第1章
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜結婚〜
ーそして二ヶ月後ー
「ん~っ!ようやく、かなぁ~」
真っ白なドレスに身を包んだ私は今、ユーリと初めて出会ったあの場所へ来ている
二ヶ月前、怪我をしてまともに歩くことすら出来なかったけど、ユーリやフレン、ジュディス、エステル、リタ、カロル、レイヴンが執務や護衛の合間に歩く練習を手伝ってくれたお陰で、歩けるようになったのは三週間前のこと
その次の日からは結婚式の準備やなんやらで忙しくなった
ドレスのサイズ合わせだったり、招待する人選んだり……
そして今日、ようやくその日が来た
式までまだ時間があるけど、わくわくして落ち着かない
「みーっけた、やっぱここにいたか」
「っ!ユーリ!!」
普段と違う真っ白なタキシードを着たユーリが来た
「なーにしてんの?あんまうろちょろしてっとフレンに怒られるぜ?」
「んー、ちょっと思い出にふけってた」
ニコッと笑って言う
「思い出、ねぇ…そーいや、初めて会ったんはここだもんな」
私の横に来て肩に手を置いてそっと引き寄せられる
「ん、だから式の前に来たかったの。………覚えてる?あの日のこと」
「ばーか、誰が忘れるかよ
あんな最っ高な誕生日、忘れるわけねーだろ?」
ーユーリ十歳の誕生日の日ー
つまらない、とっても暇
今日は魔王様のご子息……つまり王子様のお誕生日
お父様に連れられてパーティに来たけど、知らない人ばっかりだし…
肝心の王子様は人が多すぎて見えないし…
お父様はほかの人とお話していらっしゃるし…
同年代であろう子達は、みんなあの人だかりの中だ
人見知りの私には、とてもあそこに行く勇気はない
それに……周りの大人の目はなんだか品定めしているようで少し怖い
この場の空気に耐えられなくなって外に繋がっているであろう扉から外に出た
勝手に居なくなったらお父様に怒られるけど、それでも中にいたくなかった
「わぁ……久々に来たけど、すごく綺麗なお庭……」
お父様に連れられて、月に一度か二度お城を尋ねることがある
そのときはいつもこの庭に時間がくるまでいた
今日もそうしようといつも行く木の葉っぱが屋根を作っている場所に行く
「んー、やっぱりここ、落ち着く…」
緑に囲まれているのが昔から好きだ
とても落ち着く
本当は寝そべってしまいたいけど、お父様に怒られそうだから座るだけにした
「……誰か、いんの?」
「…っ!?」
不意に声が聞こえて振り向くと、同い年くらいの真っ黒な長い髪の男の子がいた
「あ……ご、ごめんなさい……」
慌てて立ち上がろうとするが、その男の子に止められて向き合うように目の前に座った
近くで見ると瞳も紫がかった黒をしている
「ねぇ、名前、なんて言うの?」
「え…?あ…アリシア・リベリット・ラグナロク…」
「へぇ、ラグナロク家の子なんだ」
「う、うん」
少し大人びた雰囲気を漂わせる不思議な男の子だった
「で、なんでここにいるの?」
「…パーティ、飽きちゃったの。お父様はずっと色んな人とお話してるし、王子様は人が多すぎて見えないし……でも、私人が多いところ苦手だから近づけなくて……」
「ふーん、そうなんだ」
なぜだかこの男の子には素直に話せた
名前も知らないけど、素直になれた
「それに………」
「?」
「……大人の人が品定めするような目で見てくるのが怖いの……」
言い終わって俯く
小声だったから聞こえていないかもしれないが……
でも、どうやら聞こえていたようでそっと優しく頭を撫でてきた
「…それでも、偉いと思う。ちゃんと来たんだし…逃げてもいいと思う」
オレも同じだから、とニカッと笑う
その笑顔がすごくカッコよくてドキッとしてしまう
「あーぁ、こんなパーティ何になるって言うんだろうね」
礼服だというのにそんなこと気にしないで、彼は地面に寝そべってしまう
「貴族なんか自分達の利益しか考えないからつまんねーよ」
大人びた雰囲気をだしているのに、ぶーぶー文句を言う姿は子供なのだ
そのギャップにまたドキドキと心臓がなる
「…そんなこと、ないと思うよ?」
「?なんで?」
「だって、私のお父様はいっつもどう執務をしたら私といっぱい遊べるかって考えてるもん」
ニコッっと微笑んでそう言った
「え?」
「それにね!カペルさんのとこは愛妻家で定時には帰れるようにって執務頑張ってるってお父様がおっしゃっていたし」
「おいおい……」
「あ、モルディオさんのところは娘さんが学問を好み出したって言って参考書とかすごい沢山買ってたの、この前見たんだ」
「……」
「ね?利益ばっかり考えてる人達だけじゃないよ?」
満面の笑みを浮かべてそう言うと少し驚いた顔をしていた
「……かわいい……」
「……え?」
「っ!/////」
顔を真っ赤にさせてそっぽ向いてしまったが…
え……今……かわいい……って………
「っ~~~!!!/////」
恥ずかしくなって私も顔をそむける
お父様やお母様、メイドさん達以外に初めて言われた言葉だった
バクバクと心臓がうるさいくらい音をたてている
「……今の………聞こえた?」
そっと後ろから優しく声をかけられる
その声にすらドキっとしてしまう
「……っ!//な、何にも聞こえてない…ですっ!///」
顔を向けずにそう言うけど、ほっぺたを両手で押さえられてグッと男の子の方に向けられる
真っ黒なその瞳がじっと私を見つめてて
その瞳に吸い込まれそうだ
「…顔、真っ赤」
「…っ!////」
意地悪そうにニヤッと笑ったその顔に、更にドキッとする
「あ、そうだ、まだオレの名前言ってなかったね」
両手で私のほっぺたを包んだまま男の子は自分の名前を言った
「……ユーリ、ユーリ・ローウェル」
「ろー……うぇる……!?」
あれ…それ…魔王様の…………えっ!?じゃあ……っ!?
「えっ……あっ……えぇ………」
あたふたと焦っていると、その姿が面白かったのかくくっと笑い出した
「本当に知らなかったんだっ……くくっ…」
「あ、あぅ……////ご、ごごご、ごめんなさいっ!」
あぁ、お父様に完全に怒られる
なんで王子様に敬語使ってないの……私……
「くくくっ……面白いし、可愛い子」
「……へ……?」
「オレ、さっきまで色んな奴見てきたけど、お前より可愛い子なんていなかった」
真剣な顔をしてユーリ様は言ってくる
これは……どうゆう状況なんだろう……?
どう反応すればいいかわからない
「ね、手出してよ、左手」
「え?あ、は、はいっ!」
言われた通りに左手を出すと、ニコッと笑って自身の左手に付けていた指輪を外すと、その指輪にちゅっとキスして私の指にはめる
「ふ…ふぇぇぇ…っ!?」
一気に色々ありすぎて頭が追いつかない
パーティに来る前、お父様に家で言われたことが頭によぎる
『いいかい、アリシア?もし、誰かから指輪を貰ったら決して外しちゃいけないからね?それは、その人から結婚して下さいって証だからね』
……つまり、これはそうゆうことで……
「あ…あの……ユーリ…様?」
「様、いらない、ユーリでいいよ。というか、敬語も使わなくていいさ」
「…っ!えっと………あの、ユーリ……これって……」
「意味なんて聞いてだろ?つまり、そうゆうことだよ
……二十歳になったら真っ先にお前の……アリシアのとこに迎え行く。だからさ、それまで待っててよ、オレ絶対忘れないから。
もし、迎え行った時、アリシアが他に好きなやつ出来てたら諦めるし…忘れてないか、行く前に手紙出すから」
真剣な目で伝えてくる
十歳にはとても思えないようなことを次々と言ってくる
私の馬鹿な頭ではついていけないくらいの情報が一気に流れ込んできて
そのパンク仕掛けてる頭で精一杯考えて出した答えは…
「…待ってる、ずっと、待ってる…っ!ユーリが来るの待ってるよ…っ!」
嬉しさでいっぱいいっぱいで
会ってまだ全然経ってないし、ただの一目惚れ
だけど、十年先がとっても楽しみになる出来事で
精一杯の笑顔をつくって見せた
「アリシアー!そろそろ帰るぞー!」
「っ!お父様だ…っ!」
「ほら、もう行きなよ。大丈夫、また会えるからさ」
ユーリはニッコリ笑って、指輪のハマった手にキスしてきた
「っ!」
「また会えるおまじない。ね?大丈夫だろ?」
「…うん!ユーリ、またねっ!」
そう言って、お父様の元へ走って行った
はめられた指輪を大事に握りながら
ーーーーーーーー
「あの後すぐだっけ、キュモールの馬鹿が冤罪かけたの」
「ん……そう…だったね」
「あん時オレ、父上と議会の奴ら全員殺す勢いで暴れそうだったわ」
肩を抱く手に力を入れながらそう言った
「ユーリなら本気でやりそう…」
「そんだけ怒ったんだよ。あいつらがアリシアを見る目、すっげーやな目してたし。あの場で暴れてやろうかって真面目に思った」
「……暴れそうな目してたもんね」
「本当はアリシアの傍にいてやりたかった、てか行こうとしたけど父上に我慢しろって怒られた」
「…あれ、やっぱりこっちに来ようと身を乗り出してたんだ…」
苦笑いしながらユーリに寄りかかる
「…でも、議会から降ろされただけでよかったって思ったわ。これで身売りしようもんならガチで暴れてたぜ、きっと」
「あはは…議会から降ろされた後もユーリも父上様も何度もこっそり会いに来てくれたもんね」
「父上は以外だったぜ……鉢合わせしなくてよかったわ…」
クスクスと笑いながら言うと、ユーリは苦笑いしながら、肩に顎を乗せてくる
今ではもう笑い話に変わっているけど、当時はすごく不安だった
それでもやっていけたのはきっと、ユーリとの約束と、ユーリが居てくれたからだろう
そっと左手を挙げてみる
「…それ、まだ付けててくれたんだな」
挙げた左手にユーリの手が重なる
あの時、ユーリが付けてくれた場所じゃないけど、今でもあの時の指輪はちゃんと付けていた
「ん、だってお守りだもん」
「だけどな?流石にいつまでも付けとくわけにゃいかねーだろ?」
「あっ!」
すっと指輪を外すと、クルッと後ろを向いてゴソゴソと何かしだした
首を傾げて待っていると、私の方を向いてチェーンに通した指輪を首にかけてきた
「これから新しい指輪やるんだし、古いのは首からかけときゃいいだろ?」
ニカッと昔と変わらない笑顔でそう言う
「あ……うんっ!」
それに答えるように、私もニッコリと笑う
「さてと…そろそろ行く前に……」
「?」
「もう一回、ちゃんと言っておこうと思って、さ」
少し照れたように言うと、一息ついてから私の前に膝立ちして私を見る
「アリシア・リベリット・ラグナロク、オレと結婚してくれませんか?」
そう言って左手をとり、手の甲にキスして微笑んでくる
答えなんて、とっくの昔に決まってて
嬉しくて、泣きそうになるけど
精一杯笑って答える
「はい、喜んで…!」
「…っ!//あー、やっぱこうゆうのしょうに合わねぇ…///」
左手で口元を隠しながら立ち上がる
「ね、ユーリ、行く前に最後、もっかい抱きしめて?」
両手を伸ばしてそう言えば、それ反則だっての…と言いつつも抱きしめてくれる
「ふふ…やっぱりここが一番落ち着く」
「ははっ、安心しろって。いつでもこうしてやるさ」
顔をあげれば自然とユーリと目があって
どちらともなく唇を重ねようとする…
「あーっ!!!ユーリっ!!!アリシアっ!!!」
「っ!?カロルっ!?」
「まったく…二人していつまで来ないと思えば……!!!」
「ふ、フレン……!」
もう少しで重なりそうなところでフレンとカロルに邪魔されてしまった
本当にフレンは邪魔するのが得意だと改めて思う
「みんな待ってるよ!」
「へいへい……アリシア、また後で…な?」
私にだけ聞こえる声でそう言うとニヤと笑う
それに言葉じゃなくニコッと笑って答える
「行こう、アリシア」
「うん…!」
差し出された手をとってユーリと並んでみんなが待つ、式場に向かった
ありがとう、ユーリ
私を選んでくれて
…世界で一番、あなたのことが大好きだよ
~あとがき~
TOV、ユーリの大魔王パロディ、第一部を短いですがここで一旦終わりにさせていただきます!
勢いで作ったこの作品……
元ネタとしては、原作のサブクエで手に入るユーリの衣装です←
きっとユーリなら身分が変わろうが種族が変わろうが性格は変わらないだろうなぁ…と思いつつ書いてました(笑)
他のメンバーもそんな感じです(笑)
フレンがユーリに仕えてるのは、ちょっとイメージ沸きませんが……
このポジションが1番しっくりくるかなぁ…って感じです(笑)
さて、この後のことですが……
二部についてはストーリーはもう何となく決めているので、これが書き終わったら書こうかな
なんて思っていますが、長期連載するかはまだ未定です
一応、序盤にも書きましたが、夢主ちゃんは一度でいいから人間界に行ってみたい!
と、思ってる設定なので、そこは書きたいですね(笑)
さて、少し長くなってしまいましたが、今回はこれでおしまいです
また別の作品&続きでお会いしましょう
追記:サイト移動に伴い、多少の内容変更を致しました
ーそして二ヶ月後ー
「ん~っ!ようやく、かなぁ~」
真っ白なドレスに身を包んだ私は今、ユーリと初めて出会ったあの場所へ来ている
二ヶ月前、怪我をしてまともに歩くことすら出来なかったけど、ユーリやフレン、ジュディス、エステル、リタ、カロル、レイヴンが執務や護衛の合間に歩く練習を手伝ってくれたお陰で、歩けるようになったのは三週間前のこと
その次の日からは結婚式の準備やなんやらで忙しくなった
ドレスのサイズ合わせだったり、招待する人選んだり……
そして今日、ようやくその日が来た
式までまだ時間があるけど、わくわくして落ち着かない
「みーっけた、やっぱここにいたか」
「っ!ユーリ!!」
普段と違う真っ白なタキシードを着たユーリが来た
「なーにしてんの?あんまうろちょろしてっとフレンに怒られるぜ?」
「んー、ちょっと思い出にふけってた」
ニコッと笑って言う
「思い出、ねぇ…そーいや、初めて会ったんはここだもんな」
私の横に来て肩に手を置いてそっと引き寄せられる
「ん、だから式の前に来たかったの。………覚えてる?あの日のこと」
「ばーか、誰が忘れるかよ
あんな最っ高な誕生日、忘れるわけねーだろ?」
ーユーリ十歳の誕生日の日ー
つまらない、とっても暇
今日は魔王様のご子息……つまり王子様のお誕生日
お父様に連れられてパーティに来たけど、知らない人ばっかりだし…
肝心の王子様は人が多すぎて見えないし…
お父様はほかの人とお話していらっしゃるし…
同年代であろう子達は、みんなあの人だかりの中だ
人見知りの私には、とてもあそこに行く勇気はない
それに……周りの大人の目はなんだか品定めしているようで少し怖い
この場の空気に耐えられなくなって外に繋がっているであろう扉から外に出た
勝手に居なくなったらお父様に怒られるけど、それでも中にいたくなかった
「わぁ……久々に来たけど、すごく綺麗なお庭……」
お父様に連れられて、月に一度か二度お城を尋ねることがある
そのときはいつもこの庭に時間がくるまでいた
今日もそうしようといつも行く木の葉っぱが屋根を作っている場所に行く
「んー、やっぱりここ、落ち着く…」
緑に囲まれているのが昔から好きだ
とても落ち着く
本当は寝そべってしまいたいけど、お父様に怒られそうだから座るだけにした
「……誰か、いんの?」
「…っ!?」
不意に声が聞こえて振り向くと、同い年くらいの真っ黒な長い髪の男の子がいた
「あ……ご、ごめんなさい……」
慌てて立ち上がろうとするが、その男の子に止められて向き合うように目の前に座った
近くで見ると瞳も紫がかった黒をしている
「ねぇ、名前、なんて言うの?」
「え…?あ…アリシア・リベリット・ラグナロク…」
「へぇ、ラグナロク家の子なんだ」
「う、うん」
少し大人びた雰囲気を漂わせる不思議な男の子だった
「で、なんでここにいるの?」
「…パーティ、飽きちゃったの。お父様はずっと色んな人とお話してるし、王子様は人が多すぎて見えないし……でも、私人が多いところ苦手だから近づけなくて……」
「ふーん、そうなんだ」
なぜだかこの男の子には素直に話せた
名前も知らないけど、素直になれた
「それに………」
「?」
「……大人の人が品定めするような目で見てくるのが怖いの……」
言い終わって俯く
小声だったから聞こえていないかもしれないが……
でも、どうやら聞こえていたようでそっと優しく頭を撫でてきた
「…それでも、偉いと思う。ちゃんと来たんだし…逃げてもいいと思う」
オレも同じだから、とニカッと笑う
その笑顔がすごくカッコよくてドキッとしてしまう
「あーぁ、こんなパーティ何になるって言うんだろうね」
礼服だというのにそんなこと気にしないで、彼は地面に寝そべってしまう
「貴族なんか自分達の利益しか考えないからつまんねーよ」
大人びた雰囲気をだしているのに、ぶーぶー文句を言う姿は子供なのだ
そのギャップにまたドキドキと心臓がなる
「…そんなこと、ないと思うよ?」
「?なんで?」
「だって、私のお父様はいっつもどう執務をしたら私といっぱい遊べるかって考えてるもん」
ニコッっと微笑んでそう言った
「え?」
「それにね!カペルさんのとこは愛妻家で定時には帰れるようにって執務頑張ってるってお父様がおっしゃっていたし」
「おいおい……」
「あ、モルディオさんのところは娘さんが学問を好み出したって言って参考書とかすごい沢山買ってたの、この前見たんだ」
「……」
「ね?利益ばっかり考えてる人達だけじゃないよ?」
満面の笑みを浮かべてそう言うと少し驚いた顔をしていた
「……かわいい……」
「……え?」
「っ!/////」
顔を真っ赤にさせてそっぽ向いてしまったが…
え……今……かわいい……って………
「っ~~~!!!/////」
恥ずかしくなって私も顔をそむける
お父様やお母様、メイドさん達以外に初めて言われた言葉だった
バクバクと心臓がうるさいくらい音をたてている
「……今の………聞こえた?」
そっと後ろから優しく声をかけられる
その声にすらドキっとしてしまう
「……っ!//な、何にも聞こえてない…ですっ!///」
顔を向けずにそう言うけど、ほっぺたを両手で押さえられてグッと男の子の方に向けられる
真っ黒なその瞳がじっと私を見つめてて
その瞳に吸い込まれそうだ
「…顔、真っ赤」
「…っ!////」
意地悪そうにニヤッと笑ったその顔に、更にドキッとする
「あ、そうだ、まだオレの名前言ってなかったね」
両手で私のほっぺたを包んだまま男の子は自分の名前を言った
「……ユーリ、ユーリ・ローウェル」
「ろー……うぇる……!?」
あれ…それ…魔王様の…………えっ!?じゃあ……っ!?
「えっ……あっ……えぇ………」
あたふたと焦っていると、その姿が面白かったのかくくっと笑い出した
「本当に知らなかったんだっ……くくっ…」
「あ、あぅ……////ご、ごごご、ごめんなさいっ!」
あぁ、お父様に完全に怒られる
なんで王子様に敬語使ってないの……私……
「くくくっ……面白いし、可愛い子」
「……へ……?」
「オレ、さっきまで色んな奴見てきたけど、お前より可愛い子なんていなかった」
真剣な顔をしてユーリ様は言ってくる
これは……どうゆう状況なんだろう……?
どう反応すればいいかわからない
「ね、手出してよ、左手」
「え?あ、は、はいっ!」
言われた通りに左手を出すと、ニコッと笑って自身の左手に付けていた指輪を外すと、その指輪にちゅっとキスして私の指にはめる
「ふ…ふぇぇぇ…っ!?」
一気に色々ありすぎて頭が追いつかない
パーティに来る前、お父様に家で言われたことが頭によぎる
『いいかい、アリシア?もし、誰かから指輪を貰ったら決して外しちゃいけないからね?それは、その人から結婚して下さいって証だからね』
……つまり、これはそうゆうことで……
「あ…あの……ユーリ…様?」
「様、いらない、ユーリでいいよ。というか、敬語も使わなくていいさ」
「…っ!えっと………あの、ユーリ……これって……」
「意味なんて聞いてだろ?つまり、そうゆうことだよ
……二十歳になったら真っ先にお前の……アリシアのとこに迎え行く。だからさ、それまで待っててよ、オレ絶対忘れないから。
もし、迎え行った時、アリシアが他に好きなやつ出来てたら諦めるし…忘れてないか、行く前に手紙出すから」
真剣な目で伝えてくる
十歳にはとても思えないようなことを次々と言ってくる
私の馬鹿な頭ではついていけないくらいの情報が一気に流れ込んできて
そのパンク仕掛けてる頭で精一杯考えて出した答えは…
「…待ってる、ずっと、待ってる…っ!ユーリが来るの待ってるよ…っ!」
嬉しさでいっぱいいっぱいで
会ってまだ全然経ってないし、ただの一目惚れ
だけど、十年先がとっても楽しみになる出来事で
精一杯の笑顔をつくって見せた
「アリシアー!そろそろ帰るぞー!」
「っ!お父様だ…っ!」
「ほら、もう行きなよ。大丈夫、また会えるからさ」
ユーリはニッコリ笑って、指輪のハマった手にキスしてきた
「っ!」
「また会えるおまじない。ね?大丈夫だろ?」
「…うん!ユーリ、またねっ!」
そう言って、お父様の元へ走って行った
はめられた指輪を大事に握りながら
ーーーーーーーー
「あの後すぐだっけ、キュモールの馬鹿が冤罪かけたの」
「ん……そう…だったね」
「あん時オレ、父上と議会の奴ら全員殺す勢いで暴れそうだったわ」
肩を抱く手に力を入れながらそう言った
「ユーリなら本気でやりそう…」
「そんだけ怒ったんだよ。あいつらがアリシアを見る目、すっげーやな目してたし。あの場で暴れてやろうかって真面目に思った」
「……暴れそうな目してたもんね」
「本当はアリシアの傍にいてやりたかった、てか行こうとしたけど父上に我慢しろって怒られた」
「…あれ、やっぱりこっちに来ようと身を乗り出してたんだ…」
苦笑いしながらユーリに寄りかかる
「…でも、議会から降ろされただけでよかったって思ったわ。これで身売りしようもんならガチで暴れてたぜ、きっと」
「あはは…議会から降ろされた後もユーリも父上様も何度もこっそり会いに来てくれたもんね」
「父上は以外だったぜ……鉢合わせしなくてよかったわ…」
クスクスと笑いながら言うと、ユーリは苦笑いしながら、肩に顎を乗せてくる
今ではもう笑い話に変わっているけど、当時はすごく不安だった
それでもやっていけたのはきっと、ユーリとの約束と、ユーリが居てくれたからだろう
そっと左手を挙げてみる
「…それ、まだ付けててくれたんだな」
挙げた左手にユーリの手が重なる
あの時、ユーリが付けてくれた場所じゃないけど、今でもあの時の指輪はちゃんと付けていた
「ん、だってお守りだもん」
「だけどな?流石にいつまでも付けとくわけにゃいかねーだろ?」
「あっ!」
すっと指輪を外すと、クルッと後ろを向いてゴソゴソと何かしだした
首を傾げて待っていると、私の方を向いてチェーンに通した指輪を首にかけてきた
「これから新しい指輪やるんだし、古いのは首からかけときゃいいだろ?」
ニカッと昔と変わらない笑顔でそう言う
「あ……うんっ!」
それに答えるように、私もニッコリと笑う
「さてと…そろそろ行く前に……」
「?」
「もう一回、ちゃんと言っておこうと思って、さ」
少し照れたように言うと、一息ついてから私の前に膝立ちして私を見る
「アリシア・リベリット・ラグナロク、オレと結婚してくれませんか?」
そう言って左手をとり、手の甲にキスして微笑んでくる
答えなんて、とっくの昔に決まってて
嬉しくて、泣きそうになるけど
精一杯笑って答える
「はい、喜んで…!」
「…っ!//あー、やっぱこうゆうのしょうに合わねぇ…///」
左手で口元を隠しながら立ち上がる
「ね、ユーリ、行く前に最後、もっかい抱きしめて?」
両手を伸ばしてそう言えば、それ反則だっての…と言いつつも抱きしめてくれる
「ふふ…やっぱりここが一番落ち着く」
「ははっ、安心しろって。いつでもこうしてやるさ」
顔をあげれば自然とユーリと目があって
どちらともなく唇を重ねようとする…
「あーっ!!!ユーリっ!!!アリシアっ!!!」
「っ!?カロルっ!?」
「まったく…二人していつまで来ないと思えば……!!!」
「ふ、フレン……!」
もう少しで重なりそうなところでフレンとカロルに邪魔されてしまった
本当にフレンは邪魔するのが得意だと改めて思う
「みんな待ってるよ!」
「へいへい……アリシア、また後で…な?」
私にだけ聞こえる声でそう言うとニヤと笑う
それに言葉じゃなくニコッと笑って答える
「行こう、アリシア」
「うん…!」
差し出された手をとってユーリと並んでみんなが待つ、式場に向かった
ありがとう、ユーリ
私を選んでくれて
…世界で一番、あなたのことが大好きだよ
~あとがき~
TOV、ユーリの大魔王パロディ、第一部を短いですがここで一旦終わりにさせていただきます!
勢いで作ったこの作品……
元ネタとしては、原作のサブクエで手に入るユーリの衣装です←
きっとユーリなら身分が変わろうが種族が変わろうが性格は変わらないだろうなぁ…と思いつつ書いてました(笑)
他のメンバーもそんな感じです(笑)
フレンがユーリに仕えてるのは、ちょっとイメージ沸きませんが……
このポジションが1番しっくりくるかなぁ…って感じです(笑)
さて、この後のことですが……
二部についてはストーリーはもう何となく決めているので、これが書き終わったら書こうかな
なんて思っていますが、長期連載するかはまだ未定です
一応、序盤にも書きましたが、夢主ちゃんは一度でいいから人間界に行ってみたい!
と、思ってる設定なので、そこは書きたいですね(笑)
さて、少し長くなってしまいましたが、今回はこれでおしまいです
また別の作品&続きでお会いしましょう
追記:サイト移動に伴い、多少の内容変更を致しました
6/6ページ