得意料理なんです?」
お皿を受け取りながらエステルは首を傾げた
「んー、まあ得意って言えば得意かな。私はユーリみたいになんでも作れるわけじゃないからね」
「おいおい、オレだってそんなになんでも作れるわけじゃねぇぞ?」
心外だと言わんばかりに顔を歪めながらお皿を受け取る
「あら、ユーリも料理が出来るのね。以外だわ」
クスクス笑いながらジュディスは言う
「あー……まあな、帝都に居た頃から自炊してたしな」
「私も下町に住むようになってからは自分で作ってたなぁ……」
ユーリと顔を見合わせて苦笑いする
その様子を不思議に思ったのかカロルが首を傾げた
「ほーら、話すのはもういいだろ?さっさと食べねぇと冷めちまうぜ?」
そう言うが早いか、既にユーリは食べ始めていた
「それもそうですね…いただきます!」
エステルが手を合わせて食べ始めると、それにならってジュディスとカロルも食べ始めた
ラピードにご飯をあげてから私も食べ始める
……やばい、マーボーカレー食べてると嫌な思い出を思い出すよ……
一人苦笑いしながら食べ進めるが、他のみんなは美味しい!を連呼しながら食べている
やっぱり誰かに食べてもらえるのは嬉しいなぁ…と思わず笑みが零れる
夕飯を食べ終わって片付けが終わると、みんなそれぞれの時間を過ごし始めた
エステルはこれからどうするか一人考えているし、カロルはギルドの名前を考えている
ラピードとジュディスは見張りをしてくれてて、ユーリはみんなの様子を見て回っている
私はみんなから少し離れたところで星たちと話していた
「……って感じで、成り行きでギルド入っちゃった」
『全く……いつになったらお前は後先考えて行動してくれるのだ……』
『ですが、アリシアらしい行動ですね』
ため息をつくシリウスに、クスクスと笑っているアリオト
『いいなぁ!僕もアリシアと旅がしたいよ!』
『だよなぁ!一緒に色んなところを見て回りたいよな!』
ポルックスとカストロの双子の羨ましそうな声も聞こえる
「ふふ…あなた達はいつも空から世界を見渡してるじゃない」
そう言えば、アリシアと一緒に回りたいんだっ!と文句を言われる
『でもアリシア……無茶しないでね?』
『そうだよ……また倒れることしないでね?』
心配性なベガとリゲルの不満そうな声で言う
『そんなこと言っても無駄だよ。だってアリシアだもん』
『そうそう、なんたって無茶するのが大得意なアリシアだもん』
呆れ気味にカペラとアルタイルはそんな二人に告げる
「ちょっ、カペラ、アルタイル……私だってこれ以上倒れるようなことするつもりないよ?」
苦笑いして制するが、いつもそう言って無茶するだろ?と、みんなに言われてしまって言い返せなくなる
……ここまで星たちが集まるのは凄く珍しいなぁと心の中で思った
普段集まっても三、四人だ
こんなに勢揃いしたのは初めてだ
……きっと、みんな『昨日』のことを気にしてくれているんだろう
言葉にしなくてもわかる
声に出さなくてもわかる
『もうやらない』
最後に彼らにそう言ったのはいつだっただろう
つい最近だったような気もする
何度も止められて、何度も怒られて……
それでも繰り返した行動
やらないと約束しては破った
…それを怒らなくなったのは、『仕方の無いこと』と諦めたからなのかもしれない
怒らないけれど、話し掛けてこようとしてくれる
それは、平然としててもつらがっていることを知ってるからだろう
隠してても、彼らには隠しきれない
上手く隠せているつもりでも、彼らにはすぐバレてしまう
それは、リタやフレン、それにユーリとお兄様も例外ではないのだが……
『さて……アリシア、そろそろ休め』
『そうですね、明日も色々起こりそうですしね』
「色々…?」
『ヘリオード、行くんでしょ?』
『あそこ、今気持ち悪い騎士が変なことしてるよ』
ポルックスとカストロは物凄く嫌そうな声を出す
『気を付けてね…?』
『細心の注意払ってよ…?』
『本当は近づかないのが一番だけどねぇ』
『黒いのが見過ごしそうにないね』
苦い声でカペラとアルタイルもそう言うがわけがわからない
頭の中が?でいっぱいの中、それじゃまた
と言ってみんな何処かに行ってしまった
「……もう……肝心なことは言わないんだから……」
ため息を付きながらバタッと後ろに倒れ込む
彼らと話すのは凄く楽しいのだが、自分勝手に言うだけ言って話せなくなるのは、物凄く困る
夜空に瞬く星たちを見上げながらそんなことを考えていると、不意に視界が少し暗くなった
驚いて体を起こすと、傍にユーリが立っていた
「いつからそこに居たの?」
「ついさっき来たとこ。まーた星たちとお喋りしてたのか?」
ニコッと微笑みながら隣に腰をおろして、肩を寄せてくる
「ん、そうだよ。相変わらず言いたい事だけ言って話せなくなっちゃったけどね」
苦笑いしながらユーリの左手に自分の手を重ねた
こうしてニ人でいるのはいつ以来だろう
最近は私が下町に居る時間がなかったから凄く昔な気もする
特に会話がある訳でもなく、無言なまま肩を並べて星空を見上げる
ただユーリが傍に居てくれる時間が嬉しい
嬉しくて少し顔がニヤけてしまう
「なーに笑ってんだよ?シア」
不意に顎に手が添えられて、無理矢理目線を合わせられる
突然のことに驚いてあたふたしていると、いい事思いついたと言わんばかりの笑顔を見せる
……絶対、ろくな事考えてない……
そう思ったのもつかの間、私の首元に顔を埋めたと思いきやチクリと痛みが走る
「っ!?」
「本当、シアの体ってキスマ付きやすいよな」
顔を上げたユーリはニヤニヤと笑っている
…エステル達が近くに居るのに何してるんだこの人は……
「ユーリ……エステル達近くに居るのに…」
「あん?あいつらならもうとっくに寝てるぜ?」
親指でクイッと後ろを指すので振り返って見れば既にエステルもカロルも眠りに付いているのが見える
ジュディスもニ人から少し離れた場所で眠っていた
ラピードは恐らく起きているのだろうが、寝た振りを決め込んでいるのが目に見える
……つまり、起きているのは私とユーリだけという訳で……
恐る恐るユーリの方を向けば、すっごく嬉しそうな笑顔を見せている
…………その笑顔は、私をいじる時に見せるものと全く同じで…
何を考えているかが容易に想像出来た
「えーっと………ユーリ?」
ゆっくりと少しずつユーリと距離を置くように後ろに下がる
「ん?どうした、シア」
新しいおもちゃを見つけた子供のようにニコニコと笑いながら、距離を取ろうとしている私に近づいてくる
「あのね?明日も朝早いわけだしさ、そろそろ寝ようと思ってるんだけど…」
「あん?しょっちゅう夜更かししたり寝ずに一日過ごしてる癖にか?」
「あっと……そ、それはそれとして……寝たとしてもね?エステル達近くに居るしさ……?」
「あのニ人、一度寝たら朝まで起きねぇのシアも知ってるだろ?それに、ジュディがあのニ人起きねぇように見ててくれるらしいしな」
ユーリの爆弾発言に思わず固まってしまった
…なんて余計なことをユーリに言ってくれたんだジュディス……!
私の動きが止まったことをいい事に、一気に距離を詰めてきてそのまま押し倒されてしまった
「うわっ!?ちょっ!!ユーリ…っ!!」
バタバタと暴れるが彼から逃れられるはずがない
簡単に両腕とも掴まれてしまうし、足も抑えられてしまうしで身動きが取れない
「シア」
真っ黒で吸い込まれそうな瞳に見詰められて不覚にもドキッとしてしまう
……これは、あれだ、もう逃げようがない
すっと重なる唇を受け入れる以外なす術がない
軽いキスから深いキスに変わっていくこの感覚は、未だに慣れそうにない
バレたらどうするんだのなんだのと考えていた頭も、最早そんなことどうでもよくなってきていた
結局、いつものようにその場の雰囲気に流されてしまって、起きざまにスプラッシュをお見舞いしたのは言うまでもないだろう
誰かこの色間をどうにかしてください……
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