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「ななし」
『…あ!一松兄さん一松兄さん!』
今日はやけに冷え込む。家の中でさえこころなしか息が白い気がする。
ななしを探し歩き回っていた一松はようやっとはんてんをきた彼を見つけた。
てこてこやってきたななしをきっちり抱きしめながら何故か嬉しそうにしている顔を覗きこむ。
「…どしたの?」
『…これ!見てみ?』
「あ、雪?」
『……そう!外見た?』
「まだ」
『……真っ白だよ?』
「へぇ、だから寒いわけ。ななしも冷たいし」
『……っ、そ、そうかな?』
一松に鼻先を弾かれる。
真っ赤になってるよと指摘されてしまいななしは鼻をさする。
その間ななしが持ってきていた小さな雪の塊をまじまじと見つめる一松。しかしさほどに興味がなかったかプイっと顔を背けななしの肩に顔を埋めてしまった。
ななしも外で雪をかき集めるのに些か冷たくなった手を一松に回しながら肩越しに雪の塊を見つめる。
「雪とかではしゃげるなんてさすがななしだよね」
『……一松兄さんはしない?』
「しないね。寒いの苦手だし」
『……俺も苦手。でも雪って特別な気がしない?俺だけ?』
「ななしと十四松だけじゃない?」
『……でも、兄さん達外で雪合戦してたよ?』
「あいつらは馬鹿。ななし、寒いしコタツ行こ」
『……そだね、あ、後で玄関見といてよ?絶対!』
「ん、気が向いたらね」
抱きしめていたをはなして雪を持っていない方の手を取り歩く。いい加減冷たくなった雪を持て余しながらこたつに潜り込むななし。そしていつも何故かななしの後からななしを覆うようにしてコタツに入る一松。それは当たり前になっているためなんの違和感もない。だからななしも気にもしていない様子だ。
「雪、どうすんの?」
『……うーん、』
「ここ入れといていいよ」
『……カラ松兄さんのコップじゃん』
「ヒヒ、平気でしょ」
『……一松兄さんがいいならいっか』
「みかん、食べたい」
『……えー、剥けって?』
「うん、爪に白いの入るのやだし」
『ぇ、俺もやだよー』
「はい」
『……強制なんだね』
机の上の数個のみかんをななしの手元にやり一松はサッと手を腹に回す。僕の手はななしの腹に回ってるから使えませんアピールるする一松にため息をつきながらも、仕方ないと皮を剥く。
肩に乗る一松の顎を真横に感じつつ背中の暖かさにホコホコした気分のななし。
「みかんの皮ぐちゃぐちゃだね」
『……うーん、うまく剥けないよね』
「ななしって不器用だよね、まぁ、僕もだけど」
『……兄さんは器用だよ?』
「例えばどんな時に思うわけ?」
『……ぇ、あ、うーん………?』
「ないんじゃん、」
『……ない、かも…だけど…あ、ほらあれ』
「?」
『……母さんの料理からピーマンだけ取る一松兄さんは器用だよ?』
「………」
『ぇ!?いひゃい!いひゃい!』
ムッとした一松はななしの背後から両頬を引っ張る。
痛いとだんだん机を叩くななしの傍ら、一松は心底楽しげに笑っている。
ようやく離した時にはななしの頬は赤くなっており、一松はそれにまた笑う。
機嫌を損ねたななしの赤く腫れた頬を優しくなでながら一松はみかんと催促する。
「みかん、頂戴」
『……あげないもんね』
「くれないわけ?」
『……ん、仕方ないから上げる』
「ん甘」
ななしは器用に体の向きを変える。一松に向き直ると空いている口にみかんを入れる。
もぐもぐしたあとに甘いと言う一松だが、再びあ、と口を開け次のみかん待ち。
なんだか餌付けしている気分になってきたななしは楽しげである。
一松もまんざらでもない様子。
そんな、イチャイチャ空間に先程までそとで遊んでいた兄達が帰ってきた。ななしと一松を見るやいなやおそ松は騒ぎ出す。
「え!俺も食べさせてななし!」
「は?おそ松兄さんは自分で食べてなよ。ななしは僕のだから」
『……へへ、一松兄さんあーん』
「ん。あ、酸っぱ」
『……酸っぱいの当たっちゃった?』
「甘すぎるよりは酸っぱいほうがいいし」
「狡い!狡い!一松ばっか構うのやめろよー!!兄ちゃんもかまってー」
『……えー』
「駄目」
「あ、こら一松!!」
「言っとくけどななしはおそ松兄さんにはあげないから」
「はぁ!?」
「ななし、外見たいんじゃなかった?」
『…あ!へへ、行こうよ一松兄さん』
「あー!逃げた!一松逃げた!」
「フッ、いいじゃないかブラザー。あいつらはまさに相思相愛だ。邪魔なんて無粋な真似はしてくれるな」
「イタタ!肋が!」
「え?今ので!!?」
「何だっていいけど、そのビシャビシャの服変えないと風邪引くよ?」
「…これ、僕?」
『そ、これが俺ね』
ななしが見せたかったものは、小さな雪だるまだったらしい。
玄関の隅に小さな雪だるまが2つちょこんと並べられていた。左の少し大きな雪だるまは一松。右の雪だるまはななし。
腹の玉にはおなじみの松印が書かれている。
「こんなの作ってたんだ」
『……へへ、可愛いでしょ?』
「…」
一松はななし雪だるまを指でつつく。するとカタンとかたがりまっすぐ立っていた雪だるまが一松雪だるまに、もたれ掛かるようになってしまった。
『……あ、倒れそう』
「倒れないでしょ、僕いるし」
『……そかな?ん、』
「いつだっているし」
しゃがんでみていた2人の距離が少しだけ縮まる。すると一松がななしの頭を己の肩に載せた。
まるで目の前の、雪だるまのような姿勢になる。
『……あー、あったかい』
「くっついてるからね」
『……ずっとくっついてたいね』
「別に良いけど」
『……なら、もうちょっといよ?』
「馬鹿なんだから風邪は引かないでしょ?」
『……まあね』
しばらく雪だるまを見ていれば自ずと絡まる指。
より一層体が熱くなった気がしたななしと一松だった。
end