PSYCHOBREAK2
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「あぁ、どうしたらいいんだ。うーん…」
めずらしく悩ましげに頭を抱えているステファノ。ソファに座ったままカメラ片手にブツブツと呟いている。
見目麗しいステファノ、こうしてじっとしている姿ならとても絵になるのだが。
どうせまたくだらないことでブツブツ呟いているに違いない。
恋人のななしは呆れたようにじとりとステファノを一瞥した。
するとパチリと視線があってしまって。
うわ、やばい。目が合った。面倒な事になるぞ。ななしの頭の中に警報が鳴り響くのでとっさに目をそらすもステファノは優雅にこちらに歩いてきた。
オブスキュラと戯れていたななしの手を取りステファノはソファへと招く。
先程同様ソファに深く腰掛けたステファノは自身の膝にななしを座らせ、あるものを見せた。
『な、なにこれ』
「アルバムだよ」
『……』
「君のね!」
ぱっと見せられたのは確に自分の写真が貼られたアルバムだ。しかもかなり太いしNo.2と書かれている。
しかし、どの写真も笑顔なんかではない。
痛みに歯を食いしばる写真、疲れて口を開いている写真、泣いている写真、しまいには情事中の写真まで。ひとつとしてまともな写真はないにも関わらずステファノは平然とページをめっていく。
『や、やめろ!なんておぞましいアルバム作ってんの!』
「おぞましい?君の魅力が詰まった僕の傑作なんだけど?」
『ステファノさんは傑作でも俺にはおぞましいんだって!お願いしまって』
「ほら、これなんかいいだろ?君が豪快に転んだ時。足首をくじいていて君は喚いていた時のさ。とてもいい顔だったよ」
『悪趣味すぎる…。しかもどれもこれも同じに見える…。もうやだ』
これもいいね!これも捨て難いし、これはより鮮明だ!楽しげにページをめくるステファノ。
もう何も見るまい。ステファノにとっては傑作だろうとななし本人にとっては黒歴史アルバムである。
ななしは目を閉じステファノの肩に額を押し付け視界を遮断した。
なにかをぺらぺら喋っているが、無視だ。どうせくだらないことに違いないから。
彼の肩に顔をうずめていれば心地よく。うつらうつら微睡んでいると急に「聞いているのかい?」と背をゆるく叩かれた。
『なに』
「僕の話を聞いているのかい?重要な話だよ」
『聞いてなかった』
「はぁ…君に頼みたいことがあるんだよ」
『え!?なになに!俺何したらいい?』
こちらの世界でななしの行動にはかなりの制限がある。外にも出られないし、部屋も散策禁止令が出されている(作品を壊すかもしれないかららしい)。オブスキュラと遊ぶか圏外の携帯をいじるか、ななしに許されているのはこれくらいだ。
つまらない日常である分、変わったことがあれば嬉しい。
頼られることが嬉しいななしは前のめりになりステファノに詰め寄った。くすくす笑うステファノの大人の笑顔に少し気恥ずかしくもあったが、それより頼みが気になるななし。開き直ったようにステファノを覗き込んだ。
『なに!?』
「モデルになってくれないかい?」
『モデル!?ど、どんな!?』
「君の美しさや芸術性を僕は全世界に発信し、共有したいんだよ。このアルバム含め僕のアートをね。でも、些か君の写真が淫猥でね…」
『淫猥って…真面目にどこが?』
「だから躊躇っているんだ…」
『無視かよ…』
「しかし共有したい。だから僕は決めたよ。僕ほどの芸術家なら君の美しさを損なわず、かつ淫猥さを消し全世界に発信し共有する事ができる!簡単だ、僕が君を描けばいいのさ。だからモデルになってくれないかい?」
『ステファノさん!本当にやめて!全世界に俺を発信なんて…嫌だし!』
「もうきめたことだ。喚かずあそこに立ってくれ」
『結局強制じゃん!』
「何か言ったかい?」
『ナンデモナイデス』
グダグダ柄にもなく悩んでいたステファノだがどうやら余程くだらない理由だったらしい。
共有しないという選択肢はないのか、とおもいつつもなにか言えば百倍にして返されるのであえて言わなかった。
おとなしく指さされたソファへと向かう。ステファノは既に画材道具をあちらからこちらからせわしなく運んでいて、どうやら本当に実行する気らしい。
椅子を運びイーゼルにサンフラワーを載せ、お気に入りのナイフで鉛筆を削るステファノは不本意ながらとても様になっていた。
足元には絵の具やら筆やら、様々な道具がある。デッサンだけでなく、絵の具も使うのかとななしは遠くを見つめる。
『というか、ステファノさんって絵描けるの?』
「僕、芸術家だからね」
『自称でしょ…でも確かに手先は器用だからうまそうだけど』
「君は絵とは無縁そうだ」
『まぁ、描けないけど』
「それより、何をぼさっとしてるの?早く服を脱いで。描けないだろう」
『…は!?!?』
「裸男も立派な芸術だよ」
ななしはぽかんとステファノを見つめた。優雅に足を組み未だに鉛筆を削る彼に『なんて?』と繰り返せば「服を脱いで」だそうだ。
頭で反芻して、よく考えてみる。
服を脱ぐ。
『あ、上半身だけ?』
「全部だよ」
『だよねぇ、全部だよね〜って!おかしいだろ!や、やだよ!?』
「オブスキュラ、脱がせてあげて」
「んはぁぁん!!」
『い、いや!やめてっ!?オブスキュラ!』
先程まで仲良く遊んでいたというのに、大きな手はななしの細い腕をまとめて掴むと簡単に固定してしまった。
もう片方の手が器用にズボンのベルトを引き抜き、ソファへと放り投げる。
支えをなくしたズボンはするっと足首まで。あっという間にボクサーパンツが現れると「みっともないね」と笑うステファノ。
羞恥と怒りで赤くなったななしはもがきながら『変態!』と怒鳴ってやった。
「失敬だな。これもアートだよ」
『こんなのアートじゃないっ』
「それは僕が決める事だ、ななしは気にしなくていいよ」
オブスキュラに拘束されズボンをひんむかれたままの姿をステファノはカメラに収めた。
『う、嘘だっ。やめよ?ね?ステファノさん?』
「やめないよ。いい子だから絵に描かれてくれ。すぐに済む」
『やだっ!』
わなわなと慌てるがオブスキュラの拘束は解けない。
大きな手のくせに器用なオブスキュラに息付く暇もなく全てをむしり取られななしは真っ裸になってしまった。
服を持ち走って逃げていくオブスキュラを睨みながらななしは素早くしゃがみこむ。
なるべく体を小さくすればステファノに見られる部位も減る、というかこんな明るい場所でさらけ出せるわけがない。
「君は全く…、いつも見ているだろう?」
『ぜんぜん違う!見てない!』
「何が違う?ほら、立って」
『ステファノさんっ、やだって』
いつも、とは情事中の事だろうか。しかしそれにしたって情事中はステファノも裸であるし、なによりこんなに明るい照明はない。あるのはひっそり雰囲気を盛り上げるベッドサイドのライトだけ。
人の全てを照らし出す照明などおいてあるものか。
もだもだしてなんとかやり過ごそうとしていればステファノが首を降りながら立ち上がった(目は笑っていない)のでななしも咄嗟に立ち上がった。
近くにあった場を仕切るための赤いカーテンで体を隠しながら。
「いじらしいが、焦らされるのは嫌いなんだ。はやく前にでて。ソファの前に立ってくれ」
『い、いいじゃん!カーテンにくるまる俺!アートじゃん!』
「どんなコンセプトかは分からないけど僕は描きたい構図が決まってるんだよ。早くしないとオブスキュラにまた、拘束させるからね。あれもなかなかいい構図だった。2人とも僕の最高傑作だからね」
『やだ!』
「なら早くきたまえ」
『うっ、すぐに済む?』
「1時間ほどかな」
『長いよ!』
「どうせ嫌という程時間があるじゃないか」
『……わ、わかったよ』
「懸命な判断だ」
ようやく渋々カーテンから出てきたななし。
隠すものがなくなり文字通り全てをさらけ出したななしは恥ずかしさに顔を真っ赤にし、ステファノから目線をそらした。
情事中なんか目じゃないくらいに視線と羞恥をかんじる。
これが1時間、苦しい時間になりそうだ。
「はぁ…やはり美しいねななし。思っていた以上に綺麗で白いよ」
『い、いいから早く描いて!』
「分かってる、隅々まで綺麗に描くよ」
そう言ったステファノは早速鉛筆を滑らせた。シュッシュッと紙を滑る鉛筆の音を聞きながら気を紛らせるようにあれこれ考えるななし。
早く終わればいいのに、と明後日の方向をみていると「動かないで」と強めに咎められた。
変に体の力が入っているせいでそこら中やんわりと痛む。手先や足先が何故か震えているような感覚が広がり、苦しい。
そんな感覚と格闘していればステファノは「あはは」と声を出し笑った。
鉛筆を置くとななしの方へやってくる。
『な、なに』
「体に力が入りすぎてる。カチカチだ。体を痛めるよ」
『だって、どうすればっ』
「力を抜いて」
『あっ、ス、ステファノさんっ』
どう力を抜けと言うのか。
ゆったりと鉛筆を顎に当てながらななしの後ろに回るステファノ。
肩をつかみ耳元で囁くステファノに疑問を浮かべれば同時に肋をするりと撫であげられた。少しだけ浮き出た肋の凸凹をゆっくり確かめるようになぞる指先にくすぐったくてななしは、ステファノから離れるように体をくねらせる。
しかし「ポーズは崩さないで」だそうだ。
無理にも程がある。
いったりきたりする手を掴み擽ったいからやめてと伝えるもくすくす笑うだけ。
ステファノは楽しんでいるに違いない。
『ステファノさん、力抜けたから』
「まだ硬いよ」
『早く描いて終わらせてよ』
「んー、そうだねぇ」
『んっ』
今描くからといいつつ、ななしを抱きしめたステファノは肋に滑らせていた指を次は股関節へと持っていく。
革手袋の冷たい感触と危うい感触に吐息のような喘ぎが喉から漏れでる。
やわやわと股関節に触れながら首筋に優しく噛み付いてくるステファノにななしは身震いした。
『あ、あぅ、ステファノさん。やめて、』
「体をほぐしているんだ。じっとして」
『さ、触り方がヤラシイんだけど…』
「それは君の脳内が厭らしいせいだね」
『あっ、ち、違っ』
「違わないよ…」
股関節からゆっくりゆっくり恥骨に手が行き、優しく撫でる。ギリギリの快感にななしは腰をくねらせ、後ろにいるステファノに体重をかけるように体制を崩した。
『ぁっ、はぁ、や、やめてっ…描かないの?』
「いや、描くよ。でも描くには色々準備があってね。触って確かめないと分からないものもある」
『ぅっはっ!な、なにするんだよっ!?』
「君は体毛が薄いね」
『んぅっ!』
あろうことかステファノは陰毛をさわさわと撫でるのだ。これにはななしも悶え抗議するも、何の気なしに続ける。
「柔らかいんだねぇ」と面白そうに言うので途端にななしの顔は真っ赤になる。
そんな部分をまじまじ触られ観察されているのだ、恥ずかしくもなる。
静かな場所でただ自分だけ裸で恋人にひっつかれいじられ…シチュエーションだけでも余程だが、淡い快感が蓄積しななしの陰茎は少しずつ熱を持ち立ち上がってきたのだ。
「おや、モデルを頼んだのに。まさか興奮しているのかい?」
『ステファノさんが触るからじゃんかぁ!』
「まだ触れていない部分が固くなっているようだけれど?」
『い、いじわる言うなよっ』
「あはは。でも充分体がほぐれたみたいだね。僕は続きを描くから。体は楽にしたまま立っていてくれ」
『…は、はぁ?』
もうセックスに流れ込んだっていい雰囲気だった。それなのにぱっとはなれて行くステファノにななしは心の底から『ありえない!』と文句をつけた。
聞きつけないよ、とばかりに無視をしデッサンをする彼にはわなわな震える。
ありえない、このまま放置など。
半勃ちの陰茎をさらけ出し、しかも絵に描かれているなんて。
半勃ちの陰茎含め!
どんな拷問だ、ななしはギリギリ歯ぎしりをしながらステファノを睨めば彼は至極愉快そうにケタケタ笑った。
大人の余裕を見せつけられているようだ。
盛りのついた犬のような自分にななしはため息をつく。
しかしとは言うもののズクズクとした鈍い快感が下腹部をぐるぐる回るのはどうにもできないのだ。
どうせなら強く扱いて果ててやりたいがミジンコ並のプライドがそれを邪魔した。
『す、ステファノさん!』
「シー。モデルは喋らないで」
『ステファノさんっ、お願いだからっ、』
「まだ描き終えてないから待ちなさい」
『ねっ、だって、』
「君が早くと言ったんだ。違うかい?」
『違わないけど…』
「じゃぁ、待ちなさい。動かず喋らずね」
一度も目が合わない。
こうなるとステファノは本気で絵を描き終えるまでななしに手を出さないだろう。
まゆを八の字にしたままぷるぷる震えるななしは理性を手放さぬようにした唇を噛み締めた。
それから数10分たっただろうか。
結局まともに会話すらしなかった。ステファノ「終わったよ」の声に脱力するとななしは体を抱くようにしゃがみこむ。
「ななし」
『ば、馬鹿ぁ!』
「よく我慢したね。見直したよ、来なさい」
『ステファノさんっ』
しゃがむななしを抱きよせ、唇を強引に奪った。
待ち望んだ快感が背筋を駆け上がり、頭を満たしていく。舌が絡むほど激しいキスをすれば半勃ちであったななしの陰茎も全て勃ちあがり解放の時を今か今かと待ち望んでいた。
「ほら、見てご覧。君の苦しむ顔をうまく描写できているだろう?自信作だよ」
『しゅ、趣味悪いよアンタ』
「君も楽しんでいたように見えたよ」
『気のせいっん、んぁ、ステファノさんっ』
「見られて感じていたんだろう?君は美しいだけでなく性に貪欲だ。実に悩ましいよ」
『うっ、ぁう!』
屹立した陰茎をきゅっと握るとななしは待ち望んだ気持ちよさに短く喘いだ。
革手袋の感触とステファノの巧みな手淫に腰が揺れ、淫らな喘ぎが口から次々に飛び出ていく。
『ぁっ、あ、ステファノさんっ。あ、ん!』
「君の喘ぎは独特だ。病みつきになりそうだよ」
『はっ、ステファノさんっ、俺、気持ちいいっ』
「だろうね、先走りがすごいよ」
足に力が入らずステファノにしがみつく。
先走りを絡め亀頭をくすぐればななしは面白いほどに揺れた。
まるでステファノを誘う様な厭らしい動きだ。
鈴口がひくひくと震え始めるとななしの絶中は近い。さらに扱く手に力をこめ、めいいっぱい擦りあげる。
『はっ、はぁ!ステファノさんっ!俺イクッ』
「見せてご覧」
『ぁ、あ!イクッ。ステファノさん!俺っ、あ、あぁぅ!!』
人差し指で強めに亀頭を擦ればななしはより一層大きな声を出しながら精液を吐き出した。
ワインレッドの革手袋に不釣り合いな白い精液。
見ているだけで体が疼くようだとステファノは荒い息を押し込めにやりと口角をあげる。
果てた倦怠感にななしはステファノに寄りかかっていれば、彼はゴソゴソ動き出した。
スカーフを抜きテーブルに置く。
どうやらななしのあられもない姿にステファノも興奮してくれていたらしい。
「次は二人で気持ちよくなろう」額をくっつけたステファノにそう言われ胸を鷲掴みされたようにキュンとなる。
ゆっくり頷けば照明に照らされたその場所で押し倒された。
「綺麗だね」
『ステファノさんも』
「僕も芸術的だろう?」
『ん、ね、早く』
「はしたない子だね、ななし」
『嫌いだった?』
「嫌いじゃないから困るんだよ」
先程よりももっともっと体が密着し合えば、それは始まりの合図。
見つめあったまま指を絡め、重なり合うようにキスをした。
「…」
そんなちゅっちゅラブラブな2人を天井に張り付きみているのはオブスキュラ。
楽しげな2人に自分も楽しくなるようだ。
御機嫌に写真を撮っていく。
のちにこの写真もアルバムに貼られたりするのだが、それはまた別の話。
愉悦と快楽
(ステファノとななし)