短編(sss)

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さよならの悲願
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「行かないでくれ」

そう、告げたのにきみは行ってしまった。

ぼくの想いを、
きみは受け止めてくれなかった。

ねぇ、どうして
ぼくときみの道はこんなにも歪んでいるのだろう。

交わって。
離れて。
再び交わって。
離れて。

次に交わる為の道筋はどこにある?

「ネズミ……」

きみはその道を知っているのか?
だから行ってしまったのか?。

──それとも…。


きみの為に
きみと共に
“在りたい”と思った。

その感情が罪なのであれば、いっそぼくの身体ごとこの世界から消してくれ。

『再会を必ず』

ぼくを引き留めるきみの言葉を
いっそ、ぼくの記憶から消してくれ。

「ネズミ、」

もう何度、きみの名前を呼んだだろう。
愛しさが悲しみで染まらないよう、今日もきみへの想いを風にのせる。

END.

(あぁ、どうか、どうか。
 ぼくの声を彼に届けておくれ。)
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