嫌いかもしれない
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※4話 自立しよう
「えー只今より松野家扶養選抜面接を行ないます」
『………』
居間にて、どこから取り出したかは知らないがパイプ椅子が七つ並べられそこには7つ子が座っている。
松野松代が人事を務める扶養面接が始まったのだ。
各々アピールしてと松代が言えば皆が勢いよく手を挙げる。そんな中でもななしは半目で眠たそうにだらけていた。
あまりに姿勢が悪く松代から「七男のななしさん?姿勢を正してください」と言われる始末。どうして、頑なに面接の体を守る?
こうなった原因はわからないが離婚すると騒ぐ父と母。母に扶養してもらいたいものがこうしてアピールしていくのだ。ななし的には一人暮らし出来るまたとないチャンス。この面接むしろだらけて、扶養したくなくならせればいいのだ。しかし松代の威圧に負けたななしは大人しく座る。
皆が勢いよく、手を上げる様子を見ながら何故そんなにも扶養されたいのかかんがえる。ニートしたいからだろうな。兄達ならそれは当たり前である。
しかしすでに深夜帯のコンビニでバイトをしているにとっては扶養されなくても問題ない。
トド松が辞退しすると立ち上がったのに合わせななしも立ち上がる。
「やっぱりこんなのおかしいよ。兄弟で争ってまだ養ってもらうなんて。離婚はすごく寂しいけど、僕達が自立するチャンスだし!母さん今までありがとう、僕一人で生きてみるよ」
『……俺も辞退する。一人で暮らしたいし。なんか困ったらまた連絡してよ。すぐ来るし』
「え!?」
「まちなさい、2人とも」
『?』
「合格よ」
「いえーい!一抜けふぅー!」
『……お、俺一人暮らししたい!』
「駄目よ。母さんね、よくよく考えたらななしが癒しだから手放せないわ」
「よかったね!ななし!!また一緒に暮らせる!」
『だから、俺』
「いいじゃん!まだいいって言ってるんだから。ほら」
『…………』
失敗したぁ!
ななしは混乱した。一人暮らしをしたいと何度か言ってきたがその度に兄に、主におそ松に邪魔され叶わなかった。が、松代までもが一人暮らしを却下するのは初めてだ。
ななしは絶望した。密かにセキセイインコでも飼ってやろうと楽しみにしていた夢がもろくも崩れ去ったためである。
選ばれたにも関わらずななしはちーんと白くなりトド松にもたれ掛かる。ちゃっかりホワイトボードには扶養家族の欄にトド松、ななしの名前が貼られていた。
次に指名された十四松はなんとかアピールしたがまさかの保留。三角座りでいじけた十四松。ななしはなんとか十四松と交換できないかあれこれしてみたが(ホワイトボードのネームプレートを交換しようとしただけ)失敗に終わる。
「はい」
「あ、おそ松兄さんだ」
『……早く終わんないかな』
「もうななしはすぐ一人暮らしーなんだから。みんなななしと離れたくなくて必死だよ?見てよ十四松兄さん、チラッチラッななしのこと見てるし」
『……やっぱり一人暮らしする。そしたら遊びにこれんじゃん』
「ダメダメ~ななしちゃんは、俺から離れちゃダメなんだから」
『……え?』
「無事扶養家族になりましたー!トド松よろしく!」
「やったね!おそ松兄さん!」
がばりと後ろから抱きすくめられて慌てて振り返ればニヤニヤ笑うおそ松。ホワイトボードにはおそ松のネームプレートも扶養の欄に貼られていた。
百歩譲って一人暮らしできなかったとしても、おそ松がいなければいいと思っていたななしは二重苦。
結局ベタベタされる日はこれからも続くのか。
おそ松と目が合えば少し陰りのある笑い方をする。あぁ、この笑顔はよくない笑顔だ。すぐに逸らしてやった。
その後もカラ松、一松、チョロ松がアピールする。しかし一松が扶養家族に選ばれてしまい面接は終了した。
なかば脅しかけていたように思うが扶養家族には間違いない。そうなれば面白くないのがカラ松、チョロ松、十四松。チョロ松が意地でも養ってもらいたいと孫のワードを出す。そうすれば松代が狂う。
「誰が一番性欲つよいの?」
「何いってんの母さん!?完全に正気をなくしてるよ」
『…あ!母さん。俺べらぼうに性欲ないから孫見せてあげられない。チョロ松兄さんとトレードして「却下よ」……ください………』
「つか、性欲合っても見せてあげられないよ?ななし」
『……なんで?』
「秘密ー」
悪寒がした。助けて父さん。
そしてやっぱり兄達は喧嘩を初めた。騒がしくなった居間で松代がさけべばピタリと落ち着く。
もうなんでもよくなったななしだったがとこからか松造がやってきて結局離婚はなくなった。と、同時に一人暮らしもなくなった。
よかったと脱力する兄達。十四松がななしに抱きつきワンワン泣き出したのを皮切りに全員が抱きついてくる。一松は脅迫していたにも関わらず一番涙を流していた。やはり皆と離れ離れになるにはまだ少し早いようであった。しかし、ななしも少しだけ安心したのだ。
今はまだ少しだけ7つ子で一緒にいたっていいんじゃないだろうか。
『……トイレ』
「うん、いってら」
「あ、俺もー」
「連れションか、青春だな」
『連れションじゃない、』
泣きつかれた一松、十四松、トド松は居間で眠りについてしまった。膝に頭を載せて寝ていた一松をそっと下ろしてななしはトイレに行く。その後をおそ松もついていく。
廊下に出ておそ松は鋭い目でななしを見る。
「そんなに一人暮らししたいの?」
『……ゆくゆくはね』
「ふーん。離れたいんだ?」
『……離れたいっていうか…だって、俺なんか違うしさ』
「……」
『……母さんいまだってひとまわり小さい俺を心配してさ。大丈夫なのに、いつまでも囲まれてちゃダメだし』
「いいじゃん。囲まれてれば」
『……兄さん、いつか皆結婚して離れて暮らすんだよ』
ななしの手を咄嗟に掴んでおそ松はいう。
しかしななしも真剣だった。7つ子でありたいが、7つ子でありたくない。昔からそれだけは変わってはいないのだ。
どうか、俺に"自由"をください。
それがななしの本心だ。
「絶対に駄目」
『……っ、』
「ななしは分かってないよ」
『……分からなくてもいいもん』
「ななし」
『…に、兄さん!止めっ、ん!』
実の兄は実の弟にキスをした。
それも何10年も前から。
軽く触れるだけのキスを2回。それがおかしな行為だと気づいたのは中学校にあがってから。
「分からなくてもいいなんて言うな」
キスをした後のおそ松の顔はいつも悲しげで。
こっちが泣きたいのに、そんな顔をされれば何も言えなくなる。
そして取り残されたななしは俯いて唇をそででゴシゴシふく。
いつだって、7つ子であることがななしにとっての枷なのだ。
『泣きそっ』
どこにも行けないね
(行かせない、生かせない)
「えー只今より松野家扶養選抜面接を行ないます」
『………』
居間にて、どこから取り出したかは知らないがパイプ椅子が七つ並べられそこには7つ子が座っている。
松野松代が人事を務める扶養面接が始まったのだ。
各々アピールしてと松代が言えば皆が勢いよく手を挙げる。そんな中でもななしは半目で眠たそうにだらけていた。
あまりに姿勢が悪く松代から「七男のななしさん?姿勢を正してください」と言われる始末。どうして、頑なに面接の体を守る?
こうなった原因はわからないが離婚すると騒ぐ父と母。母に扶養してもらいたいものがこうしてアピールしていくのだ。ななし的には一人暮らし出来るまたとないチャンス。この面接むしろだらけて、扶養したくなくならせればいいのだ。しかし松代の威圧に負けたななしは大人しく座る。
皆が勢いよく、手を上げる様子を見ながら何故そんなにも扶養されたいのかかんがえる。ニートしたいからだろうな。兄達ならそれは当たり前である。
しかしすでに深夜帯のコンビニでバイトをしているにとっては扶養されなくても問題ない。
トド松が辞退しすると立ち上がったのに合わせななしも立ち上がる。
「やっぱりこんなのおかしいよ。兄弟で争ってまだ養ってもらうなんて。離婚はすごく寂しいけど、僕達が自立するチャンスだし!母さん今までありがとう、僕一人で生きてみるよ」
『……俺も辞退する。一人で暮らしたいし。なんか困ったらまた連絡してよ。すぐ来るし』
「え!?」
「まちなさい、2人とも」
『?』
「合格よ」
「いえーい!一抜けふぅー!」
『……お、俺一人暮らししたい!』
「駄目よ。母さんね、よくよく考えたらななしが癒しだから手放せないわ」
「よかったね!ななし!!また一緒に暮らせる!」
『だから、俺』
「いいじゃん!まだいいって言ってるんだから。ほら」
『…………』
失敗したぁ!
ななしは混乱した。一人暮らしをしたいと何度か言ってきたがその度に兄に、主におそ松に邪魔され叶わなかった。が、松代までもが一人暮らしを却下するのは初めてだ。
ななしは絶望した。密かにセキセイインコでも飼ってやろうと楽しみにしていた夢がもろくも崩れ去ったためである。
選ばれたにも関わらずななしはちーんと白くなりトド松にもたれ掛かる。ちゃっかりホワイトボードには扶養家族の欄にトド松、ななしの名前が貼られていた。
次に指名された十四松はなんとかアピールしたがまさかの保留。三角座りでいじけた十四松。ななしはなんとか十四松と交換できないかあれこれしてみたが(ホワイトボードのネームプレートを交換しようとしただけ)失敗に終わる。
「はい」
「あ、おそ松兄さんだ」
『……早く終わんないかな』
「もうななしはすぐ一人暮らしーなんだから。みんなななしと離れたくなくて必死だよ?見てよ十四松兄さん、チラッチラッななしのこと見てるし」
『……やっぱり一人暮らしする。そしたら遊びにこれんじゃん』
「ダメダメ~ななしちゃんは、俺から離れちゃダメなんだから」
『……え?』
「無事扶養家族になりましたー!トド松よろしく!」
「やったね!おそ松兄さん!」
がばりと後ろから抱きすくめられて慌てて振り返ればニヤニヤ笑うおそ松。ホワイトボードにはおそ松のネームプレートも扶養の欄に貼られていた。
百歩譲って一人暮らしできなかったとしても、おそ松がいなければいいと思っていたななしは二重苦。
結局ベタベタされる日はこれからも続くのか。
おそ松と目が合えば少し陰りのある笑い方をする。あぁ、この笑顔はよくない笑顔だ。すぐに逸らしてやった。
その後もカラ松、一松、チョロ松がアピールする。しかし一松が扶養家族に選ばれてしまい面接は終了した。
なかば脅しかけていたように思うが扶養家族には間違いない。そうなれば面白くないのがカラ松、チョロ松、十四松。チョロ松が意地でも養ってもらいたいと孫のワードを出す。そうすれば松代が狂う。
「誰が一番性欲つよいの?」
「何いってんの母さん!?完全に正気をなくしてるよ」
『…あ!母さん。俺べらぼうに性欲ないから孫見せてあげられない。チョロ松兄さんとトレードして「却下よ」……ください………』
「つか、性欲合っても見せてあげられないよ?ななし」
『……なんで?』
「秘密ー」
悪寒がした。助けて父さん。
そしてやっぱり兄達は喧嘩を初めた。騒がしくなった居間で松代がさけべばピタリと落ち着く。
もうなんでもよくなったななしだったがとこからか松造がやってきて結局離婚はなくなった。と、同時に一人暮らしもなくなった。
よかったと脱力する兄達。十四松がななしに抱きつきワンワン泣き出したのを皮切りに全員が抱きついてくる。一松は脅迫していたにも関わらず一番涙を流していた。やはり皆と離れ離れになるにはまだ少し早いようであった。しかし、ななしも少しだけ安心したのだ。
今はまだ少しだけ7つ子で一緒にいたっていいんじゃないだろうか。
『……トイレ』
「うん、いってら」
「あ、俺もー」
「連れションか、青春だな」
『連れションじゃない、』
泣きつかれた一松、十四松、トド松は居間で眠りについてしまった。膝に頭を載せて寝ていた一松をそっと下ろしてななしはトイレに行く。その後をおそ松もついていく。
廊下に出ておそ松は鋭い目でななしを見る。
「そんなに一人暮らししたいの?」
『……ゆくゆくはね』
「ふーん。離れたいんだ?」
『……離れたいっていうか…だって、俺なんか違うしさ』
「……」
『……母さんいまだってひとまわり小さい俺を心配してさ。大丈夫なのに、いつまでも囲まれてちゃダメだし』
「いいじゃん。囲まれてれば」
『……兄さん、いつか皆結婚して離れて暮らすんだよ』
ななしの手を咄嗟に掴んでおそ松はいう。
しかしななしも真剣だった。7つ子でありたいが、7つ子でありたくない。昔からそれだけは変わってはいないのだ。
どうか、俺に"自由"をください。
それがななしの本心だ。
「絶対に駄目」
『……っ、』
「ななしは分かってないよ」
『……分からなくてもいいもん』
「ななし」
『…に、兄さん!止めっ、ん!』
実の兄は実の弟にキスをした。
それも何10年も前から。
軽く触れるだけのキスを2回。それがおかしな行為だと気づいたのは中学校にあがってから。
「分からなくてもいいなんて言うな」
キスをした後のおそ松の顔はいつも悲しげで。
こっちが泣きたいのに、そんな顔をされれば何も言えなくなる。
そして取り残されたななしは俯いて唇をそででゴシゴシふく。
いつだって、7つ子であることがななしにとっての枷なのだ。
『泣きそっ』
どこにも行けないね
(行かせない、生かせない)