短編(sss)

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Happy Birthday!
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淡い紫色したまんまるの瞳。無垢で穢れのない瞳にボロボロの衣を身にまとった自分がうつるたび 何とも言えないこっぱずかしいような、むず痒いような感覚が指先から全身に走る。

なぁ シオン。
お前もおれも、本当に運がないんだぜ?

『この世に生まれるって、数字にしたら奇跡に近い確率なんだよ』

なんて、どこかのおバカさんが弾んだ声で言ってたけど おれ的にキセキって言う言葉は良いことに対して使う言葉だ。

空腹でのたれ死んだり カビのはえかけたパン喰わなきゃいけないような世界に生まれて、いったい誰が喜ぶんだよって思ったね。

アタリくじに見せかけたハズレくじ。
どんだけ運が悪いんだよってな。


けど、だけどさ。

お前がおれのところに来たっていうこの事実だけは 、『キセキ』を感じるよ。

お前の声が おれの気持ちを和らげてくれる。
お前の笑顔が おれの心を丸くする。

「ハッピーバースデー、シオン」

悪いけど、お前とおれが出会った一年前のあの日がお前の誕生日だ。生意気な態度でお前なりのキセキを語る日まで 一緒にいてやるよ。


END.
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