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ガラガラと静かに戸を開けななしは家に入る。眠たい目を擦って茶の間に鞄を放りなげ、睡魔に負けそうな体を畳にね転ばた。
近くにあった座布団を抱きしめながらうとうとする。
やはり慣れない事をするのはだいぶ疲れる。
最近2年になってからななしはバイトを始めたのだ。勿論今も通うあのコンビニ。
自分を変えるという意味で始めたバイト。
兄達とは別に突出した何かがほしかったのかもしれない。七つ子と認められたくもあった、しかし反面で七つ子とはななしを蝕むものでもあった。だからこそアルバイトを始めた。変われそうな気がしたから。そうすれば少しは兄達から甘やかされ過保護にされ、違い扱いを受けることはなくなるかもしれないから。
半ば強引かつ早急に決めたバイトだったがバイト先の店長は快く引き受けてくれた。のちの声でか馬鹿店長である。
流れでカラ松に話した。カラ松は昔からななしの一番の理解者でもある。バイトを、始める。とつぶやくようにいったときカラ松は二つ返事で首を立てに降ってくれたのだ。「がんばれよ」と。
それに比べおそ松はどうだろうか。まだ話せてはいないがきっと否定するに違いない。
そんな事を考えていると不意に居間の襖が開いた。そちらに目を向ければどうやらおそ松みたいだ。
なんというタイミングだ。ななしはたぬき寝入りを決めることにした。起きていると知ればなにか小言を言われるに違いない。
「起きてる?」
『…………』
「寝てんだ?」
『…………』
「お前さ、俺に言えよ。なんでいっつも黙ってんだよ…イラつく」
おそ松の感情が吐露した。
#name名前#もななしでその一言に頭がイライラした。どうしておそ松に言わなきゃならないんだ。それは勝手におそ松が決めたことだ。強要しないでくれ。
強くそう思うものの言えないのはななしがあまりに臆病であるためだ。
「クソ松には言えて、俺にはいえないのかよ……本当っ、……チッ」
『っ、なんなんだよ!』
「は?起きてんの?」
あまりに横暴ではないだろうか。
カラ松に当たるように舌打ちしたおそ松。
ななしは堪らず起き上がり怒鳴った。あまり大声を出さないななしが声を張り上げた。
驚きと言い返された些かないらだちにおそ松は目を鋭くさせななしを見据えた。
一触即発。まさに喧嘩まったなし。
きりきりにらみ合ったまま。
『、アンタはいつもそうだっ!なんで全部話さなきゃいけないんだよ。どうせダメだとかやめろとかいうんだ。わざわざ言うわけないじゃん』
「なんだよそれ。心配してんだ、何が悪いんだよ!!」
『…心配されなくたってやってけるから!いちいち…鬱陶しいんだよ!』
「っ!」
『いっ!?』
「なんだって、いいだろ…鬱陶しいとか言ってんなよ」
頬に衝撃と痛みが走る。殴られたんだと気づいた時ななしの頭には血が登り、苛立ちが充満した。
怒りに任せておそ松の肩を思い切り押した。力に押され尻餅をついたおそ松もまた怒り去ろうとするななしの背中を蹴っ飛ばした。
最早止まりはしない。
この時生まれて初めておそ松とななしは殴り合いの喧嘩をした。
痛くてもお互い食い下がらなかった。
二人とも思う事があるから。
ななしを純粋に心配なおそ松。ななしにきっぱり鬱陶しいと言われひどく傷ついたと同時に、カラ松には心を開いているという事実に嫉妬で怒り狂っている。
ななしは認めて欲しのと、鬱陶しいのでいっぱいいっぱいだ。自分を変えたくて始めたバイトを否定されているようで苛立っている。
お互いの気持ちが噛み合わない。
だからこそ衝突しあうのだ。
「な、何事!?」
「ちょ!おそ松兄さん!!なにやってんだよ!」
「ななし!」
「喧嘩!?」
「おそ松!止めないか!」
「るせっ!!」
『いちいちカラ松兄さんに当たるのやめろ!』
「はぁ!?関係ないだろ!馬鹿!」
「お、おい!」
バタバタ殴りあっていたらどうやら皆を起こしてしまったらしく。2階から兄弟達が降りてきた。おそ松をカラ松がななしを十四松が牽制しつつ、なだめるように落ち着かせる。
それでも苛立ちは止まず、2人は大声で罵倒しあっていればとうとう母親と父親が起きてきた。
「いい加減にしなさい!」と怒鳴る母親と、各自の頬を1回ずつ叩く父親。
「夜中に…近所迷惑だろ!」
「そうよ。口まで切って…バカやってないで寝なさい」
『………』
「ななし、」
『…はい』
「こっちにきなさい。おそ松、あなたはお兄ちゃんなんだから手を出しちゃダメじゃない」
「……」
「松代、ななしの傷手当してやりなさい」
「えぇ」
母親と父親の介入で夜中の喧嘩は幕を閉じた。
両親と出ていったななしの背中を見つめつつおそ松は再び舌打ちをしたのだった。
「否定してやるなと言っただろ!」
「否定もなにも、聞いてすらねぇよ」
「ななし…大丈夫かな?」
「おそ松兄さん、何があったか知らないけどななし殴るなんて…」
「んだよ。チョロ松…文句あんのか?」
「まってまって!また喧嘩するつもり!?」
「大丈夫だよー!兄さん!ななしはね、いろいろ戦ってるんだよ。兄さんが見守ってあげなきゃ!」
「………」
十四松がおそ松の袖を引きながら念を押すように「ねぇ?」と言う。
あまりにもキラキラした瞳にタジタジになった。
こういった事には十四松はすごく敏感だ。
今も昔もおそ松とななしを影で諭してくれている。
ようやくおそ松の怒りも収まりそうになった頃。
両親と出ていったななしがかえってきた。
顔には湿布やら絆創膏やらぺたぺた貼ってある。
いつにも増してヤンキー感溢れているななしに十四松は躊躇うことなく抱き着くと彼は堰を切ったように泣き始めたのだ。
『…っひ、俺に……バイ、ト、始めたっ、うっ』
「バババイト!?夜の!?どこで!危険じゃないの!?学校もあるのに!」
「チョロ松」
「あ、えっと、ごめん」
『俺が、決めた。っ、だから、否定しないでっう、』
「賛成!」
「僕もー!ななしすごいね!」
「やればできるじゃん」
「流石だマイブラザー、ちゃんと言えたじゃないか」
トド松がななしの手を握りぶんぶんふり、一松は頭をゆっくり撫で、十四松はななしを抱きしめ、それをにこやかにみつめるカラ松。
未だ腑に落ちないと言ったチョロ松。だったがななしが泣きながらしかも気持ちまで一生懸命伝えてくれたことがとても嬉しく、しょうがないなぁと笑っている。
「ななし」
『…っ?』
おそ松はななしの前に立った。
皆が構えた。また喧嘩が始まるかもしれないからだ。
しかしそんな事はなくて伸ばされた手はななしを他の兄弟から奪い取るように抱きしめていた。
包まれるように抱きしめられるとななしもおずおずと手を回したのだ。
「ありがとう、聞けてよかった」
『……っう、うん』
そうしてようやく夜中の4時。喧嘩は終幕したのだが、勿論次の日は七つ子全員学校に遅刻した。
「……今思うと俺心狭いよなぁ」
「だいぶね」
「狭い狭い」
「#name名前#には少し窮屈かもね」
「でも、いいんじゃない?」
「ん?そうか一松?」
「今のななし見てるとそうじゃん」
「確かに、よく笑うようになったからな」
『………ただい、ぁ!アルバムだ!』
「ななし!!」
「ななしじゃん!会いたかったー!」
「怪我は?無事?」
『ぇ、あ?皆どうしたの?ただの買い物じゃんか』
「ななし~」
『だ、抱きつくなよおそ松兄さん』
「可愛いなぁ!もう!あと、」
『?』
「ごめんな殴ったりして」
『なにが?』
「よーし!ななし参戦したし!アルバム鑑賞再開じゃー!」
「おーう!」
「いや、写真探せや!!」
『…うわぁ、このチョロ松兄さん……うわぁ』
「何事!!!?」
「これも、これも、あぁ、つんつんしたななし可愛いわぁ」
『……ちょっと、写真抜き取ろうとしないでよ』
「あ!コレ見てみてななし!ふふ、面白いから」
『……え!こんなんもあるの!?なんか俺のだけ変なの多いよ!』
「そんな事ないし!」
「これ卒業した時の」
「父さん達も若いね」
『……当たり前』
「この写真、トド松泣いてる!」
「な、なな泣いてないよ!!」
『……泣いてる』
「泣いてないってばー!」
爽やかなひととき。
結局親戚のお兄ちゃんの写真は2枚しか見つからなかったが、久々にアルバム鑑賞をした七つ子。
今度からまた写真を入れていこうと決まり、最近七つ子はインスタントカメラを忍ばせて日常生活をしている。
それからしばらく松野家にはシャッター音が響いていたとかいなかったとか。
近くにあった座布団を抱きしめながらうとうとする。
やはり慣れない事をするのはだいぶ疲れる。
最近2年になってからななしはバイトを始めたのだ。勿論今も通うあのコンビニ。
自分を変えるという意味で始めたバイト。
兄達とは別に突出した何かがほしかったのかもしれない。七つ子と認められたくもあった、しかし反面で七つ子とはななしを蝕むものでもあった。だからこそアルバイトを始めた。変われそうな気がしたから。そうすれば少しは兄達から甘やかされ過保護にされ、違い扱いを受けることはなくなるかもしれないから。
半ば強引かつ早急に決めたバイトだったがバイト先の店長は快く引き受けてくれた。のちの声でか馬鹿店長である。
流れでカラ松に話した。カラ松は昔からななしの一番の理解者でもある。バイトを、始める。とつぶやくようにいったときカラ松は二つ返事で首を立てに降ってくれたのだ。「がんばれよ」と。
それに比べおそ松はどうだろうか。まだ話せてはいないがきっと否定するに違いない。
そんな事を考えていると不意に居間の襖が開いた。そちらに目を向ければどうやらおそ松みたいだ。
なんというタイミングだ。ななしはたぬき寝入りを決めることにした。起きていると知ればなにか小言を言われるに違いない。
「起きてる?」
『…………』
「寝てんだ?」
『…………』
「お前さ、俺に言えよ。なんでいっつも黙ってんだよ…イラつく」
おそ松の感情が吐露した。
#name名前#もななしでその一言に頭がイライラした。どうしておそ松に言わなきゃならないんだ。それは勝手におそ松が決めたことだ。強要しないでくれ。
強くそう思うものの言えないのはななしがあまりに臆病であるためだ。
「クソ松には言えて、俺にはいえないのかよ……本当っ、……チッ」
『っ、なんなんだよ!』
「は?起きてんの?」
あまりに横暴ではないだろうか。
カラ松に当たるように舌打ちしたおそ松。
ななしは堪らず起き上がり怒鳴った。あまり大声を出さないななしが声を張り上げた。
驚きと言い返された些かないらだちにおそ松は目を鋭くさせななしを見据えた。
一触即発。まさに喧嘩まったなし。
きりきりにらみ合ったまま。
『、アンタはいつもそうだっ!なんで全部話さなきゃいけないんだよ。どうせダメだとかやめろとかいうんだ。わざわざ言うわけないじゃん』
「なんだよそれ。心配してんだ、何が悪いんだよ!!」
『…心配されなくたってやってけるから!いちいち…鬱陶しいんだよ!』
「っ!」
『いっ!?』
「なんだって、いいだろ…鬱陶しいとか言ってんなよ」
頬に衝撃と痛みが走る。殴られたんだと気づいた時ななしの頭には血が登り、苛立ちが充満した。
怒りに任せておそ松の肩を思い切り押した。力に押され尻餅をついたおそ松もまた怒り去ろうとするななしの背中を蹴っ飛ばした。
最早止まりはしない。
この時生まれて初めておそ松とななしは殴り合いの喧嘩をした。
痛くてもお互い食い下がらなかった。
二人とも思う事があるから。
ななしを純粋に心配なおそ松。ななしにきっぱり鬱陶しいと言われひどく傷ついたと同時に、カラ松には心を開いているという事実に嫉妬で怒り狂っている。
ななしは認めて欲しのと、鬱陶しいのでいっぱいいっぱいだ。自分を変えたくて始めたバイトを否定されているようで苛立っている。
お互いの気持ちが噛み合わない。
だからこそ衝突しあうのだ。
「な、何事!?」
「ちょ!おそ松兄さん!!なにやってんだよ!」
「ななし!」
「喧嘩!?」
「おそ松!止めないか!」
「るせっ!!」
『いちいちカラ松兄さんに当たるのやめろ!』
「はぁ!?関係ないだろ!馬鹿!」
「お、おい!」
バタバタ殴りあっていたらどうやら皆を起こしてしまったらしく。2階から兄弟達が降りてきた。おそ松をカラ松がななしを十四松が牽制しつつ、なだめるように落ち着かせる。
それでも苛立ちは止まず、2人は大声で罵倒しあっていればとうとう母親と父親が起きてきた。
「いい加減にしなさい!」と怒鳴る母親と、各自の頬を1回ずつ叩く父親。
「夜中に…近所迷惑だろ!」
「そうよ。口まで切って…バカやってないで寝なさい」
『………』
「ななし、」
『…はい』
「こっちにきなさい。おそ松、あなたはお兄ちゃんなんだから手を出しちゃダメじゃない」
「……」
「松代、ななしの傷手当してやりなさい」
「えぇ」
母親と父親の介入で夜中の喧嘩は幕を閉じた。
両親と出ていったななしの背中を見つめつつおそ松は再び舌打ちをしたのだった。
「否定してやるなと言っただろ!」
「否定もなにも、聞いてすらねぇよ」
「ななし…大丈夫かな?」
「おそ松兄さん、何があったか知らないけどななし殴るなんて…」
「んだよ。チョロ松…文句あんのか?」
「まってまって!また喧嘩するつもり!?」
「大丈夫だよー!兄さん!ななしはね、いろいろ戦ってるんだよ。兄さんが見守ってあげなきゃ!」
「………」
十四松がおそ松の袖を引きながら念を押すように「ねぇ?」と言う。
あまりにもキラキラした瞳にタジタジになった。
こういった事には十四松はすごく敏感だ。
今も昔もおそ松とななしを影で諭してくれている。
ようやくおそ松の怒りも収まりそうになった頃。
両親と出ていったななしがかえってきた。
顔には湿布やら絆創膏やらぺたぺた貼ってある。
いつにも増してヤンキー感溢れているななしに十四松は躊躇うことなく抱き着くと彼は堰を切ったように泣き始めたのだ。
『…っひ、俺に……バイ、ト、始めたっ、うっ』
「バババイト!?夜の!?どこで!危険じゃないの!?学校もあるのに!」
「チョロ松」
「あ、えっと、ごめん」
『俺が、決めた。っ、だから、否定しないでっう、』
「賛成!」
「僕もー!ななしすごいね!」
「やればできるじゃん」
「流石だマイブラザー、ちゃんと言えたじゃないか」
トド松がななしの手を握りぶんぶんふり、一松は頭をゆっくり撫で、十四松はななしを抱きしめ、それをにこやかにみつめるカラ松。
未だ腑に落ちないと言ったチョロ松。だったがななしが泣きながらしかも気持ちまで一生懸命伝えてくれたことがとても嬉しく、しょうがないなぁと笑っている。
「ななし」
『…っ?』
おそ松はななしの前に立った。
皆が構えた。また喧嘩が始まるかもしれないからだ。
しかしそんな事はなくて伸ばされた手はななしを他の兄弟から奪い取るように抱きしめていた。
包まれるように抱きしめられるとななしもおずおずと手を回したのだ。
「ありがとう、聞けてよかった」
『……っう、うん』
そうしてようやく夜中の4時。喧嘩は終幕したのだが、勿論次の日は七つ子全員学校に遅刻した。
「……今思うと俺心狭いよなぁ」
「だいぶね」
「狭い狭い」
「#name名前#には少し窮屈かもね」
「でも、いいんじゃない?」
「ん?そうか一松?」
「今のななし見てるとそうじゃん」
「確かに、よく笑うようになったからな」
『………ただい、ぁ!アルバムだ!』
「ななし!!」
「ななしじゃん!会いたかったー!」
「怪我は?無事?」
『ぇ、あ?皆どうしたの?ただの買い物じゃんか』
「ななし~」
『だ、抱きつくなよおそ松兄さん』
「可愛いなぁ!もう!あと、」
『?』
「ごめんな殴ったりして」
『なにが?』
「よーし!ななし参戦したし!アルバム鑑賞再開じゃー!」
「おーう!」
「いや、写真探せや!!」
『…うわぁ、このチョロ松兄さん……うわぁ』
「何事!!!?」
「これも、これも、あぁ、つんつんしたななし可愛いわぁ」
『……ちょっと、写真抜き取ろうとしないでよ』
「あ!コレ見てみてななし!ふふ、面白いから」
『……え!こんなんもあるの!?なんか俺のだけ変なの多いよ!』
「そんな事ないし!」
「これ卒業した時の」
「父さん達も若いね」
『……当たり前』
「この写真、トド松泣いてる!」
「な、なな泣いてないよ!!」
『……泣いてる』
「泣いてないってばー!」
爽やかなひととき。
結局親戚のお兄ちゃんの写真は2枚しか見つからなかったが、久々にアルバム鑑賞をした七つ子。
今度からまた写真を入れていこうと決まり、最近七つ子はインスタントカメラを忍ばせて日常生活をしている。
それからしばらく松野家にはシャッター音が響いていたとかいなかったとか。