短編(sss)

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ねぇねぇ、山勢さん
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いつも通りの一日が始まる。

母さんが作る焼きたてのパンの薫りを通り過ぎて、爽やかな風を浴びながらゆっくりと通勤して

息の詰まる誓約を交わし
貴方の柔らかな笑顔に溶かされる。

毎日同じ事を繰り返して
当たり前の日常に、いつも貴方がいた。

もうあの優しさに包まれることはないけれど
ぼくは今でも貴方を夢に見る。

いつか再び逢えるのならば
その時はまた
貴方の笑顔に ─ … 。

END.
縋るその手を、取れば良かった。
(貴方の最後の温もりだったのに)
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