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バレンタインにあたるチョコレート。義理でも何でも、女の子から貰えればやはり嬉しいもので。
ななしも例外ではなく、バイト先の花から貰った義理チョコを眺めながら小さく笑をこぼす。花は去年下旬からバイトを始めていた。まさか花からバレンタインのチョコレートを貰えるとは思っていなかったななしは呆気にとられる。しかしもらう際にきっぱり義理と宣言され、苦笑いしたのは記憶に新しい。
折角なのだならとシンプルな紙袋を受け取り、今年のバレンタイン。チョコレートひとつを、獲得したわけだ。
バレンタイン一色に沸き立つ町の中、ななしも負けずに楽しい気持ちで家に帰る。
『ただ、いま…な、なにしてるの、おそ松兄さん、チョロ松兄さん』
「べっつにぃ!なぁ?チョロ松」
「まぁね、」
家につきガラガラと戸を開ければ、正面におそ松とチョロ松が仁王立ちしているではないか。ななしは咄嗟に花から貰った紙袋を背後に隠す。それはもはや本能といっても過言ではない。見事な隠しにおそ松、チョロ松にはバレていないようだったが。彼らの眉間のシワは取れてはいない。
かなりめんどくさい。
おそ松とチョロ松にバレンタインプレゼントを貰ったと教えるのは不本意だ。多分2人は今年もチョコレートを貰ってはいないだろう。気を利かせた反面、教えてしまえば必ず質問した責めに合うという些かの煩わしさがある。それだけは回避しなければならない。なぜならおそ松とチョロ松はかなり執拗いから。
バレない様に、みつからないように手を使わずに靴を脱ぐ。
終始ななしをみつめる鋭い目。耐えられずにななしは目をそらす。
「ねぇ~?ななし~?」
『…っな、なに?』
「チョコレート『も、貰ってないよ!?』本当に?」
『…あ、当たり前じゃん。俺兄さん達差し置いて貰うはずない』
「だよね。ななしはそんな事しないよね?だって僕ら七つ子だもんね」
『……そ、ソウダネー』
もはやバレるのは時間の問題である。
ななしを見るおそ松とチョロ松の目の冷めきったこと。
いたたまれない。解せない。
どうにか音を立てないように紙袋をパーカーの背中にいれる。よし、これで急いでトイレに駆け込み食べてしまえば問題ない。七つ子ルームではリスクが高すぎるし、他の兄弟がいる可能性も否めない。
やはりトイレに駆け込むほうがよさそうだ。
『…あ、俺トイレ』
「ん、じゃあ、いってきなよ」
「僕ら茶の間にもどってるから」
『…わ、分かった!』
そのあと、ななしは稀に見るスタートダッシュを決め込んで突き当たりにあるトイレに直行する。どんな誤解を受けても構わない、バレンタインプレゼントを貰った事実がバレなければ。例えうんこマンと呼ばれたって構わない。やっぱり嫌だけど。
ようやっとトイレに駆け込んで、ため息を吐き出す。今のちょっとがかなりの時間に感じられたように思う。体の疲労感が尋常ではない。
『い、今のうちに』
花からもらった紙袋を背中から取り出そうとパーカーに手を入れる。
『ぁ…あれっ?』
血の気派が引くのがわかる。瞬間冷や汗が出てくる、感覚が全身に訪れななしは死を覚悟したのだ。
ゆっくりとした動作でトイレの扉を開ければ再び仁王立ちしたおそ松とチョロ松が意地の悪い笑顔でななしを出迎えた。
そんなおそ松の右手にはしっかりとシンプルな紙袋がぶら下がっていた。
蛇に睨まれた蛙ならぬ、二松に睨まれた末弟。
プルプル震えながら小さな声で『ごめんなさい』を言うのがやっとであった。
ななしも例外ではなく、バイト先の花から貰った義理チョコを眺めながら小さく笑をこぼす。花は去年下旬からバイトを始めていた。まさか花からバレンタインのチョコレートを貰えるとは思っていなかったななしは呆気にとられる。しかしもらう際にきっぱり義理と宣言され、苦笑いしたのは記憶に新しい。
折角なのだならとシンプルな紙袋を受け取り、今年のバレンタイン。チョコレートひとつを、獲得したわけだ。
バレンタイン一色に沸き立つ町の中、ななしも負けずに楽しい気持ちで家に帰る。
『ただ、いま…な、なにしてるの、おそ松兄さん、チョロ松兄さん』
「べっつにぃ!なぁ?チョロ松」
「まぁね、」
家につきガラガラと戸を開ければ、正面におそ松とチョロ松が仁王立ちしているではないか。ななしは咄嗟に花から貰った紙袋を背後に隠す。それはもはや本能といっても過言ではない。見事な隠しにおそ松、チョロ松にはバレていないようだったが。彼らの眉間のシワは取れてはいない。
かなりめんどくさい。
おそ松とチョロ松にバレンタインプレゼントを貰ったと教えるのは不本意だ。多分2人は今年もチョコレートを貰ってはいないだろう。気を利かせた反面、教えてしまえば必ず質問した責めに合うという些かの煩わしさがある。それだけは回避しなければならない。なぜならおそ松とチョロ松はかなり執拗いから。
バレない様に、みつからないように手を使わずに靴を脱ぐ。
終始ななしをみつめる鋭い目。耐えられずにななしは目をそらす。
「ねぇ~?ななし~?」
『…っな、なに?』
「チョコレート『も、貰ってないよ!?』本当に?」
『…あ、当たり前じゃん。俺兄さん達差し置いて貰うはずない』
「だよね。ななしはそんな事しないよね?だって僕ら七つ子だもんね」
『……そ、ソウダネー』
もはやバレるのは時間の問題である。
ななしを見るおそ松とチョロ松の目の冷めきったこと。
いたたまれない。解せない。
どうにか音を立てないように紙袋をパーカーの背中にいれる。よし、これで急いでトイレに駆け込み食べてしまえば問題ない。七つ子ルームではリスクが高すぎるし、他の兄弟がいる可能性も否めない。
やはりトイレに駆け込むほうがよさそうだ。
『…あ、俺トイレ』
「ん、じゃあ、いってきなよ」
「僕ら茶の間にもどってるから」
『…わ、分かった!』
そのあと、ななしは稀に見るスタートダッシュを決め込んで突き当たりにあるトイレに直行する。どんな誤解を受けても構わない、バレンタインプレゼントを貰った事実がバレなければ。例えうんこマンと呼ばれたって構わない。やっぱり嫌だけど。
ようやっとトイレに駆け込んで、ため息を吐き出す。今のちょっとがかなりの時間に感じられたように思う。体の疲労感が尋常ではない。
『い、今のうちに』
花からもらった紙袋を背中から取り出そうとパーカーに手を入れる。
『ぁ…あれっ?』
血の気派が引くのがわかる。瞬間冷や汗が出てくる、感覚が全身に訪れななしは死を覚悟したのだ。
ゆっくりとした動作でトイレの扉を開ければ再び仁王立ちしたおそ松とチョロ松が意地の悪い笑顔でななしを出迎えた。
そんなおそ松の右手にはしっかりとシンプルな紙袋がぶら下がっていた。
蛇に睨まれた蛙ならぬ、二松に睨まれた末弟。
プルプル震えながら小さな声で『ごめんなさい』を言うのがやっとであった。