企画・リクエスト等
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ようやっと学校が始まり慌ただしかった正月も終わった。
結局初詣は俺ひとりでやった。ななしが一松にキスされた後、一松から救出したのもつかの間、すぐにかけて行った。彼を追うことはせずに俺はさっさか初詣を終わらせるかとに専念した。
で、学校が始まったのはいいが元通りの関係ではいられなかった。
何故一松がしでかした事に俺が気まづくならなければならないのか?
よくは、分からない。だが、ななしは俺を見ればあからさまに避けたし前ほども話しかけてこなくなった。
それはすごく悲しい。好いた相手に無視されるのは。
それなのに、追い討ちをかけるような出来事が起きる。
たまたま廊下を通っていたら一松とななしの姿を発見した。
意味がわからない。ななしはあの時泣いていたはず。一松と俺から逃げるように神社を出ていったはずだ。もう、関わることすら煩わしくなったのかと思っていたのに。
一松と何故一緒にいるんだ?
俺をさんざん、無視したくせに一松とは話すのか?
あれほどななしへの愛が詰まっていた心にぽっかり穴が空いたような気分になる。
そうなればその穴から黒くドロドロした感情が湧き上がる。
嫉妬だ。
何故、一松を選ぶ。
何故、そんなふうに顔を赤らめる。
何故、俺でないんだ!
1度そう思ってしまったらなかなか収まらないのはそれだけななしを好きだから。
こんなに近くで見ていてもダメなのに、無理にキスをすればあれほど近づけるというのか。
世の中は不条理だ。あまりに残酷。
なぁ、一松。
俺がななしを好きだったことを知ってるんだろう。
そして、ななしもそうだったことを知っていたはずだ。
なのに、なんで邪魔するんだよ。
弟にこんな醜い感情を持ったのは初めてだ。
すまない、だがななしだけは譲れない。
しばらく眺めていたら一松がいなくなった。
チャンスだと思った俺は立ちすくむななしに近寄る。
そして後ろから抱きしめた。ななしとはこんなに小さかっただろうか。
『なっ、何!!ぇ……か、カラ松!?』
「……一松が好きなのか」
『……』
ななしは答えなかった。
それは俺の興奮材料でしかないから、抱きしめていたななしをはなして壁におしつけた。
痛いと顔を歪めるななし。
すまない。だが、ここでやめてしまったら一松に負けてしまう気がする。
…もしかしたら既に負けているのかもしれない。
友人、という関係が崩れてしまうのを恐れて告白できずにいたのは俺だ。ましてや強引にキスをするなんて。到底思いつかない。ななしが嫌がることは絶対にしないはずだったのに。
俺がこれほど慎重になっている傍ら強引に横入りしてきた一松がななしを奪っていくなんて。
なんて、馬鹿なんだろう。
そうなると知っていたらななしを無理にでも抱いていたかもしれない。
だが、もう我慢することは無い。ななしが俺を無視するとうことは友人であった関係が無くなっていいとうことだ。ならば恐れるものはない。これ以上関係が崩れる事だってないんだから。
ななしの手を壁に押し付けて動きを封じる。
不安げに俺を見上げる瞳にはうっすら涙の膜がはっている。
あぁ、一松にもこんな顔を見せたのか?
なぁ、ななし。
俺を見てくれ。
「ななし」
『か、カラ松!ん、ふっ…』
俺は迷うこと無くななしにキスをした。
一松としたキスなんて忘れてしまえ。一松としたキスなんて俺のでなくなってしまえ。
そんなふうに強引で幼稚なキスをきっと何10分もしていたんだろう。
気づけばななしの瞳からは透明な雫が滴っていた。
覚悟はしていた。しかし本当に泣かせてしまうなんて。
胸がいたんだのに、胸が高なった。
こんな不思議な気持ちになったのは初めてだ。苦しいのに満たされている。
『カラ松っ、お願いっ…やめて』
「俺はななしには相応しくないのか?」
『…大事な、思い出にしたいんだっ』
「……」
『カラ松を好きでいたことを、嫌な記憶にしたくないからっ』
「……俺の気持ちを知っているくせに。そんなふうに言うんだな」
『っ、』
無かったことにしたいんだ。
俺とのすべてを。大切にしたいんだ、綺麗なままで取っておきたい。カラ松は俺のすべてだったから。
ななしの涙は止まらなかった。
俺の心も泣いてた。
でも、このままでは終わらせたくない。
俺はもう一度ななしに強引にキスをした。今度は先程よりも濃厚で大人なキス。
『っは、カラ松っ、』
「すまない、だが。どうしても、記憶何かにとどまらせたくない」
『……』
「どうせ、残すなら忘れたくても忘れられない記憶にすべきだ。そうだろ?ななし」
『なっ、カラ松!?』
「俺は記憶なんかで留めたくはない。だからななしも俺を刻んでくれ」
五時間目を知らせるチャイム。
そんな音を耳にしながら俺は締まっていたネクタイを外した。
そうだ、ななし。その目。怯えたような、悲しいような。今の気持ちを忘れるな。
その感情がいつまでもつきまとえば、俺はななしからは消えることはないはずだから。
酷くしてすまない。
これもすべて、ななしを愛したからだ。
三度目のキスはどうしてか涙の味しかしなかったんだ。
滴り伝う透明な色
(聞こえないふりをして)