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「お帰り」
『た、ただいまー』
「君は今いったい何時だとおもっているんだい?」
『1時28分です、はい』
扉を開けたら仁王立ちのチョロ松がいた。
既に夜中の一時を超え後は寝るだけのななしだったが、チョロ松の般若の顔つきにそれも無理だと悟る。
我が家にも関わらず入りにくいとはいったいどう言うことなのか。
全てはこの過保護モンスターチョロ松のくれる鋭い視線のせいだ。
冷や汗をダラダラ流しながらななしは家に入る。新年を迎えめでたいはずなのにどういうことだ!
「寒かったでしょ、ほら」
『え、あ、サンキュー』
「コート脱いだらソファに座ってなよ。ココアいれるから」
『うん』
流石過保護モンスターチョロ松。手際の良さはどこの親よりもすごい。あっという間に湯気の出たココアを持ってきたチョロ松はななしの隣に座る。
飲めば甘さは控えめだが味は濃く。心まで温まるような美味しさ。いつもながらチョロ松の入れたココアは美味しいと思う。
「で、誰と何してたの?僕に無断なんてなかなか肝が座ってるね」
『きゅ、急だったからさ!いう暇もなかった!』
「だから誰と?」
『学校のやつらとだべってただけよ』
「こんな時間まで?外で?」
『おー。だって誰ん家も駄目だったし!川原で座ってさ!』
「…風邪引くよ…馬鹿だよね本当」
『うわぁ、やべ!明日初詣行くまでは風邪引けねぇわ!チョロ松。風呂入ってくる!』
これだけはチョロ松と、かなり前から決めていた。だから風邪なんて引けるわけない。体を温めると言う名目で風呂に直行する。
しかし馬鹿なななしは服を脱ぎ浴室に入りようやく気づく。
バスタブにはお湯がはらるていないことに。
これはかなりまずい。本当に風邪をひいてしまう。なんとか熱いシャワーを体にかけてささっと洗う。バスタブにつかれないのはでかいがさっさと洗い終えベッドに入った方があるいは暖かいかもしれない。
ものの5分程度でシャワーを止めななしは浴室から飛び出す。やはり体は暖まらなかった。しかし今からベッドに直行すれば間に合う!
なにか競技をするように慌てるななしにチョロ松は苦笑いするしかない。
「君ってば本当に馬鹿だ」
『チョロ松!さみぃ!』
「だろうね。ほらヒーターつけたよ」
『ありがとうございますー』
「変な連中とつるむからそんなことになるんだよ、ななし」
『えー、』
「1人じゃ何も出来なくなって僕なしじゃいられなくなるよ。あるいはそれでもいいかもしれないけどね。僕的にはそっちの方がいい」
『ずっと一緒じゃん!』
「ずっと一緒は嫌なの?」
ベッドの上でズイっと迫るチョロ松の顔には何となく陰りが指している。
良くも悪くもななしは気づいておらずにへらっと笑っている。
チョロ松は、ななしの顔に少しいらっとする。何もわかってないこいつが腹立たしい。いっそ一人でなんていきてけないようになればいい。僕を頼って、僕を見て、僕を傍において。
僕に根付いてしまえばいいのに。
なんだってしてあげるよ。だからその分ななしは僕に依存して。
「……ななし、ずっと一緒にいてよ」
『ん?』
「いてくれないと僕、何するかわからないから」
『例えば?』
「監禁とか」
『う~ん監禁かぁ』
「いてくれないの?」
『いるよ。多分。俺チョロ松いないとあさおきらんないもん』
「…そうだね」
『飯もろくに食わないし、洗濯とかもまちまちになっちゃう』
「…まって、僕家政婦じゃんそれ」
『えー、違うし。主夫だろ?』
ななしの一言に顔が真っ赤になるチョロ松。思っていた以上にななしはチョロ松にゾッコンなのだ。しかしまだまだ深く依存してもらわなくてはチョロ松は安心できないのだ。ななしにとっての唯一にならねばなんの意味もない。
ああ、やっぱり監禁してしまおうかな。そうすれば誰の目にもつかないから。
「いつか、必ずそうしてやる」
『ん?なに?チョロ松』
「なんでもない」
いまはまだこれでいい。だけど心の奥底が渇望しているのはななしからの依存。病的なまでの。そうでなければチョロ松の気持ちが落ち着く事は無い。
チョロ松の思いがそれほど黒く重いためである。
馬鹿なななしには分からないだろうが確実に彼はチョロ松の抜け出せない罠にはまっている。既に胃袋を握られている。
朝も起きられない。洗濯も。
ななしの中に確実にチョロ松が根付いて来ている。
「まぁ、ななしは馬鹿だからな…いつまでたっても、きづかないでしょ」
『バカ呼ばわりするなよー』
「だったら僕の黒さに気づきなよ馬鹿ななし」
寝転がるななしの額にキスをする。アクビを漏らし目をつむり出したななしにチョロ松は目を細める。
彼が手に入るなら何だってする。付き合っていてもこんなに浅いならいつか殺めてしまいそうで怖い。しかしそれでもいいかもしれない、思うチョロ松はやはり真っ黒だ。
眠ったななしに一言
「ご愁傷様」
そう、呟いた。
end