第1部〜水道魔導器魔核奪還編〜
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ギルドの街『ダングレスト』
ヘリオードからしばらく歩いて行くと、目的のダングレストについた
「へぇ、ここがダングレストかぁ」
「なんだ?シアも初めてなのか?」
意外そうにユーリは首を傾げた
「そうだよ?名前だけは聞いてたけど、来るのは初めて!」
ニコッと笑いながら答えて、辺りを見回す
「へぇ、そうなんだ!アリシアはいろんなところに行っているイメージがあったから、ちょっと意外」
そう言って、ちょっと驚いた顔をするカロル
「にしても賑やかな街だな、悪党共の巣窟みたいな感じだと思ってたわ」
そんなこと気にせずに冗談混じりにユーリが言うと、彼はあからさまに不機嫌そうになる
みんながみんなそうじゃない、とジト目でユーリを見詰めている
そんなカロルにエステルがフォローをいれる
そのエステルをじっと見つめる
お兄様にあんな風に脅された後だ
彼女のことを監視対象としてしか見えなくなっている
だからと言って、今までと態度を変えたら不自然だろう
折角出来た友達なのに……
脅して、無理矢理やらせてくるお兄様にも腹が立っているが、そんなお兄様に逆らえない私自身にも腹が立っている
無力だって嘲笑われているようで、虫酸が走る
「シア?聞いてっか?」
ユーリの声にハッとして顔をあげると、みんな少し心配そうにして私を見ている
考えにふけりすぎて周りの声が全く聞こえていなかったようだ…
「あ……ごめんごめんっ!考え事してて…」
苦笑いしながらそう言う
「ったく、大丈夫か?バルボスの情報集めに行くぞって言ったんだよ」
「大丈夫大丈夫っ!ほら、行くなら行こっ!」
「あっ!アリシア!1人で先に行ってはいけませんっ!」
一人先に進んで行くとエステルが慌てて追いかけてくる声が聞こえた
こんなあからさまに避けるような行動をとったら不審がられると思うけど
でも、今だけは、どうしてもいつも通りに接するなんて出来ない
……ごめんなさい、エステル……みんな……
騙してしまうようなことをして、ごめんなさい……
でも………私には………これしか道がないの………
ダングレストで情報を集めていると、途中でカロルが知り合いらしき男達に絡まれた
何か言わなきゃと思いつつも、口から言葉が出てこない
『アリシア……大丈夫か?』
少しぼーっとしていると、シリウスに声をかけられてハッとする
相変わらずユーリ達はカロルに絡んできた男達と話している
(……大丈夫、大丈夫だよ)
『それならいいが……それよりも、その街に魔物が襲って来そうだ。注意した方がいい』
(魔物……?でも、結界魔導器があるし……)
そこまで言ったところで、警報が鳴り出す
ユーリ達と揉めてた男達も、街の入り口の方へとかけて行く
「シアっ!オレらも行くぞ!」
「え?あっ!?ちょっ!?」
いうが早いか、手を思いっきり引っ張られる
多分、ぼーっとしていたのがバレているんだろう
いや、それよりもなんで急に魔物が……
入り口につくと、人でごった返している
みんな口々に「魔物を追い払えっ!」だのと叫んでいる
「おいおい…どうなってんだよ…」
「最近よくあるんだ、でも結界魔導器があるし」
カロルがそう言った瞬間、結界の光が消えた
「えっ!?ちょっ!?なんで!!?」
「やばいだろ、これ…!!」
「ちょっとガキンチョっ!結界魔導器のどこまで連れて行きなさいっ!」
「こ、こっち!!」
カロルが先頭を走って結界魔導器まで急ぐ
……嫌な予感がする
少なくとも、いい予感はしない
結界魔導器につくと、整備士と思われる魔導師と傭兵が倒れていた
「い、今治癒術を…!!」
二人を見るなりエステルが走り寄って、治癒術をかけ始める
が、もう既に事切れていたようで、反応は無かった
ガックリと項垂れるエステルに近寄って、そっと背中を撫でる
「そんな……私……」
「違う、エステルのせいじゃない、この人達を攻撃した奴のせいだよ。だから、そんなに気に病まないで…?」
落ち着かせるように優しく言うが、心優しいエステルのことだ
しばらくは落ち着きそうに無さそうだ
リタが結界魔導器を見ている間、エステルの横に寄り添っていると、突然頭上からいつかのフードの男達が降りて来た
「ったく!こんなことまで追ってきやがってっ!」
ユーリはすかさず刀を抜くが、攻撃するよりも先に別の方向から攻撃が飛んできた
その方向を向くと、何故かフレンが居た
「フ、フレンっ!?」
驚いて声をあげる
よりによって会いたくない時に会ってしまった……
「ユーリっ!」
「おう!」
フレンの掛け声に答えると息ぴったりに敵を倒していく
私はあらぬ方向に飛んできた攻撃がエステルに当たらないように跳ね返すので、手一杯だ
全く……無茶苦茶なんだから……
敵を倒しきったと同時に、リタの方も終わったらしく、結界が再び起動した
「よしっ!外に残っている魔物を片付けに行くぞ!結界の外なら、ドンも文句を言わないだろう」
フレンは仲間の騎士達に声をかけると、私達には目もくれずに外に出ていく
……慌ただしいんだけど……
「…なんか…大変そうだね」
「それよりも会うんじゃないの?ユニオンってやつのボスに」
「だな。ユニオン本部ってとこに行こうぜ?」
「それならこっちだよ!」
流石ダングレスト出身のカロル、土地勘があるだけあって、先頭をどんどん進んで行く
みんなの後ろで後について行こうとした時、路地裏に人の気配を感じて立ち止まる
……この気配はよく知っている
なんで、こんなとこにいるの……
「………報告、なにかあるか?」
聞きなれた声が聞こえる
まだ半日しか経っていないのに報告なんて、あるわけないじゃないのよ…
「………別に何も、特別報告することなんてないわよ」
「…………………それならいい」
その言葉を最後に気配が消えた
……なぜだろう、ここ何ヶ月か全然会っていないはずなのに、つい最近聞いたような気がするのは……
「シア……!お前なぁ……」
声の主のことを考えていたら、突然ガシッと肩を掴まれて我に返る
顔をあげれば心配そうな顔をしたユーリが目の前にいる
「うわっ!?ユ、ユーリ……驚かせないでよ…」
「驚いたのはオレの方だっての!ユニオン本部ついて、ドンが魔物狩りに出掛けて居ねぇから、先にリタの用事済まそうってなったのに、お前がついてきてねぇし!マジで焦ったぜ…」
いつになく焦っていたようで、本気で心配そうに言ってくる
……ごめんね、ユーリ……
……報告のことばかり考えていたら、ユーリに心配かけちゃうよね……
「…ごめん……まだ、色々頭の中で整理つかなくってさ…でも、もう大丈夫だから」
ニコッと微笑んで言ったつもりなのだが、今、私はちゃんと笑えているだろうか?
…絶対に、悟られちゃいけない
気づかれちゃいけない
お兄様が何処で見てるかわからない
だから…絶対に……
「……そう…か?それならいいんだけどよ…もう少しオレらのこと考えてくれよな?」
肩を掴んでいた手を離して、そっと頭を撫でてくる
……やっぱり、落ち着くなぁ…君の手の温もりは…
「ほら、もう街の入り口であいつら待ってるからさ、早く行こうぜ?」
「ん、そうだね!早くしないと、リタにファイヤーボール投げつけられそうだもん」
「それだけは、勘弁して欲しいな」
どちらがという訳でもなく、手を繋いで走り出す
そうだ、今はお兄様のことなんて考えちゃだめだ
それよりも、みんなと居ることを楽しまなきゃ
報告なんて、適当にしておけばいい
大丈夫、何も、起こらない
きっと……平気だから……
空に瞬く星達はそんな彼女を黙って見ていた
誰かに伝えたい
それでも、脅迫やしきたりによって言いたいことが言えない
それは、彼女にとってどれだけ苦痛だろうか……
『…アレクセイにも、彼女と同じように力があれば……』
『ペテルギウスよ、そんなことを言ってはいかん』
『そーだよ!あいつまで力持ってたら、今頃やりたい放題してるよ!』
『それも……そうですね……』
『……でも、このままじゃアリシアが………』
自分達の友であり、仲間であり、そして、守らなければならない存在の彼女を、『今の』彼らは見守って、忠告することしか出来ない
ただ、それが悔しかった
『……『また』、始まってしまうのか……』
ボソリと呟いた、その問に答えるものはいなかった
皆、星達はわかっているのだ
人と言う生き物は、過ちを繰り返し続けるものだと
『…アリシア…』
今は恐らく聞こえていない彼女の名前を静かに呼ぶ
星達が心配しているのなんて知らずに、アリシア達はケーブ・モック大森林へと、足を踏み入れて行った
………まわし者の存在に、気づかずに
ヘリオードからしばらく歩いて行くと、目的のダングレストについた
「へぇ、ここがダングレストかぁ」
「なんだ?シアも初めてなのか?」
意外そうにユーリは首を傾げた
「そうだよ?名前だけは聞いてたけど、来るのは初めて!」
ニコッと笑いながら答えて、辺りを見回す
「へぇ、そうなんだ!アリシアはいろんなところに行っているイメージがあったから、ちょっと意外」
そう言って、ちょっと驚いた顔をするカロル
「にしても賑やかな街だな、悪党共の巣窟みたいな感じだと思ってたわ」
そんなこと気にせずに冗談混じりにユーリが言うと、彼はあからさまに不機嫌そうになる
みんながみんなそうじゃない、とジト目でユーリを見詰めている
そんなカロルにエステルがフォローをいれる
そのエステルをじっと見つめる
お兄様にあんな風に脅された後だ
彼女のことを監視対象としてしか見えなくなっている
だからと言って、今までと態度を変えたら不自然だろう
折角出来た友達なのに……
脅して、無理矢理やらせてくるお兄様にも腹が立っているが、そんなお兄様に逆らえない私自身にも腹が立っている
無力だって嘲笑われているようで、虫酸が走る
「シア?聞いてっか?」
ユーリの声にハッとして顔をあげると、みんな少し心配そうにして私を見ている
考えにふけりすぎて周りの声が全く聞こえていなかったようだ…
「あ……ごめんごめんっ!考え事してて…」
苦笑いしながらそう言う
「ったく、大丈夫か?バルボスの情報集めに行くぞって言ったんだよ」
「大丈夫大丈夫っ!ほら、行くなら行こっ!」
「あっ!アリシア!1人で先に行ってはいけませんっ!」
一人先に進んで行くとエステルが慌てて追いかけてくる声が聞こえた
こんなあからさまに避けるような行動をとったら不審がられると思うけど
でも、今だけは、どうしてもいつも通りに接するなんて出来ない
……ごめんなさい、エステル……みんな……
騙してしまうようなことをして、ごめんなさい……
でも………私には………これしか道がないの………
ダングレストで情報を集めていると、途中でカロルが知り合いらしき男達に絡まれた
何か言わなきゃと思いつつも、口から言葉が出てこない
『アリシア……大丈夫か?』
少しぼーっとしていると、シリウスに声をかけられてハッとする
相変わらずユーリ達はカロルに絡んできた男達と話している
(……大丈夫、大丈夫だよ)
『それならいいが……それよりも、その街に魔物が襲って来そうだ。注意した方がいい』
(魔物……?でも、結界魔導器があるし……)
そこまで言ったところで、警報が鳴り出す
ユーリ達と揉めてた男達も、街の入り口の方へとかけて行く
「シアっ!オレらも行くぞ!」
「え?あっ!?ちょっ!?」
いうが早いか、手を思いっきり引っ張られる
多分、ぼーっとしていたのがバレているんだろう
いや、それよりもなんで急に魔物が……
入り口につくと、人でごった返している
みんな口々に「魔物を追い払えっ!」だのと叫んでいる
「おいおい…どうなってんだよ…」
「最近よくあるんだ、でも結界魔導器があるし」
カロルがそう言った瞬間、結界の光が消えた
「えっ!?ちょっ!?なんで!!?」
「やばいだろ、これ…!!」
「ちょっとガキンチョっ!結界魔導器のどこまで連れて行きなさいっ!」
「こ、こっち!!」
カロルが先頭を走って結界魔導器まで急ぐ
……嫌な予感がする
少なくとも、いい予感はしない
結界魔導器につくと、整備士と思われる魔導師と傭兵が倒れていた
「い、今治癒術を…!!」
二人を見るなりエステルが走り寄って、治癒術をかけ始める
が、もう既に事切れていたようで、反応は無かった
ガックリと項垂れるエステルに近寄って、そっと背中を撫でる
「そんな……私……」
「違う、エステルのせいじゃない、この人達を攻撃した奴のせいだよ。だから、そんなに気に病まないで…?」
落ち着かせるように優しく言うが、心優しいエステルのことだ
しばらくは落ち着きそうに無さそうだ
リタが結界魔導器を見ている間、エステルの横に寄り添っていると、突然頭上からいつかのフードの男達が降りて来た
「ったく!こんなことまで追ってきやがってっ!」
ユーリはすかさず刀を抜くが、攻撃するよりも先に別の方向から攻撃が飛んできた
その方向を向くと、何故かフレンが居た
「フ、フレンっ!?」
驚いて声をあげる
よりによって会いたくない時に会ってしまった……
「ユーリっ!」
「おう!」
フレンの掛け声に答えると息ぴったりに敵を倒していく
私はあらぬ方向に飛んできた攻撃がエステルに当たらないように跳ね返すので、手一杯だ
全く……無茶苦茶なんだから……
敵を倒しきったと同時に、リタの方も終わったらしく、結界が再び起動した
「よしっ!外に残っている魔物を片付けに行くぞ!結界の外なら、ドンも文句を言わないだろう」
フレンは仲間の騎士達に声をかけると、私達には目もくれずに外に出ていく
……慌ただしいんだけど……
「…なんか…大変そうだね」
「それよりも会うんじゃないの?ユニオンってやつのボスに」
「だな。ユニオン本部ってとこに行こうぜ?」
「それならこっちだよ!」
流石ダングレスト出身のカロル、土地勘があるだけあって、先頭をどんどん進んで行く
みんなの後ろで後について行こうとした時、路地裏に人の気配を感じて立ち止まる
……この気配はよく知っている
なんで、こんなとこにいるの……
「………報告、なにかあるか?」
聞きなれた声が聞こえる
まだ半日しか経っていないのに報告なんて、あるわけないじゃないのよ…
「………別に何も、特別報告することなんてないわよ」
「…………………それならいい」
その言葉を最後に気配が消えた
……なぜだろう、ここ何ヶ月か全然会っていないはずなのに、つい最近聞いたような気がするのは……
「シア……!お前なぁ……」
声の主のことを考えていたら、突然ガシッと肩を掴まれて我に返る
顔をあげれば心配そうな顔をしたユーリが目の前にいる
「うわっ!?ユ、ユーリ……驚かせないでよ…」
「驚いたのはオレの方だっての!ユニオン本部ついて、ドンが魔物狩りに出掛けて居ねぇから、先にリタの用事済まそうってなったのに、お前がついてきてねぇし!マジで焦ったぜ…」
いつになく焦っていたようで、本気で心配そうに言ってくる
……ごめんね、ユーリ……
……報告のことばかり考えていたら、ユーリに心配かけちゃうよね……
「…ごめん……まだ、色々頭の中で整理つかなくってさ…でも、もう大丈夫だから」
ニコッと微笑んで言ったつもりなのだが、今、私はちゃんと笑えているだろうか?
…絶対に、悟られちゃいけない
気づかれちゃいけない
お兄様が何処で見てるかわからない
だから…絶対に……
「……そう…か?それならいいんだけどよ…もう少しオレらのこと考えてくれよな?」
肩を掴んでいた手を離して、そっと頭を撫でてくる
……やっぱり、落ち着くなぁ…君の手の温もりは…
「ほら、もう街の入り口であいつら待ってるからさ、早く行こうぜ?」
「ん、そうだね!早くしないと、リタにファイヤーボール投げつけられそうだもん」
「それだけは、勘弁して欲しいな」
どちらがという訳でもなく、手を繋いで走り出す
そうだ、今はお兄様のことなんて考えちゃだめだ
それよりも、みんなと居ることを楽しまなきゃ
報告なんて、適当にしておけばいい
大丈夫、何も、起こらない
きっと……平気だから……
空に瞬く星達はそんな彼女を黙って見ていた
誰かに伝えたい
それでも、脅迫やしきたりによって言いたいことが言えない
それは、彼女にとってどれだけ苦痛だろうか……
『…アレクセイにも、彼女と同じように力があれば……』
『ペテルギウスよ、そんなことを言ってはいかん』
『そーだよ!あいつまで力持ってたら、今頃やりたい放題してるよ!』
『それも……そうですね……』
『……でも、このままじゃアリシアが………』
自分達の友であり、仲間であり、そして、守らなければならない存在の彼女を、『今の』彼らは見守って、忠告することしか出来ない
ただ、それが悔しかった
『……『また』、始まってしまうのか……』
ボソリと呟いた、その問に答えるものはいなかった
皆、星達はわかっているのだ
人と言う生き物は、過ちを繰り返し続けるものだと
『…アリシア…』
今は恐らく聞こえていない彼女の名前を静かに呼ぶ
星達が心配しているのなんて知らずに、アリシア達はケーブ・モック大森林へと、足を踏み入れて行った
………まわし者の存在に、気づかずに