企画・リクエスト等
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もしも敵に捕まったなら、潔く死んでくれ。仲間を巻き込まずに」
彼の心情は常にこうであった。
それを初めて聞いた時ななしはその通りだと思う反面で、あぁなんて悲しい人なんだとも感じた。
松野カラ松。巷ではよく"死神"と揶揄されていた。誰よりも人を殺すことにためらいがないから。彼の心情通り彼は1度敵に捕まった味方を救ったことは無い。全体を巻き込み犠牲を増やすよりは、1人で死んでもらった方が最小限で収まる。マフィアで当たり前の考え。
しかし、そう言われているだけありカラ松の腕は確かなものであった。
カラ松率いる小隊。精鋭揃いの屈強な小隊だ。
それでも人の入れ替わり立ち替わりが一番激しいのはその小隊。あれほど精鋭揃いにも関わらず、だ。
意味しているのはどの隊よりも犠牲者が多いということ。
それは、やはりカラ松の心情と密接に関わっているに違いない。
「#name名前#?」
『……あ、ん?カラ松兄さん』
「寝ないのか?」
『……みんな帰ってきてないしまだ、起きてるよ。兄さんは確か明日早いんじゃなかった?』
「ななしが起きてるなら俺だって起きてるさ」
『そか』
しばしば沈黙が広がる。
どれほど死神だと、非道だと揶揄されても。カラ松はななしにとってかけがえのない大切な兄であった。
だからこそ、思うことはあった。
それが自然と唇から溢れ出したのだ。
『兄さん…もし、俺が敵に捕まったら、兄さんの手で殺してね』
「……」
『……兄さんの、言う掟通りだよ。だから、殺してね』
「………」
いつだったか。昔もこんなふうにカラ松に頼んだ記憶がある。しかしあの時も今もカラ松は決して頷きはしなかった。
ただ、それは兄弟だからではなくて。全く別の心内に苛まれているせいで答えられないのだ。
知りもしないななしは約束を取り付けてくれない毎にカラ松に失望していく。
俺を殺せるくらいに大きな存在であって。
お願いだから、失望させないで。
ななしは酷く悲しい顔でカラ松に言う。
カラ松はやはり答えはしなかった。
そんな死神の葛藤など誰も知る由もない。
*****
もし、ななしを殺せと言われたらそうすることが出来るのか。
敵に捕まったななしに「潔く死んでくれ」と、言い放てるだろうか。
昨日夜中にななしが俺にもしも捕まったら自分を殺してと言った。あれは一方的な約束でしかない。おれもこたえなかった。
それでも体中を蝕んでいる。
「カラ松、ん?カラまーつ!」
「…っ、なんだ、おそ松か」
「なんだってなんだよ。ぼぉっとしてさ!」
「なになに?イライラしてるの?」
「えー!カラ松兄さんイライラしてんのー!?なんで!」
「はいはい。あとは帰ってから話そうねぇ。あ、一松!面倒だから監視カメラだけ、壊しといて」
「けっ、めんど」
「ったー!肩こったし。かえろかえろ!ななし何作ってくれてるかなぁ?」
「僕ね今日ななしにミネストローネ頼んどいた!」
「でかしたトド松!」
傍らで兄弟達が楽しげに話している声が聞こえる。一松はハンドガンで監視カメラを打ち壊している。
もし、俺は彼らが捕まればどんな行動をとるのだろうか。自分では全くわからない。
死神だと揶揄されるほども、本当は強くも弱くもなくて。俺はただただ臆病なだけだ。
情けなさに拳を握る。
「ボス!」
「ん?どしたの?」
仕事が終わった俺達のところにおそ松の小隊の奴らが青ざめた様子で走ってきた。
尋常ではない勢いで彼は叫ぶのだ。
「ななしさんが!やつらに!!」
瞬間部屋が絶対零度に凍りついた。
誰もが笑顔をなくし、真剣な表情になる。
選択の刻はそこまで迫ってきていた。
彼の心情は常にこうであった。
それを初めて聞いた時ななしはその通りだと思う反面で、あぁなんて悲しい人なんだとも感じた。
松野カラ松。巷ではよく"死神"と揶揄されていた。誰よりも人を殺すことにためらいがないから。彼の心情通り彼は1度敵に捕まった味方を救ったことは無い。全体を巻き込み犠牲を増やすよりは、1人で死んでもらった方が最小限で収まる。マフィアで当たり前の考え。
しかし、そう言われているだけありカラ松の腕は確かなものであった。
カラ松率いる小隊。精鋭揃いの屈強な小隊だ。
それでも人の入れ替わり立ち替わりが一番激しいのはその小隊。あれほど精鋭揃いにも関わらず、だ。
意味しているのはどの隊よりも犠牲者が多いということ。
それは、やはりカラ松の心情と密接に関わっているに違いない。
「#name名前#?」
『……あ、ん?カラ松兄さん』
「寝ないのか?」
『……みんな帰ってきてないしまだ、起きてるよ。兄さんは確か明日早いんじゃなかった?』
「ななしが起きてるなら俺だって起きてるさ」
『そか』
しばしば沈黙が広がる。
どれほど死神だと、非道だと揶揄されても。カラ松はななしにとってかけがえのない大切な兄であった。
だからこそ、思うことはあった。
それが自然と唇から溢れ出したのだ。
『兄さん…もし、俺が敵に捕まったら、兄さんの手で殺してね』
「……」
『……兄さんの、言う掟通りだよ。だから、殺してね』
「………」
いつだったか。昔もこんなふうにカラ松に頼んだ記憶がある。しかしあの時も今もカラ松は決して頷きはしなかった。
ただ、それは兄弟だからではなくて。全く別の心内に苛まれているせいで答えられないのだ。
知りもしないななしは約束を取り付けてくれない毎にカラ松に失望していく。
俺を殺せるくらいに大きな存在であって。
お願いだから、失望させないで。
ななしは酷く悲しい顔でカラ松に言う。
カラ松はやはり答えはしなかった。
そんな死神の葛藤など誰も知る由もない。
*****
もし、ななしを殺せと言われたらそうすることが出来るのか。
敵に捕まったななしに「潔く死んでくれ」と、言い放てるだろうか。
昨日夜中にななしが俺にもしも捕まったら自分を殺してと言った。あれは一方的な約束でしかない。おれもこたえなかった。
それでも体中を蝕んでいる。
「カラ松、ん?カラまーつ!」
「…っ、なんだ、おそ松か」
「なんだってなんだよ。ぼぉっとしてさ!」
「なになに?イライラしてるの?」
「えー!カラ松兄さんイライラしてんのー!?なんで!」
「はいはい。あとは帰ってから話そうねぇ。あ、一松!面倒だから監視カメラだけ、壊しといて」
「けっ、めんど」
「ったー!肩こったし。かえろかえろ!ななし何作ってくれてるかなぁ?」
「僕ね今日ななしにミネストローネ頼んどいた!」
「でかしたトド松!」
傍らで兄弟達が楽しげに話している声が聞こえる。一松はハンドガンで監視カメラを打ち壊している。
もし、俺は彼らが捕まればどんな行動をとるのだろうか。自分では全くわからない。
死神だと揶揄されるほども、本当は強くも弱くもなくて。俺はただただ臆病なだけだ。
情けなさに拳を握る。
「ボス!」
「ん?どしたの?」
仕事が終わった俺達のところにおそ松の小隊の奴らが青ざめた様子で走ってきた。
尋常ではない勢いで彼は叫ぶのだ。
「ななしさんが!やつらに!!」
瞬間部屋が絶対零度に凍りついた。
誰もが笑顔をなくし、真剣な表情になる。
選択の刻はそこまで迫ってきていた。