嫌いかもしれない
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7つ子の布団で眠る兄達を一瞥してななしはバイトにでかけた。
深夜く帯のバイトはねむい。しかし客も少なければやることもない。ねむいを除けば理想的なバイトなのだ。しかも給料もかなり高い。ちなみに時間は11時から朝の6時。
コンビニは徒歩で20分と少しくらいかかる。寒さに体を震わせてマフラーを鼻先まで上げる。
「お!ななし~」
『……っす。今日も眠いですね』
「まぁ、深夜帯だしな。ちまちま頑張ろうぜ」
『……っす』
コンビニにいつもいるのは店長の春日井さんだ。店員という割には若い。ノリも歳も若い。
いつも着用している服に着替えて、レジについた。
"分からなくてもいいなんて言うな"
おそ松の苦しげに吐かれたその言葉が頭の中から離れない。
あの後から一度もしゃべらなかったし一度も目を合わせなかった。たんにいつもキスをした後はそうなのだが今日は違うように感じた。
おそ松の顔がずっとおこっていた。
それだけが頭から離れない。
『……はぁー』
「なになに?恋煩い?」
『……』
「無視!?ななしどうしたんだよ」
『……ただ、ちょっと喧嘩しちゃったんですよ』
「あー、7つ子兄さんと?」
『……うん』
「いつもの事じゃん!気負うなって」
『……まぁ、そうなんですけど、』
「やっぱ7つ子なんてさ喧嘩してあたりまえだろ?しかも男だぞ、全員。やりたいこともたくさんあって、方向性がちがってぶつかり合うこともあるって」
『……正直、普通とは違うんで。春日井さんのアドバイス何の励ましにもならないんで』
「辛辣ぅー!!もう、ななしは本当に辛辣なんだから。俺泣いちゃうよ!?」
『……のりが嫌いだ』
「え!?」
おそ松とにているから。
昔からそうだ、何かを言えばオーバーリアクションするおそ松。
昔はかまってもえているんだって嬉しかったこともあるが、今ではただウザイだけでしかない。
7つ子の兄だから弟である、俺を甘やかすのか。それが嫌だ。7つ子の中で違う扱いを受けるのが嫌で嫌で仕方なかった。
生まれたときからなんとなく体が小さかったらしい。幼稚園に上がったら確実にななしだけ一回り小さい。くわえて病弱だったからなかなか外で遊べなくて体つきは全く違うものになっていった。
外で走り回りたい兄達には悲しくもついていけなくて。ななしはいつだって、一人で遊ぶしかなかった。
園内から見える6人が全く別の人のように見えて、あぁ。違うなってその時からずっとわかってた。
小学校に入ってもイタズラで悪ガキな兄達は近所で有名だった。
6つ子として。
本来7つ子であるのがあまり浸透しなかったのはやはりななしが外であそべなかったからだろう。
兄達はきにしてないようだったけど、周りからの視線に敏感だったななしはそれがいたたまれなくて兄達と距離をとる。
そうなれば一人が楽でずっと一人だった。中学校も高校も。
誰も寄り付かなかったし、むしろ7つ子だなんておもわれたくなかった。どうせなら6つ子で勝手にやっていて欲しい。
だから、間違われたくないからピアスをあけた。バイトを始めた。しっかりしてれば心も自立していったしバイト先での友人も見つけられた。
それで平穏。終わり、でいいのにおそ松はそれが気に食わないんだ。
『………』
「…思いつめてんのな。大丈夫だって、」
『……だと、いいんだけど、そうにもいかないんすよ』
「多分可愛いくてしかたないんじゃない?末の弟だし」
『……やっぱり一人暮らししたい。春日井さん、一人暮らしできる場所見つけられるまで泊めて』
「え、あー。別にいいけど」
『……駄目っすか?』
「………っ、駄目じゃないよ。でも、いいのか?兄さん達怒らないの?火の粉浴びなくないなーなんて」
『……浴びないでしょ、春日井さんいままでなんかされてるの?』
「……………」
春日井は押し黙る。実はかなり前からおそ松に何かしら言われてたりする。が、ななしには秘密だ。
しばらくだべっていたら自動ドアが開く音がした。2人同時にそちらに向けばだらしなく口を開いた十四松が手を挙げて入ってきたのだ。
「あ、黄色だ」
「こんばんはーっす!」
『…じゅ、十四松兄さん!もう2時だよ?』
「んー。ん!おそ松兄さんまだ起きてるよ!」
『……なんで、おそ松兄さん?』
「タバコ吸ってた!」
『……そか』
「あと、」
『?』
「名前呼んでた!ななしって!バイト言ったよって教えてあげた!」
『……っ、』
「ななし、兄さんと喧嘩したの?」
『……うん』
「そか!僕良くわかんないけど仲直りしてね!兄さんもななしも泣きそうだから」
「黄色ー。肉まんたべる?」
「たべるっす!!!」
袖がダルダルの手で頭をぽんと撫でる十四松。昔から仲直りしてと真っ直ぐに催促してくるのは十四松。
それが助けになってるのは確実だ。
いつでも感謝していると同時にその真っ直ぐさがたまに眩しすぎて辛くなる。
肉まんを頬張る十四松がふとななしを見てにっこり笑う。釣られてななしも笑うと嬉しそうにはしゃぐ十四松。
「ななし!帰ったら野球しよ!おそ松兄さんもカラ松兄さんもチョロ松兄さんも一松兄さんもトド松も!勿論ななしも!皆でしようっ!そしたら楽しいから」
「えー!楽しそう!7つ子に混じりたい!」
「あ!駄目っすよ!7つ子だけで遊ばないと!」
『……春日井さん来んな!キモイ!黄色じゃねぇ!だって』
「黄色そんな辛辣な事言った!?意味は同じだけども!中身そんな詰まってた?」
「わーい!野球だ!あ、肉まんありがとうございますっす」
パタパタ走る十四松に、少なくとも心が軽くなる。
絶対に野球をしてあげようと決心した。
かすれた声で名前を呼ぶ
(ななし…)
深夜く帯のバイトはねむい。しかし客も少なければやることもない。ねむいを除けば理想的なバイトなのだ。しかも給料もかなり高い。ちなみに時間は11時から朝の6時。
コンビニは徒歩で20分と少しくらいかかる。寒さに体を震わせてマフラーを鼻先まで上げる。
「お!ななし~」
『……っす。今日も眠いですね』
「まぁ、深夜帯だしな。ちまちま頑張ろうぜ」
『……っす』
コンビニにいつもいるのは店長の春日井さんだ。店員という割には若い。ノリも歳も若い。
いつも着用している服に着替えて、レジについた。
"分からなくてもいいなんて言うな"
おそ松の苦しげに吐かれたその言葉が頭の中から離れない。
あの後から一度もしゃべらなかったし一度も目を合わせなかった。たんにいつもキスをした後はそうなのだが今日は違うように感じた。
おそ松の顔がずっとおこっていた。
それだけが頭から離れない。
『……はぁー』
「なになに?恋煩い?」
『……』
「無視!?ななしどうしたんだよ」
『……ただ、ちょっと喧嘩しちゃったんですよ』
「あー、7つ子兄さんと?」
『……うん』
「いつもの事じゃん!気負うなって」
『……まぁ、そうなんですけど、』
「やっぱ7つ子なんてさ喧嘩してあたりまえだろ?しかも男だぞ、全員。やりたいこともたくさんあって、方向性がちがってぶつかり合うこともあるって」
『……正直、普通とは違うんで。春日井さんのアドバイス何の励ましにもならないんで』
「辛辣ぅー!!もう、ななしは本当に辛辣なんだから。俺泣いちゃうよ!?」
『……のりが嫌いだ』
「え!?」
おそ松とにているから。
昔からそうだ、何かを言えばオーバーリアクションするおそ松。
昔はかまってもえているんだって嬉しかったこともあるが、今ではただウザイだけでしかない。
7つ子の兄だから弟である、俺を甘やかすのか。それが嫌だ。7つ子の中で違う扱いを受けるのが嫌で嫌で仕方なかった。
生まれたときからなんとなく体が小さかったらしい。幼稚園に上がったら確実にななしだけ一回り小さい。くわえて病弱だったからなかなか外で遊べなくて体つきは全く違うものになっていった。
外で走り回りたい兄達には悲しくもついていけなくて。ななしはいつだって、一人で遊ぶしかなかった。
園内から見える6人が全く別の人のように見えて、あぁ。違うなってその時からずっとわかってた。
小学校に入ってもイタズラで悪ガキな兄達は近所で有名だった。
6つ子として。
本来7つ子であるのがあまり浸透しなかったのはやはりななしが外であそべなかったからだろう。
兄達はきにしてないようだったけど、周りからの視線に敏感だったななしはそれがいたたまれなくて兄達と距離をとる。
そうなれば一人が楽でずっと一人だった。中学校も高校も。
誰も寄り付かなかったし、むしろ7つ子だなんておもわれたくなかった。どうせなら6つ子で勝手にやっていて欲しい。
だから、間違われたくないからピアスをあけた。バイトを始めた。しっかりしてれば心も自立していったしバイト先での友人も見つけられた。
それで平穏。終わり、でいいのにおそ松はそれが気に食わないんだ。
『………』
「…思いつめてんのな。大丈夫だって、」
『……だと、いいんだけど、そうにもいかないんすよ』
「多分可愛いくてしかたないんじゃない?末の弟だし」
『……やっぱり一人暮らししたい。春日井さん、一人暮らしできる場所見つけられるまで泊めて』
「え、あー。別にいいけど」
『……駄目っすか?』
「………っ、駄目じゃないよ。でも、いいのか?兄さん達怒らないの?火の粉浴びなくないなーなんて」
『……浴びないでしょ、春日井さんいままでなんかされてるの?』
「……………」
春日井は押し黙る。実はかなり前からおそ松に何かしら言われてたりする。が、ななしには秘密だ。
しばらくだべっていたら自動ドアが開く音がした。2人同時にそちらに向けばだらしなく口を開いた十四松が手を挙げて入ってきたのだ。
「あ、黄色だ」
「こんばんはーっす!」
『…じゅ、十四松兄さん!もう2時だよ?』
「んー。ん!おそ松兄さんまだ起きてるよ!」
『……なんで、おそ松兄さん?』
「タバコ吸ってた!」
『……そか』
「あと、」
『?』
「名前呼んでた!ななしって!バイト言ったよって教えてあげた!」
『……っ、』
「ななし、兄さんと喧嘩したの?」
『……うん』
「そか!僕良くわかんないけど仲直りしてね!兄さんもななしも泣きそうだから」
「黄色ー。肉まんたべる?」
「たべるっす!!!」
袖がダルダルの手で頭をぽんと撫でる十四松。昔から仲直りしてと真っ直ぐに催促してくるのは十四松。
それが助けになってるのは確実だ。
いつでも感謝していると同時にその真っ直ぐさがたまに眩しすぎて辛くなる。
肉まんを頬張る十四松がふとななしを見てにっこり笑う。釣られてななしも笑うと嬉しそうにはしゃぐ十四松。
「ななし!帰ったら野球しよ!おそ松兄さんもカラ松兄さんもチョロ松兄さんも一松兄さんもトド松も!勿論ななしも!皆でしようっ!そしたら楽しいから」
「えー!楽しそう!7つ子に混じりたい!」
「あ!駄目っすよ!7つ子だけで遊ばないと!」
『……春日井さん来んな!キモイ!黄色じゃねぇ!だって』
「黄色そんな辛辣な事言った!?意味は同じだけども!中身そんな詰まってた?」
「わーい!野球だ!あ、肉まんありがとうございますっす」
パタパタ走る十四松に、少なくとも心が軽くなる。
絶対に野球をしてあげようと決心した。
かすれた声で名前を呼ぶ
(ななし…)