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「もー、あの子いつも遅れてくるよね」
「まさか!上司が部下のネクタイ掴んでる場面に出会したとか!?」
「でたー!チョロ子の妄想!アンタいつもどエロのことしか考えてないわよね」
「もう!またその話に持ってくんだから!チョロ子もカラ子も!まだちょっとななし待ってみようよ」
「そだねそだねー!」
「おそ子、ななしからLINE来てないの?」
「まって、一子。今見てみるから」
月に二、三回程度行われる松野家姉妹の女子会。日頃の鬱憤をこの女子会にて発散する無くてはならないイベント。
しかし、今は全員で六人しかあつまっていない。完成系になるにはあとまだ1人足りないのだ。それが七女のななし。末っ子で彼女もまた働いている。
ななしが遅れてやってくるのは
だいたいいつものこと。曰く仕事が毎日忙しいらしい。
集合時間8時。
先程LINEをしたのは6時頃。そしておそ子が送った「了解!」にはちゃんと既読がついている。それを送ったのは7時を回っていたはずだ。
まだ会社にいるのかは分からないが現在8時半を切っているため、どのみち大遅刻だ。
「ななしが早くに来た試しあった?」
「ないよねないよね!」
「ななしも、仕事忙しいんだよ。だって金融系だし」
「それにグループでも行けたら行く、だもんね」
「あたし達嫌われてるのかもね!冗談だけど」
「ありえない、冗談はカラ子のパンツだけにしてよ」
「なによ、一子!あたしのパンツが汚いって!?」
「少なくとも綺麗ではないわよね」
「嫌だっ、最低」
「ほらほら、皆カラ子の汚いパンツは置いといて!ななしよ、ななし」
「彼氏出来たのかな?」
「はぁ!お姉ちゃん許さないから!」
「例えばだから!」
「本当っ、冗談はチョロ子の妄想だけにしてよね」
「ぶり返してる!」
結局しばしばビールを飲みながら下らない会話をしていてもなかなかななしは現れなかった。
つけまつ毛を直しながら十四子はショボンとしたようにため息をはく。
一子もどこか飽きたように髪をいじり出す。チョロ子は携帯を眺めニヤニヤ。
もはや沈黙が流れ女子会どころではなかった。
「なにこの雰囲気!」
「ななしがこなきゃ、始まらないから仕方ないよね」
「あたしおもったんだけどさ、来ないんじゃなくて来れないんじゃない?」
「どういうこと?パン子」
「カラ子!だから、ナンパとかってこと。あの子クールぶってるけどかなり内気じゃん?」
「一理あるかもしれないね!」
「じゃ、十四子のこと嫌ってないよね!?」
「…あの子が私達を嫌うはずない!」
「おそ子!」
「そうよね、ななしは私達の可愛い妹」
おそ子が涙を流しながら十四子に抱きつき。それを皮切りに皆がふたりを囲むように抱きつく。
そして、目を合わせるとカバンを抱えて店から飛び出す。
一方、行けたら行くで有名なななし。実は巻き込まれ体質で絡まれ体質な彼女はカラ子が言ったとおり酔っぱらいにまとわりつかれていた。何故か急いでいる時に限ってこのような出来事が必ずおこる。そのため、女子会になかなか行けなくなってきているななし。
壁に追いやられ酒臭い息がかかる距離にいるおじさんにもう涙目で助けを待つしかないななしは。
一生懸命に、顔を逸らしながらカバンを強く握った。
「ほら、ほら。おじさんの相手してよ~」
『……や、やめて!』
「なんだい、おじさんが悪いのか!何を言ってるんだこれは合意だろ?」
『ち、違うから、触らないで!』
酔っぱらいおじさんはパンツスーツの上から太ももをさわる。
嫌だ!と涙を流した瞬間、後方から聞き覚えのある声がした。
「カラ子スーパーダイナミックエレクトロキーック!!」
「ぶはっ!」
ななしの太ももをさわっていた酔っぱらいははるか彼方に飛ばされ、壁にぶち当たり気絶した。
いきなりの出来事に呆るななし。しかしやってきた身に覚えのある姉に心底安心する。
『……か、カラ子』
「ビンゴ!やっぱりアンタナンパにあってたの!」
『……な、ナンパ?絡まれてて』
「ななし!!」
『おそ子、』
「え、なにこのハゲジジィ。萌えない!」
「萌えてたらチョロ子のこと幻滅するよ」
「ななし、あなたって本当巻き込まれ体質ね」
『……一子』
「ななし大丈夫?なにかされた?されなかった?十四子、めちゃめちゃ心配したよぉ!」
『……十四子…』
「で、ななしに悪さした男ってこの人?」
『う、うん。トド子、何するの?』
「やだなー、何もしないよ、ななし」
トド子は気絶する酔っぱらいの前に立ち止まり、ななしのよびかけにニコリと笑った。その笑みの黒いこと。
おそ子がななしの小さな体を抱きしめ頭をなでる。
やっと怖さもぬぐい去ることができたななしは細い息をはぎ出す。
『……皆ごめんね、』
「謝らないでよ!私達は唯一無二なんだから!」
「そうよ、あたし達がいつだってたすけてあげるわ」
「私もななしを助けるから!」
「ななしには私達がいないと駄目なのよ、」
「十四子、ななしのこと大好きだよぉ!お婆ちゃんになっても一緒だよ!」
「目が離せない妹なんだから!」
『……うん、ありがと。あーお酒のみたい』
おそ子が隣で優しく手を握ってくれた。もう何も怖くない。
ようやく7つ子で集まれたのだから久々にめいいっぱいのもう。
「どこにする?」
「十四子は何処でもいいよ!」
「あたしも!」
「じゃ、ここにしよ!口コミですごく評判な居酒屋!」
「でた、そうやって上司に奢らせてるんでしょ?」
「え、トド子げすいわぁ」
「わ、私は別に…」
『……トド子、今日のために調べてくれたんでしょ?ありがとうね』
「!ななし天使!一子もチョロ子も、悪魔!」
「十四子は?」
「天使!」
「トド子。じゃ、そこいこ?今日はたくさん飲みたい気分だし!居酒屋もいいでしょ?」
『うん!』
7つ子はトド子の言う居酒屋に向かう。久々の女子会は朝方近くまで続くがその日笑いが耐えることは無かった。
end