第2章
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〜会議〜
ー翌日ー
「……」
「ユーリ…これから会議だからってそんなにイライラしないでよ…後、そろそろ痛い…」
「……行きたくねぇ、行くにしても置いて来たくねぇ」
はぁ…と深いため息をつく
現在進行形でベッドの上で抱きつかれてます…
朝起きてからもうずっとこんな状態だ
恐らく昨日の一件が相当心に来たのだろう
どこ行こうとしても引っ付いて来ようとするし、一緒にいる間離れないし…
心配性を更にこじらせてしまったようだ…
「もう…わがまま言わないの、会議は仕方ないでしょう?ジュディス以外に、今日はレイヴンも居てくれるから大丈夫だって…」
ユーリの頭を撫でながらそう言うが
「…ジュディ昨日不意打ち食らってるし、おっさん個人的に信用出来ねぇからやだ。」
と、抱きしめてくる力が強くなる
…そろそろ潰れそうなんだけど…私…
もう何度この会話をしたかわからないくらい同じことを言ってる
「はぁ……でも大事な会議でしょう?」
「…いい、オレの独断であいつ極刑にすっからいい」
「ダーメ。自分で議員達集めて会議開くって言い出したんだからちゃんと出て」
昨日、あの後泣いている私をあやしながらユーリはフレンにラゴウは明日会議で決めっから人集めろ、と言っていたのだ
「気が変わった。やっぱ無理。アリシアにあんなことした奴とか許せる気がしねぇ」
あ、これダメだ、ここまできたら何を言っても言う事聞かないだろう
……フレンが無理矢理連れて行くのを待とう
「…ねぇ、ユーリ…痛いってば…」
そろそろ本気で潰れるってば……
痛いし力強すぎて息できなくなってきたしで、流石にケホッと咳したらようやく離れた
体に空気を取り込もうとするが、咳がでてうまく空気を吸えない
ユーリが慌てて背中をさすって心配そうに見つめてくるが、原因はユーリでしょ…と心の中で呟く
「ふ……はぁ……死ぬかと思った…」
「ごめん…完っ全に無意識だった…」
「無意識で私を殺しそうな勢いで抱きつくのはやめて……」
もう何度ついたかわからないため息をつく
今朝の短い時間で、かなり疲れた気がする
静まり返った部屋に、外からドタドタっと廊下からの音が響く
バンッ!!と勢いよく扉が開いた
「ユーリっ!!!いつまで来ないつもりだっ!!!!」
起き上がって扉を見ると、息を切らせて肩で呼吸しているフレンが、鬼の形相で立っている
「フレンー…ちょっとどうにかしてよ…このわがまま心配引っ付き魔…」
なんかもう既にまた引っ付いてるし…
「ユーリ…っ!君が言い出したんだろっ!?」
「気が変わったっつーか…アリシア一緒じゃなきゃ嫌だ」
「君はアリシアが会議に参加したがらない理由を忘れたのかっ!?人が多いところが駄目なんだぞっ!?」
「オレの隣居りゃ大丈夫だろ」
「そうゆう問題じゃないだろっ!?そもそも、彼の声聞くだけで怖がってしまうのに出席出来るわけないだろっ!?」
「耳ふさいどきゃだいじ」
「そうゆう問題じゃないっ!!!!」
……フレンの言葉ですらどうにもなりそうにない
しかもいつの間にか会議に私まで出る流れになっているし…
……こうなったら……!
「……無理矢理会議に連れて行こうとするユーリ……嫌い……」
ボソッと言うとユーリが石化する音が聞こえた
ごめんね…ユーリ、嫌いじゃないけどこう言わないと行かなそうなんだもん…
「…私は大丈夫だからさ、ね?行ってきて…?なんかあったらすぐユーリのとこ逃げてくるし」
チュッと石化したユーリの頬にキスする
すると、顔は強ばったままだが一応解除されたらしい
「……絶対?」
「絶対だよ」
「……本当?」
「本当だって」
「……わかった」
そう言うと私の頬にキスして渋々離れて行く準備を始めた
「ジュディスとリタを呼んでくるよ、アリシアも先に着替えるだろう?」
コクリと頷くと、フレンはジュディスとリタを呼びに行った
「…アリシア、本当に大丈夫…なんだよな?」
寝巻きから着替えたユーリが、ベッドの淵に腰掛けながら聞いてくる
…着替えるの早すぎじゃない…?
「大丈夫だってば…ユーリはちょっと心配しすぎだよ」
頬をそっと撫でてくる
少しくすぐったくて思わず首を竦める
「…絶対だな?」
「大丈夫、大丈夫だよ?」
ニコッと笑って言うが本当は少し不安ではある
右手の感覚は消えないし、あの人を嘲笑うような声も耳から離れない
ユーリと居たい
でも、だからと言って会議には出たくない
ここに居てって言いたいけど、ちゃんと会議は出て欲しい
だからせめて、ユーリにこれ以上心配かけないようにしたい
勘がいいから不安なのがバレてるかも知れないけど
それでも精一杯笑う
「……ん…わかった」
ユーリもフッと笑う
…少しぎこちないけどね
「じゃあ行ってくっから、絶対に一人になんなよ?」
「わかってるよ」
軽く唇が触れて、すぐに離れる
「ユーリ、来たわよ」
その声に扉を見ると、フレンとジュディスとリタがいた
「…ん、行ってくるわ」
「いってらっしゃい」
あと頼んだ、とリタ達に告げてフレンと共に部屋を出て行った
「あんたも大変ね、あのわがままの面倒見るの」
私の傍に近寄りながら呆れたようにリタは言う
「ふふ、更に心配性をこじらせたものね」
扉を閉めながらジュディスが言う
「まぁ…ね、心配してくれるのは嬉しいけど…」
苦笑いして答える
「ま、いいから着替えちゃいましょ?いつまでもその格好で居るわけにはいかいでしょ」
「ん、それもそうだね」
「着替えたら、エステルのところにでも行ってお茶しましょう。おじ様もエステルのところにいるはずだから、ね」
私のクローゼットを開けて、服を選びながらジュディスは言う
…レイヴンと二人って…大丈夫かなエステル…
そんな呑気なことを考えていたのがつい先程のように感じる
私は今、大ピンチだ
後ろは壁
目の前にはちょっと楽しそうに笑うレイヴン
走ってジュディスのところに行くにも私の足では多分追いつかれる
リタもエステルもダウンしているし、ジュディスは二人の傍を離れられそうにない
ラピードとリンクはそれぞれユーリとカロル呼びに行っていていない
つまり、自力で脱出するしかないのだが……
「ふっふっふ…もう逃げられないわよ~アリシアちゃん♪」
「~~っ!!!そ、それ以上近づいたらユーリに言うよっ!?」
「今ここにいなけりゃ問題ないのよね~怒られるのは慣れてるし……ってことで…」
「っ!!!い、いーやーだーっ!!来ないでってばっ!!!」
後数cmで手が届くところまで来てしまった
フェイントかけて逃げる…?
いや、多分捕まる
でも逃げないと……っ!
バンッ!!!!!
「レイヴンっ!てめぇ何してやがる!?」
「げっ、やっばぁ…」
レイヴンの手が私に触れるか触れないかってところで、勢いよく開いた扉からユーリが飛び込んできた
「っ!!ユーリっ!!!」
レイヴンが固まった隙にユーリの元にダッシュで逃げ出して、ユーリの腕の中に飛び込む
「レイヴンさん…一体なにをしたんですか…?」
ユーリの後から入って来たフレンが呆れ気味に聞く
「い、いやぁ……大したことはしてないのよ…?」
「人の女壁際まで追い込んでて大したことしてねぇってか?」
私を抱きしめながらいつもより低い声で問いただす
ユーリからめっちゃどす黒いオーラ出てるよ…
だから近づかないでって言ったのに…
「うぅ……頭痛いです………」
「おっさん………後で覚えておきなさいよ……」
そんな会話をしていると気絶していたエステルとリタが目を覚ましたようだ
とりあえず…大丈夫そうかな……
「レイヴン……ホントに何したの…?」
「あー……いや………ただ、クッキー作ってあげただけ……なんだけど………」
「嘘つきっ!ジュディスと面白半分で変なもの入れてたくせにっ!!」
苦笑いして頬を掻くレイヴンに向かって半分涙目になって言う
「あら、私はクッキーに入れても美味しそうなものしか入れてないわよ?」
少し肩をすくめてジュディスは答えた
それを聞いてフレンは険しい顔になる
「まさか…それを食べて二人がそうなったのかい?」
「私は止めたんだけど…レイヴンが無理矢理、ね」
「な、何入れたの…?」
カロルが聞くとレイヴンは明後日の方向を向いてしまう
黙って私を抱きしめていたユーリの手がふと離れて、私を離す
珍しいことをするから何事かと思ったけど、理由はすぐわかった
「おっさん?素直に言ってぶっ飛ばされんのと、ぶっ飛ばされてから言うの、どっちがいいよ?」
ユーリは彼の胸ぐらを掴んで言っている
顔は見えないけど、すごい怒った時に見せる笑い顔が容易に想像できた
「うっ……せ……青年……苦しい……」
「アリシア、何入れてたかわかるかい?」
レイヴンが自分から言わないと察したらしいフレンが私に問いかけてくる
「……………か…」
「?」
「…変な調味料とか薬草とか辛いのとか辛いのっ!!!!」
半分泣きながら言うとフレンはびっくりする
「私…辛いの駄目だって言ってるのに、無理矢理食べさせようとしてきたのっ!」
本当にもう、あれは地獄だと思う
面白半分でリタとエステルは犠牲になってるし
逃げ回るはめになるし
「え…あ、意外と普通…?」
「普通なんかじゃないわよ……っ!凶器よ凶器っ!」
ようやく元気になったリタがガタッと音を立てて立ち上がる
「あれは……もう、トラウマです……」
エステルも体を起こして身震いしている
「せっ…青年っ!おっさんが悪かった!悪かったから!!そりゃアリシアちゃんが辛いもの食べたらどうなるのか興味あったけど…!」
「問答無用っ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁっ!?」
この後、ユーリとリタにボッコボコにされたレイヴンだった
「ったく…だから嫌だったんだよ…」
はぁ…っと、頭に手を当てて項垂れるユーリ
「ごめんなさい、まさかそんなに変なもの入れてるとは思っていなかったわ…」
流石のジュディスも少し反省しているようだ
「にしても驚いたよ、ラピードがすごい勢いでくるんだから」
「こっちにもリンクが猛スピードで来たよ」
「あぁ、流石に何事かと思ったな」
ふーっと三人揃ってため息をつく
「だってレイヴン……ラピードとリンクに止められても止めてくれないから…」
目に溜まった涙を拭いながら言う
「しかもジュディスが言っても聞かないし……」
「槍投げてしまおうかと思ったけど、アリシアに当たってしまうかもしれなかったから」
あれ、本気で投げようとしてたんだ…
恐ろしいこと言わないで…
「…なぁフレン、やっぱ会議終了して」
「駄目だって!会議中にも何度も言ったろっ!?」
むっと不機嫌な顔をするユーリ
「レイヴンとカロルを変えれば大丈夫だろ?」
ため息をつきながら言う
「僕、レイヴンみたいに変なことしないよ!」
カロルもフレンの意見に賛同する
「ユーリ、私もカロルなら平気だと思うよ?」
ユーリの傍に行って頭を撫でる
まだ納得いってないようだが、先程『無理矢理連れて行こうとするユーリ嫌い』と言ったのが効いているのか、何度か大丈夫だよな?っと確認してきて、速攻終わらせてくると言ってまた部屋を出ていった
「ユーリ……心配しすぎだよ…」
少し呆れ気味に扉を見つめてカロルが言う
それだけ心配なのよ、と死体と化したレイヴンを片付けながらジュディスが言う
「あ、クッキー作り直してお茶の続きしません?」
エステルが思いついたように言う
誰も嫌がらなかったから、作ることになった
もちろん、私も
さっきは見ていただけだから、お菓子作りなんて初めてだから楽しみだ
…もちろん、普通に作るよ?
ーーーーーーー
「……………」
シンと静まり返った会議場
原因はオレの機嫌が悪いから以外にはないだろう
理由は円形上に作られた席の中央に座っている男
ガタガタと肩を震わせて、冷や汗をかいているのが見える
が、そんなこたぁどうでもいい
「……そのまま何も言わねぇつもりか?昨日の威勢はどうしたんだよ?」
冷ややかな声で聞けばビクッと肩を震わせるが、喋ろうとはしない
更にイライラする
「ユーリ……そんなにイラつかないでくれ…他の議員達まで怯えてしまうじゃないか…」
斜め後ろからフレンが少し呆れ気味に言うが、実際怒っているのはオレだけじゃない
アリシアの父親…レオルもまた、オレの右隣で怒りを露わにしている
理由は明白、アリシアを監禁した挙句昨日危ない目に合わせたからだろう
「……ラゴウ殿、あなたが黙っていてもあなたがしたことは明るみに出るのですよ?どちらにせよバッシングされるのは明白なのですから、喋ったらどうですか?ここにいる皆、暇ではないのですよ」
今まで会議で、口を開いたことのなかったレオルが唐突に話し出したことに驚く
オレだけでなく、議員全員が
その、温厚な見た目からは到底想像出来ないような蔑んだ声に
もちろん、オレですら聞いたことがなかった
会議場が驚きにざわめく中、レオルは淡々とただラゴウだけを見つめて話を続ける
「領地横領の罪を私に擦り付けたのは最早どうでもいいのです。そんな事よりも私には…っ!大事な娘が監禁されたことの方が大問題なのですよっ!!」
ダンッと机を殴ると同時に立ち上がる
それに迂闊にもビクッとしてしまう
まさかここまで娘であるアリシアを溺愛しているとは思わなかったのだ
流石のラゴウも驚いて顔を上げている
両手とも思い切り握り締めて怒りで震えている
突然の事態に唖然としていると
「大体…っ!ご自身がやったことが原因で議員を辞めさせられたというのに、何故それをアリシアのせいにするのですかっ!?」
今にもラゴウに殴りかかりそうな勢いで身を乗り出すものだから慌てて押える
「ま、待て待てっ!落ち着けっ!気持ちはわかるがとりあえず落ち着けって!」
「止めないで下さい、ユーリ様っ!一度殴らないと気が済まないのですっ!」
どうにか落ち着かせようとするが埒が明かない
なんとか出来ないかと、ふとアリシアを思い浮かべたが、彼女がここに来ることはまず無いだろう
オレ一人では無理だと判断したフレンも止めようと加勢した
「レオル様っ!落ち着いて下さいっ!」
「そんなに簡単に落ち着けるわけがないですよっ!!」
後ろから二人で羽交い締めにしたが、思っていたよりも力が強くて苦戦する
ジュディスを呼んでくるように頼もうとしたその時
ギィっと、扉が開いた
「………何、していらっしゃるのですか………お父様……」
はぁ…っとため息をついて入ってきたのは、アリシアだった
これにもこの場に居る全員が驚いた
あれほど嫌がっていたのに…
が、一つおかしなことがあった
アリシアの目が少しおかしい
以前、執務室でオレに説教した時もだが、目が据わってないというか、ただ一点をじっと見ているというか
アリシアを見た瞬間、今まで暴れていたレオルが急に大人しくなったと同時に、何故か硬直している
「アリシア…っ!?なっ、何故…っ!?」
「リンクがお父様が暴れそうと呼びに来たから来てみれば……私のことを心配して下さるのは嬉しいのですが、会議を中断せざる負えないようなことをするのはやめて頂けませんか?」
ラゴウにすら目を向けず、真っ直ぐにこちらに来る
すると、今度はアリシアから逃げようとしだした
「………お父様?」
目の前まで来るとニコッと笑うが、その笑みはいつもオレに向けてくるものとは違い、怒りが混じっていた
「はっ…はい……」
アリシアに呼ばれた途端、ピタッとその場に停止する
これ以上押える必要がないと判断して、少し離れた
「あっ…と、だな?アリシア…これは……っ!」
「言い訳無用っ!何度目ですかっ!?一度や二度ではありませんよっ!?」
珍しく怒鳴り声をあげるものだから唖然としてしまう
普段大人しく、人が多いところでは怯えている彼女とは到底思えないほどに
「だ…だがな…?アリシア……私はお前の為にだな……」
「私の為だと仰るのでしたら、もう少し時と場合というものを考えて頂けませんか?
……ユーリ、少しの間お父様お借りさせて頂きますが、気にせず続けて下さい」
「あ、あぁ……わかった」
ニコッと微笑んで言ってくる彼女に思わず敬語を使っていたことを忘れて返事をした
オレの返答を聞くと、レオルの耳を引っ張ってそのまま出て行ってしまった
再びシンと静まり返った会議場
「あー……フレン、どーするよ、これ…」
「アリシアはああ言ったけど……今回はここで打ち止めの方が……」
「……だな……」
こうして、一度会議は中断
青ざめるラゴウをフレンが独房に連れて行ったが議員達からは、何も言わず証拠と証人が揃っているのであれば、極刑を下していいのはと言われた
それもそうかもしれない…か
ーーーーーー
アリシアが寝室に戻って来たのは夜の十時を過ぎた頃だった
どうやら着替えてきたようで寝巻きを着ている
ため息をつきながら既に部屋に戻ってベッドで本を読んでいたオレの隣に座った
「お疲れさん、会議場普通に入ってこれたじゃねぇか」
パタンと本を閉じながら言うとビクッと肩を震わせて顔を強ばらせる
「?アリシア?」
「はぁぁぁ………もーやだ………」
そう言って顔を毛布に埋めた
わけがわからずポカーンとしていると、少し顔をこっちに向けて
「私も、ユーリと同じかもれないや」
と苦笑いしながら言ってきた
それを聞いてようやく合点がいった
人が多い場所が駄目だというのに堂々と入ってきたあの行動
一点をただじっと見つめているあの目
そして、さっきの言葉
…つまり、だ
「アリシアもキレたら収集がつかねぇってか?」
少しニヤっとして言えばまた顔を隠してしまう
「なるほどな、レオルが焦ってたのもそうゆう訳か。……んで?人には『もう少し冷静に』とか言っておいて、自分は冷静にならねぇってか??」
アリシアを抱き寄せ、顎を無理矢理あげて目線を合わさせる
するとみるみる顔を真っ赤にさせていく
「~~っ!//ユ、ユーリやお父様みたいに暴れないもんっ!!///」
「暴れない、ねぇ?ありゃ半分暴れてんのと変わんねぇと思うぜ?何も行動だけじゃねぇんだぜ?」
「あぅ………」
「それと……オレに敬語なしって、言ったよな?」
ニヤッと笑ってアリシアの返答も聞かずに唇を重ねる
突然のことに驚いてか、胸を押してくるがすぐ諦めたのか甘い感覚に耐えるように服を掴んできた
「はっ……」
「ふぁ……もう……っ!」
「敬語使ったアリシアが悪ぃ」
「わ…っ!」
アリシアを抱きしめたままベッドに横になる
「今日はもうこのまま寝る」
「今日は…って、いつもでしょ?」
「ははっ、それもそうか」
くくっと笑っていると、アリシアも笑いだす
「おやすみ、アリシア」
「おやすみ、ユーリ」
そう言って二人揃って眠りについた
ー翌日ー
「……」
「ユーリ…これから会議だからってそんなにイライラしないでよ…後、そろそろ痛い…」
「……行きたくねぇ、行くにしても置いて来たくねぇ」
はぁ…と深いため息をつく
現在進行形でベッドの上で抱きつかれてます…
朝起きてからもうずっとこんな状態だ
恐らく昨日の一件が相当心に来たのだろう
どこ行こうとしても引っ付いて来ようとするし、一緒にいる間離れないし…
心配性を更にこじらせてしまったようだ…
「もう…わがまま言わないの、会議は仕方ないでしょう?ジュディス以外に、今日はレイヴンも居てくれるから大丈夫だって…」
ユーリの頭を撫でながらそう言うが
「…ジュディ昨日不意打ち食らってるし、おっさん個人的に信用出来ねぇからやだ。」
と、抱きしめてくる力が強くなる
…そろそろ潰れそうなんだけど…私…
もう何度この会話をしたかわからないくらい同じことを言ってる
「はぁ……でも大事な会議でしょう?」
「…いい、オレの独断であいつ極刑にすっからいい」
「ダーメ。自分で議員達集めて会議開くって言い出したんだからちゃんと出て」
昨日、あの後泣いている私をあやしながらユーリはフレンにラゴウは明日会議で決めっから人集めろ、と言っていたのだ
「気が変わった。やっぱ無理。アリシアにあんなことした奴とか許せる気がしねぇ」
あ、これダメだ、ここまできたら何を言っても言う事聞かないだろう
……フレンが無理矢理連れて行くのを待とう
「…ねぇ、ユーリ…痛いってば…」
そろそろ本気で潰れるってば……
痛いし力強すぎて息できなくなってきたしで、流石にケホッと咳したらようやく離れた
体に空気を取り込もうとするが、咳がでてうまく空気を吸えない
ユーリが慌てて背中をさすって心配そうに見つめてくるが、原因はユーリでしょ…と心の中で呟く
「ふ……はぁ……死ぬかと思った…」
「ごめん…完っ全に無意識だった…」
「無意識で私を殺しそうな勢いで抱きつくのはやめて……」
もう何度ついたかわからないため息をつく
今朝の短い時間で、かなり疲れた気がする
静まり返った部屋に、外からドタドタっと廊下からの音が響く
バンッ!!と勢いよく扉が開いた
「ユーリっ!!!いつまで来ないつもりだっ!!!!」
起き上がって扉を見ると、息を切らせて肩で呼吸しているフレンが、鬼の形相で立っている
「フレンー…ちょっとどうにかしてよ…このわがまま心配引っ付き魔…」
なんかもう既にまた引っ付いてるし…
「ユーリ…っ!君が言い出したんだろっ!?」
「気が変わったっつーか…アリシア一緒じゃなきゃ嫌だ」
「君はアリシアが会議に参加したがらない理由を忘れたのかっ!?人が多いところが駄目なんだぞっ!?」
「オレの隣居りゃ大丈夫だろ」
「そうゆう問題じゃないだろっ!?そもそも、彼の声聞くだけで怖がってしまうのに出席出来るわけないだろっ!?」
「耳ふさいどきゃだいじ」
「そうゆう問題じゃないっ!!!!」
……フレンの言葉ですらどうにもなりそうにない
しかもいつの間にか会議に私まで出る流れになっているし…
……こうなったら……!
「……無理矢理会議に連れて行こうとするユーリ……嫌い……」
ボソッと言うとユーリが石化する音が聞こえた
ごめんね…ユーリ、嫌いじゃないけどこう言わないと行かなそうなんだもん…
「…私は大丈夫だからさ、ね?行ってきて…?なんかあったらすぐユーリのとこ逃げてくるし」
チュッと石化したユーリの頬にキスする
すると、顔は強ばったままだが一応解除されたらしい
「……絶対?」
「絶対だよ」
「……本当?」
「本当だって」
「……わかった」
そう言うと私の頬にキスして渋々離れて行く準備を始めた
「ジュディスとリタを呼んでくるよ、アリシアも先に着替えるだろう?」
コクリと頷くと、フレンはジュディスとリタを呼びに行った
「…アリシア、本当に大丈夫…なんだよな?」
寝巻きから着替えたユーリが、ベッドの淵に腰掛けながら聞いてくる
…着替えるの早すぎじゃない…?
「大丈夫だってば…ユーリはちょっと心配しすぎだよ」
頬をそっと撫でてくる
少しくすぐったくて思わず首を竦める
「…絶対だな?」
「大丈夫、大丈夫だよ?」
ニコッと笑って言うが本当は少し不安ではある
右手の感覚は消えないし、あの人を嘲笑うような声も耳から離れない
ユーリと居たい
でも、だからと言って会議には出たくない
ここに居てって言いたいけど、ちゃんと会議は出て欲しい
だからせめて、ユーリにこれ以上心配かけないようにしたい
勘がいいから不安なのがバレてるかも知れないけど
それでも精一杯笑う
「……ん…わかった」
ユーリもフッと笑う
…少しぎこちないけどね
「じゃあ行ってくっから、絶対に一人になんなよ?」
「わかってるよ」
軽く唇が触れて、すぐに離れる
「ユーリ、来たわよ」
その声に扉を見ると、フレンとジュディスとリタがいた
「…ん、行ってくるわ」
「いってらっしゃい」
あと頼んだ、とリタ達に告げてフレンと共に部屋を出て行った
「あんたも大変ね、あのわがままの面倒見るの」
私の傍に近寄りながら呆れたようにリタは言う
「ふふ、更に心配性をこじらせたものね」
扉を閉めながらジュディスが言う
「まぁ…ね、心配してくれるのは嬉しいけど…」
苦笑いして答える
「ま、いいから着替えちゃいましょ?いつまでもその格好で居るわけにはいかいでしょ」
「ん、それもそうだね」
「着替えたら、エステルのところにでも行ってお茶しましょう。おじ様もエステルのところにいるはずだから、ね」
私のクローゼットを開けて、服を選びながらジュディスは言う
…レイヴンと二人って…大丈夫かなエステル…
そんな呑気なことを考えていたのがつい先程のように感じる
私は今、大ピンチだ
後ろは壁
目の前にはちょっと楽しそうに笑うレイヴン
走ってジュディスのところに行くにも私の足では多分追いつかれる
リタもエステルもダウンしているし、ジュディスは二人の傍を離れられそうにない
ラピードとリンクはそれぞれユーリとカロル呼びに行っていていない
つまり、自力で脱出するしかないのだが……
「ふっふっふ…もう逃げられないわよ~アリシアちゃん♪」
「~~っ!!!そ、それ以上近づいたらユーリに言うよっ!?」
「今ここにいなけりゃ問題ないのよね~怒られるのは慣れてるし……ってことで…」
「っ!!!い、いーやーだーっ!!来ないでってばっ!!!」
後数cmで手が届くところまで来てしまった
フェイントかけて逃げる…?
いや、多分捕まる
でも逃げないと……っ!
バンッ!!!!!
「レイヴンっ!てめぇ何してやがる!?」
「げっ、やっばぁ…」
レイヴンの手が私に触れるか触れないかってところで、勢いよく開いた扉からユーリが飛び込んできた
「っ!!ユーリっ!!!」
レイヴンが固まった隙にユーリの元にダッシュで逃げ出して、ユーリの腕の中に飛び込む
「レイヴンさん…一体なにをしたんですか…?」
ユーリの後から入って来たフレンが呆れ気味に聞く
「い、いやぁ……大したことはしてないのよ…?」
「人の女壁際まで追い込んでて大したことしてねぇってか?」
私を抱きしめながらいつもより低い声で問いただす
ユーリからめっちゃどす黒いオーラ出てるよ…
だから近づかないでって言ったのに…
「うぅ……頭痛いです………」
「おっさん………後で覚えておきなさいよ……」
そんな会話をしていると気絶していたエステルとリタが目を覚ましたようだ
とりあえず…大丈夫そうかな……
「レイヴン……ホントに何したの…?」
「あー……いや………ただ、クッキー作ってあげただけ……なんだけど………」
「嘘つきっ!ジュディスと面白半分で変なもの入れてたくせにっ!!」
苦笑いして頬を掻くレイヴンに向かって半分涙目になって言う
「あら、私はクッキーに入れても美味しそうなものしか入れてないわよ?」
少し肩をすくめてジュディスは答えた
それを聞いてフレンは険しい顔になる
「まさか…それを食べて二人がそうなったのかい?」
「私は止めたんだけど…レイヴンが無理矢理、ね」
「な、何入れたの…?」
カロルが聞くとレイヴンは明後日の方向を向いてしまう
黙って私を抱きしめていたユーリの手がふと離れて、私を離す
珍しいことをするから何事かと思ったけど、理由はすぐわかった
「おっさん?素直に言ってぶっ飛ばされんのと、ぶっ飛ばされてから言うの、どっちがいいよ?」
ユーリは彼の胸ぐらを掴んで言っている
顔は見えないけど、すごい怒った時に見せる笑い顔が容易に想像できた
「うっ……せ……青年……苦しい……」
「アリシア、何入れてたかわかるかい?」
レイヴンが自分から言わないと察したらしいフレンが私に問いかけてくる
「……………か…」
「?」
「…変な調味料とか薬草とか辛いのとか辛いのっ!!!!」
半分泣きながら言うとフレンはびっくりする
「私…辛いの駄目だって言ってるのに、無理矢理食べさせようとしてきたのっ!」
本当にもう、あれは地獄だと思う
面白半分でリタとエステルは犠牲になってるし
逃げ回るはめになるし
「え…あ、意外と普通…?」
「普通なんかじゃないわよ……っ!凶器よ凶器っ!」
ようやく元気になったリタがガタッと音を立てて立ち上がる
「あれは……もう、トラウマです……」
エステルも体を起こして身震いしている
「せっ…青年っ!おっさんが悪かった!悪かったから!!そりゃアリシアちゃんが辛いもの食べたらどうなるのか興味あったけど…!」
「問答無用っ!!!」
「ぎゃぁぁぁぁっ!?」
この後、ユーリとリタにボッコボコにされたレイヴンだった
「ったく…だから嫌だったんだよ…」
はぁ…っと、頭に手を当てて項垂れるユーリ
「ごめんなさい、まさかそんなに変なもの入れてるとは思っていなかったわ…」
流石のジュディスも少し反省しているようだ
「にしても驚いたよ、ラピードがすごい勢いでくるんだから」
「こっちにもリンクが猛スピードで来たよ」
「あぁ、流石に何事かと思ったな」
ふーっと三人揃ってため息をつく
「だってレイヴン……ラピードとリンクに止められても止めてくれないから…」
目に溜まった涙を拭いながら言う
「しかもジュディスが言っても聞かないし……」
「槍投げてしまおうかと思ったけど、アリシアに当たってしまうかもしれなかったから」
あれ、本気で投げようとしてたんだ…
恐ろしいこと言わないで…
「…なぁフレン、やっぱ会議終了して」
「駄目だって!会議中にも何度も言ったろっ!?」
むっと不機嫌な顔をするユーリ
「レイヴンとカロルを変えれば大丈夫だろ?」
ため息をつきながら言う
「僕、レイヴンみたいに変なことしないよ!」
カロルもフレンの意見に賛同する
「ユーリ、私もカロルなら平気だと思うよ?」
ユーリの傍に行って頭を撫でる
まだ納得いってないようだが、先程『無理矢理連れて行こうとするユーリ嫌い』と言ったのが効いているのか、何度か大丈夫だよな?っと確認してきて、速攻終わらせてくると言ってまた部屋を出ていった
「ユーリ……心配しすぎだよ…」
少し呆れ気味に扉を見つめてカロルが言う
それだけ心配なのよ、と死体と化したレイヴンを片付けながらジュディスが言う
「あ、クッキー作り直してお茶の続きしません?」
エステルが思いついたように言う
誰も嫌がらなかったから、作ることになった
もちろん、私も
さっきは見ていただけだから、お菓子作りなんて初めてだから楽しみだ
…もちろん、普通に作るよ?
ーーーーーーー
「……………」
シンと静まり返った会議場
原因はオレの機嫌が悪いから以外にはないだろう
理由は円形上に作られた席の中央に座っている男
ガタガタと肩を震わせて、冷や汗をかいているのが見える
が、そんなこたぁどうでもいい
「……そのまま何も言わねぇつもりか?昨日の威勢はどうしたんだよ?」
冷ややかな声で聞けばビクッと肩を震わせるが、喋ろうとはしない
更にイライラする
「ユーリ……そんなにイラつかないでくれ…他の議員達まで怯えてしまうじゃないか…」
斜め後ろからフレンが少し呆れ気味に言うが、実際怒っているのはオレだけじゃない
アリシアの父親…レオルもまた、オレの右隣で怒りを露わにしている
理由は明白、アリシアを監禁した挙句昨日危ない目に合わせたからだろう
「……ラゴウ殿、あなたが黙っていてもあなたがしたことは明るみに出るのですよ?どちらにせよバッシングされるのは明白なのですから、喋ったらどうですか?ここにいる皆、暇ではないのですよ」
今まで会議で、口を開いたことのなかったレオルが唐突に話し出したことに驚く
オレだけでなく、議員全員が
その、温厚な見た目からは到底想像出来ないような蔑んだ声に
もちろん、オレですら聞いたことがなかった
会議場が驚きにざわめく中、レオルは淡々とただラゴウだけを見つめて話を続ける
「領地横領の罪を私に擦り付けたのは最早どうでもいいのです。そんな事よりも私には…っ!大事な娘が監禁されたことの方が大問題なのですよっ!!」
ダンッと机を殴ると同時に立ち上がる
それに迂闊にもビクッとしてしまう
まさかここまで娘であるアリシアを溺愛しているとは思わなかったのだ
流石のラゴウも驚いて顔を上げている
両手とも思い切り握り締めて怒りで震えている
突然の事態に唖然としていると
「大体…っ!ご自身がやったことが原因で議員を辞めさせられたというのに、何故それをアリシアのせいにするのですかっ!?」
今にもラゴウに殴りかかりそうな勢いで身を乗り出すものだから慌てて押える
「ま、待て待てっ!落ち着けっ!気持ちはわかるがとりあえず落ち着けって!」
「止めないで下さい、ユーリ様っ!一度殴らないと気が済まないのですっ!」
どうにか落ち着かせようとするが埒が明かない
なんとか出来ないかと、ふとアリシアを思い浮かべたが、彼女がここに来ることはまず無いだろう
オレ一人では無理だと判断したフレンも止めようと加勢した
「レオル様っ!落ち着いて下さいっ!」
「そんなに簡単に落ち着けるわけがないですよっ!!」
後ろから二人で羽交い締めにしたが、思っていたよりも力が強くて苦戦する
ジュディスを呼んでくるように頼もうとしたその時
ギィっと、扉が開いた
「………何、していらっしゃるのですか………お父様……」
はぁ…っとため息をついて入ってきたのは、アリシアだった
これにもこの場に居る全員が驚いた
あれほど嫌がっていたのに…
が、一つおかしなことがあった
アリシアの目が少しおかしい
以前、執務室でオレに説教した時もだが、目が据わってないというか、ただ一点をじっと見ているというか
アリシアを見た瞬間、今まで暴れていたレオルが急に大人しくなったと同時に、何故か硬直している
「アリシア…っ!?なっ、何故…っ!?」
「リンクがお父様が暴れそうと呼びに来たから来てみれば……私のことを心配して下さるのは嬉しいのですが、会議を中断せざる負えないようなことをするのはやめて頂けませんか?」
ラゴウにすら目を向けず、真っ直ぐにこちらに来る
すると、今度はアリシアから逃げようとしだした
「………お父様?」
目の前まで来るとニコッと笑うが、その笑みはいつもオレに向けてくるものとは違い、怒りが混じっていた
「はっ…はい……」
アリシアに呼ばれた途端、ピタッとその場に停止する
これ以上押える必要がないと判断して、少し離れた
「あっ…と、だな?アリシア…これは……っ!」
「言い訳無用っ!何度目ですかっ!?一度や二度ではありませんよっ!?」
珍しく怒鳴り声をあげるものだから唖然としてしまう
普段大人しく、人が多いところでは怯えている彼女とは到底思えないほどに
「だ…だがな…?アリシア……私はお前の為にだな……」
「私の為だと仰るのでしたら、もう少し時と場合というものを考えて頂けませんか?
……ユーリ、少しの間お父様お借りさせて頂きますが、気にせず続けて下さい」
「あ、あぁ……わかった」
ニコッと微笑んで言ってくる彼女に思わず敬語を使っていたことを忘れて返事をした
オレの返答を聞くと、レオルの耳を引っ張ってそのまま出て行ってしまった
再びシンと静まり返った会議場
「あー……フレン、どーするよ、これ…」
「アリシアはああ言ったけど……今回はここで打ち止めの方が……」
「……だな……」
こうして、一度会議は中断
青ざめるラゴウをフレンが独房に連れて行ったが議員達からは、何も言わず証拠と証人が揃っているのであれば、極刑を下していいのはと言われた
それもそうかもしれない…か
ーーーーーー
アリシアが寝室に戻って来たのは夜の十時を過ぎた頃だった
どうやら着替えてきたようで寝巻きを着ている
ため息をつきながら既に部屋に戻ってベッドで本を読んでいたオレの隣に座った
「お疲れさん、会議場普通に入ってこれたじゃねぇか」
パタンと本を閉じながら言うとビクッと肩を震わせて顔を強ばらせる
「?アリシア?」
「はぁぁぁ………もーやだ………」
そう言って顔を毛布に埋めた
わけがわからずポカーンとしていると、少し顔をこっちに向けて
「私も、ユーリと同じかもれないや」
と苦笑いしながら言ってきた
それを聞いてようやく合点がいった
人が多い場所が駄目だというのに堂々と入ってきたあの行動
一点をただじっと見つめているあの目
そして、さっきの言葉
…つまり、だ
「アリシアもキレたら収集がつかねぇってか?」
少しニヤっとして言えばまた顔を隠してしまう
「なるほどな、レオルが焦ってたのもそうゆう訳か。……んで?人には『もう少し冷静に』とか言っておいて、自分は冷静にならねぇってか??」
アリシアを抱き寄せ、顎を無理矢理あげて目線を合わさせる
するとみるみる顔を真っ赤にさせていく
「~~っ!//ユ、ユーリやお父様みたいに暴れないもんっ!!///」
「暴れない、ねぇ?ありゃ半分暴れてんのと変わんねぇと思うぜ?何も行動だけじゃねぇんだぜ?」
「あぅ………」
「それと……オレに敬語なしって、言ったよな?」
ニヤッと笑ってアリシアの返答も聞かずに唇を重ねる
突然のことに驚いてか、胸を押してくるがすぐ諦めたのか甘い感覚に耐えるように服を掴んできた
「はっ……」
「ふぁ……もう……っ!」
「敬語使ったアリシアが悪ぃ」
「わ…っ!」
アリシアを抱きしめたままベッドに横になる
「今日はもうこのまま寝る」
「今日は…って、いつもでしょ?」
「ははっ、それもそうか」
くくっと笑っていると、アリシアも笑いだす
「おやすみ、アリシア」
「おやすみ、ユーリ」
そう言って二人揃って眠りについた